経済・政治・国際

2017年10月12日 (木)

いつまで基礎的財政収支の黒字化を追い続けるのか(No.268)

2017衆議院選の自民党公約が発表された。自民党のホームページからは「この国を守り抜く」と書かれた表紙のパンフレットをダウンロードできる。かつては基礎的財政収支の黒字化を随分強調する傾向があったが、10頁に及ぶこのパンフレットからは基礎的財政収支という文字が消えた。

内閣府の試算に政府が騙されて、政策目標の中心に置いていた「基礎的財政収支の黒字化」であるが、内閣府の予測が毎回大きく外れ続け我々が「オオカミ少年」と非難し続けた成果があって、恥ずべき事と認識するようになったのではないか。当たり前の事なのだが、デフレ脱却なしに財政健全化はあり得ない。逆にデフレ脱却し、インフレ率が2~3%程度になれば、経済は大きく成長を始め財政健全化は容易に達成できる。

小泉内閣では竹中平蔵のアドバイスに基づいて2011年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化するという「財政健全化」目標を立てた。内閣府の試算がそれを予測していたからである。しかし、実際は2011年のPBは巨額の赤字となり、全く内閣府の試算はあたらないことが示された。それだけではない。内閣府は毎年、どれだけ財政を圧縮し増税をすれば2011年にPBが黒字化するかを毎年計算し直し発表し、政府はそのアドバイスに従い緊縮財政を続けた。その結果諸外国が好景気で大きくGDPを伸ばす中、日本経済は停滞したままで、折角のデフレ脱却のチャンスを失い、一人当たりのGDPも世界トップレベルであったものが一気に18位まで落ちてしまった。つまり日本は一気に貧乏になったのだ。2011年度にPBが黒字化しないと分かった後は、政府は2020年度にPBの黒字化を先延ばしし懲りもせず緊縮財政を続けた。その結果2017年現在、まだデフレ脱却はできていない。さすがにここまで来るとPBに疑問を感じ始めたか、今回の衆議院選では2020年度にPBの黒字化などという馬鹿なことは主張していない。

単なる財政収支でなくPBを問題にし始めたのは、国債残高が増加し利払い費が馬鹿にできなくなったためだ。しかし、今や国債の半分近くが日銀によって保有されており、日銀に払った利払い費は国庫納付金として国庫に返って来るのだから事実上金利は無いと同じだ。マクロ計量モデルで計算してみればすぐ分かることだが、財政拡大で景気をよくし成長を加速すれば税収が増えてきて財政収支は大幅に改善する。つまり日本政府はデフレ下で緊縮財政を続けることにより景気を悪化させ財政を悪化させているから逆の事をやっているのだ。

希望の党は消費増税凍結を主張する。このことは評価できるが、小池氏は財政規模を縮小させたいようにみえる。企業の内部留保に課税するとか「身を切る改革」という主張は緊縮財政の内容だ。政府は通貨発行権を持っており、将来世代へのツケを回す事無く財政拡大・減税を行うことができる。これは例えば江戸時代には毎年行っていたことだ。徐々にお金の量を増やし経済を拡大する。なぜこのことに理解を示す政党が現れないのか。

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2017年10月 4日 (水)

今回の衆議院選では消費増税への賛否を徹底議論せよ(No.267)

10月10日公示、22日投開票の衆議院選は、2019年10月に消費増税を行うと宣言している与党に対し、凍結すべきだと主張している希望の党などの野党が対抗する。ここはじっくり論戦を戦わして頂きたい。森友・家計問題などで内閣支持率が落ちたと言われているが、アベノミクスが本当に成功していて、多くの国民が景気回復を実感していたら、そのような些末な問題は無視されていたに違いない。実際、アベノミクスに国民が期待を寄せていた2013年頃は、大臣の不祥事などほとんど無視されていた。諸外国ではこの程度の問題は無視されている。

安倍内閣の支持率が落ちてきた本当の理由はアベノミクスでは国民の生活は良くならないと思い始めたことであり、アベノミクス以外の選択肢として希望の党に望みを掛けている国民が出てきたということだろう。

世界経済は上向きであり、金融引き締めに向かっている一方、日本はデフレ脱却ができておらず、相変わらず異次元金融緩和の続けざるを得ない状況である。この状況で本当に消費増税をすべきだろうか。政府が消費増税を2年後にすると宣言するだけで、国民は身構え、節約志向になる。そもそも政府の異常なまでの楽観主義が20年に及ぶ景気低迷を招いたのである。例えば平成25年10月1日甘利大臣は次のように述べている。「来年度4-6月期に見込まれる反動減、4月に消費税を引き上げると駆け込み、そしてその後に反動減があるわけであります。その反動減を大きく上回る5兆円規模(景気対策の規模)とする。」これは財務省のホームページにも書き込まれていた。消費増税による景気の落ち込みを防ぐ手立ては万全だと主張していたが、実際の実質GDPは2013年度が2.0%、2014年度がマイナス0.9%となり2.9%もの深刻な落ち込みとなった。

2012年1月24日に出された内閣府の試算でも消費増税をした場合としない場合で、4年間累計で0.1%しか差が無いとしていた。上記の数字と比較すれば実際はその約100倍程度の落ち込みが生じたということになる。

この大失敗を忘れてしまったのだろうか。消費増税は政府の予想よりケタ違いの景気への悪影響を及ぼしており、景気対策が金融緩和では取り戻せないことが証明されているのだ。景気の落ち込みは単に国民生活を苦しくするだけでなく、税収の伸びを抑え基礎的財政収支を悪化させる。また名目GDPの伸びを抑えるために国の債務残高の対GDP比を増加させるから財政健全化にも悪影響を与える。その意味で逆に将来世代へのツケを増やす結果になるということだ。痛みに耐えることによって将来世代へのツケを増やすのだから踏んだり蹴ったりではないか。

教育への投資とか社会保障費への補填とかのための財源確保に消費増税が必要と主張するのはおかしい。消費増税によって法人税や所得税が減ってしまったらいずれにせよそのような財源は確保できない。

この選挙では、消費増税をすべきかすべきでないか、与野党でちゃんと議論していただきたいし、どちらの議論が正しいのかしっかり見極めようではないか。

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2017年9月27日 (水)

今回の衆議院選で安倍内閣が失うもの(No.266)

突然発表された衆議院の解散・総選挙だが、これは2005年の郵政解散と郵政選挙を真似たものだろう。当時小泉内閣は極秘で調査し票読みをしていて自民党が大勝した。選挙で勝ったのだから、郵政民営化は国民に承認されたのだと主張した。今回も安倍さんは同様な調査をし、勝てると自信を持ったのだろう。しかし、当時は小泉劇場と言われマスコミはすっかり小泉の術中にはまっていた。今回は事前調査の結果はともかく、マスコミは安倍さんに批判的だ。

この選挙には大義がない。民進党の離党者が続出している、小池新党もまだ準備が整っていない、前国会で批判を受け支持率が下がっていたが、その支持率も回復傾向にある。こういった一見有利に思える材料があり、自民党に有利だから解散する。解散をするためだけの臨時国会召集はあまりにも姑息な手段ではないか。国民の事を無視していないか。

2012年12月の衆議院選挙を思い出す。民主党は230の議席が57に減り、自民党の議席は118から294に増え政権を奪還した。それを可能にしたのはアベノミクスだ。輪転機をぐるぐる回してお金を刷れば、いくらでも財源は確保できるという説明は分かりやすい。日銀がお金を刷って国債を大規模に買えば、市中にお金が出ていき、きっと自分たちにもお金が回ってくると国民は思ったに違いない。もし安倍氏がお金を刷ってそれを財政に使うという政策を強力に実行していたら、デフレ脱却、景気回復は簡単に実現できていたし、国民も所得の増加に満足し、安倍内閣は高支持率が続いていただろう。

残念ながら、アベノミクスは財政赤字=悪という間違えた考えの人たちによって妨害され、消費増税・歳出削減で経済は行き詰まっている。長い間デフレが続いている日本では可処分所得を増やし景気を刺激するべきなのであり、財政黒字=悪と考えるのは間違いである。江戸時代やそれ以前には金を採掘したり金にその他の金属を混ぜたりしてお金を作り出し徐々にお金の量を増やしていき経済を拡大していった。つまり政府(幕府)はお金を作り出しそれを財源の一部とした。これにより通貨の信認が失われることもなく経済は拡大を続けた。

現代でも全く同様の事は可能だ。通貨を発行しそれで財源の不足分を補えば財政は均衡するから財政赤字にはならない。例えば無利子の永久債を発行し、それを日銀に買い取らせる(どこかの銀行を経由してもよい)。これを財源の一部とすれば国の借金とはならないから江戸時代に成功したものと同様の財政制度となる。歯止めが効かなくなるとの主張が出るだろうが、江戸時代に通貨発行で歯止めはちゃんと効いていた。財政赤字が大嫌いな日本人の心情を考えるなら、このようにして帳簿の付け方を変えるだけで赤字を消すことが出来、江戸時代に成功した経済システムが復活できる。

今回の衆議院選挙は自民党にとって厳しい結果になるのではないか。前回、前々回はアベノミクスに国民は期待していた。今回は、アベノミクスへの期待は消え、あのいやな消費増税をやると安倍さんが言っていて、うんざりという人が多いだろう。日本経済を活性化しようとすれば、今は増税でなく減税すべき時だ。財源不足を通貨発行で補うと考えれば遠慮無く財政を拡大でき、減税でも教育でも公共投資でも適度に歳出拡大できる。将来返さなくてもよい。そういう政策を公約とする政党があれば、選挙で勝てるし没落する日本経済を救ったとして歴史に残る。自民党の福田副大臣が離党し小池新党へ、日本の心の中山恭子代表も小池新党に加わるという。小池新党=希望の党はこの次期に消費増税をすべきではないと主張している。この選挙が増税賛成の与党と増税反対の小池新党が増税に関して信を問う選挙になれば、増税反対が多い国民がどう判断するか非常に見ものである。国民の生活を無視したこの解散は自民党が多くの議席を失う結果に終わるかもしれない。

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2017年9月21日 (木)

北朝鮮の核ミサイルによる脅しに屈するべきでない(No.265)

米朝戦争になれば数十万人から数百万人の犠牲者が出るという推測がある。だから北朝鮮への軍事攻撃はできないという主張である。現在の北朝鮮は太平洋戦争前夜の日本と似ているという主張もある。1941年の真珠湾攻撃は、艦隊4隻を撃沈。航空機231機を爆破し太平洋艦隊に大打撃を与えた。当時は一気に攻めて、ころあいをみて有利な講和条約を結ぶというのが日本の勝利の方程式だった。現在の北朝鮮は当時の日本とは似ても似つかぬ状況だということは明かだ。

米国の軍事費は5960億ドルであるのに対し、北朝鮮は僅か75億ドルだから約100分の1,米国のGDPは19兆ドルに対し北朝鮮は0.012兆ドルだから1000分の1足らずだ。深刻が石油不足、電力不足であり、兵士に与える食糧もないから兵士は栄養失調に苦しんでいる。米朝戦争が始まればあっという間に勝負がつき北朝鮮の敗戦が決まる。北朝鮮の核ミサイルが状況を変えると思うかもしれないが、グアムに向けて発射しても当たるかどうか分からないし、命中しそうなコースに飛んだとしても迎撃ミサイルで撃ち落とされる。どう考えても真珠湾攻撃で与えたほどの大打撃を米国軍に与えるのは夢の又夢。第一、アメリカが核攻撃を受けたと分かった瞬間に大規模な反撃に合い、北朝鮮は焦土と化す。もちろん金正恩の命はないし、そのことを知っているから金正恩は核ミサイルを使うわけがない。

すでに金正恩を屈服させる様々な方法について述べた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/no260-4b7c.html
ここではそれ以外の方法を提案しよう。
中国丹東の郊外にある八山原油貯蔵所から北朝鮮平安北道ピヒョン郡白馬里のボンファ化学工場まで29.4キロのパイプラインが敷設されている。それは鴨緑江(アムノッカン)の川底を横切っている。このパイプラインを秘密裏に爆破することだ。石油の供給が止まると北朝鮮経済は3か月で崩壊すると言われている。秘密裏の爆破が無理なら中国に圧力を掛けて石油の供給を止めることだ。

中国も核拡散防止に関しては協力的である。国際社会の一員として当然のことであり、もし核がテロリストの手に渡れば北京の安全すら守れなくなる。中国がやれることは2つある。一つは北朝鮮への石油の供給を止めること、もう一つは中朝軍事同盟を破棄することだ。中国としては北朝鮮に核ミサイル開発を止めさせたいが、金正恩政権が崩壊し親米的な政権に置きかわってほしくない。アメリカとしても親米的な政権を樹立させるところまで望んでいるわけでなく、核を放棄させることができれば十分だ。

そこでアメリカは中国に圧力を掛ける。核ミサイル開発を止めさせなければ、中国に経済制裁をするぞと脅す。しかしこれは本格的にやれば世界的な不況を引き起こすからそうならない範囲での制裁となる。さらに、中国が本気で経済制裁をやらないなら、アメリカは北朝鮮を軍事攻撃すると脅す。しかし、中朝軍事同盟があるから場合によっては、中国を巻き込んだ戦争になる。中国は、北朝鮮が先制攻撃をした場合は北朝鮮を助けないと言っている。だからアメリカは北朝鮮からの先制攻撃を待っている。はっきりした先制攻撃でなくても、グアム近くにミサイルが落ちた場合でも先制攻撃を見なし反撃して戦争が始まるかもしれない。あるいはアメリカは北朝鮮による先制攻撃を誘発させる方法を見出すかもしれない。北朝鮮が先制攻撃を仕掛けてくれば堂々と戦争を始めることが出来、勝負はあっという間に付く。そのとき中国は手を出せない。誰かそのような上手い方法を思いつくことができるだろうか。

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2017年9月11日 (月)

金正恩がテロリストに核兵器を売る日(No.264)

最近、北朝鮮を核保有国と認めたらどうかと主張する識者が出てきた。これは金正恩という人物の正体を知らない人の妄言である。単に核保有国が1カ国増えるということとは全然違うし日韓が核武装で対抗できるということでもない。

 

韓国のNGO・北朝鮮戦略センターの姜哲煥氏は張成沢氏の処刑と関連し、党の幹部約415人、傘下機関の幹部約300人、人民保安省幹部約200人が公開銃殺されたと証言した。金正恩は人殺しが楽しくてたまらない人物のように見える。偽ドルや麻薬やハッカー等、金儲けのためには手段を選ばない国が核兵器を持ってしまったらどうなるのか分かっているのだろうか。

 

容易に考えられる事は核兵器の輸出で外貨を稼ぐことだ。ISなどのテロリストに核兵器を売ったらどうなるか。今までは、ISは都会で自爆攻撃を行い犠牲者はせいぜい100名程度、多くて300名だった。しかし核兵器をトラックにのせて大都会で爆発させたら数十万人の犠牲者は避けられない。テロリストが核兵器を手に入れたらそのような自爆攻撃は簡単に起こせてしまい防ぎようがない。モスクワであろうと北京であろうと東京であろうとテロリストの標的になり得る。そのことを中国とロシアに理解させ、北朝鮮封じ込めに協力させるべきだ。

 

テロリストが核を脅しに使ったら「我々はテロに屈しない」と主張し続けることができるのか。「今から1週間以内に1000億円を支払わなければどこかの大都市で核爆発させる」とか「テレビで我々の主張を自由に放映させなければどこかの大都市で核爆発させる」とか脅迫されたらどうするのか。もし彼らの主張を受け入れたら、世界は完全にテロリストに支配される。それは北朝鮮やISによる世界支配かもしれない。受け入れなければ大都市で次々核爆発が起こり止めようがなくなる。

 

そのような地獄の世界に入ってしまうのを止めるのは今が最後のチャンスなのかもしれない。アメリカが北朝鮮を攻撃する場合、北朝鮮がソウルを攻撃し数十万人の犠牲者が出ると言う人がいる。果たしてそうなのか。アメリカの原子力潜水艦からトマホークで核施設を狙った限定的な攻撃であれば、見えない敵に向かって北朝鮮は反撃できない。米軍の地上部隊が北朝鮮に入れば犠牲が大きいし中国からの義勇軍と戦わなければならなくなり、ベトナム戦争の二の舞となるからそれはできないだろうが核施設を狙った限定的な攻撃なら国際的な理解も得やすいのではないか。

 

賊が人質を取るときは2つの場合がある。第一は自らの死を覚悟した反社会的集団でこの場合は攻撃を受ければ人質を容赦なく殺す。第二は自分は死にたくない場合で、近づくと人質を殺すぞと脅す。この場合、攻撃を受けた場合反撃をするとしても人質は殺さない。ペルーの日本大使公邸占拠事件は第一の場合だが、最低限の犠牲者を出すだけで人質は救出されテロリストは全員射殺された。赤軍派による浅間山荘事件は第二の場合であり、人質も赤軍派のメンバーも死ななかった。北朝鮮がソウルを人質に取っているが、これは第二の場合であり、金正恩は死にたくないのだからソウルを火の海になどしない。死にたくないから核ミサイルを開発しているのだから。そもそもソウルを火の海にしても戦争には勝てないし、アメリカから攻撃を受けているときに無関係のソウルを攻撃するというのは戦争に勝つ気はないという意思表示となる。

北朝鮮を武力攻撃する前に、北朝鮮に対する完璧な経済封鎖に成功したら、金正恩政権はそれだけで内部崩壊するかもしれないし、まずそこから始めるべきだろう。更に強力な経済制裁はヘリコプターマネーでありこれも一案だ。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/no246-3e61.html

世界がテロリストに支配される前に何が最善かを真剣に考えて頂きたい。

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2017年8月28日 (月)

エストニアが仮想通貨(=政府貨幣?)を検討する意味(No.263)

エストニアが仮想通貨エストコインを発行することを検討している。これはある意味政府貨幣発行ということになる可能性があり、このコインが世界中で使われ始めたら中央銀行に頼らない通貨発行という可能性になるわけで、極めて興味深い。

エストニアという国は電子化が進んだ国であり日本からも調査団がしばしば訪れている。かつてソ連に支配されていた時代に、人工知能の研究を行っていた研究所が現在のエストニアの首都であるタリン市内にあった。1991年ソ連から独立した後も研究者達はエストニアに留まりエストニアの電子化を進めた。人口130万人だが、1500以上の島があり、面積は九州の1.23倍、人口密度は九州の13分の1程度、銀行に行くのさえ大変だ。そこで様々な分野でも電子化を進めている。

国民に各自IDカードを保有させ、このカードが身分証明証、健康保険証、運転免許証、公共交通機関のチケットの役割を果たす。電子化によりお金を振り込むために銀行に行かなくて良く、銀行取引の99%がネット経由となっている。選挙も電子投票ができ、全体の30.5%が電子投票。外国からでも投票できる。世界のどこからでもエストニアのサービスを享受できる。例えば、日本の自宅から日本人がエストニアの住民登録をしエストニアに会社設立が可能。国の領土が占領されても電子政府は残る。国家にとって領土は重要ではない!

電子申告は税務申告の95%となっていて、ログシステムに記録されたデータを修正するだけでよい。IDにより、給料等収入を行政が把握しているため3~5分あれば税務申告が可能。還付金も3~5日程度で振り込まれる。税理士がいらなくなった。

IDカードが健康保険証になる。国内のどの病院でも無料で受診できる。薬の一部は有料。
まず家庭医にかかり、必要なら専門医にかかる。電子保健記録システム(EHR:Electronic Health Record)があり、重要な個人情報、医療記録、患者の来院および他の保健関連情報を網羅しており、また電子画像管理システムが健康状態を数年間監視しており病院ごとに検査を繰り返す必要はない。ここでもし蓄積された個人情報をビッグデータとして人工知能が判断するようになれば、国民は人工知能と電話で相談できるようになり、徐々に医者の替わりをするようになる。こういったシステムが最初に導入されるのがエストニアであり諸外国にも次々導入されるが、日本に導入されるのはずっと遅れるような気がする。

エストニアはユーロを導入しているが、このような電子社会が確立しているエストニアに仮想通貨が導入されれば、世界に大きなインパクトを与えるだろう。国が保証する通貨なら信認も得られる。為替レートもそれほど大きく変動しないとすれば、国際間で広く決済手段として使われるようになるかもしれない。もしエストニアがAIを駆使した医療相談を国外の人にまで使用できるようにしたら、そこを拠点に飛躍的にその制度が発展し始めるかもしれない。その時、エストニア政府がエストコインを発行し巨額の資金を獲得し、世界のハイテク企業の協力を得て医療のAI化、金融取引のAI化などを一気に進めるかもしれない。そのとき仮想通貨の世界ではエストコインが世界の基軸通貨になるかもしれない。

これは想像にすぎないが、AIの分野では世界とはすでに周回遅れになっている日本が、これによって今度は更に1周遅れることになってしまうのではないかと危惧している。日本もいつでも1円=1エンコインの交換を日本政府が保証する仮想通貨エンコインを発行し新しい財源にしたらどうか。

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2017年8月25日 (金)

ミニマムサプライと国民ファースト(No.262)

人工知能が多くの雇用を奪ったとき、人間は何をすべきなのか。また日本を始め世界各国で社会保障費が膨らむ中、ベーシックインカム(BI)という仕組みが注目されている。これは国が国民全員に毎月一定額を支給するというもの。毎月1万円を支給する場合でも年間14兆円もの財源が必要となる。1万円では暮らせないし、中流以上の家庭では毎月1万円は余り助けにならず、その財源確保に数%もの消費増税が必要になると言われたら、嬉しくないだろう。

この対案がミニマムサプライである。例えば全国に1000カ所の国営商店をつくり、そこで様々な商品を無料で配布する。例えば食料品の場合、古くなった備蓄米、備蓄食糧で食べても全く問題のないものなども考えられる。家庭内にある使わなくなった衣類、日用品、引っ越しなどで不要になったもの等、企業からは「不良品」で商品にはならないが、食べるのに、あるいは使うのには全く支障がないもの等を持ってきてもらい無料配布する。今は物余りの時代で結構集まるのではないか。災害時には支援物資が山ほど送られて来て、被災地は保管場所に困り、引き受け手がない物は金を払って処分している。国が呼びかければかなり集まるだろうし、本当に困っている人は生活に十分な物が手に入る。もちろん、それでも足りないものは国が調達して配布すればよい。過疎地に対しては、トラックに積み込み移動国営商店が回れば良い。住居も国が空き家を買い上げるか借りるかして、必要な人に無料で貸し、共同生活をしてもらえばよい。

1000カ所の国営商店が1カ所について1億円の費用を掛けたとしても、僅か1000億円ですむから随分安上がりだ。生活保護費が3.7兆円であり、これと比べても随分安い。これにより憲法25条にあるように「健康で文化的な最低限度の生活は保証される」と国民は納得するようになる。そうであれば、生活苦や事業の失敗で自殺に追い込まれることもないし、将来年金が減らされても十分生活できるという安心感を与える。膨れあがる社会保障費抑制のヒントになるかもしれない。

もちろん、国営商店によって悪影響を受ける一般の商店や企業はあるし、廃業に追い込まれるところもあるかもしれない。その場合、政府の手厚い援助で、人手を求めている他の業種に転職させるとよい。人手不足に悩む日本だから、それは救いの神になる。外国人労働者を受け入れるよりはるかによい。

将来AI・ロボットにより多くの雇用が奪われたときどうすればよいか。まずミニマムサプライを充実させ、最悪でもある程度の生活は保証されていることを認識させる。そのような世界では、企業は人件費を徹底的に削減できるのだから、莫大な利益を得て巨大独占企業にお金は滞留するから放置すると企業ファーストの社会になってしまう。それを国民ファーストの社会にするには、企業から国民へというお金のスムーズな流れを作り出さねばならない。

第一の方法は法人税だが、法人税を高くすると国際競争力を落とすし、企業は海外へと逃げていく。外国企業も日本に投資しなくなる。また利益をごまかす脱税も横行する。第二の方法は国が企業の株をどんどん買い占めて、配当等で資金を集める方法である。国が企業の経営に口出しをしてしまうと、失敗するから絶対に口出ししないというルールは必要だが、企業から国民へという金の流れを確実にするには、政府が刷ったお金で企業の株を買い占める方法もあるのかもしれない。

ミニマムサプライはベーシックインカムよりはるかに導入しやすいし、貧困を無くすのに絶大の効果を発揮する。

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2017年8月20日 (日)

第142回 日本経済復活の会 開催のお知らせ (No.261)

第142回 日本経済復活の会 開催のお知らせ (No.261)

日本経済復活の会 会長 小野盛司

○日時 平成29年8月27日(日)午後3時~午後6時30分
               (開場2時45分、講演開始3時)
    ※この後、希望者は二次会(食事会)にご参加下さい。

○場所 文京シビックセンター 3F 会議室1
    東京都文京区春日1-26-21 TEL:03-3812-7111

○会費 1000円(資料代を含みます。)

○講師 小野 盛司 日本経済復活の会会長

  会の活動報告、『日本経済復活への道 -お金がなければ刷りなさい-』
  政府は53か月間景気は拡大を続けているとし、2014年度の消費増税でも景気は後退しなかったのだと主張しています。しかし一人当たりの名目GDPは1990年頃世界トップレベルであったのが、最近では先進国では最低に、アジアでもどんどん追い抜かれているのが実情で、日本は急速に貧乏になりつつあります。失われた20年がこのままでは失われ30年へと進んで行きます。世界経済を牽引し始めたAI技術にかけても日本は周回遅れといわれています。財政を拡大すればデフレ脱却・景気回復・財政健全化が一挙に達成されるのに、なぜそれが理解できないのか。我々の戦いはまだまだ続きます。

会長以外の登壇者は未定です。
また日本経済等の事柄に関し、ディスカッションの時間もあります。

当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)宛にお願いします。須田(090-2170-3971)、吉野(080-3312-3485)でも結構です。ご協力お願いします。メール(下記参照)でも結構です。配布物の準備等ありますので、申し込みはできるだけ早めに行って下さるよう、ご協力お願いします。


【ご案内図】   
地図
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【交通機関】 地下鉄 東京メトロ 丸ノ内線・南北線 後楽園駅 4a・5番出口
    都営 三田線・大江戸線 春日駅 文京シビックセンター連絡口
  JR  総武線 水道橋駅 東口

【誰でも参加できます。皆様のご参加をお待ちしております】

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2017年8月14日 (月)

北朝鮮の核ミサイル脅威から世界を救う方法(No.260)

北朝鮮がグアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射を検討していると発表した。この発表が北朝鮮にどのようなメリットをもたらすのだろうか。この脅しでアメリカが軍事的圧力を弱めるとでも思っているのだろうか。北朝鮮にとってこの発表は害あって益なしだ。

オーストラリアのターンブル首相は8月11日、地元ラジオ局のインタビューに応じ、核・ミサイル開発を巡り緊張が高まる北朝鮮情勢について、「もし米国が北朝鮮に攻撃された場合、軍事同盟を発動して米国を支援する」と述べ、有事の際には米軍とともに行動する方針を明らかにした。アメリカの同盟国と言えばイギリスもある。例えばアメリカ・イギリス・オーストラリアの3国同盟で次のような発表をしたらどうなるか思考実験をしてみよう。

北朝鮮が核ミサイル開発を放棄しなければ、1週間以内に3国同盟は北朝鮮をミサイル攻撃する。

この発表前に在韓米軍は一時的に国外に撤退しておくとよい。これに対し、北朝鮮はどう対抗するだろうか。3国同盟を相手に宣戦布告するだろうか。この戦争に勝てるわけが無いのは誰の目にも明かだし、負けるに決まっている戦争を金正恩は始めるわけがない。ソウルを火の海にするぞと脅すかもしれないが、ソウルは3国同盟に入っていないし在韓米軍の撤退後だから関係無い。北朝鮮は大敗して悲惨な結果になるのは明かだ。もちろん金正恩は生き残れない。彼が正常な感覚の持ち主であれば、彼は開戦より降伏を選ぶだろう。開戦は彼にとっては事実上自爆攻撃だし、死を意味する。彼が死を覚悟しているのであれば、核ミサイル開発などするわけがない。核ミサイル開発はアメリカの攻撃から自分を守りたいから行っているのだから。彼を支える軍や指導部も全員が死を覚悟しているとは思えない。3国同盟相手に戦争をやるくらいなら、彼を殺して生き延びたいと考える人は多数いるはずだから、彼の無謀な命令に従わない可能性は高い。

彼の周辺の人々がすべて自爆攻撃を支持し、意味も無くソウルを核攻撃してくる可能性は極めて低いがゼロではない。その場合でもミサイルは撃墜できる。極めて可能性は低いが最悪の場合、百万人単位の犠牲者が出る可能性は否定できないが、もし現状を放置しておけば金正恩は自信を深め、更に核ミサイルの開発を進め更に大きな被害を世界にもたらす可能性が大きい。北朝鮮軍が核攻撃で脅しながら韓国や日本に侵入しても誰も抵抗できないのだろうか。つまり現状を放置すれば、北朝鮮の脅威は年々雪だるま式に拡大する。決断は早ければ早いほど被害は少なくて済む。

どうしても怖くて北朝鮮へのミサイル攻撃に踏み切れないというのであれば、次善の策は3国同盟で北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使って空からばらまいて経済的混乱を引き起こすことだ。これなら核で反撃することもないだろう。本物と全く区別の付かない北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使い北朝鮮全土にばらまくとよい。そうでなくても物不足の北朝鮮の物不足に拍車をかける。カネを受け取った民衆は買い溜めに走り、軍や指導部、支配階級達の経済的地位を下げる。すでにガソリンが欠乏しているそうで、ガソリンが無ければ戦車も動かないだろう。カネに加え、チラシもばらまく。核戦争になっても、通常兵器での戦争になっても、北朝鮮は3国同盟に勝てないので、悲惨な敗戦になることを、そして武器を捨てれば諸外国のような繁栄が待っていることを国民に知らせるとよい。そして3国同盟による断首作戦に協力した者には、巨額の報償金を与えると約束すれば良い。

いずれにせよ、決断の時は迫っている。

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デフレ脱却が実現すれば、生活がよくなるのはなぜか(No.259)

1960年代や1970年代の高度成長時代は、新しい機械を入れて生産性が上がれば、そのままGDPの上昇に繋がった。生産量が増え、売上げが増え、GDPが増加した。それには持続的な需要の増加があったからで、企業が利益が上がった分、賃上げを毎年行っていた。賃上げなしには十分な従業員の確保ができなかったし、将来の需要増加が見込めたので賃上げを行い続けることはリスクではなかった。

20年近くデフレから脱却できないでいる現代は事情が違う。新しい機械、ロボット、AIを導入して生産性を上げるだけではGDPは伸びない。消費・需要は増えない事を国民は知っている。だから経営者は生産量を増やし売上げを増やすというより、むしろ人を減らして利益を増やすことを考える。かつて過大な設備投資をし、失敗した経験が大規模な投資を躊躇させる。賃金を上げ、人を大幅に増やしても利益は伸びないことを知っている。日本経済は拡大しないことを知っているからだ。

つまり高度成長期には、人は経済は発展するしこれから我々の暮らしは豊かになると信じていたからその通りになった。デフレ期には人は日本経済は拡大しないしこれから我々の暮らしは悪くなると考えていたからその通りになった。つまり人が考えている通りになり失われた20年の間日本は貧乏になり続けた。もし何らかの方法で現代の人にこれから日本は発展するし、生活も楽になると思い込ませることができれば、それが実際に実現する。これは集団催眠である。そのような集団催眠を掛ける方法があるのかと言えばある。それが積極財政・財政拡大政策である。

現在の日本はデフレマインドが支配している。これを変えるのに、異次元金融緩和では十分ではなかった。減税や歳出拡大を国民がびっくりするほどの規模で行えば人の考えは変わる。減税は可処分所得を増やし消費を刺激し、歳出拡大は経済を活性化する。政府は財政規律など守る気はないと国民が思い始めるとインフレ率が上がり始める。減税や財政拡大の規模を調整すれば、目標とするインフレ率、GDP成長率の達成は可能だ。

こう言うと経済音痴の人から反論(脅迫じみた)が来る。「ハイパーインフレになるぞ」
「国債が暴落するぞ」「円が暴落するぞ」「財政が破綻するぞ」など、連中は脅しの文章を豊富に用意している。国は通貨発行権を持っており、いくら借金が多額でも財政破綻はしない。しかし通貨を発行するとハイパーインフレになると脅すがハイパーインフレを防ぐ手段はいくらでもある。「増税・金利引き上げ・預金準備率引き上げ・売りオペ・安い輸入品を入れる」などである。そもそもハイパーインフレは敗戦の極端な物不足が原因していることがほとんどであり、今の日本では起こり得ないことは政府も質問主意書の答弁書で認めた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-aa89.html

それでも心配性の人は国がこれ以上借金をしたらやがて返せなくなるのではないかと思っている。「返せなくなる」という意味は国が発行する国債を買う人がいなくなり政府が資金不足で破綻するのではないかという心配だ。しかし、銀行などが国が発行する国債を買えば、直ぐに日銀がその国債をもっと高い値段で買ってくれるのだから銀行にとってこんな利益が確実な取引は無い。国が値上がりが確実だと保証している国債が売れなくなるわけがない。

結論は、大規模な減税・財政拡大政策を直ちに始めるべきであり、それが日本を再び成長する国に変身させる。7月31日に出されたIMFの年次報告書は日本に対し「短期的な財政刺激策が経済成長と物価の押し上げにつながる」と述べている。

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