経済・政治・国際

2017年11月14日 (火)

AIで周回遅れになった日本を救うための議論をせよ。(No.273)

マスコミも国会もまだ家計学園問題を議論しているが、そんな問題より遥かに重要な問題がある事を忘れている。AIで日本が周回遅れになっており。これが将来日本の発展にとって致命的な問題になりそうなことだ。

日経新聞と学術出版大手エルゼビア(オランダ)が分析した結果では、人工知能研究の論文で引用が多い機関別順位は次の通り。
1 マイクロソフト               米国       6528
2 南洋工科大学           シンガポール      6015
3 中国科学院                中国       4999
4 フランス国立科学研究センター     フランス    4492
5 カーネギーメロン大学           米国      4389  
61  東京大学                日本     1393
262  東工大                  日本      520
日本がAIの分野で大きく遅れているのは明かである。

未来社会では製造業は廃れ、ハイテク企業が世界を席巻する。世界時価総額ランキングでは1位のアップルが8731億ドル、2位のアルファベット(グーグル)が7120億ドル、3位のマイクロソフトが6417億ドル、4位のアマゾンが5326億ドルでいずれもアメリカである。中国も進出が目覚ましく6位のアリババが4676億ドル、8位がテンセントの4216億ドルでアメリカ勢を激しく追い上げている。日本の最高位は39位トヨタの1844億ドルであった。1989年、時価総額ランキング20位までに日本企業は14社入っていた事を考えれば、積極財政でデフレ脱却をせず日本経済を衰退させてしまった政治家の責任は重い。

AIを駆使した自動運転技術は社会を大きく変えようとしている。先頭を走るグーグル系のウェイモは0.36平方kmという広大な走行試験用につくられた「架空の町」で自動運転技術の開発を進めている。ここでは公道ではできない走行試験を行っている。公道ではすでに560万kmの走行試験を終えている。自動運転車の開発では日本は大きく遅れており、やがてトヨタがグーグルの下請けになるのではないかという心配の声が上がっている。

2017年度補正予算の編成作業が始まると、マスコミは財政規律・財政健全化の話を持ち出し、財政拡大を阻止しようとする。今は財政出動の必要な経済状況ではないと主張する。しかし、約20年間デフレ脱却ができず、世界の中で際立って成長率が低い日本で、なぜ財政拡大が必要ないと言えるのか。財政破綻の可能性を取り上げたがるのだが、金利がほぼゼロに貼り付いている今、何を根拠で財政破綻を恐れるのか。最近20年間財政が破綻すると脅し続けた人たちは今こそ主張が間違いであったことを認めるべきだ。そしてデフレ脱却と財政健全化につながり没落する日本を救う財政拡大を主張すべきである。

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2017年11月11日 (土)

前近代的な「物不足の時代の経済学」が国を滅ぼす【1】(No.272)

当然のことながら物不足の時代には、闇市なども出てきて、ハイパーインフレも起こりやすいが、現代のような物余りの時代にはそれはあり得ない。政府や日銀の見解を見てみよう。

質問主意書の答弁書:内閣衆質190第39号  2016年1月22日
 ハイパーインフレ-ションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものであり、現在の我が国の経済・財政の状況において発生するとは考えていない。

極端な物不足の時にしかハイパーインフレは起きないから現在の日本では起きないと言っている。一方で日銀総裁の見解は異なる。

2011年3月2日白川氏の発言
 国債を買い続けると何が起きるのかと山本幸三衆議院議員に聞かれ『我々が今目的としていますことは、物価安定のもとでの経済の持続的な安定ということであって、インフレあるいはハイパーインフレを起こすということが目的ではありません』と答えた。

白川元日銀総裁は国債を日銀が買っただけでハイパーインフレが起きると考えたようだが、物余りの現代に通用しない経済学しか知らない悲しさであり、実際黒田日銀総裁が国債を買い続けたがインフレは起きなかった。終戦直後の深刻な物不足からくるインフレを連想しているのだろうが、現代は物余りの時代であり全く時代錯誤の経済学だ。

現代は人類がかつて経験したことがない物余りの時代に入っている。アメリカではほぼ1650億ドル(17.8兆円)、もの食糧が毎年破棄されており、これは国で生産するすべての食糧の半分に相当する。そしてまだ食べられる食品の40%が捨てられる。他の先進国でも同様だ。住宅も余っている。日本の住宅総数は世帯数より16%多い。つまり住宅を建てすぎたのにまだ小さな新築住宅がどんどん建てられている。また団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」では大量の持ち家が空き家になるか、中古住宅市場に大量に放出され資産デフレが進行する可能性がある。

筆者が提案するのは、ミニマムサプライという考え方だ。財政を拡大し、全国に国営商店をつくり、まだ食べられるのに捨てている食糧、使えるのに捨てている物を生活困窮者に無料で配布すること。また地方には空き家、空き地が多く存在し、それを国の費用で無料または非常に安い家賃で生活困窮者に提供し、その近くに無料の国営商店をつくる。固定の国営商店でなくても、自動運転車で該当する家を巡回するトラックでもよい。

ミニマムサプライは、うまく制度設計を行えば、生活困窮者を救い、国が最低限の生活を保障してくれるという安心感を国民に与え、地方の活性化、空き地・空き家の有効利用、生活保護費の削減、捨てられていた物の有効利用などが同時に可能になる。ベーシックインカムより生活困窮者には手厚い保護となり、しかも財源も少なくて済む。もちろん、財政拡大が必要となるが、物余りの時代激しいインフレなど起こりようが無い。物不足の経済学を捨て、新しい経済学の下、思い切った財政拡大でデフレ脱却を目指すと良い。

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前近代的な「物不足の時代の経済学」が国を滅ぼす【2】(No.271)

前回はミニマムサプライの利点と、今は物余りの時代の経済学が必要になっていることを述べた。世界には飢餓に苦しんでいる人たちがいる。日本にも生活が苦しいという理由で自殺する人が毎年数千人もいるしホームレスの人もいる。他方ではまだ食べられる沢山の食糧、まだ使える生活用品や衣類も捨てられており、7軒に1軒は空き家であり、今後空き家はますます増加する。

 

多くの国民は少子高齢化で自分たちの老後に不安を持っている。また近い将来AI/ロボットが人の雇用を奪うから自分たちは失業するのではないかという不安もある。AI/ロボットが活躍してくれればますます物余りとなり、政府がそれに対応した経済政策を実行すれば、人は有り余った物をふんだんに使うことができるようになり「労働はロボットに、人間は貴族に」という社会ができあがるのである。

 

その第一歩がミニマムサプライだ。通常は「まだ食べられるのに」又は「まだ使えるのに」捨てていた食料品・物を集め国営商店で無料で配布する。そこに入れる人達を事前に登録し顔認証でその人達だけ必要な量だけ持って行ってもよいと許可する。最終的には全国規模で国営商店は設置することになるが、最初は試験的に様々な条件を考慮し空き家の多い地方に特区をつくり始めることも考えられる。無料の商品は自動運転トラックが巡回して無料の物資を必要な人の所へ運ぶこともできる。高齢で通常の仕事に従事することが困難な人でも、自宅に近接した畑で自分たちが食べるための野菜を育てることはできるかもしれない。地方の活性化にも役立つ可能性がある。都会で生活保護を受けながら毎日を過ごす老人にとって、このような環境の方が生きがいを感じるかもしれない。また非常に安く生活ができる環境であれば、生活保護費は安くてもよい。

 

無料の国営商店が増えてくれば小規模小売店は経営が難しくなる可能性がある。またアマゾンなど通信販売の普及もそれに拍車を掛ける。さらにAI/ロボットが雇用を奪う。そのようなとき、労働者を適切な職場へ移動させることが重要である。例えば介護の現場では人手不足だ。特別養護老人ホームに申し込んでも入れなかった入所希望者が36万人いると厚生労働省は発表した。介護ロボットの開発は重要だが、それができるまで人手を増やして対応するしかない。「労働はロボットに、人間は貴族に」という目標の下、人間が快適な生活を送れるよう経済システムも根本から変える必要がある。介護がロボットで行われるようになるのは相当先だろうから、取りあえず介護は人海戦術で対応するしかない。

 

どんなに生活が困窮しても、年老いて介護が必要になっても安心して生活できる社会をつくるべきであり、それが経済発展というものだろう。GDPを増やせば良い、国の借金を減らせば良いというものではない。物余り、住宅余りの時代にそれができないわけがない。我々が目指すべき理想の社会では、生活必需品は無料で手に入り、赤ちゃんから老人まですべての人が生活できるだけの収入を国から保証される。他人にあるいは社会に貢献すればその貢献度に応じた収入を余分に得るという仕組みがあるとよい。自由放任にしておけばAI/ロボットを駆使した独占企業が利益を総なめしてしまう。そのような企業は人を雇わないからお金がそこに滞留してしまうが、そこで国が介入し国民へとお金を還流する。これは究極の物余り社会に適応する全く新しい経済学であり、発想の大転換が必要となる。

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2017年10月25日 (水)

前近代的な「物不足の時代の考え方」が国を滅ぼす(No.270)

現在の日本は物不足の時代から物余りの時代へと急速に変化しているが、日本人は昔の物不足の時代の考え方から抜け出せていないし、それが日本経済を衰退させていることに気づいていない。例えば日本人はハイパーインフレを恐れるのだが、それは極度の物不足に陥り、闇市でしか物が手に入らない時代のこと。そんな時代がこれからやってくる可能性は無いのだから、そんなことを恐れて積極的な経済政策を躊躇すべきでない。財政拡大を主張するとすぐに通貨の信認が失われハイパーインフレになると主張する者が現れるが時代錯誤も甚だしいと言いたい。時代はAI/ロボットが雇用を奪う、つまり逆に物余りの時代へどんどん進行して行きつつある。

住宅に関しても古い考えから脱却する必要がある。2013年・住宅土地統計調査によると、日本の住宅総数は世帯数より約16%多い。つまり住宅はすでに余っているのに、小さな家が次々建てられている。少子高齢化で老人を支える若者が減って支えきれなくなると日本人は心配するが住宅はすでに余っているし若者が減っても老人を住まわせるための家は残る。戦後暫くは米不足だったが、今は米余りだ。準天頂衛星システムみちびきができたのだから、これからは無人の農業用トラクターで農作業が可能で大量の人手が必要だった過去とは違う。あらゆる分野で機械化、AI化が進んでいき人手をかけず財・サービスが提供できるから究極の物余りの時代に入りつつあり若者の減少は関係無い。こういった時代に増税・歳出削減という緊縮財政を行うとますます物余りに拍車がかかり折角の生産設備が使われず無駄になるということになる。だからこのような無駄を無くすには減税・財政拡大をして国民に十分なお金を渡し需要を増やすしかない。

現政権のように、消費増税、歳出削減の方針で国民からお金を取り上げる政策を続けると、結局国民は小さな家を建ててひっそり住むしかなくなる。今ですら7軒に1軒は空き家と言われている。今後、人口の5%を占める団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」を背景に、団塊の世代が保有する大量の持ち家が空き家になるか不動産市場に売りに出される。そこで住宅余りに拍車がかかりデフレが進行する。国民に十分なお金を渡していなければ不動産の投げ売りとなり、十分な手入れができない空き家が増加し、国民は放置された空き家が近所に乱立する中、貧しい生活を強いられる。発想を転換し、財政を拡大し十分なお金を政府と国民に供給すれば空き家・空き地の適切な処理が可能となり、また小さな家ばかり建てるのを止め、一戸当たりの床面積を拡大することも可能となる。供給力拡大に対する報酬を国民は受けるべきであり、それは増税ではなく減税、歳出削減でなく歳出拡大で、教育・福祉・防衛・研究・医療等あらゆる分野で国はふんだんにカネを使うべきである。

財政拡大が将来世代へのツケを増やすという考えは時代錯誤であり物不足の時代の考えだ。物不足の時代に通貨発行をすると物不足に拍車がかかり、激しいインフレになるので通貨発行は制限せざるを得なかった。国債残高が増加しても通貨を発行して買い取れないから緊縮財政にするしかなかった。今は時代が変わったのだ。住宅余り、物余りの時代、日銀がいくら通貨を発行して国債を買い取っても物価はさっぱり上がらない。ネットを使ったビジネスも増えてきたしAIも参入しつつある。その需要が何倍に拡大してもハイパーインフレにはなりそうもない。逆にユーザーが増えれば企業は価格を下げる可能性もでてくる。昔、米の需要が急増したときは、米の価格は急騰した。あの時代とは違う。今はお金があっても急いで米を大量に買っておく必要はないし、生活用品も同様だ。政府も国民も新しい時代に相応しい発想の転換が必要だ。

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2017年10月19日 (木)

財政を拡大すれば、デフレ脱却、インフレ目標達成、財政健全化が可能(No.269)

10月22日に投開票される衆議院選だが、残念ながら財政を拡大せよと主張する政党がいない。デフレ脱却が最優先されるべきこの日本で最重要な政策は財政拡大である。国の借金が1000兆円を超えたのにこれ以上国の借金を増やして将来世代へのツケを増やす事ができないと多くの国民は考える。しかし、これは偏向したマスコミが間違えた考えを広めた結果である。実際は国の財政と家計とは全く似ても似つかないものである。

 

92日の日経新聞は「国を家計に例えるのをやめよう」と呼びかけた。それでも財務省のホームページでは、国の財政を家計に例えると50万円の月収の家庭の一月の生活費が80万円で、不足分30万円は借金で補っていて、その結果借金の残高は8400万円に達していると書いてある。日経新聞が主張するように国には通貨発行権がある。巨額の残高のある貯金を持っているようなものだ。例えば100億円の貯金があるとしよう。たった8400万円の借金が問題になるのか、僅か毎月30万円の借金の増加が問題か。

 

通貨発行権を行使したらハイパーインフレになると主張する人がいるが、一方ではこの日本では2%のインフレ率は達成不可能という人がいる。驚くべき事に同一人物が矛盾する2つの主張をする。合理的思考ができない人の悲しい現実である。当たり前なのだが、適度の財政拡大をするだけで2%のインフレ目標は簡単に達成できる。ハイパーインフレを恐れて緊縮財政を続けたために20年間もデフレ脱却ができず国がどんどん貧乏になっている。そんな国は日本だけだし、世界の笑い者だ。長期にデフレを続けて借金を増やし続けている国は日本だけだ。

 

例えばエジプトだが、財政赤字のGDP比は10%を超え、日本以上だ。国の借金が増える速度も日本よりずっと早く、最近10年間で5倍以上になった。しかし名目GDPも同様に増加しており、国の借金のGDP比は100%程度に抑えられており日本の半分以下だ。このように国の借金のGDP比を抑える原理はどこの国でも共通であり、デフレを長期に続けない限り国の借金のGDP比は200%を超えたりはしない。逆に言えば日本が財政を拡大しGDPが本格的に増え始めれば確実に国の借金のGDP比は減るのは確実だ。

 

人口減少が続く日本では、ハイパーインフレになったとしても名目GDPは増えないだろうと悲観的な人は考えるがそんなわけがない。実際ハイパーインフレと需要・消費の関係を質問主意書で政府に質問したら需要は増えなくてもハイパーインフレになるとの耳を疑うような答弁書(平成二十九年二月三日内閣衆質一九三号)が安倍首相から来た!!例えば消費が停滞しているとき、突然物価が10倍になったらどうなるか。国民は買い物に使う額が10分の1になり、大量の商品が売れ残り、結局10分の1に下げなければ売れなくなる。

 

インフレ目標を達成したいなら、国の借金を増やしてでも減税や財政拡大で国民の可処分所得を増やせば良い。それにより消費が増え、企業の利益が増え、企業は消費増に対応するため設備投資をし、人手の確保のために賃金を上げ、それが更なる消費の増大につながる。結果として名目GDPが増える。国の借金の増える速度と名目GDPが増える速度のどちらが大きいかだが、日本のように借金のGDP比が200%を超えるような国では後者のほうがずっと大きく、その結果国の借金のGDP比は減少していく。この事実をよく理解し、財政拡大が今の日本では最優先事項であることを政治家になりたいなら理解して欲しい。

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2017年10月12日 (木)

いつまで基礎的財政収支の黒字化を追い続けるのか(No.268)

2017衆議院選の自民党公約が発表された。自民党のホームページからは「この国を守り抜く」と書かれた表紙のパンフレットをダウンロードできる。かつては基礎的財政収支の黒字化を随分強調する傾向があったが、10頁に及ぶこのパンフレットからは基礎的財政収支という文字が消えた。

内閣府の試算に政府が騙されて、政策目標の中心に置いていた「基礎的財政収支の黒字化」であるが、内閣府の予測が毎回大きく外れ続け我々が「オオカミ少年」と非難し続けた成果があって、恥ずべき事と認識するようになったのではないか。当たり前の事なのだが、デフレ脱却なしに財政健全化はあり得ない。逆にデフレ脱却し、インフレ率が2~3%程度になれば、経済は大きく成長を始め財政健全化は容易に達成できる。

小泉内閣では竹中平蔵のアドバイスに基づいて2011年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化するという「財政健全化」目標を立てた。内閣府の試算がそれを予測していたからである。しかし、実際は2011年のPBは巨額の赤字となり、全く内閣府の試算はあたらないことが示された。それだけではない。内閣府は毎年、どれだけ財政を圧縮し増税をすれば2011年にPBが黒字化するかを毎年計算し直し発表し、政府はそのアドバイスに従い緊縮財政を続けた。その結果諸外国が好景気で大きくGDPを伸ばす中、日本経済は停滞したままで、折角のデフレ脱却のチャンスを失い、一人当たりのGDPも世界トップレベルであったものが一気に18位まで落ちてしまった。つまり日本は一気に貧乏になったのだ。2011年度にPBが黒字化しないと分かった後は、政府は2020年度にPBの黒字化を先延ばしし懲りもせず緊縮財政を続けた。その結果2017年現在、まだデフレ脱却はできていない。さすがにここまで来るとPBに疑問を感じ始めたか、今回の衆議院選では2020年度にPBの黒字化などという馬鹿なことは主張していない。

単なる財政収支でなくPBを問題にし始めたのは、国債残高が増加し利払い費が馬鹿にできなくなったためだ。しかし、今や国債の半分近くが日銀によって保有されており、日銀に払った利払い費は国庫納付金として国庫に返って来るのだから事実上金利は無いと同じだ。マクロ計量モデルで計算してみればすぐ分かることだが、財政拡大で景気をよくし成長を加速すれば税収が増えてきて財政収支は大幅に改善する。つまり日本政府はデフレ下で緊縮財政を続けることにより景気を悪化させ財政を悪化させているから逆の事をやっているのだ。

希望の党は消費増税凍結を主張する。このことは評価できるが、小池氏は財政規模を縮小させたいようにみえる。企業の内部留保に課税するとか「身を切る改革」という主張は緊縮財政の内容だ。政府は通貨発行権を持っており、将来世代へのツケを回す事無く財政拡大・減税を行うことができる。これは例えば江戸時代には毎年行っていたことだ。徐々にお金の量を増やし経済を拡大する。なぜこのことに理解を示す政党が現れないのか。

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2017年10月 4日 (水)

今回の衆議院選では消費増税への賛否を徹底議論せよ(No.267)

10月10日公示、22日投開票の衆議院選は、2019年10月に消費増税を行うと宣言している与党に対し、凍結すべきだと主張している希望の党などの野党が対抗する。ここはじっくり論戦を戦わして頂きたい。森友・家計問題などで内閣支持率が落ちたと言われているが、アベノミクスが本当に成功していて、多くの国民が景気回復を実感していたら、そのような些末な問題は無視されていたに違いない。実際、アベノミクスに国民が期待を寄せていた2013年頃は、大臣の不祥事などほとんど無視されていた。諸外国ではこの程度の問題は無視されている。

安倍内閣の支持率が落ちてきた本当の理由はアベノミクスでは国民の生活は良くならないと思い始めたことであり、アベノミクス以外の選択肢として希望の党に望みを掛けている国民が出てきたということだろう。

世界経済は上向きであり、金融引き締めに向かっている一方、日本はデフレ脱却ができておらず、相変わらず異次元金融緩和の続けざるを得ない状況である。この状況で本当に消費増税をすべきだろうか。政府が消費増税を2年後にすると宣言するだけで、国民は身構え、節約志向になる。そもそも政府の異常なまでの楽観主義が20年に及ぶ景気低迷を招いたのである。例えば平成25年10月1日甘利大臣は次のように述べている。「来年度4-6月期に見込まれる反動減、4月に消費税を引き上げると駆け込み、そしてその後に反動減があるわけであります。その反動減を大きく上回る5兆円規模(景気対策の規模)とする。」これは財務省のホームページにも書き込まれていた。消費増税による景気の落ち込みを防ぐ手立ては万全だと主張していたが、実際の実質GDPは2013年度が2.0%、2014年度がマイナス0.9%となり2.9%もの深刻な落ち込みとなった。

2012年1月24日に出された内閣府の試算でも消費増税をした場合としない場合で、4年間累計で0.1%しか差が無いとしていた。上記の数字と比較すれば実際はその約100倍程度の落ち込みが生じたということになる。

この大失敗を忘れてしまったのだろうか。消費増税は政府の予想よりケタ違いの景気への悪影響を及ぼしており、景気対策が金融緩和では取り戻せないことが証明されているのだ。景気の落ち込みは単に国民生活を苦しくするだけでなく、税収の伸びを抑え基礎的財政収支を悪化させる。また名目GDPの伸びを抑えるために国の債務残高の対GDP比を増加させるから財政健全化にも悪影響を与える。その意味で逆に将来世代へのツケを増やす結果になるということだ。痛みに耐えることによって将来世代へのツケを増やすのだから踏んだり蹴ったりではないか。

教育への投資とか社会保障費への補填とかのための財源確保に消費増税が必要と主張するのはおかしい。消費増税によって法人税や所得税が減ってしまったらいずれにせよそのような財源は確保できない。

この選挙では、消費増税をすべきかすべきでないか、与野党でちゃんと議論していただきたいし、どちらの議論が正しいのかしっかり見極めようではないか。

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2017年9月27日 (水)

今回の衆議院選で安倍内閣が失うもの(No.266)

突然発表された衆議院の解散・総選挙だが、これは2005年の郵政解散と郵政選挙を真似たものだろう。当時小泉内閣は極秘で調査し票読みをしていて自民党が大勝した。選挙で勝ったのだから、郵政民営化は国民に承認されたのだと主張した。今回も安倍さんは同様な調査をし、勝てると自信を持ったのだろう。しかし、当時は小泉劇場と言われマスコミはすっかり小泉の術中にはまっていた。今回は事前調査の結果はともかく、マスコミは安倍さんに批判的だ。

この選挙には大義がない。民進党の離党者が続出している、小池新党もまだ準備が整っていない、前国会で批判を受け支持率が下がっていたが、その支持率も回復傾向にある。こういった一見有利に思える材料があり、自民党に有利だから解散する。解散をするためだけの臨時国会召集はあまりにも姑息な手段ではないか。国民の事を無視していないか。

2012年12月の衆議院選挙を思い出す。民主党は230の議席が57に減り、自民党の議席は118から294に増え政権を奪還した。それを可能にしたのはアベノミクスだ。輪転機をぐるぐる回してお金を刷れば、いくらでも財源は確保できるという説明は分かりやすい。日銀がお金を刷って国債を大規模に買えば、市中にお金が出ていき、きっと自分たちにもお金が回ってくると国民は思ったに違いない。もし安倍氏がお金を刷ってそれを財政に使うという政策を強力に実行していたら、デフレ脱却、景気回復は簡単に実現できていたし、国民も所得の増加に満足し、安倍内閣は高支持率が続いていただろう。

残念ながら、アベノミクスは財政赤字=悪という間違えた考えの人たちによって妨害され、消費増税・歳出削減で経済は行き詰まっている。長い間デフレが続いている日本では可処分所得を増やし景気を刺激するべきなのであり、財政黒字=悪と考えるのは間違いである。江戸時代やそれ以前には金を採掘したり金にその他の金属を混ぜたりしてお金を作り出し徐々にお金の量を増やしていき経済を拡大していった。つまり政府(幕府)はお金を作り出しそれを財源の一部とした。これにより通貨の信認が失われることもなく経済は拡大を続けた。

現代でも全く同様の事は可能だ。通貨を発行しそれで財源の不足分を補えば財政は均衡するから財政赤字にはならない。例えば無利子の永久債を発行し、それを日銀に買い取らせる(どこかの銀行を経由してもよい)。これを財源の一部とすれば国の借金とはならないから江戸時代に成功したものと同様の財政制度となる。歯止めが効かなくなるとの主張が出るだろうが、江戸時代に通貨発行で歯止めはちゃんと効いていた。財政赤字が大嫌いな日本人の心情を考えるなら、このようにして帳簿の付け方を変えるだけで赤字を消すことが出来、江戸時代に成功した経済システムが復活できる。

今回の衆議院選挙は自民党にとって厳しい結果になるのではないか。前回、前々回はアベノミクスに国民は期待していた。今回は、アベノミクスへの期待は消え、あのいやな消費増税をやると安倍さんが言っていて、うんざりという人が多いだろう。日本経済を活性化しようとすれば、今は増税でなく減税すべき時だ。財源不足を通貨発行で補うと考えれば遠慮無く財政を拡大でき、減税でも教育でも公共投資でも適度に歳出拡大できる。将来返さなくてもよい。そういう政策を公約とする政党があれば、選挙で勝てるし没落する日本経済を救ったとして歴史に残る。自民党の福田副大臣が離党し小池新党へ、日本の心の中山恭子代表も小池新党に加わるという。小池新党=希望の党はこの次期に消費増税をすべきではないと主張している。この選挙が増税賛成の与党と増税反対の小池新党が増税に関して信を問う選挙になれば、増税反対が多い国民がどう判断するか非常に見ものである。国民の生活を無視したこの解散は自民党が多くの議席を失う結果に終わるかもしれない。

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2017年9月21日 (木)

北朝鮮の核ミサイルによる脅しに屈するべきでない(No.265)

米朝戦争になれば数十万人から数百万人の犠牲者が出るという推測がある。だから北朝鮮への軍事攻撃はできないという主張である。現在の北朝鮮は太平洋戦争前夜の日本と似ているという主張もある。1941年の真珠湾攻撃は、艦隊4隻を撃沈。航空機231機を爆破し太平洋艦隊に大打撃を与えた。当時は一気に攻めて、ころあいをみて有利な講和条約を結ぶというのが日本の勝利の方程式だった。現在の北朝鮮は当時の日本とは似ても似つかぬ状況だということは明かだ。

米国の軍事費は5960億ドルであるのに対し、北朝鮮は僅か75億ドルだから約100分の1,米国のGDPは19兆ドルに対し北朝鮮は0.012兆ドルだから1000分の1足らずだ。深刻が石油不足、電力不足であり、兵士に与える食糧もないから兵士は栄養失調に苦しんでいる。米朝戦争が始まればあっという間に勝負がつき北朝鮮の敗戦が決まる。北朝鮮の核ミサイルが状況を変えると思うかもしれないが、グアムに向けて発射しても当たるかどうか分からないし、命中しそうなコースに飛んだとしても迎撃ミサイルで撃ち落とされる。どう考えても真珠湾攻撃で与えたほどの大打撃を米国軍に与えるのは夢の又夢。第一、アメリカが核攻撃を受けたと分かった瞬間に大規模な反撃に合い、北朝鮮は焦土と化す。もちろん金正恩の命はないし、そのことを知っているから金正恩は核ミサイルを使うわけがない。

すでに金正恩を屈服させる様々な方法について述べた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/no260-4b7c.html
ここではそれ以外の方法を提案しよう。
中国丹東の郊外にある八山原油貯蔵所から北朝鮮平安北道ピヒョン郡白馬里のボンファ化学工場まで29.4キロのパイプラインが敷設されている。それは鴨緑江(アムノッカン)の川底を横切っている。このパイプラインを秘密裏に爆破することだ。石油の供給が止まると北朝鮮経済は3か月で崩壊すると言われている。秘密裏の爆破が無理なら中国に圧力を掛けて石油の供給を止めることだ。

中国も核拡散防止に関しては協力的である。国際社会の一員として当然のことであり、もし核がテロリストの手に渡れば北京の安全すら守れなくなる。中国がやれることは2つある。一つは北朝鮮への石油の供給を止めること、もう一つは中朝軍事同盟を破棄することだ。中国としては北朝鮮に核ミサイル開発を止めさせたいが、金正恩政権が崩壊し親米的な政権に置きかわってほしくない。アメリカとしても親米的な政権を樹立させるところまで望んでいるわけでなく、核を放棄させることができれば十分だ。

そこでアメリカは中国に圧力を掛ける。核ミサイル開発を止めさせなければ、中国に経済制裁をするぞと脅す。しかしこれは本格的にやれば世界的な不況を引き起こすからそうならない範囲での制裁となる。さらに、中国が本気で経済制裁をやらないなら、アメリカは北朝鮮を軍事攻撃すると脅す。しかし、中朝軍事同盟があるから場合によっては、中国を巻き込んだ戦争になる。中国は、北朝鮮が先制攻撃をした場合は北朝鮮を助けないと言っている。だからアメリカは北朝鮮からの先制攻撃を待っている。はっきりした先制攻撃でなくても、グアム近くにミサイルが落ちた場合でも先制攻撃を見なし反撃して戦争が始まるかもしれない。あるいはアメリカは北朝鮮による先制攻撃を誘発させる方法を見出すかもしれない。北朝鮮が先制攻撃を仕掛けてくれば堂々と戦争を始めることが出来、勝負はあっという間に付く。そのとき中国は手を出せない。誰かそのような上手い方法を思いつくことができるだろうか。

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2017年9月11日 (月)

金正恩がテロリストに核兵器を売る日(No.264)

最近、北朝鮮を核保有国と認めたらどうかと主張する識者が出てきた。これは金正恩という人物の正体を知らない人の妄言である。単に核保有国が1カ国増えるということとは全然違うし日韓が核武装で対抗できるということでもない。

 

韓国のNGO・北朝鮮戦略センターの姜哲煥氏は張成沢氏の処刑と関連し、党の幹部約415人、傘下機関の幹部約300人、人民保安省幹部約200人が公開銃殺されたと証言した。金正恩は人殺しが楽しくてたまらない人物のように見える。偽ドルや麻薬やハッカー等、金儲けのためには手段を選ばない国が核兵器を持ってしまったらどうなるのか分かっているのだろうか。

 

容易に考えられる事は核兵器の輸出で外貨を稼ぐことだ。ISなどのテロリストに核兵器を売ったらどうなるか。今までは、ISは都会で自爆攻撃を行い犠牲者はせいぜい100名程度、多くて300名だった。しかし核兵器をトラックにのせて大都会で爆発させたら数十万人の犠牲者は避けられない。テロリストが核兵器を手に入れたらそのような自爆攻撃は簡単に起こせてしまい防ぎようがない。モスクワであろうと北京であろうと東京であろうとテロリストの標的になり得る。そのことを中国とロシアに理解させ、北朝鮮封じ込めに協力させるべきだ。

 

テロリストが核を脅しに使ったら「我々はテロに屈しない」と主張し続けることができるのか。「今から1週間以内に1000億円を支払わなければどこかの大都市で核爆発させる」とか「テレビで我々の主張を自由に放映させなければどこかの大都市で核爆発させる」とか脅迫されたらどうするのか。もし彼らの主張を受け入れたら、世界は完全にテロリストに支配される。それは北朝鮮やISによる世界支配かもしれない。受け入れなければ大都市で次々核爆発が起こり止めようがなくなる。

 

そのような地獄の世界に入ってしまうのを止めるのは今が最後のチャンスなのかもしれない。アメリカが北朝鮮を攻撃する場合、北朝鮮がソウルを攻撃し数十万人の犠牲者が出ると言う人がいる。果たしてそうなのか。アメリカの原子力潜水艦からトマホークで核施設を狙った限定的な攻撃であれば、見えない敵に向かって北朝鮮は反撃できない。米軍の地上部隊が北朝鮮に入れば犠牲が大きいし中国からの義勇軍と戦わなければならなくなり、ベトナム戦争の二の舞となるからそれはできないだろうが核施設を狙った限定的な攻撃なら国際的な理解も得やすいのではないか。

 

賊が人質を取るときは2つの場合がある。第一は自らの死を覚悟した反社会的集団でこの場合は攻撃を受ければ人質を容赦なく殺す。第二は自分は死にたくない場合で、近づくと人質を殺すぞと脅す。この場合、攻撃を受けた場合反撃をするとしても人質は殺さない。ペルーの日本大使公邸占拠事件は第一の場合だが、最低限の犠牲者を出すだけで人質は救出されテロリストは全員射殺された。赤軍派による浅間山荘事件は第二の場合であり、人質も赤軍派のメンバーも死ななかった。北朝鮮がソウルを人質に取っているが、これは第二の場合であり、金正恩は死にたくないのだからソウルを火の海になどしない。死にたくないから核ミサイルを開発しているのだから。そもそもソウルを火の海にしても戦争には勝てないし、アメリカから攻撃を受けているときに無関係のソウルを攻撃するというのは戦争に勝つ気はないという意思表示となる。

北朝鮮を武力攻撃する前に、北朝鮮に対する完璧な経済封鎖に成功したら、金正恩政権はそれだけで内部崩壊するかもしれないし、まずそこから始めるべきだろう。更に強力な経済制裁はヘリコプターマネーでありこれも一案だ。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/no246-3e61.html

世界がテロリストに支配される前に何が最善かを真剣に考えて頂きたい。

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