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2020年4月25日 (土)

日経が発表した日本経済の深刻な落ち込みと、その克服方法(No.406)

国は外出を控え人との接触を8割減らせと言う。しかし一方で感染しても軽症なら自宅で療養せよと言う。しかし家族の一人が感染していて、外出を控えたら同居している家族に感染させてしまう。3密を避けろというが、狭い住居で3密を避けるのは無理だ。感染者でも軽症者まで入院させたら病院が患者で溢れ医療崩壊を起こすと言う。そうであればホテルに隔離すればよいだけだ。4月19日西村康稔経済再生担当相は、新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人に入ってもらう宿泊施設について、全国で21万室を超えるホテルを確保したと述べた。加藤厚労相は、軽症者も自宅でなく宿泊施設が基本だと述べた。そうであれば直ちに、そして一挙に実行してもらいたい。もし現状のまま数ヶ月経過すると、数千人、数万人の命が失われ、休校が続く生徒の学習に深刻なブランクが生じ、また閉鎖が続く店・企業の多くが廃業を余儀なくさせられ街に失業者が溢れる大恐慌が訪れる。その失業者の数に比例して生活苦からの自殺者が発生することは過去の経験から分かっている。コロナ感染を止めて何千・何万という命を救おうではないか。

新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人はで自宅療養している人は7府県で1100人で全国でもせいぜい8000人程度だろう。一人1泊2万円としても一泊1.6億円でよい。それだけでなく、新型コロナの症状が出ている人とか、感染者の濃厚接触者さえもPCR検査を受けさせない。陽性と分かって病院に押しかけられると医療崩壊が起きるからだと言うが、そういう人達も取りあえずホテルで隔離しながら検査の順番を待つのがよい。ホテルは観光客が激減し、大変経営が苦しくなっているから、渡りに船だ。そうすればできるだけホテルでの隔離者を減らそうと国はPCR検査を急ぐようになるだろうし、韓国の検査キットなどで検査を加速させることも考えるだろう。

万一、感染者がホテルでの隔離に応じないとしたら、それはもはや犯罪と呼ぶしかない。他人に感染させたら命を奪う可能性があるのだから、殺人未遂に相当する重罪だ。国民の命を守り、国の経済を救うには、感染者全員を強制隔離するしかない。法的な裏付けが必要なら緊急に新しい法律を制定すべきだ。更に感染者全員の氏名を公表すべきだ。戦後最大の国家の非常事態なのだからそれも許されるべきだ。あるテレビ局の調査ではこの非常事態に対応するにはプライバシーの侵害もやむを得ないとする人が89%もいた。氏名を公表し、探偵事務所を使って徹底的に感染経路を調べるべきだ。このことは前回(No.405)で述べた。コロナの封じ込めは台湾や韓国で成功しているのだから、日本でもできないわけがない。

感染を止めるため、国は様々な店の営業を自粛せよと言うが、補償はしないとしている。短期間ならまだ耐えられるかもしれないが、長期になるとバタバタ倒れるところが出てくる。このままだとリーマンショックを超え、世界大恐慌並の大不況が来る。景気悪化を避けるために政府はどの程度の対策をすればよいのかを考えるために日経NEEDS日本経済モデルを使って計算する。まず日経新聞社の経済予測をみる。コロナが深刻化していなかった2020年2月の予測と深刻化した2020年4月の予測を比べてみる。

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2月のデータは4月のデータに比べて2020年のQ2(4月~6月)GDPが28兆円(5.4%)下がっていて、2022年Q1でも2.6%低くなっている。2020年4月のグラフは2020年4月の緊急経済対策(事業規模117兆円)による押し上げ効果を考慮に入れて計算されている(全国民に10万円を給付する効果は入っている)のだが、この経済対策はまだまだ足りないのは明かだ。4月20日に西村経済再生担当大臣はこの経済対策がGDPを最大で4.4%押し上げるとの試算を示した。4.4%ということは24兆円であり、このグラフを見る限りそれだけの効果があるとは思えない。

次に4月22日に発表されたデータを使って、全国民に現金を給付したとき経済がどうなるかをNEEDS日本経済モデルを使って計算してみる。

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これらのグラフは毎年国民全員に一定額の給付金が配られるとしている。その額が10万円、20万円、40万円、80万円の4種類で、全然配られなかった場合と比較してある。2018年度では名目GDPは550兆円だったことを考えれば、全然現金を配らなかった場合は2022年になっても554兆円だから4年間で僅か4兆円しかGDPは増加しなかったことになる。このグラフで分かるように2020年のQ2(4月~6月)でGDPが約20兆円落ち込んでいる。この落ち込みを取り戻そうと思うなら国民全員に40万円を配る必要がある。ただしこれは早期にコロナを封じ込めて経済が元の状況に戻ったと仮定してある。コロナの終息は難しい。日本で封じ込めが成功しても、海外から絶えず入ってくるし、いつまた感染爆発が起きるか分からない。そういったことを考えればこのグラフより経済ははるかに大きく落ち込むかもしれない。日経新聞社としては、そのような最悪の事態の試算は怖くて出せなかったのではないか。その意味でこのグラフは最良のケースを表していると考えるべきだ。

もしコロナの終息に失敗したらどうなるのだろうか。自粛を要請されている企業でテレワークができないところは倒産するだろう。店がすべて営業を停止したら我々は生きていけるのか。食料品店も人が押しかけ店員も感染してしまい営業が続けられなくなる。病院も感染が防げず次々と休業する。これが最悪の状況だ。しかし一度コロナに感染して回復した人は抗体ができていて、二度とコロナに感染しないかもしれないし、感染しにくいかもしれない。そうであれば、例えばクラスターが発生し閉鎖になった病院も抗体を持つ医師・看護師が中心となって病院を再開できるかもしれない。お店も同様だ。抗体を持つ人は、コロナを発病したことを確認された人よりはるかに多い可能性がある。つまり本人気付かないうちに感染しそのまま回復した人であり、抗体検査で抗体を持つかどうかが分かる。抗体を持つ人が実際コロナに感染しないのかどうかは確認が必要だ。

学校が休校となったり、飲食店が閉められたりしたら、農作物の物流が止まりそれを大量に破棄しなければならなくなっている農家は苦境に陥っている。そうであれば例えば国がその農作物を買い取って、学校の体育館などを借りて陳列しておき、必要な人に無料で持って行ってもらうようにしたらよい。混雑するようなら、入場制限をする。これにより食料品の流れははるかにスムーズになり、破棄していた食料品が消費者に届けられる。生産者にも消費者にもメリットがありそれを国が支援する。スーパーや配達業者の負担も軽減され過剰にスーパーに人が並ぶこともなくなる。こういった経済は、未来の無制限供給の世界の実現のための貴重な実験になる可能性がある。全国民への現金給付もベーシックインカムの実験として貴重である。無駄な労働を省いてここまで快適な生活ができるということが多くの人に理解されるようになる。汗水流して小さなお店を経営してギリギリの生活で苦しみ続けるより、店を閉めてベーシックインカムで生活すれば十分かもしれないし、野心的な研究開発にトライする人も出てくるかもしれない。人の欲しがる物をどうやってよどみなく供給するのかという問題を解決して、未来の理想社会を築くにはどうすればよいのか考えるよい機会になる。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

 

 

 

 

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