もし政府が全国民に毎月10万円を給付することにしたら(No.427)
これは仮定の話だが、もし政府が全国民に毎月10万円給付することにしたら何が起きるだろう。自分の年収が120万円も増えるのだから大喜びの人は多いだろう。生活苦で自殺を考えていた人も救われる。生活に困っていなかった人も、旅行するかもしれないし、それまで買いたかったものを買うかもしれない。親子5人暮らしの家庭では毎月50万円の収入増だからインパクトは非常に大きい。しかしそんなうまい話はあるわけがないと思う人がいるかもしれない。ハイパーインフレになると言ったり、国債や円の暴落があるといったりする人もいるだろう。
先日特別定額給付金として10万円が国民全員に給付された。これで何か悪いことが起きたという話は聞いていないし、むしろ多くの国民を救ったのは明かだ。管総理は10万円の再給付を考えているとの報道がある。では全国民に対し毎月10万円の給付を続けたら何が起きるのだろうか。この事に関しては日経新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って試算を行った。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-9b9dee.html
2~3年間10万円給付をした場合を計算してみたが、ハイパーインフレも国債や円の暴落もなく、経済が穏やかに拡大することが示された。景気回復で給料も上がる。これは夢のような世界であるが、完璧に実現可能である。
もしこのような現金給付がなかったなら、3年間程度は経済が低迷し、居酒屋、飲食店、カラオケ店、キャバクラ、クラブ、イベントを主催する会社、旅行業者、アパレル関連業など、廃業・倒産が相次ぐ。それより月10万円現金給付の方がずっとよいと思わないか。そんなお金を政府は持っていないだろうと思っている人がいるのだろうか。国は自国の通貨をいくらでも発行する権利を持っているので、月10万円給付を続けることが可能だ。実際は政府が国債を発行し金融機関が買い、その後その国債を日銀がお金を刷って金融機関から買う。外国からクレームがあるのではないかと心配する人がいるのかもしれないが、これは日本国の固有の権利でありどの国も犯すことができない。そんなうまい話があるならどの国もお金をどんどん刷って国民に配れば国は豊かになると考えるかもしれない。今の時期、コロナで経済が落ち込んでいる国は多いのである程度成功する可能性がある。しかし経常赤字が続いていて外国からの借金が膨らんでいる国は、消費が拡大すると外国からの借金が返せなくなるのでは無いかと多くの人が考えるようになり、その国の通貨を急いで手放そうとする人が増え、その国に投資されている海外資金がその国から逃げ出し、外国からの借金返済不能になり通貨危機になる可能性がある。
幸いにして日本は外国から借金をしているどころか、多額のカネを外国に貸しているので、そうなる可能性が最も低い国である。つまり29年連続で対外純資産世界一なのだ。世界一お金を貯め使わない国民だと言っても自慢にはならないから、そろそろみんなで使いましょうよというのが今回の毎月10万円給付構想であり日本だからこそできるのだ。国民がこれを使えば消費が伸び、企業は大喜びで生産を増やし新しい時代に向けての投資ができ、世界的な競争力も増してくる。20年以上没落が続く日本企業が復活の兆しが見えてくる。我々の次世代の活躍出来る社会を築くためには、今消費を伸ばすことが必須条件となる。お金の一部は株式にも流れ、株価を上昇させそれが企業の投資意欲に拍車を掛ける。今の状況を放置すれば、韓国は間もなく日本より豊かな国になる。日本人のプライドを大切にするのであれば、思い切って毎月10万円給付を実行し、せめて韓国並みあるいはそれ以上の経済成長率に戻すべきである。