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2020年11月13日 (金)

法人税減税の経済効果を日経のモデルで調べた(No.432)

法人税を上げて消費税を下げるという提案がされることがある。その方が庶民にはメリットがあると思われているのかもしれない。しかし筆者の計算ではコロナ禍による大きな経済の落ち込みから立ち直るには消費税率を0%にしてもまだ足りない。そうであれば、消費税と法人税を同時に下げる可能性も考えるべきだが、ここでは法人税減税を単独で行った場合どの程度景気押し上げ効果があるのかを考える。法人税を下げることは単に景気押し上げ効果があるだけでなく、外国資本を日本に呼び込む助けになる。もちろんやり過ぎるとタックス・ヘイブンとして外国企業に税逃れのために利用され国際的な非難を浴びる可能性がある。ここでは法人税率の減税幅を0%、5%、10%、15%の4通りを計算する。減税は2020年Q4から行うとする。まず名目GDPから示す。法人税減税による押し上げ効果は小さい。名目GDPは2020Q1では547兆円であるのに対し、減税無しだと2023Q1には546兆円なのでまだ戻っていない。15%減税の場合は2023Q1には553兆円となりなんとか2020Q1のレベルと超えるのだが、僅か6兆円超えるだけだから景気対策としては不十分である。2002年にも法人税減税の計算を試みたが、当時は法人税減税の景気の押し上げ効果は遥かに大きかった。
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このように法人税減税によるGDP押し上げ効果はかなり小さくインフレ率の押し上げも限定的であるから、次の図で示すように実質GDPも似たようなものになる。
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民間最終消費はほとんど増えない。増加幅は消費減税の場合よりはるかに小さい。

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それに比べれば住宅投資の伸びは大きい。

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法人税減税で株価は上昇する。
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法人税減税で若干の消費の伸びや住宅投資の伸びがあり、それにより企業の経常利益を押し上げる。
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下図のように消費者物価への影響はごく僅かであることが分かる。
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下図のように失業率の押し上げ効果も小さい。
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