内閣府計量分析室の試算から問題点を考える(No.483)
令和5年7月25日に中長期の経済財政に関する試算が発表せた。相変わらず、TFP(潜在成長率)を無理に上昇させて成長率を上げようという欺瞞的な態度は変わっていない。
今回注目したいのは、国債費を「債務償還費」と「利払い費」に分けて発表したことだ。国防費の増額、少子化対策に財源を捜していたら債務償還費の減額で財源を確保したらという意見が出てきたのでその額に注目が集まっている。具体的な数値は試算を見て頂きたいのだが、つぎのグラフで問題点が明かになる。
赤線は債務償還費(B)として20兆円近くが毎年歳出に組み込まれていて、重い財政負担となっていることだ。青線は今回の試算で示された財政収支の予測(A)だ。無理なトリックを使ってなんとか財政赤字を解消しようとしている。もし債務償還費を払う必要がなかったら灰色のA+Bのグラフとなり相当大幅な黒字予算となり、日本経済を停滞させる。債務償還費は日本独特のものであり、財政が厳しいということ国民を騙している。例えば米国など諸外国は債務償還費などない。そもそも債務償還費とは国債を60年かけて返していこうとうもの。新規国債は60年で完済しようとしている。将来世代にツケを残さないという欺瞞的な考えだ。しかし債務償還費を払い続けても政府債務は増え続けているし経済の拡大にはむしろ政府債務が拡大し続けなければならない。もし政府債務を完済したら、日本経済は破綻する。日本人の保有する通貨を全部国が没収することになるから。
政府の債務を返済する必要はなく、増やし続けても構わない。日銀が通貨発行して債務を買い上げればよいだけだ。もし米国のように債務償還費を払わないようにしたら、一気に20兆円近くの財源が出てくる。それなら国防費増額、少子化対策を払っても余る。更に財政拡大が可能になり日本経済の復活が見えてくる。
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