「財務省設置法」の健全財政義務付けをほぼすべての政党が違反(No.453)
財務省設置法第一章第三条は、財務省が健全な財政の確保を行うことを任務とすると規定している。この財政の健全化に対して、ほぼすべての政党が違反しており、このような法律は改正すべきではないか。
自民党の岸田・新総裁は総裁選挙のあとNHKの単独インタビューに応じ、新型コロナウイルスを乗り越えて経済に活力を取り戻したいと強調し、年内に数十兆円規模の経済対策をまとめる考えを重ねて示した。これは財務省設置法に違反している。公明党の山口代表が「18歳以下に10万円相当給付」を主張しており、それ以外にも様々な政策が述べられていて、明かに財務省設置法に違反している。
令和新撰組はプライマリーバランスは破棄と述べ、国民民主党は積極財政政策を主張、全国民への給付金の再支給にも言及しているので明かに財務省設置法に違反している。立憲民主党と社民党はプライマリーバランスは当面棚上げを主張しているので、財務省設置法に違反している。
財務省設置法第三条によれば、財務省はどんな危機に際しても財政健全化を任務としている。これはほぼすべての政党の主張に反していて実情に反している。昨年はコロナ禍でパートの多くのパートの職が奪われ飲食店などの営業が厳しく制限され、経済的に極めて厳しい立場に立たされた。政府は財政健全化を無視し、大規模な財政出動で国民を助けた。全国民への10万円の給付も行われた。明らかな財務省設置法違反である。もしも違反せず、財政健全化を優先していたら、悲惨な結果となり、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法第25条に違反することになった。つまり、財務省設置法第一章第三条は憲法25条に違反しており、廃止すべきだ。この条文を廃止または改編するということは、反対する党はほとんどいないのではないか。衆議院議員選挙は終わってしまったが、この法律を選挙戦で議論してほしかった。
積極財政を行えば財政健全化に反してしまう、つまり財務省設置法違反ということになる。内閣府は毎年2回「中長期の経済財政に関する試算」を発表している。これには今後10年近くまでの予測をしている。この予測では財政黒字化は決してあり得ないし、基礎的財政収支という意味でも、黒字化はかなり先のことだ。しかし財政赤字、または基礎的財政収支の赤字が財務省設置法違反ということなら、非現実な法律だと言わざるを得ない。この試算では基礎的財政収支の赤字または財政赤字の場合でも国の債務の対GDP比は下がり続けている。債務のGDP比が下がれば財政健全化が達成されたことになるのであれば、そのように条文を書き直すべきだ。その場合でもコロナ禍のような非常事態であれば財政健全化を棚上げし、財務省設置法違反をせざるを得ないのだから、この条文は現実に即したように変えるべきだ。
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