緊急事態宣言を解除する前にやるべき事がある(No.415)
6月11日、小池都知事は都独自の警戒を呼びかける東京アラートを解除し12日零時から事業者への段階的な休業要請を「ステップ3」に移行し、カラオケ店や遊園地の営業が認められた。なぜ自粛要請を緩めるのか全く理解できない。東京の新規感染者は一時は200名を越していたが、5月22日は3人、23日は2人と、非常に少なくなっていた。しかし自粛要請が緩められたため最近は20名を超しており、14日には47人にまで増加した。感染爆発の始まりであり、今感染者の多くは東京だが、旅行を国が援助するようになれば、感染は全国に広まってしまう。
諸外国に比べ日本のコロナ対策はうまくいっていると政府は言う。山中伸弥教授は別な要因があって欧米のような感染爆発を防げたのかもしれないと分析する。明確な結論はまだ出ないが、日本のコロナ対策を評価するには、台湾、中国、韓国と比べて評価すべきだ。台湾は最近8週間で新規感染者はゼロだ。自粛はほぼ必要なく、かつての日常が戻って来つつある。これも検査・隔離が徹底した結果街には感染者がほぼいなくなった結果である。国内の経済活動はほぼ自由にできる。
これと対照的なのはスウェーデンであり、ロックダウンとか外出禁止などせず、感染が進めば多くの国民が抗体を持つようになり自然に流行は収まるだろうという戦略。結果として感染者は激増し、死亡率も近隣諸国よりはるかに高いものとなった。結果としてデンマークやフィンランドなどの近隣諸国は国境閉鎖を解除する際スウェーデンを外している。また感染者が多いとレストランなども警戒され利用が減るし、輸出も急減するなど、深刻なスウェーデン経済への打撃が生じていてこの戦略は失敗したのではないか。
一方中国では一時感染爆発が起きたが、その後封じ込めに成功し、最近の新規感染者の多くは海外からの流入だった。コロナでの死者数は米国が11万5千人であるのに対し中国は5千人足らずである。経済活動も回復しつつある。中国も台湾のように感染者の隔離を徹底した成果だと言える。武漢でも5月半ばから990万人住民全員のPCR検査を行った。1日100万件のPCR検査が可能だとされている。中国全土でコロナ検査を拡充し、いつでもどこでも誰でも検査が受けられるよう検査態勢を増強している。
日本が目指すべきコロナ対策はスウェーデン流ではなく、台湾か中国流である。そのためにはいつでもどこでも誰でも唾液を使ったPCR検査ができるようにするのが必須条件だ。これにより経済を元に戻すことができるので、極めて安上がりで莫大な経済効果が見込まれる景気対策である。緊急に東京だけでも検査をすべきだ。1件1万円で全国民に検査したとしても、僅か1.2兆円だ。第一次、第二次補正予算の事業規模は合計で200兆円を超えるのであり、この検査を実行した際の経済効果は数十兆円を超えるのであり、どんな景気対策より経費対効果は大きい。残念ながら「PCR検査は増やさなくてよい」「自粛は感染を抑える効果はない」などと馬鹿なことを言う専門家がおり、彼らは日本にとって極めて危険な考えの持ち主であり、こういった専門家が日本医療を間違えた方向に導こうとしていると上昌広医療ガバナンス研究所理事長が述べている。
https://www.fsight.jp/articles/-/46990
スポーツジム、ライブハウス、飲食店などクラスターの発生した場所がだんだん分かってきたのだから、徹底した検査と隔離をして新規感染者を減らすことが最優先にすべきことであり、それをせず
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