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2022年9月

2022年9月23日 (金)

日本経済復活の会の活動記録(No. 475)

日本経済復活の会は2002年に設立された。当時は小泉首相が「痛みに耐えよ」と国民に訴えていた。しかし小泉首相は国民が痛みに耐えたら、ますます需要が減少し、企業の売上げが減少、日本の経済規模が縮小し日本が貧乏になるのは明かだ。実際日本国民はこの恐ろしい提案を素直に受け入れて、みるみる貧乏になってしまった。そもそも国の借金が大変だという考えが根本的に間違っていた。それを示す最良の方法は計量経済学を駆使しシミュレーションをして結果を見せる事だと思った。そこでこの分野で日本の第一人者である宍戸駿太郎先生にご協力をお願いし、快く引き受けて頂いた。そこで私と宍戸先生、さらに協力すると約束して下さった牧野聖修衆議院議員の3名で日本経済復活の会を立ち上げた。

 

最初に日経新聞社と契約し日経が開発したNEEDS日本経済モデルを使ってシミュレーションを行い、積極財政を行うことにより日本経済が再び発展し、インフレ率も金利も正常化する事を示した。この結果を信じてよいのか、二人のノーベル経済学者に聞いてみた。最初は経済学における世界的権威ポール・サミュエルソン教授だ。彼の意見は「大規模な経済対策で景気が回復するならインフレ率は気にしなくて良い。目的は流動性の罠を抜け出すことなのだから。」と好意的だった。次に計量経済学の世界的権威ローレンス・クライン教授からも好意的な手紙が来た。「興味深いシミュレーション結果を有り難うございました。私の提案は通貨の膨張(通貨発行)です。減税に加え教育に投資するとよい。」ということだった。この二人の見解に励まされ結果を論文にまとめ発表した。

 

最初に反応したのは亀井静香衆議院議員だった。2003年2月24日に赤坂の料亭「重箱」に来てくれとの連絡が入った。私と亀井氏に加え川路耕一氏(光陽グループ代表 毎年日本の長者番付で上位にランクインしている)、前野徹氏(元東急エージェンシー社長)も同席した。亀井氏は「今年の秋の総裁選で自分が総裁になるし、そうならなくても重要ポストに就く。そのとき小野盛司さんを私のブレーンにしたい。」と述べた。

 

2003年6月17日、筆者は竹村健一に会いに行った。彼は帝国ホテルにオフィスを持っておられ、入ると8名くらいのスタッフがいる部屋があり、奥の部屋に竹村氏がいた。彼はテレビ、ラジオなどに精力的に出演し、「日本の常識は世界の非常識」などの数々の流行語を作り出し発言の影響力は極めて大きかった。私が彼にシミュレーションの結果を説明したのだが、積極財政を行えばGDPが拡大し、経済が活性化すると説明すると大変驚いておられて、「こんなことをテレビで話したら大変なことになる」と発言された。積極財政でハイパーインフレになるとか、国債が暴落するとかという説を信じておられたのだろう。「このシミュレーションを自分がテレビで話したらテレビに出して貰えなくなる」と思われたのだという印象だった。

 

それに続き週刊大衆が2003年7月21日号でこのシミュレーション結果を大きく取り上げてくれた。その翌月には野呂田芳成衆議院議員に満芳会で講演するようにお願いされた。この会は東芝・全日空・日本郵政公社・三井不動産・東京電力など日本を代表する大企業の社長・会長などが多数出席した。私の講演は大変好評だった。こういった大企業が日本経済復活の会を支持してくれればと思い、個別に交渉してみたが、大企業には様々な意見の人がいるとのことで断られた。一方、資金的にサポートして下さったのは、ケン・コーポレーション社長の田中賢介氏だった。

 

我々はローレンス・クライン教授を日本に招いてシンポジウムを開きたいことを提案し田中社長は快く引き受けて下さり、必要な経費は払うと約束して下さった。2004年10月19日、九段会館でローレンス・クライン教授を招きシンポジウムが開かれた。登壇者はクライン教授に加え筆者小野盛司、宍戸駿太郎元筑波大学副学長、リチャード・クー野村総研主席研究員、牧野聖修衆議院議員、田中健介ケン・コーポレーション社長であった。高村正彦衆議院議員、伊藤達也金融担当大臣などから祝電があった。翌日の10月20日、我々はクライン教授を衆議院第一議員会館にお連れし国会議員の前で講演を行ってもらった。議員を集めるため発起人になって頂いたのは高村正彦(前自民党副総裁)と鳩山由紀夫(元総理)であり、約100名の議員(一部は議員秘書)が集まった。これをきっかけに自民党はシミュレーションで日本経済復活を探ろうという「シンクタンク2005ジャパン」を設立した。

 

2004年10月19日のFinancial Times にはシンポジウムの詳しい紹介が載った。その他シンポシウム関連報道としては、フジサンケイビジネスアイ、産経新聞、朝日新聞(クライン氏の独占インタビュー記事)、Herald Asahi、日経金融新聞、日刊不動産経済通信、新唐人テレビなどが紹介してくれた。2007年10月26日には朝日新聞に意見広告を

1頁全面広告として出した。この広告で、戦後最長の好景気と言っていたマスコミの論調が一気に「衰退する日本」との認識に変わった。また2010年6月22日にも読売新聞に意見広告を1頁全面広告として載せた。

 

2006年9月28日にはキャピトル東急ホテルにて「日本経済復活のシナリオを語る会」というタイトルのパーティーを開催。第一部は内閣府社会経済総合研究所所長の黒田昌裕先生の講演、第二部は宍戸駿太郎(元国際大学学長、元筑波大学副学長)氏が国際レオンチェフ賞受賞の祝賀パーティーを行った。

 

2008年9月6日、小野会長がNHKの番組編成会議で講演と質疑応答。演題は「お金がなければ刷りなさい」であった。出席者は三宅民夫アナウンサー等10名で出席者全員が、我々の考えに大変好意的だったが、実際の番組では、ここでの議論は全く考慮されなかった。

 

2009年2月19日、小野会長が自民党清和会の清和政策研究会で講演を行った。この講演に関しては清和政策研究会のホームページで確認できる。

 

2010年9月24日に新時代戦略研究所(INES)第133会研究朝食会で我々のシミュレーションを紹介し、ディスカッションがおこなわれた。スピーカーは日本経済復活の会 会長 小野盛司、青山学院大学教授 榊原英資、第一生命経済研究所 熊野英生、コーディネーターは経産大臣政務官 近藤洋介衆議院議員、大和総研 原田泰であった。

 

日本経済復活の会の100回記念パーティーが2012年6月20日に開かれた。参加者は小野盛司会長、亀井静香衆議院議員、田中康夫衆議院議員、亀井亜紀子参議院議員、グレゴリー・クラーク多摩大学名誉学長、宍戸駿太郞元国際大学学長、元筑波大学副学長、三橋貴明 経済評論家・作家、 倉山満 国士舘大学体育学部・21世紀アジア学部講師、河添恵子 (株)ケイ・ユニバーサルプラニング 代表取締役 であった。

 

その後も日本経済復活の会の定例会は続いており、第158回の定例会は2022年6月19日に開かれた。

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2022年9月 2日 (金)

次世代原発の建設について(No.474)

脱炭素の目標を掲げたものの、ウクライナ戦争もあり燃料価格の上昇を受けて、経済産業省は2023年夏以降に東電柏崎刈羽原発など国内の原発計7基の再起動を目指す方針を8月24日示した。また次世代原発にも興味を示しているようだ。筆者は理論物理学を専攻し東大で博士号を取得したわけで、この話題には興味がある。

福島の原発事故はひどかった。しかし国民・政府・電力会社が軽水炉の仕組みを正しく理解していたら、事故を防ぐ方法はいくらでもあった。政府は原発の再起動を急いでいるようだが、対策を十分行っているなら、緊急対策としてこれに反対すべきではないと考える。しかしこれらの原発は軽水炉であり、危険は残る。一方原発を小型化し炉を冷やすだけに十分な水の中に炉を入れておくなら、全電源が失われても冷却は可能で原子炉が暴走して大事故になることはない。これは小型モジュール炉(SMR)と呼ばれ、安全で建設費が安いので脚光を浴びている。従来の原発は100万KW程度の出力に対し、SMRだと10万KW程度だが標準化して大量生産すれば価格は下げられる。しかも電力消費地の近くに建設可能である。

例えば、ロシアのSMRは3.5万KWを2基載せた海上浮体式であり2020年から北極圏の沿岸で商業運転している。電力が必要な所に臨機応変に移動できる。米国の振興企業ニュースケール・パワーは1基7.7万KWのSMRを複数設置する。その際の発電コストは1KWあたり3000ドル以下であり、一方大型炉は5000ドル以上する。老朽化した石炭火力をSMRで置き換えることができる。1基7.7万KWの炉を最大12基まで連結できる。全電源が失われても大量の水の中に入れておくので、冷却に困ることはない。三菱重工業が開発しているマイクロ炉はトラックで運べる。燃料交換無しで25年間使用可能である。2040年運転開始の予定である。

水冷でなくヘリウムガスで冷やすのが高温ガス炉である。日本原子力研究開発機構大洗研究所で2004年4月に950℃のガスを取り出すことに成功し世界最高レベルであることを示した。これだけの技術があれば水素をCO₂の発生なくして製造できる。しかし日本には核アレルギーがあり、国内に炉を建設するのは極めて困難だったので、諸外国(ポーランド、英国、カザフスタン等)での建設に協力するだけになっている。これは極めて残念であり、脱炭素に向けて国内に高温ガス炉の実用炉の建設を検討すべきだ。一方中国はすでに高温ガス炉を建設し、送電網接続発電に成功している。

ナトリウム冷却高速炉は世界で開発が加速している。ロシア、中国、インド、米国、カナダ、フランスなどである。ナトリウムで冷却する利点は、高速の中性子を使って、核燃料を効率よく燃やすことができる点である。日本の原発は副産物として大量のプルトニウムが発生するが、これは原爆の製造に使われるもので、貯蔵するだけでも大変危険なものである。高速炉ならプルトニウムも燃やすことができ、放射性廃棄物を大幅に減らすことができる。日本はもんじゅの開発を通じてナトリウムによる冷却に関して多くの知識を蓄積したのだから、それを無駄にするのは余りにも勿体ない。諸外国と連携し、ナトリウム冷却高速炉を建設し、バスに乗り遅れないよう努力する必要がある。重要なことは過度の核アレルギーを排除し、安全な原子炉の建設の努力を続けるべきだ。ロシアのウクライナ侵攻で燃料価格が高騰し原発への期待が諸外国で高まっている。経済産業省の審議会は8月9日、次世代の原子力発電所の技術開発に関する工程表をまとめた。脱原発でなく、「脱危険な原発」という考えで研究開発を進めるべきである。

 

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