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2020年12月

2020年12月27日 (日)

日経NEEDS日本経済モデルの予測で2020年を振り返る(No.434)

日経NEEDSは日本を代表する日本経済予測プログラムである。内閣府も日本経済のモデルを持っているが、日経NEEDSのほうが、ケタ違いに精度が高い予測ができる。ただし一般的にどの経済モデルでも「予言」はできない。当たり前だがコロナ禍は事前に予言できなかった。

今年になって突然、コロナ禍に襲われ、緊急事態宣言が出され人との接触を8割削減せよと言われ、経済活動は大きく制限され、名目GDPの予測は4月、8月と大きく落ち込んでいった。つまり1月の予測は555兆円あたりから徐々に名目GDPは上昇を続けるというものだった。しかし4月には2020Q2(4月~6月)には526兆円に落ち込むとし、更に8月には507兆円にまで落ち込むとNEEDSは予測した。この落ち込みは非常に深刻で、その後ジワジワ回復するとしているが、2023年Q1(1月~3月)になっても2年前の水準に戻らないと予測した。

 

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これに対して景気対策が次々実行された。
第1次補正予算
 事業規模 117.1兆円 真水 30兆円弱
第2次補正予算
 事業規模 117.1兆円 真水 33兆円
第3次補正予算
 事業規模 73.6兆円 真水 32.3兆円

これらのお陰で名目GDPは押し上げられ12月の予測では2022年Q2には2020Q1のレベルに戻ると予測した。このように景気対策は確実にGDPを押し上げ、国民を豊かにする。

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このように予測がどんどん変化するようでは、予測はその時点での予測にすぎないので将来どうなるか分からないのであれば意味がないと思うかもしれない。しかし天気予報と違い、政府が政策変更をすれば経済が著しく改善することが予測可能である。その改善幅に関しては突発的に何が起きようと大きな影響を受けない。

もちろん、これらの景気対策に加え追加の対策がなされるなら、更にGDPは押し上げられる。現金給付を繰り返し行うなら次のような結果が予測される。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-2f386d.html

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公共投資を増加させた場合は次の図のようになる。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-2ef90f.html

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消費税減税で景気刺激を行った場合は次のようになる。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-350bb1.html

 

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経済状態が変われば予測は影響を受ける可能性がある。例えばワクチンがどれだけコロナを収束させることができ、それにより経済活動を活性化させるかにより変わってくる。重要なのは、現金給付や公共投資や消費税減税がどれだけGDPを押し上げるのかが、NEEDSによって求めることができるということである。

これまでは緊縮財政派の反対が強く積極財政への転換はできなかった。ハイパーインフレや国債暴落、金利暴騰などを心配していたのだが、今年は何度も大規模な景気対策を行っているが、そのようなことは起こらなかった。そろそろそういった心配はいらないことを理解してもらえたのではないか。今こそ本格的な積極財政への転換を期待したいものだ。

国の借金を増やしてはいけないと繰り返し言われてきた。次の世代で返さなければならないのだと。しかし忘れてはならないのは、国の借金は返さなくても次の世代では更に増やす事ができるのだし、永遠に増やし続けて全く問題ない。これは事実上通貨発行なのであり、独自通貨を持っているすべての国で言えることだ。ただし借金と言っても外国から借り入れているお金はきっちり返さなければならない。日本の場合、借金は円建てなので、日銀が刷ったお金で返せるので全く問題なしだ。世界中で「国の借金」を増やしており、増やしても大丈夫だという常識が広まりつつある。

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国の借金を返そうと、基礎的財政収支の黒字化が目標とされていた。返さなくてもいいと理解されれば、基礎的財政収支の黒字化目標は撤回されなければならない。

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上図のように2020年度の基礎的財政収支は著しい赤字となった。もうこのような馬鹿な目標は撤回して欲しい。

 

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