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2021年10月 4日 (月)

岸田内閣には早期にデフレ脱却を実現して欲しい(No.449)

10月4日には岸田氏が総理大臣に任命され岸田内閣が発足する予定である。日本は二十数年間もデフレ不況が続き、米国に続き世界で最も経済的に発展した国であった。しかしデフレ不況を放置したため、実質所得は下がり続け、日本は経済的に没落してしまった。なぜそれを放置したかといえば、国の借金が将来世代へのツケになるという迷信を信じてしまったからである。国は通貨発行権を持っていて、江戸時代や明治の初期まで通貨発行益を歳入に組み入れていた。現代でも通貨発行益を歳入に組み入れることは可能だ。たとえばシンガポールなどは政府貨幣を発行して財政運営をしており、国は外貨不足になる場合を除き外国から借金をする必要はない。ちなみに日本は対外純資産が世界一だから借金どころか巨額の債券を持っている。

しかし経常黒字が長年続いているから、日本は金持ちの国と結論するのは問題がある。例えば米国は財政赤字においては世界最悪かもしれないが、必ずしも世界最貧国ということではない。お金は経済の目的ではなく、経済を発展させる手段にすぎないからだ。どの国も自国通貨をいくらでも発行できる。米国は基軸通貨であるドルを発行して世界中の資産、サービスを買いまくることが出来る。それにより経常赤字になっても、それが将来世代へのツケだと思う人はいないだろう。ドルという紙切れを渡され、日本の貴重な資産を売れば経常黒字になるが、日本に残されるのはドルという紙切れだけだがそれでよいのか。世界中のだれもがドルを欲しがる。もし米国が経常赤字を経常黒字に変えたとしたら、ドルが米国に吸い上げられてしまい。世界の貿易に深刻な影響を及ぼす。これは1929年から始まる世界大恐慌は米国が十分な経常赤字を出さなかったことが原因である。つまり米国は経常赤字で世界にドルを供給し続ける必要がある。

同様なことは日本の財政赤字についても言える。過去二十数年間日本政府は財政均衡を重視しすぎ、経済を発展させるのに最適な財政赤字の額がどれだけかを科学的に検討しなかったのが、これ程長期に不況が続いている原因である。その目的の科学的分析は以下を参照して頂きたい。
井上智洋・小野盛司『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』扶桑社(2021)
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-a5b8c7.html
これまで繰り返し言われてきたことは、財政を拡大すると激しいインフレになり国債も円も暴落するということだ。しかし日経新聞社の計量モデルで試算すると、通常考えられている規模の財政出動では、インフレ率の上昇も金利上昇も僅かであることが示される。政治家もエコノミストもこの事実を重く受け止めるべきである。反論があるなら、日経のモデルよりも優れているモデルで、上記の試算を否定する結果を示すべきである。しかし日経モデルでこのような結果を得て発表したのは2003年の事であり、それ以降誰一人このモデルが正しくないと言った人はいない。つまりこのモデルの正しさは疑いが無いことが証明されたのである。日経はNEEDS日本経済モデルを使って50年近く稼いでいるのである。正しい結果が出ないモデルなら高い利用料を払ってこんなに長い間使われ続けるわけがない。

岸田氏は国債を財源にして数十兆円規模の経済対策を年末までに取りまとめる予定だという。市場での競争を重視する新自由主義からの転換を掲げている。麻生財務相も在任8年9か月の後退任することとなった。麻生氏こそが財政拡大を阻んでいたのではないか。二十数年間デフレ不況が続き更にコロナ禍で経済は疲弊した。岸田内閣では、積極財政政策でこの不況から完全に脱却し、かつてのような成長軌道に乗せて欲しい。

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