« 内閣府計量分析室の試算から問題点を考える(No.483) | トップページ | チャットGDPに日本経済の復活について聞いてみました(No.485) »

2023年8月12日 (土)

財務省に電話して、国債の60年償還ルールについて聞いてみた(No.484)

【財務省理財局に電話】
Q国債の60年償還ルールについてお聞きします。このようなルールを作っているのは日本だけですね。
Aはい。
Q償還額が17兆円となっています。これが歳出を拡大していますね。そして見かけ上の財政赤字を増やしている。
Aはい。60年償還ルールによって確かに歳出を拡大し国債費は増えますが、この60年償還ルールを無くすと一般会計の赤字額は減りますが国債整理基金特別会計で借換債が増えます。見かけ上の赤字公債は減るもののその分、借換債が増えますからことによって国全体の公債発行額には影響はございません。
Qということはルールをなくしてもなにも変わらない。
A60年償還ルールをなくすると、国債は償還しなくてもよいのかとなり、他の償還ルールが必要になる。
Q諸外国ではこんなルールは無いので世界標準の制度にすればよい。
A実際諸外国ではこんなルールはございません。
Qだから国債の60年償還ルールをやめても何の影響もない。外国からみたら日本も世界標準に合わせたとうことで好評なはずです。
A一般会計の赤字公債は減ります。しかし特別会計での赤字公債の発行額は変わらない。
Q政府は国民にこんなに財政赤字があるのだから、緊縮財政をやらなければならないという根拠になっている。これを止めれば17兆円も歳出が減る。
Aはい。
Q60年償還ルールを廃止すれば財政収支は改善しますね。
Aはい。
Q60年償還ルールでわざと財政赤字を増やしている。
Aはい。
Q今日、内閣府から出された試算を見ても17兆円程度の国債償還費が使われていることが分かる。つまり17兆円だけ財政赤字を増やしている。
Aはい。
Q自民党の計算では60年償還ルールを80年償還ルールに変えれば4兆円浮くので防衛費や少子化対策費に使えると言っている。60年償還ルールを完全に止めれば17兆円の財源が出てくる。
Aはい。おっしゃるとおり歳出額が減るのですが、そもそも60年償還ルールの存在意義は財政規律の維持ということなので国債の償還が確実に進むことを示す。
Q償還費は特別会計なのですか。
Aはい。
Q60年償還ルールを止めれば、歳出が減り財政が健全化しますね。
Aはい。基礎的財政収支には償還費は含まれない。
Q基礎的財政収支でなく財政収支を考えます。
60年償還ルールを止めれば歳出が17兆円減りますね。
Aはい。歳出が減ります。
Qこのルールがあるために見せかけの財政赤字拡大がある。
Aはい。
Q歳出は増えますね。財政収支は歳入から歳出をひいたものですね。
歳出が増えれば財政赤字が増える。
Aはい。
Q60年償還ルールにより財政収支を意図的に増やしている。
60年償還ルールがあってもなくても債務残高は増え続ける。このような無意味な償還は止めるべきだ。
例えば600万円の借金がある人が10万円返済し30万円新たに借りるなんておかしいです。それより返済はなして20万円借りた方がずっと分かりやすい。
A自民党の計算は知っています。60年償還ルールは財政規律を守るためです。これは財務省の意見です。国会で聞かれれば答えます。60年償還ルールがないと財政規律が失われるから国債が売れなくなる。
Qそれは関係ないのでは。国債を買うと、後で日銀が買ってくれる。日銀トレードですね。
Aそれは日銀の判断だ。60年償還ルールの廃止は検討していない。60年償還ルールが無くなると市場で国債が売れなくなるのですか。
Q財務省のホームページには自国通貨建ての国債はデフォルトしないと書いてある。
Aそれは知りません。
Q外国格付け会社あて意見書要旨という文書が載っています。非常に重要な文書なので勉強して頂きたい。60年償還ルールがあってもなくても財政規律は守られていない。日本経済の状況は最悪です。失われた30年と言われている。それなのに緊縮財政を続けているので日本経済は落ち込む一方だ。
A60年償還ルールに基づいて確かに国債費を支出し、それが歳出の拡大に繋がっている。このルールを無くすと一般会計の赤字は減るが国債整理基金特別会計での借換債が増えます。だから国全体の公債発行には影響はございません。
Qということは償還費を無くしても何も変わらない。だったら60年償還ルールは廃止したほうがよい。これを止めたら17兆円くらい歳出が減る。
Aはい。
Q債務残高は変わらないが、財政収支は悪化する。
Aはい。
Q内閣府から中長期試算が出ている。そこで60年償還ルールが財政収支を17兆円悪化させていることが示されている。
Aはい。60年償還ルールの意義は国債の償還を確実にしようとするもの。基礎的財政収支では国債の償還費は含まれていない。
Q基礎的財政収支ではなく、財政収支を考えます。財政収支を国際比較するとき日本の60年償還ルールのために、比較できないものになる。
Aはい。
Q内閣府試算では2028年度から財政収支は0.3兆円の黒字になっている。60年償還ルールがなかったら20兆円程度の大幅黒字になり日本経済に大ブレーキをかけることとなる。
A財務省関係費の額には影響しない。国際比較をするならSNAで行うので償還費は関係無い。
Qだったら60年償還ルールは廃止した方がよい。
Aそういった考えもあるかもしれません。我々は今ある制度で計算していますから変えることはできません。
2022,2023年度は補正予算を計上したので大幅赤字になりましたが、2024年度は回復していきます。その分だけ財政収支が改善する姿になっている。基礎的財政収支では償還費は含まれません。
Q基礎的財政収支ではなく財政収支を考えている。それが急激に改善している。

1_20230812143801
2016年、2017年の予測では財政収支はむしろだんだん悪化すると予想していました。最近の発表ではどんどん改善していきます。それはなぜですか。今回の発表では2029年の財政収支は+0.8,2030年度は+0.8です。このように財政収支が急激に改善するのはなぜですか。
A金利が上がるからです。今回の試算では長期金利が上がる。2032年には長期金利は3.2%まで上がっています。
Q長期金利を上げると景気にブレーキを掛けます。景気が過熱していないのに景気にブレーキをかけるのですか。金利上昇で2032年の利払い費は18.4兆円になっている。
A GDPが上昇していくので。
Q金利が上昇すれば国債の価格は下がりますね。

 

 

 

 

|

« 内閣府計量分析室の試算から問題点を考える(No.483) | トップページ | チャットGDPに日本経済の復活について聞いてみました(No.485) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 内閣府計量分析室の試算から問題点を考える(No.483) | トップページ | チャットGDPに日本経済の復活について聞いてみました(No.485) »