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2022年5月

2022年5月28日 (土)

第158回日本経済復活の会の定例会(No.468)

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講師  ①阿蘇 伸生先生 株式会社トリウムテックソリューション取締役
    1981年 3月早稲田大学大学院理工学専攻科博士課程前期修了
    1995年 6月衆議院議員佐藤静雄の政策担当秘書に就任、その後計4名の国会議員の政策担当秘書を務める
    2019年 4月株式会社トリウムテックソリューションの取締役に就任し,現在に至る
    演題:「日本の真の自立と経済復活の切り札〜トリウム溶融塩炉」
    要旨:
    福島原発事故災害以降、日本は有効なエネルギー政策を取ることができず、今や電力供給逼迫のためいつブラックアウトが発生してもおかしくない状況にあります。
台湾有事や尖閣有事において、日本はシーレーンを確保できず、経済活動はおろか国民生活の維持さえままならない状況にあります。
トリウム溶融塩炉は、日本が抱えるエネルギー問題を解決するのみならず、日本のエネルギーの自立を実現します。また、トリウム溶融塩炉は、エネルギー不足に悩む世界各国の経済発展に貢献し、莫大な外貨を稼ぐ輸出品となりえます。
トリウム溶融塩炉が実現できれば、まさに、20年以上に及ぶ日本経済の長期低迷を一挙に解決し、日本は本当の意味で自立することができます。
冒頭で、以下の動画を見ていただき、後半で上記の趣旨を説明致します。
トリウム溶融塩炉とは
https://www.youtube.com/watch?v=jvxqwvHz4Ww
ホルムズ海峡封鎖に備えて日本が取るべき選択肢
https://www.youtube.com/watch?v=U5xllglbZmI

②小野 盛司 日本経済復活の会会長 
会の活動報告、『日本経済復活への道』
国債発行を財源とした景気刺激策①現金給付②消費減税③公共投資増額などが日本経済に与える影響については日経新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って計算したものを拙書『これでいける日本経済復活論』(2003)で発表した。ベーシックインカムの結果は国民にお金が行き渡るので、消費が増大し、経済は著しく改善しデフレからの脱却がすみやかに可能となり、景気がよくなるので給料も上がっていくはずだったが、政府はそれを行わなかった。その結果このモデルが予想したとおり、経済成長率は世界最低レベルで、2十数年間実質賃金が下がり続けているという悲惨な状況になっている。
我々は日経モデルで再計算を行い、前回と同様な結果を得て次の2冊の本にまとめた。
『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(2021)『ベーシックインカムで日本経済が蘇る』(2022)
積極財政を行えば日本経済は復活するという結論はこの20年間、変わっていない。政府がこの計算の意味を理解し、積極財政政策に舵を切れば日本経済は再び成長を始める。

○ 日時 2022年6月19日(日)午後3時~午後7時
         7時以降も有志の方々が議論を続ける可能性はあります。
○ Zoom ミーティングですので、次のサイトから入って下さい。
https://us02web.zoom.us/j/81335414575?pwd=UVY3SkVUcXd6YUZwbm1DMHA3Rkxtdz09
ミーティングID: 813 3541 4575
パスコード: 185594

○ 参加費 無料 
〇 当会合に関する問い合わせ先:小野(03-3823-5233)、須田(090-2170-3971)

 

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2022年5月23日 (月)

積極財政が日本国民を救う(No.467)

現状では消費者物価は上がるが賃金は上がらない。実質賃金の下落で国民は貧乏になる。
図のように実質賃金は30年近く下がり続けている。

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科学的に経済予測をする方法がある。それはマクロ計量経済モデルでありローレンス・クライン(ノーベル経済学賞受賞者)などが始めた。その一つの例が日経新聞社のNEEDS日本経済モデルである。1974年から予測を開始し予測を行い日経新聞に発表している。日経は日本最大の経済データを保有しており、それを駆使している。以下で示す計算結果に関する説明は次のサイトで詳しく述べられている。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-a5b8c7.html
以下のグラフは、①~③の経済対策の押し上げ効果または押し下げ効果のみを示したものである。

ここでは次の4種類の場合を計算する。
①現金給付
年間80万円(3ヶ月ごとに20万円)を国民全員に給付する。
②消費税減税
消費税率を0%に下げる。
③公共投資の増額
公共投資を年間20兆円増額する。
④現状維持
我々の計算を2人のノーベル経済学者Paul A. SamuelsonとLawrence R. Kleinが高く評価して下さった。

本試算では日本経済新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ80を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

最初に名目GDPを示す。前述のように①②③の政策を実行した場合、④の何もしなかった場合に比べどのような差が生まれるかを示す。開始は1年目Q1(第一四半期)で計算は3年目Q3(第3四半期)まで行われている。政策開始直後、最も経済の成長が大きいのは公共投資である。しかしGDP拡大の速さはだんだん頭打ちになる。それに比べ現金給付は立ち上がりは遅いがGDPはだんだん拡大のペースを速め、2年目Q2で公共投資を追い抜いている。消費減税では、最初GDPは下落する。これはすべての商品に消費税が上乗せされていたものが、無くなるので商品の値段は下落し、それに合わせてGDPも下落するのである。その後は消費拡大でGDPは上昇する。

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消費が拡大すると一般的には物価が上がるはずである。次に示すのは消費者物価指数である。どの経済対策でも物価の押し上げ効果は小さく、2%のインフレ目標のためには力不足である。特に消費減税の場合は消費税分が消滅するために物価は一時的に大きく下落する。

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経済対策を行えば地価はどの程度回復するのだろうか。1980年代の後半に生じた土地バブルが再び起きるのか。次の図は地価の推移である。結論から言うとかつてのような地価バブルは起きそうもない。それでも景気対策を行うとゆっくりと地価は上昇を始める。このような緩やかな地価上昇はデフレ脱却ができない日本経済に好ましい影響を与える。

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可処分所得とはすべての所得から、支払いが義務付けられている税金や社会保険料を除いた残りの所得で、自由に使える手取り収入のことである。景気対策を行えば可処分所得が増えて消費が伸びる。特に現金給付の場合は可処分所得の増加が著しい。ただし消費減税の場合、消費税分だけ物価が下がっているので実質的にはここで示されたものより可処分所得は増えている。

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次は一人当たりの雇用者報酬だが対策を行えば徐々に増加する。結局政府が景気対策としてお金を使っても企業の利益は増すが、必ずしもそれが国民の手に渡るとは限らないということだ。ただし、消費減税であれば物価の下落という形で国民は利益を得るし、現金給付であれば直接現金が国民の手元に渡る。国の繁栄させる最大の目的は国民を幸福にすることであり、その意味では現金給付が最も優れた政策と言える。

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物価の影響を取り除いたものが実質家計最終消費支出である。消費税減税の場合が押し上げられていることが分かる。

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次に示すのは、マネーストックである。これは一般法人、個人、地方自治体などが保有する通貨量の残高の合計である。当然のことながら景気対策でマネーストックは増えるが今回の対策では現金給付が最も大きく増加する。

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景気対策をすると株価は上がる。現金給付の場合が最も上昇する。ただし株価の予想など非常に難しく、どのような方法でも正確に株価を予想するのは不可能である。

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企業所得とは 企業者が経営活動によって得る利益。総収入から生産費や他人資本の利子などを控除した残り。
次の図で民間法人企業所得を示す。季節的な変動が大きいが景気対策により企業は所得を伸ばすことが分かる。現金給付が最も大きく所得を押し上げる。

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次の図は就業者数の予測である。景気対策が無ければ就業者数は低迷したままだが、景気対策があれば就業者数は増加する。

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2022年5月18日 (水)

PB黒字化目標の欺瞞

 

 

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2022年5月 9日 (月)

日本の国際貢献と日本の発展について(No.466)

ウクライナは「感謝動画」を公開したが、その中で支援31カ国に日本の名前は無かった。折角、3億ドルの支援を行ったのにそれは考慮されなかった。ウクライナが最も欲しがっていたのは武器であり、日本は武器を送らなかったのが印象に残らなかったのだろう。その後新しい動画が流され、そこには日本の名前があり日本語で「ありがとうございました」と述べてあった。湾岸戦争の際、イラクから解放されたクウェート政府が米国の主要な新聞に感謝広告を掲載したが、「クウェート解放のために努力してくれた国々」の中に日本の名前がなかった。日本は総額1兆5500億円もの資金を多国籍軍に提供していた。

日本には平和憲法があり、軍需産業は育てず、武器の輸出もしない。かつて日本社会党は非武装・中立を唱えていた。しかしそんなことしたら、ロシアが日本を簡単に占領してしまう。占領された国はどれだけ悲惨な状態になるか、ウクライナにおけるロシア軍の虐殺行為を見れば明らかだろう。やはり日本も諸外国並に軍需産業を育て、平和維持軍に兵を送るようにしないと、逆に日本が襲われたとき、防衛を他国の軍隊に任せているだけではダメなのではないか。

ロシアに対する経済制裁でも、日本の対応は十分なのだろうか。英紙ファイナンシャル・
タイムズは「日本が原発を再稼働できたら、天然ガスの輸入を減らすことができ欧州はロシアのガスに依存しないで済むかもしれない」と指摘した。日本はこのような際に臨機応変に原発再稼働ができて、天然ガスの輸入を減らすことができればよいのだが、そのような方針転換が非常に難しい。一度決めたら変えるのが非常に難しいのが日本の特徴であり、かつて奇跡の経済復興として世界中から賞賛されていた日本の経済成長だが、一旦没落を始めるとそれが止められない日本。このままではいけないという自覚はあるのだろうか。

脱炭素と脱原発を目指すのであれば巨額投資をするしかない。経産省は4月22日、2050年の脱炭素に向けた官民の投資が30年時点で少なくとも年17兆円必要との見通しを示した。現状では5兆~6兆円なので3倍程度増やさなければ達成できない。一見巨額投資に見えるが、日経のNEEDS日本経済モデルを使って計算してみると、国が毎年20兆円公共投資を増額すれば1年後に名目GDPは約15兆円押し上げられるが消費者物価は0.2%押し上げられ金利は0.03%押し上げられるにすぎない。その他の経済データも素晴らしい。詳しくは以下のサイトを参照して下さい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-9e4554.html
この政策によりエネルギー自給率が高まり、脱炭素、脱原発へと進むことができるし日本経済が完全復活できるのである。

米国では21年11月に総額1兆ドル(約130兆円)超のインフラ投資法が成立した。風力発電の導入量は中国が日本の75倍、米国が日本の30倍である。このまま放置すると日本は脱炭素も脱原発もできず、世界最低の経済成長率が続き、貧困になるばかり。円安で輸入品の価格が上がり、海外旅行も高嶺の花となる。そしてロシアのウクライナ侵攻などで国際社会と歩調を合わせ経済制裁にも加わることもできない。こんな惨めな国を放置しておいてもよいのだろうか。

 

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