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2020年5月12日 (火)

PCR検査をして隔離を進めれば、感染も収まるし経済も復活できる(No.410)

政府はオリンピック開催とか習主席の日本訪問などがあって、感染が進んでいないように見せるためにPCR検査をさせないようにしてきた。更にこのような検査をするには政府の承認が必要で事実上PCR検査は小規模でしかできないような仕組みを守ってきた。そのくせ国民に対しては緊急事態宣言などで日常生活を厳しく制限し、国民を苦しめ、多くの企業を苦境に陥らせてきた。しかしPCR検査も受けさせてもらえぬまま死んでしまう人が続出し政府も若干方針を変えたようだ。

物理学者の小田垣孝氏はシミュレーションを行い政府のやり方が間違いであったことを示した。彼のSIQRモデルは市中に感染者と未感染者が共存するとし、接触による感染の割合、感染者の快復の割合には現状のデータを使いPCR検査によって感染者を捜し隔離し、隔離された人は他人を感染させないと仮定する。

410

微分方程式を解いてどの程度感染者が減っていくかを示した。この計算によって検査と隔離が極めて重要であることが分かった。具体的には感染者が10分の1になるまでの日数が次のようになると示した。

①PCR検査数を現状維持だと8割自粛しても23日
②PCR検査数を増やし隔離する人を2倍にすると5割自粛でも14日
③PCR検査数を増やし隔離する人を4倍にすると自粛なしでも8日
これは感染収束のために検査して隔離することが如何に重要かを示したものである。ここで重要なのは単にPCR検査の数を増やすということではなく、隔離する人数を増やすことである。だんだん隔離が進み市中の感染者の割合が半分になると同じ数の感染者を見つけるには2倍の検査が必要となる。自粛の割合を下げると市中での感染者の発生割合は増えてくる。それを打ち消すだけ検査で感染者を見つけ隔離すればコロナは収束する。自粛期間中は多くの業種で商売ができず、経済に深刻な影響を与える。第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは緊急事態宣言による経済の損失は45兆円になるとした。更に同研究所の永濱利廣氏は69.9万人もの失業者が発生する見込みであると述べた。つまり自粛には莫大なコストが掛かる。しかし検査は自動検査機器を使えば大量に安く行える。今はホテル業界は深刻な不況だから、国がたくさんのホテルを買い取って宿舎にして感染者の療養施設にすればよい。コスト的にはこちらのほうがケタ違いに安い。検査の精度はそれほど高くなくてよく、必要なら別な検査法で確認の検査を追加してもよい。

日本は諸外国に比べてPCR検査数が極端に少ない。検査をして欲しいという悲鳴にも似た国民の声を無視し、安倍首相は増やすとは言いながら一向に増えない。彼のリーダーシップの無さを示している。このような国家の非常事態には強力で適切な指導力が必要であり、コロナの収束に成功した台湾や韓国ではそのようなリーダーがいた。今からでもコロナ収束のための最善策を政府と国民が協力して実行すべき時である。PCR検査も全自動でも行える機器があり例えばロッシェの全自動検査機器ではフルに使えば1日7.4万件の検査ができる。また唾液を使った検査だと安全に大量に検査が行える。抗原検査キットが5月13日に薬事承認される。これは15~30分で結果が出る。政府はこれを週40万件できるような態勢を整えようとしている。若干精度が落ちるが、これで陽性者を捜しPCR検査で確認するようにすればよい。

日本は台湾・韓国に比べてコロナ対策で出遅れた。台湾・韓国などは野球などのスポーツも再開しかつての日常生活が戻りつつある。しかし今からでも間に合う。要するに検査だ。技術はあるのだから、必要なのは国が非常事態としての超法規的措置として、民間の検査機関に特別に検査の認可を与えることだ。必要ならその実行のために巨額の投資をすべきだ。数十兆円の経済的損失が出る緊急事態宣言に比べれば微々たる出費だ。しかもこの出費は日本経済の復活に役立つ出費になるわけで一石二鳥である。

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