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2020年7月

2020年7月27日 (月)

緊縮財政では、コロナ封じ込めに失敗し、大不況を招く(N0.423)

今、積極財政と緊縮財政とでは天国と地獄だ。7月21日東大の児玉教授は今の勢いでいったら来月は目を覆うようなことになると述べた。要するにPCR検査を大規模に行って感染者を隔離すれば、コロナは封じ込めることができる。日本でやっているのは旧式の手作業での検査であるが、一方世界ではロシュがもたらした大量検査手法だ。1日当たりの検査数は米国は50万件、中国は378万件、日本は3.2万件だ。日本が意図的に検査数を少なくするのは、陽性者を多数発見すると病院が受け入れきれず、医療崩壊を起こすからだという。しかし軽症者はホテルなどの宿泊施設に収容すればよい。東京都は当初、ホテル5棟(1200人分)借り上げていたのに利用者が少ないとして大部分を解約し今は100分を確保しているだけだ。緊縮財政が災いしているのだが第2波が来ることを考えればもっとずっと余裕をもってホテルは確保すべきだ。

都や政府は最近の感染者増は検査を多くしたからだという。この説明に騙されてはいけない。例えば100万人の都市に1万人の感染者(つまり1%の陽性率)がいて検査によって3000人の感染者を発見し隔離したとしよう。そうすれば感染者の割合は0.7%に下がる。無作為抽出法で検査すれば陽性率は0.7%に下がる。このようにして検査と隔離を繰り返した場合は市中から感染者が減少していく。しかし現実は検査をする度に陽性率が上がっている。このことは検査数が市中感染の広がりに比べて少なすぎて市中感染が急速すぎて追いついていない。だから街には感染者が増えつつあることを意味しており、極めて危険な状況にある。検査数を10倍か100倍に増やし、感染者を隔離すれば市中の感染者はみるみる減ってくる。

日経新聞社のNEEDS日本経済モデルによれば、緊急事態宣言によって日本のGDPは約40兆円失われた。第1次、第2次補正予算で景気を立て直そうとしても全く足りなくて、このままでは3年後の2023年になっても緊急事態宣言の前の経済に戻れない。例えば全国民に毎月10万円を給付したとしよう。そうすると2021年9月頃GDPは600兆円を超え、2023年2月頃700兆円を超える。この程度の成長をしないと韓国などにも完全に抜かれてしまう。国債を発行しながら現金を給付すると激しいインフレになるのではないかという反論があるだろうが、実際計算してみると2020年の初めの頃の物価指数を102としたとき、2023年初めの物価指数は104.6だから随分緩やかな上昇だ。20年前の2000年から現金給付を始めたとして、日経NEEDSで調べたが、今回の計算と非常によく似た結果が得られている。

3年間、全国民は360万円受け取っている。もちろん景気拡大に伴い賃金も株も上昇しているから国民にとっては二重の喜びだ。大規模に国債を発行して財政を拡大しても問題無いと理解されれば政府は、徹底したコロナ対策が可能となる。第2次の緊急事態宣言を出し、感染リスクのある店には休業要請を出し、休業補償出すか休業で暇な人達を臨時公務員にして全国に大規模なコロナ対策本部をつくる。大量のPCR検査を行い、感染者をホテルなどで隔離する。感染者が多数いる地域ではその地域全体ですべての住民のPCR検査をする。それができればクラスターをたどる必要もほとんどなくなる。これを短期間で実行すれば、武漢を同様、それ以後新規感染者はほぼ出なくなる。その後で産業を活性化させるための様々な政策が可能となる。もちろん、海外から入ってくる人達には厳しくチェックしコロナが二度と入って来ることができないようにしなければならない。

このように積極財政なら、コロナを封じ込め経済を発展することができると結論される。

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2020年7月21日 (火)

安倍首相、なぜコロナ感染拡大を止めないのですか(No.422)

通常国会閉会後、緊急事態宣言解除後、コロナ感染者が急増し、今月17日には東京では過去最多の293人に上った。5月中旬には新規感染者が2名まで下がっていた。緊急事態宣言が再び出すべきだと考える国民が増えているが、首相は記者会見に加え、週1回のペースで開かれている国会の委員会の閉会中審査にも出席していない。首相のコロナ対策は失敗続きだ。3月2日に全国の学校を一斉休校させたが、子ども達の学習の機会を奪ったが、コロナの感染防止にはほとんど役立たなかった。多額の税金を使ってアベノマスクを配ったが誰も使っていない。5月25日に緊急事態宣言を前面解除したが、これは拙速で、その後感染者が急増している。感染者数も死者数もアジアでは最悪レベルになっており、多くの国民は緊急事態宣言、またはそれに相当する対策を希望しており、ステイホームを再度求めるべきだが、政府は逆に感染を更に広げるGoToキャンペーンをし、説明を拒否する首相は逃げ回っている印象を受ける。

国民の健康や生命より、経済を回す事を優先しているのだろうが、コロナを封じ込めなければ経済は回らない。そもそも街中にコロナ感染者がウヨウヨしている状態では怖くて商売にならない。この失敗例はスウェーデンである。規制せず、感染し放題にしておけばそのうち集団免疫ができて感染は収まると考えた。しかし死者数が近隣諸国を大幅に上回わり経済も低迷した。免疫持続は数ヶ月どまりだから集団免疫は不可能である。経済成長率マナス2.5%、失業率9%だから経済状況も悪い。封じ込めに失敗した日本も2020年度の実質GDP成長率はマイナス5.44%(民間予測)である。

プラス成長が見込まれるのはコロナの封じ込めに成功した国だ。成長率だが台湾はプラス1.67%、ベトナムは2.8%である。中国も2020年4~6月期の実質GDPは前年同期比でプラス3.2%であり予想を大きく上回った。これらの成長率は日本にとって夢の又夢であり、今後何年間も実現しそうもない。

若者は重症化率も死亡率も低いのだから、感染しても構わないとの主張もあるかもしれない。しかし感染者で溢れる街に年配の人は出かけられない、レストランにも劇場にも旅行にも行けない。しかも自分の子どもにも会えない。また病院は感染者で溢れ近づけないし、お陰で病院の経営は成り立たず、まともな治療もできない。短期間なら我慢できるかもしれないが、集団免疫で抑える可能性は少なく、ワクチンもいつ出来るか分からないとなれば、こんな地獄のような状態を半永久的に続けることになるとすれば悲劇だ。そうだとすれば、中国、ベトナム、台湾のように徹底した検査と隔離で完璧に感染者を隔離し、街を誰でも感染の心配せずに歩けるようにしたほうがよいのではないか。そのような夢の世界はPCR検査が1日100万件できるようにすれば実現可能だ。経費対効果は抜群に高く、しかも政府がカネを使えば景気対策になる。

前回の緊急事態宣言で政府はお金を使い果たしたからもう二度とできないなどと考えてはいけない。家計や企業であれば、果てしなく支出を増やすといつかは破綻する。国の財政は通貨を発行できるのだから、激しいインフレにならない限り歳出はいくらでも拡大できる。だから国民の健康・命を守るために、必要なだけ遠慮せず使うと良いしそれが現時点では最良の景気対策だ。日経新聞社のモデルを使って計算したところ今はデフレ経済なので100兆円程度であれば使っても問題ない。激しいインフレを恐れ非科学的な先入観で緊縮財政を行い国民の健康・命をおろそかにすべきではない。

 

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2020年7月19日 (日)

現金給付を行った場合(No.421)

以下の資料は次のサイトの追加データである。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-9b9dee.html

一人当たりの個人貯蓄残高の推移を示す。
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配布された現金がすべて貯金に回ったとしても、こんなに増えない。そもそも貯金残高は以下の式で計算されている。

130.24567+1.04196*【資産残高・預金・家計((時価)
       +資産残高・株式・家計(時価)】/就業者数*10

これは1990年~2017年の間であればこの貯蓄残高は非常に良く近似されるという。
しかしながらここで考えている状況は過去のものとは類似しているかどうか分からない。株は上がるが成長への期待から上がるだろう。過去は株をたくさん持っていれば預金も多く持っていただろう。今考えているモデルにどれだけこれがあてはまるか、検討の余地がある。

 

コロナ禍が無かったとし、現金給付を行ったらどうなっていたかを計算してみた。

コロナ禍が無かったとして、年間120万円を給付する場合は名目GDPは約120兆円増大する。

これは年間約60兆円の増加である。上記サイト(No.411)では、コロナ禍によって影響を受けた場合、年間120万円の給付を行った場合、増加するGDPは約80兆円であり、年間の増加率は約40兆円となる。

 

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コロナ禍が無かった場合年間120万円の給付を行っていたら、2年間で約2.5ポイント物価は上昇していた。これは年間約1.2ポイントの増加である。コロナ禍があった場合、上述で示されたように2年間の物価上昇はゼロである。つまりコロナ禍で一旦デフレになり120万円の給付で2年後にやっと物価が元の水準に戻る。

 

 

下記の図は

①一般政府債務(SNAバース)

②国債及び借入金現在高(IMFベース)

の2種類をグラフにした。

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GDPギャップ

1_20200719184401

潜在GDP

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物価

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感応度

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2020年7月13日 (月)

緊急事態宣言より感染拡大を放置するほうが怖い (No.420) 。

新型コロナウイルスの感染拡大を止めるために政府は4月16日緊急事態宣言を全都道府県に拡大した。その結果東京の新規感染者は一時200名を超えていたが、5月22日は3人、23日は2人と、非常に少なくなってきた。国民の自粛の成果だと思うが、この減少が緊急事態宣言とは関係無いという説が一部の専門家から出され、政府は5月25日緊急事態宣言を解除した。しかし宣言が解除されれば、当然のごとく感染は拡大し7月9日、10日、11日、12日、感染者は200人を超え10日は今まで手最大となった。感染症は放置すれば感染者はねずみ算的に増えていき、やがて武漢やニューヨークで見られたように医療崩壊が起き、多数の人が死ぬ。山中伸弥教授は対策をしなければ10万人以上の死者の可能性もあると警告する。感染拡大を止めて欲しいというのは多くの国民の願いだ。7月11日の中居正広のニュースな会(テレビ朝日)の視聴者アンケートで、今緊急事態宣言を出す必要があるかという問いに対し、出すべきだと答えたのが82.3%、出さない方が良いと答えたのが13.7%だった。つまり圧倒的多数の国民は再度緊急事態宣言を出してコロナを止めるべきだと考えている。

一方で西村経済再生担当大臣:「もう誰も、ああいう緊急事態宣言とかやりたくないですよ。休業も皆で休業をやりたくないでしょ。」と述べた。もう休業要請をするための予算がないという。民間のシンクタンクによれば2020年度の実質GDPはマイナス5.44%になるそう。どうしてこのように大きな落ち込みになったかと言えば景気対策としての第一次と第二次の補正予算の規模が小さすぎたからだ。政府支出は第一次が25兆円で第二次が31.9兆円で合計56.9兆円だった。どこにそんな財源があったのかと言えば、通貨発行権を行使して財源を確保した。つまり政府が国債を発行し日銀が買うという方法だ。56.9兆円が限界というわけではなく、もっと通貨発行できるし発行すべきだ。日経NEEDS日本経済モデルを使って計算してみると、毎月10万円を全国民に1年間配り続けても、実質GDPをプラスにするにはまだ力不足だ。つまり西村大臣は「もう予算がない」と言うが、これは間違いであり、第一、第二次補正予算と同じ方法で第三次補正予算を組めば良く今度は100兆円規模にすべきだ。そうすれば実質GDPの落ち込みをある程度防ぐことができる。これだけの財源があれば、再度緊急事態宣言を出し前回と同様の休業要請が出せるし、休業補償も払える。今はGoToキャンペーンは中止すべきだ。こんなに新規感染者が増えている時に気持ちよく旅行などできない。地方にいる高齢の親に会っても、感染させてしまって、それが原因で死に到らせてはいけないと考えれば、実家に行くのも躊躇するだろう。

7月12日フジテレビの日曜報道ザ・プライムでのアンケート:感染拡大、あなたは外出頻度を減らすかという問いに減らすが83%、減らさないが17%だった。つまり感染が拡大するだけで経済には深刻な影響が出る。つまり感染を抑えることが最大の景気対策だ。重症で入院している人が少ないから大丈夫と政府は言うが、軽症者が増えるとその後で重症者が増える。重症者が増えて、赤字経営の病院はコロナが怖く残業代もボーナスも出ず、看護師が次々辞めていく。これこそが医療崩壊だ。PCR検査を増やしているとは言うが、東京都でまだ1日僅か3000件しかできていないのは恥ずかしくないか。武漢では990万人に検査したし、北京市では、市内の食品卸売市場「新発地市場」で感染者が確認された6月11日以降、検査の規模を拡大し、1日あたり100万を超えるサンプルを処理している。ニューヨーク州は7月1日に配信したメールマガジンで、「すべてのニューヨーク州民は州内に存在する750ヵ所程度の検査センターで、無料で検査を受けることができる」とアナウンスしている。今や後進国となった日本は「先進国に追いつけ、追い越せ」というかつての奇跡の経済復興を成し遂げた先人達のキャッチを思い出して欲しい。

 

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2020年7月 6日 (月)

新規感染者激増を放置してよいのか(No.419)

新型コロナの感染者が再び増え始めた。3月頃から感染者が増えてきて、このままではニューヨークのように感染爆発が起き医療崩壊が起きると危機感を持った政府は4月16日全国に緊急事態宣言を出し人との接触を8割削減の要請と、接待を伴う飲食業などの休業要請を出した。その後急激に新規感染者数は減少していった。これは緊急事態宣言が効果あったと見るのが自然なのだが、実は新規感染者が減ったのは緊急事態宣言とは関係無いという説を唱えるダメな学者(政府の宣伝工作だったのか)が現れ、そのことがマスコミで何度も報じられた。それならと言って政府は5月25日には早くも緊急事態宣言を解除した。ダメな学者の言う通りであれば、それ以後新規感染者は増えなかったはずだ。しかしそんなわけはなく解除後新規感染者数はどんどん増えてきた。PCR検査数を増やしたためだと言う人もいるが言い訳にはならない。

ここで政府にとっての選択肢は次の3つのうちの一つだ。
①再度緊急事態宣言を出す。
②放置する
③大規模な検査をして感染者を隔離する
西村康稔経済再生担当相は2日の記者会見で「もう誰も緊急事態宣言はやりたくない」と語った。ということは事実上②を選択することであり、いくら感染者が増えても放置するということだ。これはスウェーデン方式であり、大変多くの感染者と死者を出し、周りの国々から交流を拒否されている。多数の感染者が街に出ていることを知れば、誰も夜の街で遊ぼうとしないし、飲食店ですら敬遠するし、乗り物に乗って旅行に行く気もしなくなる。政府はGOGOキャンペーンで旅行に行くように勧めるが、命の危険があっても行けといわれても行く気にならない。つまり経済へのダメージはこのケースが最悪だ。

次善の手は①再度緊急事態宣言を出すことだ。1回目の緊急事態宣言で日本は30~40兆円の損害を被った。それをまたやるのか。そして感染者が一時的に減り、その後解除したらまた感染が広がる。馬鹿馬鹿しいと思わないか。新型コロナを封じ込めた韓国、中国、台湾、ベトナムなどを見倣うべきだ。要するに大規模なPCR検査を行い、感染者をすべて隔離すれば、自粛も休業もいらない。安心して夜の街で楽しむことができる。これが最も安上がりでしかも経済の回復が早い③の場合だ。そんなものできないと決めつける人がいる。武漢では990万人にPCR検査を行い300人に陽性反応がでた。陽性の割合は0.003%だった。陽性の人はすべて無症状感染者だった。費用は僅か約137億円。1日100万人分の検査ができるという。PCR検査は誤差が大きく、非感染者を陽性と判定してしまうことがあると言われているがこの結果より誤判定の確率は0.003%以下だ。

日本でも同様な検査ができないわけがない。唾液で検査できるので検体の採集の際の危険はほとんどない。感染者が少ない地区では10人ずつまとめて検体を検査し、陽性になったグループのみ更に詳しく調べればよい。新型コロナを封印できれば、来年のオリンピック開催の可能性が開けてくる。PCR検査が今後の日本の運命を決める。

PCR検査を誰でも無料で受けられるようにせよと政府に要求するサイトは以下をご覧下さい。
http://chng.it/S9Y8TNFj

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