緊縮財政では、コロナ封じ込めに失敗し、大不況を招く(N0.423)
今、積極財政と緊縮財政とでは天国と地獄だ。7月21日東大の児玉教授は今の勢いでいったら来月は目を覆うようなことになると述べた。要するにPCR検査を大規模に行って感染者を隔離すれば、コロナは封じ込めることができる。日本でやっているのは旧式の手作業での検査であるが、一方世界ではロシュがもたらした大量検査手法だ。1日当たりの検査数は米国は50万件、中国は378万件、日本は3.2万件だ。日本が意図的に検査数を少なくするのは、陽性者を多数発見すると病院が受け入れきれず、医療崩壊を起こすからだという。しかし軽症者はホテルなどの宿泊施設に収容すればよい。東京都は当初、ホテル5棟(1200人分)借り上げていたのに利用者が少ないとして大部分を解約し今は100分を確保しているだけだ。緊縮財政が災いしているのだが第2波が来ることを考えればもっとずっと余裕をもってホテルは確保すべきだ。
都や政府は最近の感染者増は検査を多くしたからだという。この説明に騙されてはいけない。例えば100万人の都市に1万人の感染者(つまり1%の陽性率)がいて検査によって3000人の感染者を発見し隔離したとしよう。そうすれば感染者の割合は0.7%に下がる。無作為抽出法で検査すれば陽性率は0.7%に下がる。このようにして検査と隔離を繰り返した場合は市中から感染者が減少していく。しかし現実は検査をする度に陽性率が上がっている。このことは検査数が市中感染の広がりに比べて少なすぎて市中感染が急速すぎて追いついていない。だから街には感染者が増えつつあることを意味しており、極めて危険な状況にある。検査数を10倍か100倍に増やし、感染者を隔離すれば市中の感染者はみるみる減ってくる。
日経新聞社のNEEDS日本経済モデルによれば、緊急事態宣言によって日本のGDPは約40兆円失われた。第1次、第2次補正予算で景気を立て直そうとしても全く足りなくて、このままでは3年後の2023年になっても緊急事態宣言の前の経済に戻れない。例えば全国民に毎月10万円を給付したとしよう。そうすると2021年9月頃GDPは600兆円を超え、2023年2月頃700兆円を超える。この程度の成長をしないと韓国などにも完全に抜かれてしまう。国債を発行しながら現金を給付すると激しいインフレになるのではないかという反論があるだろうが、実際計算してみると2020年の初めの頃の物価指数を102としたとき、2023年初めの物価指数は104.6だから随分緩やかな上昇だ。20年前の2000年から現金給付を始めたとして、日経NEEDSで調べたが、今回の計算と非常によく似た結果が得られている。
3年間、全国民は360万円受け取っている。もちろん景気拡大に伴い賃金も株も上昇しているから国民にとっては二重の喜びだ。大規模に国債を発行して財政を拡大しても問題無いと理解されれば政府は、徹底したコロナ対策が可能となる。第2次の緊急事態宣言を出し、感染リスクのある店には休業要請を出し、休業補償出すか休業で暇な人達を臨時公務員にして全国に大規模なコロナ対策本部をつくる。大量のPCR検査を行い、感染者をホテルなどで隔離する。感染者が多数いる地域ではその地域全体ですべての住民のPCR検査をする。それができればクラスターをたどる必要もほとんどなくなる。これを短期間で実行すれば、武漢を同様、それ以後新規感染者はほぼ出なくなる。その後で産業を活性化させるための様々な政策が可能となる。もちろん、海外から入ってくる人達には厳しくチェックしコロナが二度と入って来ることができないようにしなければならない。
このように積極財政なら、コロナを封じ込め経済を発展することができると結論される。