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2020年5月

2020年5月16日 (土)

コロナ禍による日本経済の落ち込みは極めて深刻(No.413)

安倍晋三総理は4月7日、緊急事態宣言を発令した。その結果外出制限など、様々な自粛要請があり、国民がそれに応じ結果として経済にも大きな影響をもたらした。我々は日経NEEDS日本経済モデルを使って、様々な経済対策を行った場合どのような影響が出るかを計算した。ところで日経は毎月データを更新しており、コロナ禍により経済が大きく影響を受けていることがそのデータから分かる。我々は1月から6月まで6種類のデータを受け取ったが、そのデータから日本経済が急激に落ち込んでいく様子が分かる。まず名目GDPを示す。

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名目GDPを1月~6月の6種類のデータを使って名目GDPを示した。だんだん景気に悲観的になっていったことが分かる。しかも4月と5月には名目GDPの予測は大幅に下方修正された。特に2020Q2における落ち込みは激しく、2022Q1になってもまだ回復できない。この落ち込みは自粛の呼びかけに応じた国民の自粛が消費の落ち込みが引き起こされたからである。6月には下げ止まった感があり5月のデータと余り変わらない。

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これよりこの不況が消費の落ち込みが原因だと分かる。特に2020Q2の落ち込みが際立っている。これはGDPギャップをマイナスにする。

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企業の経常利益に関しては、若干タイムラグがあるようで、本格的な企業業績の落ち込みはこれからである。

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最後に消費者物価指数を示す。

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この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

 

 

 

 

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PCR検査数を大幅に増やせ(No.412)

厚生労働省は5月15日、新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査について、1日当たりの検査能力が約2万2000件に達したと発表した。今頃になってやっとこのレベルかと驚かされる。諸外国は桁違いの検査数ができているのに日本はどこまで無能なのか。最近文部科学省が全国の大学にどれだけPCR検査を実施する能力があるか調査を開始したようだ。しかし、大学は研究するところであり、診療を目的とした検査をするには都道府県などに登録申請した上で、病原体を取り扱える特別な施設に変え専門の職員を雇わなければならないから研究は放棄することになる。

制度的に地方衛生研究所は行政検査(衛生・環境関連法に基づき各自治体の保険当局が疫学調査のために行う検査)が主体で、新興感染症について大量検査を行うことを想定した体制は整備されていない。それがネックになっているのであれば、その体制を大幅に拡充し最新の全自動検査システムを大量に導入すべきだ。研究所にスペースが足りないなら、貸しビルを使うなり買い上げるなどし、人が足りなければ雇えば良い。全自動システムであればそれほどの技術は不要なのではないか。ロシュ社の全自動システムには日本の技術が使われていてフランスやイタリアなど欧州の医療現場で大活躍している。PCR検査について、開発ベンチャー会社プレシジョン・システム・サイエンス(以下PSS社、千葉県松戸市)が全自動PCR検査システムの共同開発で駐日フランス大使から感謝状を送られた。世界の多くの国で実施されている全自動PCR検査を支えているのは、実は日本の技術である。全自動検査システムでなければ検査数を飛躍的に増やす事はできない。大至急全自動検査システムをできるだけたくさん買って地方衛生研究所に設置し検査を始めるべきだ。

なぜ日本で使われていないかと言えば国が予算を出さないからということだ。国民の生命に重大に係わるものであるから1兆円でも2兆円でも使ってよいはずだ。国が貧乏だから高価な機器が買えなくて多くの命が失われるのはあまりにも惨めである。

もう一つネックになっているのが検体の採取である。鼻の奥などの粘液を採取するには技術が必要だし、採取する人が感染する危険がある。しかし検体は唾液で十分であることが分かり、5月中に厚生労働省は唾液を使う方法を認める方向である。そうであれば検査を希望する人に自宅で検体を採取してもらって、検査所に送ればよいだけで、PCR検査を大幅に増やせる。例えば手術を予定している人に事前に検体を持参してもらい、PCRで陰性が確認された人のみ手術をするようにすれば院内感染も防止できる。PCR検査は感染防止のために極めて重要だ。今は簡単に受けさせてもらえないPCR検査であるが、もし今の10倍程度検査ができるようになれば、少しでも症状がある人、濃厚接触の可能性がある人でも検査が受けられるようになり、陽性ならホテルや指定の宿泊所に隔離し、新規感染者を減らすのに大きく貢献する。これによりコロナは封じ込められ、緊急事態宣言の解除の時期を早められる。

抗原検査や抗体検査も始めるようである。コロナに感染して快復した人が1万人以上世界には160万人以上いる。そのような人は二度と感染しないのかどうか、調べれば分かるはずである。もし抗体がちゃんとできていて二度と感染しないことが確かである人がいれば、例えば集団感染している介護現場などに入ってもらって助けてもらうとよい。もちろんそのようなケースでは特別に高い給料を払うべきであるが。

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2020年5月14日 (木)

政府がお金を刷って国民に配った時の経済を日経のモデルで調べた(No.411)

コロナ禍による日本経済の深刻な落ち込みに対する政府の対策が極めて重要になる。4月30日に令和2年度の第1次補正予算が成立し、1人一律10万円の特別定額給付金の支給が決定した。この決定には多くの国民は賛成している。国は国民に使用目的を限定せずにお金を配る。少数ではあるがこの政策に不満・不安を持つ人はいる。その理由を列挙してみよう。
①コロナ禍で収入が減った人を中心にもっと額を増やして欲しかった。
②このお金は国債発行が財源になっており、国の借金だから将来国に返さなければならない。
③激しいインフレになるのではないか。
④国債が暴落し、金利が急騰するのではないか。
⑤円が信認を失い暴落するのではないか。
⑥どうせ給付金は貯金に回るだけで意味がない。

この政策はベーシックインカムが将来本格的に実行されるときのための貴重なデータを提供する。『文春オンライン』では、緊急アンケートとして「新型コロナ緊急対策『1人10万円給付』に賛成? 反対?」を実施。5日間で総数905票、20代~80代から回答が得られた。結果は賛成が731票(80.8%)、反対が174票(19.2%)と圧倒的に賛成が多かった。つまり②~⑤についてはあまり議論になっていない。それなら、もっと支給金額を増やしたらどうなるのか気になる。そんなことをしたら大変なことになるのではないかと心配する人がいて、その理由は②~⑤だ。しかしよく考えて欲しい。本当にこれらの事が起きるのか、起きるとしたらどのタイミングか。あたかも「禁断の実」であるかのように捉え、食べたら死んでしまうと思っているのかもしれない。しかしこれは誰も確かめたことはない。もっと多くの現金を支給したとき、日本国民にとって大変な富をもたらし、コロナ禍で大打撃を受けた経済をV字回復させることができるという可能性はないのだろうか。

国の債務残高が増えると金利が急騰し国債が暴落するとの主張は1982年にも見られた。当時国債残高は今の10分の1しかなかったのだが、財政非常事態宣言が出された。しかし国債残高は増加し続けたが金利は逆に下がり続けた。このことから国の債務残高が増えれば金利が急騰するという説は現在の日本には当てはまらない。また激しいインフレになるという説も、これだけ債務残高が増えても激しいインフレになっておらずやはり当てはまらない。

一般に言われている説が本当に正しいのかを検証するために我々は日経NEEDS日本経済モデルを使って計算してみた。政府がもっと大規模に現金を給付する場合を考える。給付金額を年間40万円、80万円、120万円とし、全く給付しない場合と比べる。ただし、全く給付しないと言ってもすでに給付が始まっている10万円は給付が完了したものとする。給付金額は年4回に分け、Q1(1月~3月)、Q2(4月~6月)、Q3(7月~9月)、Q4(10月~12月)の4回配り、その合計額が上記の金額(40万円、80万円、120万円)になるようにし2022Q1まで支給は続けるものとして計算した。まず名目GDPを示す。計算の基礎となっているのが、日経新聞社が2020年6月に出したデータであり、これには第1次と第2次の補正予算の効果はすでに反映されている。

 

 

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ここですぐ気付くのは2020Q2で落ち込んでいることだ。これはコロナ禍で自粛させられたために経済活動が停滞したことが原因となっている。ただし、この見積もりは5月26日に日経が発表したデータを使った。0円の場合はコロナ禍による落ち込みからなかなか脱却できないでいる。このままだと安部氏の任期である来年の9月になっても目9位木GDPは520兆円余りであり、アベノミクスではGDPは増えなかったことになる。支給金額を増やしていくとV字回復が鮮明になってくる。支給額が増えれば増えるほどGDPは拡大していく。120万円を配る案では、2年後にはGDPは600兆円を超し、夢の世界の実現である。国民に現金を支給するとなぜGDPが増大するのかと言えば、それは消費が伸びるからでありどの程度伸びるかを次に示す。
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このように、国民は支給されたお金を使うので消費が伸びることが分かる。ここで気になるのはインフレが起きるのではないかということだ。もしそうならお金をもらっても何にもならない。以下に消費者物価指数をグラフで示す。
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このグラフで分かることは物価の値上がりは非常に少ないということだ。120万円のケースでさえ物価指数はやっと2年後に2020Q1の水準にもどすだけである。このことはコロナ禍によるダメージを取り戻すためには全国民に120万円を2回給付しなければならないことを意味する。まとまったお金を受け取れる国民にとっては嬉しい。消費は伸びるが物価は上がらないということは、需要の伸びに対し供給は対応できるということだ。ただし供給を大幅に増やす事は容易ではないと思われる分野もある。例えば住宅投資だ。例えば5人世帯の場合支給されるので年間600万円であり、2年間で1200万円だ。それだけ収入が増えれば改築、増築、新築の需要は一気に増えることが考えられる。住宅投資のグラフは以下に示す。
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120万円の場合、2022Q1では投資額はほぼ倍増している。このような爆発的な需要増加に対応するのは至難の業に違いない。現在建築業界では深刻な人手不足である。低賃金で長時間労働で肉体的な負担も大きく危険を伴うこともあるため若い人が入ってこない。そこで外国人を入れて補充しようとしている。しかしコロナ禍のためスムーズにそれが進むかどうか分からない。建材の需要も急増するだろうし、住宅建設には多くの熟練工が必要となり、短期間で養成は無理だから注文してもそれなりに待たされることになるだろう。需要が急増すれば賃金を上げなければ人は確保できないから建設コストは上昇するに違いない。

ただし全ての業種でこのような事態になるとは思えない。日本は慢性的な需要不足が続いている。次にGDPギャップを示す。このグラフが示しているのは、もし支給金額がゼロならGDPギャップがずっとマイナスであり需要不足が続くということだ。かなりの額を支給し続けてもインフレにならないということは、供給に余裕があるとうことだし、需要が増えれば製造ラインを増やしたり輸入を増やしたりして対応できるということだ。

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次に長期金利(10年物国債利回り)を示す。金利は非常に低いレベルに留まっていることが分かる。2018年度の内部留保は463兆円にも達しておりコロナ禍であっても資金不足にはならないかもしれない。日銀は市場に大量に資金を提供しており、ここで計算した範囲内では国債の暴落(金利の暴騰)はあり得ない事が分かった。

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消費や投資が拡大することから経済は活性化し企業の利益は大きく拡大する。
 

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これで分かるように現金給付は個人に大きな利益があるだけでなく企業にも大きな利益をもたらす。例えば2022Q1で120万円の場合を見ると経常利益は0円の場合の約2.5倍にもなる。そのような巨額の利益が発生するのなら設備投資も巨額になると考えるのが自然である。
 

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しかしこのグラフで分かるように設備投資は2022Q1で120万円の場合0円の場合に比べて約20%増えただけだ。国内需要が大きく伸びているのだからもっと設備投資が伸びてもよいかと思うのだがそうなっていないようだ。企業業績が好調なのだから当然株価は上昇する。

企業の利益が拡大すると雇用者報酬も上昇するはずだから、グラフにしてみよう。グラフからわかるように雇用者報酬の上昇率は経常利益の上昇率よりはるかに小さい。
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2022Q1においては企業の経常利益は0円に比べて120万円の場合22兆円多くなっている。設備投資においてはその差は5兆円であり、雇用者報酬ではその差は4兆円である。つまり企業に大きな利益が出ても雇用者の手に渡るのは僅かだと分かる。この傾向は例えば公共投資や減税で景気刺激を行っても労働者の所得の増加額は僅かであることはすでに示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-ebaa09.html

しかし、例えば120万円を国民全体に給付する場合、給付自体ですでに150兆円の現金が国民に渡っているのであり、それに加え4兆円が雇用者報酬の増加という形で国民に渡る。その意味で国民を豊かにするという観点からは、現金給付という方法が最良の方法である。

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企業の業績が向上すると株価は大きく上昇する。しかし1989年につけた最高値38,915円には届かない。それでも2022Q1頃には120万円給付の場合株式時価総額は1000兆円に近づく。株価上昇で家計も企業も資産残高を大きく増やす。

ここで見たようにコロナ禍による経済の落ち込みは極めて深刻であり、戦後経験したことがないほどの規模である。これに対する対策は想像を絶するほどの大規模なものでなければならないことをここで示した。毎月全国民に10万円を2年間給付するのが適切な規模であることをこの試算は示唆している。もちろん特に困っている人々に重点的に給付するということも重要だが、大規模で行わなければならないことを忘れないで頂きたい。

 

 

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2020年5月12日 (火)

PCR検査をして隔離を進めれば、感染も収まるし経済も復活できる(No.410)

政府はオリンピック開催とか習主席の日本訪問などがあって、感染が進んでいないように見せるためにPCR検査をさせないようにしてきた。更にこのような検査をするには政府の承認が必要で事実上PCR検査は小規模でしかできないような仕組みを守ってきた。そのくせ国民に対しては緊急事態宣言などで日常生活を厳しく制限し、国民を苦しめ、多くの企業を苦境に陥らせてきた。しかしPCR検査も受けさせてもらえぬまま死んでしまう人が続出し政府も若干方針を変えたようだ。

物理学者の小田垣孝氏はシミュレーションを行い政府のやり方が間違いであったことを示した。彼のSIQRモデルは市中に感染者と未感染者が共存するとし、接触による感染の割合、感染者の快復の割合には現状のデータを使いPCR検査によって感染者を捜し隔離し、隔離された人は他人を感染させないと仮定する。

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微分方程式を解いてどの程度感染者が減っていくかを示した。この計算によって検査と隔離が極めて重要であることが分かった。具体的には感染者が10分の1になるまでの日数が次のようになると示した。

①PCR検査数を現状維持だと8割自粛しても23日
②PCR検査数を増やし隔離する人を2倍にすると5割自粛でも14日
③PCR検査数を増やし隔離する人を4倍にすると自粛なしでも8日
これは感染収束のために検査して隔離することが如何に重要かを示したものである。ここで重要なのは単にPCR検査の数を増やすということではなく、隔離する人数を増やすことである。だんだん隔離が進み市中の感染者の割合が半分になると同じ数の感染者を見つけるには2倍の検査が必要となる。自粛の割合を下げると市中での感染者の発生割合は増えてくる。それを打ち消すだけ検査で感染者を見つけ隔離すればコロナは収束する。自粛期間中は多くの業種で商売ができず、経済に深刻な影響を与える。第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは緊急事態宣言による経済の損失は45兆円になるとした。更に同研究所の永濱利廣氏は69.9万人もの失業者が発生する見込みであると述べた。つまり自粛には莫大なコストが掛かる。しかし検査は自動検査機器を使えば大量に安く行える。今はホテル業界は深刻な不況だから、国がたくさんのホテルを買い取って宿舎にして感染者の療養施設にすればよい。コスト的にはこちらのほうがケタ違いに安い。検査の精度はそれほど高くなくてよく、必要なら別な検査法で確認の検査を追加してもよい。

日本は諸外国に比べてPCR検査数が極端に少ない。検査をして欲しいという悲鳴にも似た国民の声を無視し、安倍首相は増やすとは言いながら一向に増えない。彼のリーダーシップの無さを示している。このような国家の非常事態には強力で適切な指導力が必要であり、コロナの収束に成功した台湾や韓国ではそのようなリーダーがいた。今からでもコロナ収束のための最善策を政府と国民が協力して実行すべき時である。PCR検査も全自動でも行える機器があり例えばロッシェの全自動検査機器ではフルに使えば1日7.4万件の検査ができる。また唾液を使った検査だと安全に大量に検査が行える。抗原検査キットが5月13日に薬事承認される。これは15~30分で結果が出る。政府はこれを週40万件できるような態勢を整えようとしている。若干精度が落ちるが、これで陽性者を捜しPCR検査で確認するようにすればよい。

日本は台湾・韓国に比べてコロナ対策で出遅れた。台湾・韓国などは野球などのスポーツも再開しかつての日常生活が戻りつつある。しかし今からでも間に合う。要するに検査だ。技術はあるのだから、必要なのは国が非常事態としての超法規的措置として、民間の検査機関に特別に検査の認可を与えることだ。必要ならその実行のために巨額の投資をすべきだ。数十兆円の経済的損失が出る緊急事態宣言に比べれば微々たる出費だ。しかもこの出費は日本経済の復活に役立つ出費になるわけで一石二鳥である。

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2020年5月 7日 (木)

家庭内感染などの感染を完全に止める方法(No.409)

政府は5月4日、緊急事態宣言を5月31日まで延期すると決定した。安倍首相は欧米のような感染爆発が起きていないことを成果であるように言う。しかし、比べるべきは欧米の例ではなく、もっと日本と環境が似ている韓国や台湾だ。それらの国では、政府の的確な措置のお陰で新規感染者数は1桁台に抑えられ、次第に日常の生活を取り戻しつつある。一方で日本は新規感染者数は100~300名程度であり、このままでは国の経済は極めて深刻な不況に落ち込むし,失業者が激増するのは確実である。失業者が増えると生活苦で自殺する人が何千、何万という数に上るようになる。しかも感染が止まらないと、コロナで多くの人が死ぬ。政府の失政のお陰でそのような命が失われることに憤りを感じる。今の状態で自粛解除したらまた感染者が増えて元に戻る。ところが感染者をすべて隔離したら、非感染者は街を自由に歩けるし、仕事もできるし夜の歓楽街も生き返るのである。

そうするためにはまず自宅待機をしている感染者をホテルなどに隔離することだ。なぜ隔離がいやかと聞くと街を自由に歩けないからだと言う。とんでもないことだ。日本人1億2千万人全員が自宅待機しても、感染者が街をウロウロされてはすべてがぶち壊しだ。しかも感染者に自宅にいてもらっては家族を感染させてしまう。

感染を止めるには、誰が感染者かを確定し感染者を隔離することだ。それにはPCR検査を多数行う必要があるが、日本は人口10万人あたりの検査数は諸外国の10分の1程度しかない。これが多数の日本人の命を奪っている。体調を崩して検査を依頼しても受けられず命を落とす例が次々見つかっている。PCR検査が十分行えていないのは安倍首相に重大な責任がある。ではどうすれば検査を増やせるか。
①例えばロシェ・ダイアグノスティックス株式会社の全自動遺伝子検査装置を大至急導入すべきである。これは1日7万件の検査が可能ということで大幅な検査体制の増強が可能である。これ以外の製造元でもよいので自動検査機を大量に導入すべきだ。
②RNA抽出薬などが足りなくなるとの意見があるがニッポンジーンとか島津製作所などで大量に生産をお願いする。
③政官民で非常時の緊急対策チームを発足させ大至急コロナ対策を実行する。予算10兆円を自由に使ってよいとしておき次々と対策の決断と実行をしてもらう。
④大学の医学・生物学・農学系の関係者に広く応援を呼びかける。日給3万円程度で検査の協力をしてもらったらどうか。大学院生やオーバードクターの方達とかも経済的に助けになる。こうして検査件数を一気に拡大すべきである。必要なら検査訓練のためのセンターを立ち上げる。

大量に検査ができるようになったら、感染者の隔離を完璧にする必要がある。まだ1800名以上の感染者が自宅療養している。理想的には強制的に感染者を全員隔離することが望ましい。例えばエボラ出血熱が日本に入ってきたら、強制的に隔離しても誰も反対しないだろう。新型コロナも死に到る病であり、悪くするとこのままでは日本経済を殺してしまう恐ろしい伝染病だ。強制隔離がなぜできないか理解に苦しむ。しかしどうしてもそれができないというのであれば隔離した際の環境を極めて快適なものにした後、総力を挙げて隔離への協力を説得すべきだ。テレビで連日説得すべきだ。安倍首相、西村大臣、加藤大臣、そしてテレビでお馴染みの有名人の方々に協力をお願いし説得すべきだ。自分の好きなタレントにテレビで説得されたら応じるのではないか。テレビは総力を挙げて感染者に向け、感染者が隔離されていないために多くの人々が大変な思いをしている実情を示すべきだ。子ども達も学校に行けないし、店を開けないために長年苦労して守ってきた店が潰れそうだ、医療関係者は命懸けで治療を行っている。感染者全員が隔離されたら元の日常が戻る。そのあたりのことを説明するとよい。感染者が悪いのではなく、ウイルスが悪いのだ。

それでもダメならカネを使うとよい。例えば隔離に応じてくれたら20万円をお見舞いに差し上げますと言えばどうだろう。20万円でもダメなら100万円でも200万円でも、それがうまくいけばタダみたいなものだ。それでも応じない人に対しては強制的に隔離しても批判する人は少ないだろう。

お見舞い金をいくらにするかはともかく、それ以降新たに発生した人に対してもお見舞い金は払う。すでに隔離に応じていた人や入院していた感染者にも払うのかどうかと言えば払った方がよい。全員に払ったとしても微々たる金額だ。今後感染者が見つかったとしても隔離に応じたらお見舞い金は払うとよい。自分は多分感染者だろうと思っている人でも、他人に知られたくない、隔離されたくないと思う人は隠している人もいるかもしれない。しかしもしお見舞い金が貰えると知ったら、喜んでPCR検査を受けるだろう。PCR検査を受ける人が飛躍的に増え、感染者の隔離が一気に進む。そうなれば極めて迅速に日本中の感染者が隔離され、結果として緊急事態宣言解除の時期が大幅に前倒しになる。これは日本経済に数十兆円の押し上げ効果を持つ。例えばお見舞い金が200万円とし、1万人に支給したとしても僅か200億円にすぎない。これはGDP押し上げ効果の僅か2500分の1に過ぎないのである。

 

 

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2020年5月 4日 (月)

パチンコより家庭内感染を止めることを優先せよ(No.408)

新型コロナ対策担当大臣である西村康稔氏は全く頼りない。何か聞かれるといつも「専門家に聞いてみる」と言う。そうであれば専門家の誰かに10兆円渡して国難を打破するために使ってくれと頼んだ方が良い。新型コロナ対策担当大臣はコロナについて熟知している専門家に担当してもらうべきだ。

政府は外出しないようにと呼びかけている。誰もが外出しないなら飲食店などあらゆるお店に客が来なくなり、経済打撃は極めて大きく10兆円どころではない。しかも外出しなければ、逆に家庭内感染が深刻化することを忘れてはならない。つまりステイホームと言うなら同時に家庭内感染防止策を徹底的に行わなければならないのである。しかし、家庭内での隔離は日本の小さな家屋では絶対無理だ。最良の方法は感染者を家庭内でなくホテルなどの宿舎で隔離することだ。

厚生労働省は4月28日、新型コロナウイルスの感染者を受け入れる軽症者向け宿泊施設を公表した。患者の受け入れが可能な部屋数は、35都道府県の計1万2090室で、うち862室が現在使用されている。隔離が進めば家庭内感染は防げるのだが、実際はそれが進まず、家庭内感染は深刻さを増しており、ステイホームが逆効果になってしまう。緊急事態宣言が日本に莫大な損害を及ぼしていることを考えれば、この非常事態を乗り切るため大至急感染者をホテルなどの宿舎に隔離する必要がある。なぜ感染者の隔離が進まないかであるが、ホテル側の準備が進んでいないことと感染者が自由を奪われることなどの理由で拒否することだろう。

ホテル側の受け入れ準備だが、国家非常事態であり、自衛隊の応援、あるいは非常勤職員を大規模に採用して協力してもらえば、迅速に進むのではないか。10兆円も掛からない。更に感染者の隔離をもし感染者本人が拒否するのであれば、その行為は家族やそれ以外の人達に死に到る病に感染させてしまう可能性があるわけで、強い措置を取ることも許されるべきだ。例えば隔離に応じなければ感染者の住所氏名を公表すると宣言するとか高額の罰金を支払わせるとかが考えられる。あるいは、隔離に応じれば見舞金を払うと約束してもよい。どの程度の見舞金かと言えば、例えば1泊あたり1万円としたら30日で30万円だから、自宅療養より得だと考え隔離に応じるのではないか。

濃厚接触者も同様の扱いをすべきだ。PCR検査を全員にすべきなのはもちろんだが、陰性であっても自主隔離を求められている人全員にホテルでも隔離をしてもらい、ホテル代はもちろん、見舞金まで払えばよい。1万人に1万円を払ってもたった1億円であり、それで多くの命が救われ、緊急事態宣言の解除に大きく貢献するのであれば安いものだ。また感染したかもしれないと思う人を片っ端から検査し、陽性になった人を隔離すれば、新規感染者は劇的に減ってくる。PCR検査を増やしたければ機動部隊として臨時職員を1万人雇い、どうして検査数が増えないか徹底的に調査する。電話がつながりにくいのなら回線を増やし、受付人数を増やす。部材不足ならその確保のために全国・全世界を奔走すればよい。PCR検査の優等生の韓国が援助しようと言っているのだから喜んで受け入れると良い。PCR検査に必要なRNA抽出キットが足りないからPCR検査は増やせないという意見もあるが、どうして日本だけがそのような絶望的な状況から抜けられないのか専門家が集まってじっくり議論をしてその議事録を公開して頂きたい。

東日本大震災における震災関連死は平成29年3月31日現在で3591人と復興庁から発表された。世の中には人の助けなしには生きていけない人がたくさんいる。外出禁止などとなれば、助けが得られずそういう人達は死ぬしかない。緊急事態宣言で人の行動を制限すれば、その意味で多くの人を死に追いやる。また金銭的に追い込まれて自殺する人も少なくない。人の命を守るために10兆円を必要なところに大胆にそして速やかに使ってもらいたい。西村氏は新型コロナ対策担当大臣としては失格だ。

 

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