経済・政治・国際

2017年3月27日 (月)

トランプさん、お金がなければ刷りなさい(No.241)

オバマケア代替法案が撤回された。就任後失敗続きのトランプ大統領にとって、更なる大打撃となった。共和党は上院・下院で過半数の議席を持ちながら、共和党内での支持が十分得られなかったわけである。元々、共和党はオバマケア反対で一致していたのだから、それを変えることは最も簡単に実現できる公約だったはずだったから、トランプ氏は選挙戦でこの改廃を最重要公約としていたが、議会対策に失敗した。オバマケアの見直しで捻出できる財源は1兆ドル(約110兆円)と言われ、インフラ投資や法人税減税に当てるはずだった。オバマケア代替法案延期で、今度は同様に議会の承認が必要な大型減税を含む税制改革の実現が危ぶまれトランプ氏への期待がしぼむ可能性がある。

CNNの世論調査によればトランプ大統領の支持率は37%まで下がったことが3月21日までに分かった。不支持率は58%だった。オバマケア代替法案の撤回は支持率の下落に更に拍車をかけるだろう。入国禁止令も地裁と控訴審で敗訴し取り下げ、その後改良版を再提出したが、それも再び地裁で敗訴しストップしている。

予算案の一部が発表された。年間予算約4兆ドルのうちの1兆ドルの分の使途を決めている。予算案の段階だが、軍事予算や国土安全保障予算を増大させた分、低所得高齢者向けの食事提供事業をはじめ地方空港や下水道設備、長距離鉄道路線への補助金等が削減されている。具体的には軍事費、国土安全保障費、退役軍人費が6~10%の大幅増に対し環境保健省、国務省、農務省、労務省、司法省の予算は20~31%削減、保健福祉省、商務省、教育省、運輸省、住宅都市開発省は10~20%削減、エネルギー省、財務省、宇宙航空局は1~6%の削減となっている。この緊縮予算は民主党だけでなく、共和党からの反発の声が上がっている。非国防予算でこれだけの緊縮予算を提案した大統領は近年いない。大規模な予算削減は大規模なリストラとなり、トランプ氏の掲げる雇用創出に矛盾する。身内の共和党からも批判が噴出し、予算化される見通しは立たない。メキシコとの国境に壁をつくる費用は4600億円でメキシコに払わせると主張していたが、これも他の予算を削って財源を捻出するとなると、国民の不信が高まるだろう。

1月に就任したトランプ大統領だが、早くも大きな壁にぶつかっている。与党内に政治基盤を持たないという問題もあるが、やはり最大の問題は公約実行のための財源のようだ。これはかつての日本の民主党政権誕生の時と事情が似ている。このまま何もしなければ公約違反で支持率が急落しレームダック化する。日本の民主党政権のように、「決められない政治」「相次ぐ離党者」「選挙で大敗」や更にトランプ大統領の辞職の可能性さえある。トランプ氏にアドバイスしたいことは「お金がなければ刷りなさい」ということだ。これは企業の経営ではなく、通貨発行権を有する政府の経済運営だ。お金は人体における血液のようなもの。子どもが成長するには、血液も増やしていく必要がある。国を成長させるために必要な成長通貨を供給できるのは政府・中央銀行しかない。具体的には国債を発行し、財源を確保し財政赤字を拡大する。均衡予算を放棄すれば、公約の大規模インフラ投資も大規模減税も容易に実現可能だ。これは企業の借金とは全く異なり、独自通貨を保有する国の持つ固有の権利だ。保護貿易をしなくても、カネさえあればいくらでも雇用は創出できる。貿易赤字も気にしなくても良い。基軸通貨であるドルの増刷は世界経済の発展に貢献する。

多少インフレ率が上振れするかもしれないが、金利引き上げ等、景気過熱を防ぐ様々な手段がある。国債価格の下落があるとしても暴落ではない。そこで生じる様々な問題はカネで解決できる。政府は国債発行により無限にカネを調達できるのだから。

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2017年3月20日 (月)

政府は激しいインフレの意味を誤解し言論統制を行っている(No.240)

政府は3月14日の経済財政諮問会議に米コロンビア大学のスティグリッツ教授を招き議論した。彼は消費増税は財政赤字解消には逆効果だと述べ、日銀保有の国債を永久債に組み替えよと主張した。今年中に日銀保有の国債は500兆円を超えると言われており、それを永久国債に組み替え事実上国の借金でなくなれば、日本に重くのしかかっていた1000兆円の借金が半減するわけであり、財政拡大の自由度が拡大する。

これとほとんど同じ提案が福田昭夫議員の質問主意書で出されていて、彼はこの組み替えを「コンバート」と呼んだ。政府答弁ではコンバートを行えば通貨の信認が失われ激しいインフレになるとされている。ただし、需要・消費は伸びないし、輸入品の値上がりによるインフレではないとしている。これは需要と供給の関係を全く無視した答弁であり、明らかに政府は間違えており、次に予想される質問への答弁に困った政府は福田議員にこれ以上質問ができないようにした。これは明かに重大な憲法違反の言論統制であり、断じて許すことができない。

3月14日の日経新聞の「経済教室」で池尾和人氏がこの議論に関連していそうなコメントを書いている。彼は、近い将来日本で起きると思われる激しいインフレは1980年代後半に起きたブラジルのハイパーインフレと似ているだろうとしている。しかし、当時のブラジルと現在の日本とは全く異なっており、あのようなハイパーインフレが日本で起きる可能性は全く無い。当時のブラジルでは将来の発展に向け、工作機械や原材料となる中間財を外国から輸入する政策を推進しており、貿易収支が悪化していた。輸入に必要な資金を外国からの借り入れに頼っていた。

1970年に約10億ドルあった対外債務残高は、1980年には約80億ドルにまで膨れあがっていた。国内消費の80%分の原油を輸入していたのだが、オイルショックで原油価格が急騰し外貨準備が急減した。積極財政で外貨が不足し始め輸入が途絶え極端な物不足となりインフレ率が急上昇。通貨の下落で対外債務は更に増加した。物価スライド制でインフレになればインフレ率にスライドして賃金、消費財などすべて価格は調整されていた。物価が2倍になれば賃金も2倍になるので、それほど困らず国民はインフレに慣れてしまっていたのかもしれない。物価スライド制を維持するには、財政赤字もそれに見合うように拡大する必要があり、制御不能なインフレを招いた。

こんなことが日本で起きる可能性は全く無い。日本には外貨がたっぷりあり、しかも日本円は国際通貨であり、世界一安全資産の一つと考えられているので、「外貨不足」で輸入が途絶える可能性はなく、輸入の停止による深刻な物不足など起こり得ない。日本で消費増税を断念し積極財政を行えば、じわりと消費・需要が拡大し、ゆっくりとインフレ率が高まっていくだけだ。輸入が停止しない限り急激なインフレは起こらない。インフレが行き過ぎたら、財政を緊縮気味にするだけで過熱は防げる。ブラジルのように行き過ぎたインフレに対して、更に財政を拡大しなければならぬような制度にはなっていない。逆に日本の場合、インフレが進み賃金が上昇してくると、累進課税なので、所得税が大幅に増えてきて、インフレにブレーキが掛かる仕組みになっていて、この点でもブラジルと正反対だ。

政府は言論統制で、国民の声を封じるのでなく、国民と共に日本経済を復活させる道筋を検討すべきではないか。

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2017年3月16日 (木)

通貨の信認が失われれば激しいインフレになるのか。(No.239)

2002年筆者は日経NEEDSという日経が開発したモデルを使って日本経済に関する試算をした。財政を拡大したら、日本経済はどうなるかという試算である。財政の拡大規模を10,20,30,40,50兆円の5通りとし、拡大の期間は5年間とした。それまで多くの識者に広く信じられていたことは、財政規模を拡大すれば、円の信認が失われ、円が暴落し国債が暴落し激しいインフレを招くということだった。しかし、日経モデルの結果によれば、そんなインフレなどない。極端な例として所得税も法人税も消費税もほぼゼロにするくらいの大減税で、どのくらいのインフレ率になるのか日経に計算してもらったが、景気は大きく回復するものの、インフレ率は5年間平均で僅か0.5%というものだった。この試算をどう思いますかとノーベル経済学賞受賞者のポール・サミュエルソンに聞いたら、インフレ率は気にしなくて良い。重要なのは景気回復なのだからと答えておられた。

日経もこういった分析をしておきながら、これを公表するのを嫌がる。カネを払って計算してもらったのに、試算結果を公表するなと圧力を掛けてきた。政府の政策が間違えていることを示す結果であり、公表すると政府からの委託を受けられなくなると考えたのだろう。日経新聞社で開かれたマクロモデルの専門家が集まる研究会で筆者が内閣府の試算に批判したのだが、内閣府は筆者をこの研究会に参加させるなと日経新聞社に圧力を掛けてきた。

質問主意書を使い、政府の考え「通貨の信認が失われれば激しいインフレになる」という政府の説は正しくないという追求が福田昭夫議員により行われた。政府は、通貨の信認が失われれば激しいインフレになるのだが、一方では消費・需要は伸びないと主張した。しかしながら、内閣府の経済モデルでも日経の経済モデルでも、それはあり得ない。物価は需要と供給の関係で決まるからだ。円の信認が失われ円安となり、輸入物価の上昇のお陰で激しいインフレになるのかと聞くと、そうではないと答えた。当然だ。アベノミクスでは1ドルが80円から120円になり、円は大きく下落したが、激しいインフレどころかデフレ脱却すらできなかった。だったらなぜ激しいインフレになるというのか。この質問に答えられなくなった政府は福田議員に圧力を掛け質問主意書を出せなくした。公然と憲法違反の言論弾圧を行っている。これで日本は自由主義と言えるだろうか。

この問題は20年間議論されてきたことだ。人は真剣に議論をしようとせず、「激しいインフレなど起こらない」と主張しようとすると、言論弾圧で黙らせる。こんなことを繰り返しているから、いつまで経ってもデフレ脱却ができない。デフレが日本を衰退させた。シャープは鴻海に買収され、東芝も危ない。アメリカにはアップル、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックなど巨大ハイテク企業が次々誕生した。デフレになる前の1989年には企業の時価総額ランキングの20位以内に日本企業は14社も入っていたが今は一社もいない。日本トップのトヨタですら37位にまで落ちた。

財政を拡大すれば景気がよくなりデフレから脱却できることは誰もが知っている。なぜやらなかと言えば、通貨の信認が失われ激しいインフレになるからだと言う。しかし、激しいインフレになるためには、需要が激増しなくては無理だ。米、自動車、電気、書籍などの需要が激増するのは無理だと誰もが知っている。需要激増のためには可処分所得の激増が必要だが通貨の信認が失われただけではそれも難しい。激しいインフレなどという妄想から決別し、財政拡大がもたらす緩やかな可処分所得の増加によるゆるやかなインフレを待つべきではないか。

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2017年3月 9日 (木)

第140回 日本経済復活の会定例会(No.238)

日本経済復活の会 会長 小野盛司

講師 小野 盛司 日本経済復活の会会長 
     会の活動報告、『日本経済復活への道 -刷ったお金は使いなさい-』

     会長以外の登壇者は未定です。
     また日本経済等の事柄に関し、ディスカッションの時間もあります。
    

○ 日時 平成29年4月29日(土)午後3:00時~午後6:30時
                 (開場2:45、講演開始3:00)
     この後、希望者は二次会(食事会)にご参加下さい。

○ 場所 東京都文京区春日1‐16‐21 文京シビックセンター 4階 区民会議室 会議室B
TEL 03-3812-7111

○ 会費 1000円(資料代を含みます。)当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)宛にお願いします。須田(090-2170-3971)、吉野(080-3312-3485)、メール(sono@tek.jp)でも結構です。ご協力お願いします。

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東京メトロ後楽園駅・丸の内線(4a・5番出口)南北線(5番出口)徒歩1分
都営地下鉄春日駅三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分
JR総武線水道橋駅(東口)徒歩9分

日本経済復活の会のホームページと連絡先    担当 小野盛司   http://tek.jp/p/
TEL:03-3823-5233
FAX:03-3823-5231

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2017年3月 6日 (月)

政府はもっと経済学を勉強しなさい(No.237)

よく中国の経済統計は信頼性に欠くと言う人がいる。でも経済成長率予測では、予測された数字と実際との差は小さい。これは日本と大違いだ。日本の場合はいつも名目3%成長すると言っていて、それが現実はほぼ0%成長になってしまうという状態がずっと続いている。その結果現在の名目GDPは20年前のGDPとほとんど変わっていない。もし20年前から3%成長を続けていたら、現在のGDPはほぼ1000兆円になっていたに違いないのだが、成長率予測が外れまくって、現在に至っている。0%成長と言い続けていた方が余程正確な予測だっただろうし、中国などに比べ内閣府の経済予測能力はケタ違いに低い。GDPが1000兆円ということは、今より2倍豊かになっていたということだ。

成長率を上げるのは簡単だ。財政を拡大するだけで十分であり、我々はそれを一貫して主張してきた。なぜそうしないのかと言えば、財政を拡大しても経済の拡大は一時的で元に戻せばまた成長しなくなるからという。しかし、どこの国でも財政はずっと拡大しつづけているから経済は拡大をつづけるのであり、「元に戻す」必要はないのだ。質問主意書という形で政府に質問し、その答弁書から明かになったことだが政府は需要と供給の関係を正しく理解していない。政府が信じている経済学によれば、価格は需要と供給の関係だけで決まるのでは(なく、通貨の信認が決定的な役割を演じるそうだ。国債を多く発行すれば通貨の信認が失われ激しいインフレになるという。それなら日銀が保有する国債を無利子・無期限のものに替えてやれば(コンバートということにする)、それはもう国の借金ではなくなるので、通貨の信認は取り戻せるだろうと聞くと、無利子・無期限の国債は価値がないなどと見当違いの答弁をする。それなら政府が価値があると認めている政府貨幣か政府紙幣との交換(コンバート)でよいだろう。通貨の信認が失われれば消費・需要は伸びなくても激しいインフレになると政府は主張する。

こんなインチキ経済学を政府が信じているために、国民は失われた20年という地獄を経験した。日本経済を復活させるには、この経済学がインチキだと国民に気付かさなければならない。政府の信じている経済学に従うと、売上げが伸びなくて苦しんでいる商店、デパートなどが、通貨の信認が失われたとして突然大幅値上げをするというのだ。政府は国民の気持を理解していない。物が売れない時にコンバートがあったからと言って2倍、3倍も値段を上げるわけがない。要するに政府は国民が売上げが伸びない環境でも必死で生き残ろうとしている厳しい状況を全く理解していない。国民の心を理解できずに経済財政政策がうまくいくわけがない。

平成14年5月9日の日経新聞でのノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツの政府貨幣発行に関する発言に注目して頂きたい。「増発された紙幣は消費を刺激せず、インフレにつながるだけだとする矛盾に満ちた主張も一部に見受けられる。消費に回らなければ、どうやってインフレを促進することになるのか。」要するに、スティグリッツ氏が政府貨幣を発行して景気を刺激せよと提言したとき、馬鹿な連中はそんなことすれば通貨の信認が失われてインフレになるが、消費はのびないというあり得ない説を唱えた。あのとき彼の提言を受け入れ政府貨幣を発行して景気を刺激していたら、最低3%成長は可能であったから今頃はGDP750兆円の繁栄を享受していたに違いない。国の借金の問題も忘れ去られていただろうし、年金制度が維持できるのかと心配する人もいなくなっていただろう。

政府は間違えた経済理論に基づいてデフレ脱却を目指しながら緊縮財政を行うという危険な、社会実験を行っている。一刻も早く間違いに気付いて欲しいと願う。

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2017年2月27日 (月)

AIに仕事を奪われても困らない理由(236)

AIあるいはITが近い将来仕事を奪うことを過度に心配する人がいる。「悪くすると」100%の仕事を奪われたら人間は全員失業するから飢え死にするしかないと考えているのだろうか。人工知能にできない仕事をすればよいかもしれないが、そんな仕事などないかもしれない。

ちょっと待って欲しい。人類はもともと狩をしたり、木の実を探したりして暮らしていた。その頃は全員が失業者だった。でも全員が飢え死にしたわけではない。誰かに雇われなくても食べ物を確保できれば生きていけたのだ。未来の世界ではAIやITが我々が必要とするものをすべて作ってくれるとしたら、それを人が入手できるような仕組みをつくるだけで誰もが生きていけるのだ。筆者は「労働はロボットに、人間は貴族に」という世界は必ず実現可能であり、その方向に向かって社会を変えていかねばならないと主張する。

労働がAIやITに奪われることの意味を次のように考えてみよう。若い人には分からないかもしれないが、筆者が小学校の頃は、家庭内で行う「労働」は沢山あった。風呂を沸かすときは、まずつるべ井戸で水をつり上げ、それをバケツに移し、何度も風呂まで運んだ。十分水が風呂に入ると、風呂を焚く。まず新聞を燃やし、それで細い木に火をつけ、次に太い薪(まき)を燃やす。薪が燃え尽きる前に新しい薪を入れる。何度も温度を確かめ、熱すぎたら水で薄める。これでやっと風呂の準備ができた。今はスイッチ一つで適温で適量の湯が準備できる。父は小さな木材業を営んでいた。時々まとまった仕事が入ると、バイトの人を呼びに行かなければならなかったが、それは小学生の私の仕事だった。バイトの人の家は3km位離れていて山を越えて行かなければならなかった。「明日来て下さい」と言うためだけに、遠い所まで歩いて行かなければならなかった。今なら電話でもメールでも使えば30秒もかからない。洗濯だって洗濯板での洗濯は大変だった。今なら全自動の洗濯機に入れるだけで洗濯も乾燥もやってくれる。

つまり沢山あった仕事(労働)がITや機械に奪われてしまった。それが大変悪い結果をもたらしただろうか。いや、その替わりにテレビが見れるし、友人と話しをすることもできるし、習い事や塾などに行くこともできる。かつては家庭内の仕事をしなければ、母は食べさせてくれなかったかもしれないが、その仕事がITに奪われた。その結果として「仕事をしなくなったからあなたには食事をあげません」と母は言わない。単に家庭内のルールが変わって、仕事が奪われても食べさせてもらえるようになっただけだ。

これと同じだ。「仕事」をしないからと言って「食うべからず」などと言わない社会システムを作ればよいだけだ。あるいは今では仕事と言わないような仕事を、仕事だと定義し、給料を払えば良い。政府が発想の転換をすることだ。これは日本政府にもトランプ氏にも言える。製造業で働かせることだけが「仕事」ではない。政府はいくらでもお金を作り出すことができることを忘れてはいけない。まずやるべき事は、AIに巨額投資をしてAIの進歩を加速し、人からどんどん仕事を奪うとよい。それを放置すれば、失業者が増えるが、政府がお金を作って使えば、政府支出を拡大することができ、新たな職を増やす事ができ,失業者を吸収できる。

政府が1000兆円の国の借金を返すことばかり考えていたら日本国民は大変な苦痛を味わうだけでなく、借金は永遠に返せない。しかし、国が通貨発行権を行使すれば国の借金の「返済」は瞬時に終わり、通貨の信認を確保したまま、豊かな未来へと日本を導くことができる。

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2017年2月18日 (土)

第139回 日本経済復活の会定例会(No.235)

講師 小野 盛司 日本経済復活の会会長 
会の活動報告、『日本経済復活への道 -刷ったお金は使いなさい-』

   会長以外の登壇者は未定です。
   また日本経済等の事柄に関し、ディスカッションの時間もあります。
    

○ 日時 平成29年2月25日(土)午後5:40時~午後9:30時
                 (開場5:30、講演開始5:40)

○ 場所 東京都文京区本郷4-15-14 文京区民センター 2-B会議室 
TEL 03-3814-6731

○ 会費 1000円(資料代を含みます。)当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)宛にお願いします。メール(sono@tek.jp)でも結構です。ご協力お願いします。  

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文京区民センター
TEL 3814-6731

●地下鉄丸の内線後楽園駅「4b」 出口徒歩5分
●地下鉄南北線後楽園駅「6」出口徒歩5分
●都営三田線、都営大江戸線
春日駅「A2」出口徒歩0分
●JR水道橋駅東口出口徒歩10分
●都バス(都02・都02乙・
上69・上60)
 春日駅前徒歩1分

日本経済復活の会のホームページと連絡先
http://tek.jp/p/
TEL:03-3823-5233
FAX:03-3823-5231
担当 小野盛司

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2017年1月27日 (金)

内閣府計量分析室(オオカミ少年)がまた試算を発表した(No.234)

1月25日、例年のごとく内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」を発表した。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h29chuuchouki1.pdf
いつも見当違いの高成長を予測し、毎回大きく外れているので「オオカミ少年」とか「大本営発表」とか「狂った羅針盤」とか呼ばれている。筆者は毎回内閣府に電話し厳重に注意しているが、反省の色は全くなく、国民を騙す意図がありありと見える。

残念ながらマスコミはすっかりこのような子供だましの試算にすっかり踊らされているようだ。例えば日経新聞では「20年度黒字化困難に」「基礎的財政収支赤字拡大8.3兆円」という見出しのトップ記事が26日に出た。マスコミは試算に騙されて、あたかも増税や歳出削減が足りないから基礎的財政収支(PB)の赤字が拡大するかのように言うが、実際は単に内閣府の試算が嘘を言っているだけだ。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-9754.html

なぜPBの赤字が拡大したかと言えば、税収が減ったから。なぜ税収が減ったのかと内閣府に聞いたら2016年度の成長率が落ちたからだという。今回の発表で2015年度の名目成長率は2.8%だが、2016年度は1.5%に下がった。1年前には2016年度の成長率は3.1%を予測していたから、大幅な下落(下振れ)だ。これぞ真に内閣府がオオカミ少年と呼ばれる所以だ。「来年こそは日本経済は大きく発展します」と予測し、来年になると、間違いでした、でも次の年はきっと大発展するでしょうと言う。オオカミ少年は毎年同じ嘘を言い続けているのに、なぜ、国民も政府もマスコミも騙され続けているのだろう。

反論する人がいるかもしれない。2015年度は2.8%成長していたのだから、2016年度は3.1%成長と予測しても不思議ではないと。しかしそれはおかしい。なぜなら内閣府は2015年度の名目GDPの成長の大部分は輸入価格の下落、主に原油価格の下落によるものだと言っている。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2016/qe161/pdf/gaiyou1611.pdf#search=%272016%E5%B9%B4%EF%BC%91%EF%BD%9E%EF%BC%93%E6%9C%88%E6%9C%9F%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%E5%88%A5%EF%BC%A7%EF%BC%A4%EF%BC%B0%E9%80%9F%E5%A0%B1%27

原油は1バレル当たり100ドルから50ドルに値下がりした。それが翌年も続いたら原油はタダになってしまい、値下がりは止まることは容易に推測できた。つまり2016年度に3.1%成長させるには原油をタダにしなければならないし、それはあり得なかったのだから当然3.1%成長でなく1.5%成長は予測できたはずだ。だからこれから内閣府はオオカミ少年という名称に変えるべきだ。国民を騙していることを簡単に知るには次のグラフを見ると良い。

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地を這うような2本の黒い線は、実際の名目GDPの推移である。GDPの計算方法が変わり、下の線が従来の方法で計算したもので、上の線が新しい計算方法で計算したもの。アベノミクスが始まった2013年度から上昇に転じているように見えるが注意が必要だ。2014年度は消費税が5%から8%に上がり、物価がかさ上げされた。そのお陰で、GDPもゲタをはいたのであり、これは誰も望まない悪い物価高、歓迎されないGDPの伸びでありこのゲタは10兆円程度ある。2015年度は先程述べた原油価格の下落によるゲタであり、アベノミクスの成果とは言えない。安倍総理はアベノミクスで44兆円GDPが増加したと口癖のように言うが、国民を騙すのを止め、44兆円のうちで、アベノミクスの成果はかさ上げされた部分を除くといくらになるのか明かにすべきだ。実際はアベノミクスでは先進国では最低レベルの成長しかしていない。

上図で右上がりの線がたくさん引かれている。これらは各年度で発表された名目GDPの予測だ。毎年3%成長するだろうとして右上がりの線を引っ張っているからこのようになる。今年発表になったのは黒い点線だ。今年のものは新しいGDPの計算法で、それ以前のものは古いGDPの計算法で示してある。本当に3%成長をすれば、600兆円、700兆円はあっという間に到達するのだが、2015年度のGDPですら1997年度のGDPより低い。つまり20年前のGDPの水準さえ達していないというあわれなマイナス成長だ。こんな馬鹿なことをやっている国は世界中探しても無い。3%成長は夢の又夢だ。これだけの低成長を続けているのに、なぜ低成長の予測を出さぬのかと聞くと、彼らは政府は3%成長だと言っているのでそういった予測しか出せないと言う。つまり国民を騙す予測を出すように強要されている。

その最大のネックになっているのが、基礎的財政収支の黒字化という目標だ。目標達成のためには増税と歳出削減が必要だという。それも欺瞞的な内閣府試算(上図を見れば、この試算はデタラメであるのは明か)を元に緊縮財政が必要だと論じる。例えば今年の試算に騙された日経は「20年度黒字化困難に」「基礎的財政収支赤字拡大8.3兆円」と言った。ではどうして8.3兆円に赤字が拡大したかはすでに述べたように「今は経済は停滞してますが、来年は一気に成長します」という決まり文句が根底にある。来年になればまた同じ下方修正をすればよいだけ。なぜ、国民は、いや日経までもがそのトリックに気付かずあのようなトップ記事を書いてしまうのだろうか。

今回の発表で是非注目して頂きたいのは国債費の大幅な減少だ。例えば2024年の予測では、国債費は42.4兆円であった。1年前の試算では52.9兆円と予測していたから約20%もの減少だ。これは「長期金利を0%程度に誘導する」という日銀の新しい金融目標の効果と言える。金利がかなり長い間低い水準に抑えられると予測し、そのお陰で国債費は大きく減少するということだ。

最後に次のグラフを見て頂きたい。これは財政赤字と国の債務のGDP比の関係だ。

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2025年まで大幅な財政赤字は続き国の債務は増加を続けるのだが、国の債務のGDP比は確実に減っていく。これを見れば、「基礎的財政収支や財政収支の赤字など気にしなくて良い。国の債務のGDP比さえ減ればいいんだから」という議論が成り立つ。それはGDPが増加するからそう言えるのである。積極財政で名目GDPが増えれば、間違いなく債務のGDP比を減らすことができる。これはどこの国でもやっていることだ。国の借金の増加など気にせず経済成長第一の政策に転換すべきだ。トランプ大統領と歩調を合わせ思い切った積極財政政策への転換を期待する。現在のような緊縮財政を続けるならGDPは伸びないから、債務のGDP比は増え続けるのだということは注意したい。

 

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2017年1月25日 (水)

アメリカ大統領は本当にトランプでよいのか(No.233)

トランプ氏の大統領就任時の支持率は40%で不支持が54%、就任翌日には全米で数百万人の反トランプデモが行われ、反トランプデモは世界各地でも行われた。人種差別主義者の彼はいつどこで襲われるかもしれない恐怖の中で暮らさなければならないだろう。大統領選挙でもトランプ氏はクリントン氏に300万票差で負けていた。トランプ氏を大統領にしてしまったのは、偏ったアメリカの報道である。彼の考えはどんなパブリシティーも得になるということ。ネガティブな報道が彼を有名にした。ネガティブな話題でも報道されないよりずっといい。スキャンダルでも報道されれば、人は彼に注目し、それが票に繋がった。

クリントン氏の失敗はトランプ氏の政策の間違いを話題にし過ぎたことだ。結果としてトランプ氏の政策ばかりが報道された。トランプ氏の政策は余り触れずに自分の政策を中心にアピールし続ければ勝っていた。

トランプ氏の致命的な過ちは、製造業が「衰退」したのは工場がメキシコに移ってしまったと思い込んでしまったことだ。過去25年でアメリカの製造業雇用は500万人減少したが、NAFTAで増えたメキシコの製造業の雇用の増加は50~80万人にすぎない。アメリカ製造業の雇用減少は機械化、IT化である。実際、製造業は衰退しておらず、鉱工業生産指数は増え続けている。つまり生産性が向上し少ない人数でより多くの生産ができるようになっただけだ。この傾向は誰にも止められず、『労働はロボットに、人間は貴族に』の世界へと移っていく。

単純素朴に考えてもトランプ氏の考えが間違いであることはすぐ分かる。ある企業がある機械を製造しようとしたとする。部品を輸入するときメキシコ製や中国製を使わず、割高なアメリカ製を使えと政府から言われたら、割高な製品となり、アメリカの消費者は割高な製品を買うことにより実質所得が減り貧乏になる。割高な製品は国際競争力を失い売上げも利益も減少し、リストラをしなければならなくなり、多数の雇用が失われる。またそのような部品もアメリカで製造しなければならないのであれば、そのような工場はメキシコや中国との競争に晒され、賃金を低く抑えなくてはならなくなる。100円ショップ(米国ではダラーショップ)の経営は成り立たなくなるし、消費者は割高のものばかり買わされる。

そんな質の低い雇用を増やすべきではない。これからのアメリカ経済を牽引するのはハイテク企業である。アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどのような新しいハイテク産業に巨額投資をして雇用を作り出した方が国民を豊かにする。国際競争力があるので、メキシコなどと賃下げ競争をする必要はない。ハイテク産業は高度な技術者だけを採用するだろうか。そうでもない。人工知能にはビッグデータが必要だし、それは人海戦術で蓄積していくしかないので広範囲の人材が必要となる。

ほぼ完全雇用の状態のアメリカに必要なことは質の悪い雇用を増やすことではない。むしろ、質の悪い雇用を質の高い雇用に置き換えることだ。アメリカにはゴーストタウンはたくさんある。大統領のやらなければならぬことは、時代遅れの廃れた産業を復活することではなく、未来を切り開く新しい産業を更に発展させることだ。基軸通貨国であるアメリカは貿易赤字で世界経済に成長通貨を供給する義務があることを忘れてはならない。

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2017年1月 9日 (月)

トランプノミクスで経済はどうなるか(No.231)

トランプ次期米大統領がどのような政策を打ち出すのか世界が固唾を呑んで見守っている。円安・株高で、一見望ましい方向に進んでいるようにも見える。10年間で6兆ドル(約700兆円)の減税を行い、法人税は35%から15%に下げ、所得税も下げるという。  日本は法人税を37%から29.97%に下げたばかりだ。10年で1兆ドル(117兆円)のインフラ投資をすると言い、民間投資も活用するのだそうだ。

このように勇ましい積極財政であれば、デフレ気味の世界経済に好影響をもたらしそうだが、財政赤字を拡大して(つまりお金を刷って)行う積極財政ではなく均衡財政を保ちながら行うという。財源を彼が見いだせるとは思えない。米企業が海外にためた300兆円弱もの資金を米国に還流させ、国内投資を増やすのだそうだ。このお金は彼が自由にできるお金ではない。ドルを一気に米国に還流されればインフレとドル高で米企業が競争力を失う。企業の収支とは全く異なる。それよりFRBがドルを刷ったほうがずっとよい。それならドル安が進みアメリカ企業は競争力を増す。米国政府が自由になるお金なので、IT,AI,IoT等、アメリカの将来を見据えて投資すればよい。

刷ったドルで海外の資産を買いまくることもでき、アメリカが世界の警察官を続けることができる。アメリカの若者を送り出すのが嫌なら傭兵でも構わない。経常赤字・財政赤字・貿易赤字になるだろうが、それが世界経済に成長通貨を提供しデフレ気味の世界経済を活性化する。「お金がなければ刷りなさい」とトランプ氏に教えればよい。

彼は雇用創出にやけに熱心だ。2500万人の雇用を創出するという。800万人しか失業者がいないので、本当にそうなれば労働者と取り合いでインフレになり米企業が競争力を失う。条件の悪い雇用を増やすことになり労働者にとっては悪い政策だ。しかも200万~300万人の犯罪歴のある不法移民を追放するのだという。支離滅裂で国民のためになるとは思えない。

フォードが計画していたメキシコでの自動車工場建設を取りやめさせ、GMがメキシコで小型車を生産して米国に逆輸入していると批判、35%の多額の国境税を課すと警告した。トヨタに対しても脅しをかけている。これはNAFTAに違反するから、NAFTAを脱退するのか。そうしてもWTO違反になりWTOまで脱退するとアメリカは完全に世界から孤立する。イギリスもEUは離脱するが、自由貿易は死守したいと必死だ。保護貿易によるダメージがどれだけ甚大か彼は分かっていない。

メキシコの労働者の時給は米国の10分の1程度であり、メキシコの代わりに米国で車を生産すると1台あたり14万円程度高くなる。つまり車のコストに占める人件費の割合は5~10%程度だということで、メキシコでつくれば人件費の割合は1%程度ということになる。すなわち99%はロボットがつくっている。将来は100%ロボットがつくるようになるし、その時はメキシコでつくってもコストは同じだ。ラストベルトと呼ばれる地区で次々工場が閉鎖されたのはNAFTAのせいではなく、ロボットが人間に替わって仕事をするようになったお陰だ。技術革新で暮らしが豊かになっていく移行期間だ。「労働はロボットに、人間は貴族に」という考えで労働者を更に労働条件のよい職場へ移動させるのが大統領の役目だ。

メキシコから条件の悪い雇用を米国に持ち込むのではなく、刷ったお金でもっと条件の良い米国の発展を促進してくれる雇用を作り出せばよいだけだ。

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