ChatGPTは人の労働を代替できるか(No.181)
ChatGPTは、OpenAIという人工知能研究組織が開発した。2022年11月にサービスが始まったばかりですが、わずか2か月で、月間のユーザー数は、推定1億人を超えた。ChatGPTは自然言語処理ができるわけで、人が話す内容を理解し、まるで人が答えるような言葉で返事を返す。その返事におかしなところがあって、注意すると、「間違いました。すいませんでした。」と素直に謝る。膨大な知識を持っているので素晴らしい。
顧客と会話するだけの職業であれば、適切にカスタマイズすれば人間の替わりに働くことができそうだ。米プリンストン大学の研究者の研究によれば、最も影響を受けやすいNo.1の職業はテレマーケティングを行う職業だそう。電話を利用して顧客に勧誘などを行う仕事。問題は間違った情報を伝え契約を成立させてしまう可能性があることだ。その可能性が十分少なくしてから実戦配備となるだろう。
影響受けやすさNo.2は教師(英語・英文学)だという。日本では日本語・日本文学ということになる。しかしチャットGPTは英語力は完璧かもしれないが日本語に関しては完璧ではなく、学校で国語を教えるにはもっと勉強する必要がある。一方英語の実力は完璧だから英語を教える事ができる。ただし英語のレベルは色々で、英検も1級から5級まである。生徒のレベルに合わせて教えるようにすべきである。英会話の自習には最適である。日本の英語教育は文法や読解に重点が置かれ、英会話が苦手なので、チャットGPTに英会話の個別指導をお願いすべきだと思う。チャットGPTは歴史、法学、哲学、社会学、政治学などは膨大な知識を持ちうまく教えられるのではないか。もちろん間違った知識が混じっていたら問題になる。
チャットGPTが算数を教えられるかを試してみたが、非常に難しいという印象を受けた。円の面積とか正三角形の面積とかは公式に当てはめて正しい答えを出す。しかし、正三角形の面積を別の方法で求めるよう指示したら間違えた答えが返ってきた。間違いを指摘すると「申し訳ありません。間違った回答をしてしまい、ご迷惑をおかけしました。」と謝罪した。この調子では算数を教えるには、大変な努力が必要になりそうである。かつて「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトを国立情報学研究所が中心になって立ち上げた。結果は全受験生の上位20%程度で多くの大学に入れるが、東大は無理ということだった。文章の意味を理解できないので、とんちんかんな答えを選んでしまうのだ。チャットGPTを使えばその点は改良されるかもしれないし東大に合格できる点が取れるかもしれない。
AIが人間と自由に話しができるようになった、少なくとも自由に話していると思わせる能力を持ったという意味は非常に大きい。今後は目的別にカスタマイズしていけば人間の労働を徐々に代替できるようになる。その時、大量の労働者が職を奪われる可能性がある。しかし財・サービスの供給力には問題は無いわけだから、お金を適切に国民に配れば人は貴族のような生活ができるようになる。問題はどのようにしてお金を循環させるかである。要するに好きな事をしてお金が貰える社会システムの構築だ。詳しくは次の本を参照して頂きたい。
『ロボット ウィズ アス 労働はロボットに人間は貴族に』小野盛司(2005)
『「資本主義社会」から「解法主義社会」へ』小野盛司(2019)
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