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2020年5月16日 (土)

PCR検査数を大幅に増やせ(No.412)

厚生労働省は5月15日、新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査について、1日当たりの検査能力が約2万2000件に達したと発表した。今頃になってやっとこのレベルかと驚かされる。諸外国は桁違いの検査数ができているのに日本はどこまで無能なのか。最近文部科学省が全国の大学にどれだけPCR検査を実施する能力があるか調査を開始したようだ。しかし、大学は研究するところであり、診療を目的とした検査をするには都道府県などに登録申請した上で、病原体を取り扱える特別な施設に変え専門の職員を雇わなければならないから研究は放棄することになる。

制度的に地方衛生研究所は行政検査(衛生・環境関連法に基づき各自治体の保険当局が疫学調査のために行う検査)が主体で、新興感染症について大量検査を行うことを想定した体制は整備されていない。それがネックになっているのであれば、その体制を大幅に拡充し最新の全自動検査システムを大量に導入すべきだ。研究所にスペースが足りないなら、貸しビルを使うなり買い上げるなどし、人が足りなければ雇えば良い。全自動システムであればそれほどの技術は不要なのではないか。ロシュ社の全自動システムには日本の技術が使われていてフランスやイタリアなど欧州の医療現場で大活躍している。PCR検査について、開発ベンチャー会社プレシジョン・システム・サイエンス(以下PSS社、千葉県松戸市)が全自動PCR検査システムの共同開発で駐日フランス大使から感謝状を送られた。世界の多くの国で実施されている全自動PCR検査を支えているのは、実は日本の技術である。全自動検査システムでなければ検査数を飛躍的に増やす事はできない。大至急全自動検査システムをできるだけたくさん買って地方衛生研究所に設置し検査を始めるべきだ。

なぜ日本で使われていないかと言えば国が予算を出さないからということだ。国民の生命に重大に係わるものであるから1兆円でも2兆円でも使ってよいはずだ。国が貧乏だから高価な機器が買えなくて多くの命が失われるのはあまりにも惨めである。

もう一つネックになっているのが検体の採取である。鼻の奥などの粘液を採取するには技術が必要だし、採取する人が感染する危険がある。しかし検体は唾液で十分であることが分かり、5月中に厚生労働省は唾液を使う方法を認める方向である。そうであれば検査を希望する人に自宅で検体を採取してもらって、検査所に送ればよいだけで、PCR検査を大幅に増やせる。例えば手術を予定している人に事前に検体を持参してもらい、PCRで陰性が確認された人のみ手術をするようにすれば院内感染も防止できる。PCR検査は感染防止のために極めて重要だ。今は簡単に受けさせてもらえないPCR検査であるが、もし今の10倍程度検査ができるようになれば、少しでも症状がある人、濃厚接触の可能性がある人でも検査が受けられるようになり、陽性ならホテルや指定の宿泊所に隔離し、新規感染者を減らすのに大きく貢献する。これによりコロナは封じ込められ、緊急事態宣言の解除の時期を早められる。

抗原検査や抗体検査も始めるようである。コロナに感染して快復した人が1万人以上世界には160万人以上いる。そのような人は二度と感染しないのかどうか、調べれば分かるはずである。もし抗体がちゃんとできていて二度と感染しないことが確かである人がいれば、例えば集団感染している介護現場などに入ってもらって助けてもらうとよい。もちろんそのようなケースでは特別に高い給料を払うべきであるが。

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