安倍首相辞任、気持ちはよく理解できる(No.424)
8月28日、安倍首相が辞任する意向を表明した。筆者は1か月以上前から安倍さんが突然辞任を言い出す可能性があるという話をしていた。それは第1次安倍内閣が終わる前夜に似てきたからである。安倍氏はやろうと思っていたことが、ことごとく行き詰まり、八方ふさがりで打開の方法を彼は見出せなかったのだろう。本当は打開の方法はあるし、今からでも遅くは無い。
安倍氏の最大の失敗は黒田東彦氏を日銀総裁に任命したことだ。黒田氏の考えは金融緩和をし、財政支出は削減し増税をして経済発展と財政健全化の両方が実現すると考えた事である。マクロモデルを使ってシミュレーションをすれば分かるのだが、日銀が国債を大量に買うことは重要なのだが、それと並行して財政支出拡大や減税を行わないと景気回復は無理である。「輪転機をぐるぐる回して日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう。そしてそのお金で公共投資などを行う」というのが、第2次安倍政権の前に安倍氏が主張していたことである。この考えに賛成する人を日銀総裁に任命すべきだった。黒田氏は安倍氏に対し緊縮財政と増税を強要した。その結果アベノミクスは大きな成果の無いまま終わることとなった。
発足時 現在
実質GDP 498兆円(10~12月期) 485兆円(4~6月期)
実質賃金指数 104.5 99.9
完全失業率 4.3% 2.8%
国・地方の長期債務残高 932兆円 1182兆円
日経平均株価 1万0080円 2万2882円
状況を決定的に悪くしたのはコロナ禍だ。安倍氏は感染症に適切に対応する方法を理解していなかったし、正しい対処法をアドバイスしてくれる専門家を選ぶことも出来なかった。世界でコロナの封じ込めに最も成功しているとされている台湾では感染対策を率いる行政のトップに陳時中・衛生福利部部長が起用された。陳部長はSARSのときも防疫の最前線で指揮を執っていた。こういった専門家を育て、コロナ封じ込めの責任者にすべきだった。
4月7日に緊急事態宣言が出され、休業要請が出され、失業者が出ないよう雇用調整助成金や国民全員に現金10万円の給付など様々な対策がなされた。それが一定の効果があり、新規感染者は大幅に減り、5月25日には緊急事態宣言が解除された。しかしその後新規感染者は大幅に増え4月、5月のレベルを大きく超えた。通常なら再度休業要請でコロナを抑えようとするだろうが、安倍氏は万事休すと考えたのではないか。4月の緊急事態宣言では巨費が投じられたのに、効果は一時的だったがGDPの落ち込みは戦後最悪だった。再度やっても効果は一時的だろう。多くの国民は再度緊急事態宣言を出すことを望んでいるし、国会を開いて首相の説明を聞きたいと思っている。安倍氏は、どうすればよいか分からず、自分はもう無理だと考えていてもうすぐ首相辞任するのではないかと筆者は思っていた。
しかしこの問題は安倍氏が考えるほど解決が難しいものではない。再度緊急事態宣言を出し、特にクラスターを発生させる可能性のある所に休業要請を出し休業補償も出す。徹底してPCR検査を行い感染者を隔離すれば市中から感染者はほぼ消える。そこで巨額の財政出動をすれば、経済を立ち直させることはできたし、発展させることもできたのである。
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