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2022年11月10日 (木)

岸田首相は日本経済の現状を理解しておられるのだろうか(No.478)

10月29日政府が総合経済対策を決定した。その内容は
一般会計歳出     29.1兆円
国・地方の財政支出    39兆円
事業規模       71.6兆円
であった。内閣府によれば、この対策でGDPを4.6%押し上げる。つまり25兆円押し上げ、消費者物価を1.2%引き下げるそうだ。

2022年7月の内閣府発表によれば2023年度は
実質GDP成長率 1.1%
名目GDP成長率 2.2%
インフレ率    1.7%
であった。この経済対策でGDPが4.6%押し上げられるのであれば、名目GDPは
2.2+4.6だとして6.8%という非現実的な成長になってしまう。政府は来年度の成長率の予想が変更されるのかどうかも発表すべきではないか。

消費者物価を1.2%引き下げるそうだが、これは電気・ガス・燃料代などで小売り会社に支援金を払って値上がりを軽減することによるものだろう。日本はまだ需要不足が続いており、デフレ脱却宣言はまだ出ていない。現在のインフレ率が3%と言われるが、円安が進み燃料価格など輸入品の価格の上昇が原因で、景気が過熱して供給が追いつかなくなったというわけではない。そもそも賃金が上がらないのに、景気が過熱することなどあるわけがない。燃料価格など、輸入品の価格の上昇はやがて止まり、その後はまたデフレ経済の方向に進むのではないか。

筆者の提案は国債発行を財源としたベーシックインカムの実行だ。つまり全国民に同額の現金を定期的に給付する。実際2年前、政府はコロナ禍から国民を救うために全国民に10万円を給付した。これにより激しいインフレとか国債の暴落とかはなかったし、これでデフレ脱却宣言が出せるわけでもなかった。むしろ10万円では少なすぎると考えた人が多かったに違いない。我々は日経新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って何がベストかを知るために計算してみた。日本経済を成長軌道に乗せるためには例えば全国民に年間80万円(例えば3か月ごとに20万円)の現金給付をすればよいという結論に達した。

2008年、ポール・クルーグマンがノーベル賞を受賞したときは日本だけでなく、世界中が大不況だった。彼は『今、世界は「不思議の国のアリス」にいる。この世界では貯蓄を高めること、財政を健全化することが悪いこと。財政赤字を拡大することが善いこと。あべこべの世界だ。』と語った。日本だけはまだあべこべの世界にいる。需要不足が続いている日本では財政健全化が悪いこと、財政赤字を増やすことが善いことなのである。一方、英国など日本以外の先進国は需要が大きすぎて供給が追いつかなくてインフレ率が高くなっているのであべこべの世界ではない。金利を上げ財政の健全化を目指さしてインフレを止めなければならない。

日本は恐ろしい「不思議の国のアリス」に30年間も留まっているから果てしなく貧乏になってしまう。岸田首相、日本を貧乏の地獄から抜け出す方法を考えて下さい。

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