経済・政治・国際

2018年4月19日 (木)

福田次官のハラスメント問題について(No.297)

政治を機能不全にする報道が次々出てくる。うんざりしており、そろそろ止めて欲しいと思う。福田次官の発言がハラスメントなのかどうかは、当事者同士が裁判所で争ってもらったらどうか。テレビ朝日の女子社員が福田氏からセクハラを受けたと名乗り出た。テレビ朝日で報道するように上司に言ったが取り上げてもらえなかったので週刊新潮に持って行ったとのこと。自社の取材で得た情報を他社に漏らすことは背信行為にあたる可能性がある。

なぜ上司から無視されたか。もしテレビで取り上げたら、テレ朝は今後取材が難しくなると考えたのだろう。むしろテレビ局としては女子社員に色仕掛けでもよいから少々のセクハラ発言を聞き流しながら取材して特ダネを取って来て欲しいと考えているのではないか。もしかしたら、それを受け入れる女子社員も入社させておく方針かもしれない。そうでないなら、セクハラをする男性に対しては女子社員に対応させなかったはずだからである。

官僚や政治家などは、暗黙の了解があって、この程度のセクハラなら問題にしないような女子社員だけから取材を受けることにしているかもしれない。そうでなければこの問題はとっくに表沙汰になっていただろう。一方、今回のテレ朝の女子社員はその慣習に耐えられなくなって、道徳的に許されないと考え今回の行動に及んだのだろう。

このセクハラ問題で麻生氏や安倍氏に責任があるかと言えば、責任を問う必要はないと考える。上記のようなマスコミの慣習が悪いというなら改善すればよい。これはマスコミの問題だ。トランプ大統領は気に入らない閣僚等と次々首にしているが、任命責任を問われることもないし、日本も任命責任を過度に追及すべきではない。政治を混乱させ停滞させるだけで何のメリットもない。
いずれにせよ、こんな問題で国会をマヒさせるべきでない。政治家の役割は国民の生活改善と安全のために仕事をすることのはずだ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年4月17日 (火)

機能不全に陥った政府、また暗黒時代に戻すのか(No.296)

森友・加計問題と日報問題、セクハラ問題と政府への追及が止まらない。いずれも安倍首相の違法行為どころか、関与すら示されていないし、国民の暮らしにも安全にも全く関係無い。このレベルの問題を追及しても野党に政権が移るわけがない。野党は自らの政策を訴えて国民にアイールしているわけではないし、かつての民主党内閣は政権交代前に示していた自らの公約をことごとく破り国民を怒らせたが反省している様子は全く無い。安倍氏が失脚したら自民党の誰かが次の首相に選ばれるのだろうが、だれが首相になろうと森友・加計問題と日報問題のレベルの追求がなされるなら、政府は機能不全となり日本に暗黒時代が再来するだろう。第一次安倍内閣から始まり、福田、麻生、鳩山、菅、野田と6内閣はいずれも政府機能不全、1年で失脚し、日本の国際的な地位は大きく低下した。

そもそも追求の内容のレベルが低すぎる。国のリーダーは民主的手続きで決めたらそのリーダーが余程の違法行為を行わない限り、任期中は彼のやりたい政治をやらせるべきであり、些末な事で首相に答弁を強制させるべきでない。そうでないと政府は機能不全に陥る。諸外国なら森友・加計問題と日報問題レベルの問題を1年以上リーダーが答弁し続けなければならなくなることはあり得ないだろう。米国で軍の日報に関してトランプ大統領がいちいち弁解しているだろうか。憲法が違うと反論するだろうが、自衛隊も安保法制も憲法違反だと言いたいのだろう。だったら、自衛隊を解散させるか憲法を変えて自衛隊を合法化するかどちらかしかない。両方とも反対なら、憲法は無視しましょうということで、日報問題は問題ではなくなる。

トランプ大統領は多くの女性スキャンダルで訴えられているし、閣僚・職員の辞任(または辞任を装った解雇)が続いているが任命責任を追及されていない。プーチンは大統領職を利用して約20兆円の個人資産を得たが、国民の圧倒的な支持がある。些末な事で国のリーダーを失脚させるより、むしろ国民が選んだリーダーがやりたい政治を強力に実行させ、リーダーに最大限協力し忖度したほうが、国民にとって利益になるのではないか。総理の意向は尊重すべきだろう。リーダーの足を引っ張って政府を機能不全にし、次々とリーダーを替えることは政府がいわば機能不全になり、国民が選んだわけではない官僚達の主導の政治になってしまう。トランプ氏は自分の個人的な利益になる政策を随分行っているが、安倍氏が自分の私腹を肥やしているという証拠はどこにもない。

今、政府がやるべきことは山ほどある。北朝鮮問題、日米貿易摩擦に加えて、先進国で際立って低い日本の経済成長率だ。民間41機関の日本の成長率予測がある(ESPフォーキャスト)。それによると実質成長率は2017年度1.81%、2018年度1.25%、2019年度0.79%と予測されている。先進国の中で際立って低い成長率の日本、過去20年間で言えば間違いなく世界最低だ。これだけ経済が停滞していてデフレ脱却もできてないのに消費増税を来年やることになっている。どうやって成長率最下位から脱却するか与野党で考えたらどうか。マクロ経済モデルを走らせたら、解決策は簡単に分かる。財政を拡大し増税でなく減税をすることだ。

アメリカも長年財政赤字と貿易赤字、経常赤字を続けている。それでも超積極財政政策に加え、大規模減税を行っている。与野党の議員は諸外国の政府がどのように国民のための政治を行っているかを学ぶべきだ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年4月 9日 (月)

刷ったお金をAI/ロボット関連産業の育成に使いなさい(No.295)

昨日(2018年4月8日)の日経のトップ記事は「景気回復最長視野に 賃上げ後押し 外需に懸念」だった。賃上げは進んでおらず、実質賃金は下がり続け生活は楽になっていない。2012年にアベノミクスが始まってから日本の雇用は100万人以上増えた。生産性が高い製造業が構造調整(IT化、ロボット化等)で人手を減らす一方で生産性の低いサービス業に労働力が集まる姿が浮き彫りになっている。

アベノミクスで雇用を増やしたことは大変評価できることだが、まだこれが国を豊かにするほどにはなっていない。企業に賃金を上げてくれとお願いしても利益追求を目的とする企業においては、賃上げは利益を減らし競争力を低める可能性があり、なかなか応じられない。バブル崩壊で巨額の損失を被った企業・個人投資家も多く、しかも国の借金が大変だ、年金が危ないなど言われている現在、将来不安から個人も企業もカネを使おうとしない。むしろ将来に備えて現金・預金を積み上げ個人保有の現金・預金は過去最高の961兆円にも上っている。保険・年金なども加えた個人の金融資産は1880兆円にも上る。金融機関を除く民間企業の現金・預金は257兆円に上る。いわゆるタンス預金が積み上がり、お金の流通が大渋滞を起こしている。

日本が投資を控え成長しないでいる間に世界は大きく発展し続けている。新興国の工業化で日本と得意とする製造業のシェアを大きく奪っていった。東芝、シャープなどの国内電機メーカーの衰退は目を覆うばかりだ。アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなどデジタル大手企業の発展は目覚ましく、世界経済の牽引役となっている。中国も韓国もそれを追っているが、日本は全く取り残された状況だ。20年前には企業の時価総額ランキングで20位以内に日本企業は14社も入っていた。現在は日本企業のトップはトヨタだが、やっと36位だ。上位は米国のIT大手がずらり並ぶ、中国企業が激しくせまり、韓国のサムスンが11位と健闘している。要するにアベノミクスで雇用を増やしただけではダメなのだ。

これからはビッグデータの蓄積が産業の基盤となり大きな収入源となる。日本にも世界のデジタル大手企業と肩を並べることができる企業を育てる必要がある。政府は福島にドローンなどの研究開発拠点の整備をしようとしている。ここに大規模なAI/ロボットの研究学園都市をつくるとよい。世界が驚くような高給で、世界中から第一線で活躍中の研究者をごっそり引き抜くと良い。そこにAI/ロボットに関する研究者を大量に育てる。しっかり学生の生活を保障し、広く世界中から優秀な人材を集め教育する。そこでドローン、自動運転技術を発展させビッグデータをしっかり蓄積する。

更にサムスンのように半官半民の企業を育てる。サムスンが行ったように世界中から技術者を引き抜けばよい。これはかつてサムスンが日本の技術者を引き抜いて日本の技術を盗んだことのお返しだ。別にサムスンでなくても世界中どこから引き抜いてもよい。ちょうどトランプは外国人労働者の受け入れを渋っているのだから、シリコンバレーに行きそびれた優秀な技術者を日本に受け入れればよい。

アマゾンに対抗するため楽天を育てるのか、新しい企業を育てるのか検討の必要がある。企業育成には資本注入もあるが、企業の経営を支援するために各種助成金の支給や需要拡大のための様々な工夫を行う。AI/ロボット関連育成事業として例えば5兆円を使うことを検討していただきたい。刷ったお金の有効利用だ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年4月 4日 (水)

追い詰められ恐怖のどん底に落ちた金正恩(No.294)

韓国、中国、米国の首脳と次々と会談をしたり、する予定であったりする金正恩は大国を手玉に取っているように見える。過去に、核を放棄すると言って外国から経済援助を受けながらこっそり核開発を続けていたこともあった。今回も同様な手口ではないかと誰もが警戒するのは当然だ。これは筆者の希望的観測かもしれないが、今回は状況が全然違うのではないか。

その根拠はトランプ大統領が過去の大統領とは全く異なり、何をやるか全く分からない大統領であり、側近も彼に反対しない強硬派を揃えているということだ。金正恩もそれを知っており、米朝首脳会談が開かれて決裂となればアメリカが軍事攻撃を始める可能性があることも知っているはずだ。もしそうなれば数十万人あるいは数百万人の犠牲者が出るのだから軍事攻撃は始められないだろうと誰もが思う。しかし米朝首脳会談でこの会談が決裂したら軍事攻撃を始めるとトランプ氏が宣言したらどうなるか。金正恩は、「もしそうなったらソウルが火の海になるし、中国が黙っていないぞ」と脅すだろう。そこでトランプ氏は「そうなっても構わない」ときっぱり切り返す。いわばチキンゲームだ。

しかしこのチキンゲームはトランプ氏に圧倒的に有利だ。多くの米国民は北朝鮮への軍事攻撃を支持している。米朝戦争になれば通常兵器の戦争であろうと核戦争であろうと、アメリカが勝ち、金正恩は死に、トランプは生き残る。そういう意味ではチキンゲームですらない。しかし犠牲者が余りにも多いから核を持つ国を攻撃することはできないと思うかもしれない。実際攻撃できないにせよ、攻撃するぞと脅すことはできるし、実際トランプ氏が脅せば、他のどの大統領よりもはるかに怖い。金正恩はトランプの脅しに平然としていれるのか。彼は死ぬことが怖くないのかと言えばそうではない。死を恐れないのであれば、彼に背く者を容赦なく殺すことなどしない。彼は少しでも身の危険を感じれば例え身内であろうと容赦なく処刑し、歴史上希に見る恐怖政治を行っている。これは自分の命を守りたいという一心からだ。

核兵器さえ手に入れれば誰も北朝鮮を攻撃できないと信じ核ミサイルの開発を進めてきたが、ここに来て身の危険を彼は感じるようになっただろう。米韓の断首作戦やアメリカによる軍事攻撃、そして恐怖政治に反発した勢力による内乱の恐れだ。米朝戦争になれば守ってくれるはずだった中国まで経済制裁に加わり強く核の放棄を迫った。それに反発し中国との関係が悪化していたが、アメリカの軍事攻撃が怖くなり白旗を揚げて習近平との会談を3月25日~28日の間に行った。この期間中にはこの会談の事は極秘だったのは、金正恩が国外に出たと知った反乱勢力がクーデターを企てる恐れがあると思ったのかもしれない。

トランプ氏は金正恩氏に対し、IAEAによる無制限の核査察を受け入れるよう要求すればよい。北朝鮮のどこにでも調査団を無条件に受け入れさせ、あらゆる査察を許可させ完全な核の廃棄をさせる。これに少しでも抵抗すれば容赦なく軍事攻撃をすると宣言すればよい。金正恩によるどのような交換条件もすべて拒否すればよい。経済援助は完全な核廃棄が確認できた後で十分だ。単なる経済制裁では金正恩は屈服しない。経済制裁は国民生活を破壊するかもしれないが、金正恩の生活は破壊されないし、核開発も続けられる。彼が恐れるのは米国との戦争だ。「今攻撃しなければ、将来更に悲惨な結果を招く」と言えば、国際世論も納得する。

もし、金正恩がこのような屈辱的な条件を受け入れたとき、北朝鮮では反乱が起きる可能性がある。今までは金正恩は核開発をし、アメリカと対等な立場で交渉できるようになった事を金正恩の功績とたたえ金正恩の暴君ぶりを許し、困難な経済封鎖に耐えてきた国民が、アメリカに屈服した哀れな金正恩に服従し続けるか。それでも金正恩政権は維持できるのか。核を放棄したことを国民には隠しながら実際は核を完全に放棄するという離れ業が果たして可能だろうか。北朝鮮が民主化すれば殺人鬼金正恩には法による裁きが待っている。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018年3月27日 (火)

詐欺師籠池泰典と共謀して政府を転覆させようというのか(No.293)

立憲民主、希望、共産の野党3党の衆院議員は23日午後、大阪拘置所に勾留されている学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典と接見した。安倍首相の失脚を狙った動きだ。筆者はこれらの政党の一部議員を強く支持するものではあるが、この動きには強い違和感がある。筆者だけがそう思っているのでもなさそうで、3月22日の産経新聞にも「野党・メディアの魔女裁判いつまで」というタイトルで論説が載っていた。詐欺師籠池泰典の話すことは神のお告げのごとく信じ、安倍昭恵夫人の話は何も信じられないとして追求する。これはまるで人民裁判だ。繰り返し追求しているうちに、全く落ち度が無くても追求を受けている人は悪人に見えてくるし、何か悪いことを隠しているような印象を与える。

首相夫人が様々な所で講演をし、頑張っている人たちを応援することにどんな罪があるのか。頑張っている人たちがそれを悪用したり、財務省の官僚が忖度したり、公文書書き換えをしてそれが違法なら、それは関係者を司法の場で裁くべきことであり、忖度された首相なり首相夫人には責任はない。もしこの件で安倍夫妻が私腹を肥やしていたという客観的な証拠があれば国会で追及すればよく、そうでなければ国会はもっと国民の利益のための仕事に専念すべきである。安倍首相と昭恵夫人に脅迫状が2度届いているそうだがとんでもない話だ。民主主義とは国民が政治を任せたい代表を選び、その代表の意向に沿った政治が行われるよう、様々なレベルで忖度し協力していくのがルールだ。それを否定するなら国民から選ばれたわけではない官僚主導の政治となり民主主義の否定になる。

第二次安倍内閣が発足する前は首相が毎年のように交代していた。原因は国民の不安と政権への不満があった。長く続く不況、みるみる没落していく日本、国の借金で日本が破綻するかも。こんな不安の中、新しい首相が救ってくれるのではないかと淡い期待で首相を交代させ、全然何もよくならないので支持率が急落し別の人を首相に選ぶ。第一次安倍内閣から始まり、福田、麻生、鳩山、菅、野田と毎年首相は代わったが経済は良くならなかった。しかし第二次安倍内閣のアベノミクスに国民は期待した。株も上がり、求人倍率も上がった。国民はアベノミクスに希望を託し、些細なことで首相を失脚させることはしなかった。しかし今年になってアベノミクスの賞味期限が切れそうになってきた。ちっとも生活はよくならないし、株も下がり円高の悪夢がせまってきた。生活保護費も下がるし、来年にせまる消費増税も重荷だ。世界的な好景気もそろそろ終わりそうだ。そうなると日本はまた首相が毎年代わって、何も出来ない政府が続く終わりの見えない暗黒時代に逆戻りする。

安倍首相は今こそアベノミクスの初心に戻るべきだ。財政と金融をフルに使えば、デフレは簡単に脱却できる。金融は十分行ったのだから、あとは財政の番だ。これまでは財務省に遠慮して財政に関しては遠慮がちだったがもうその心配はない。これだけ財務省の公文書書き換えで非難が集中しているときだから、財務省は何も抵抗できない。消費増税を中止し、財政支出を拡大すればすぐにデフレから脱却でき、経済成長で国民は豊かになったと実感するようになり内閣支持率も回復する。国の借金が増えるのではないかと心配する人もいるかもしれないが、それは逆で、GDPが増えれば国の債務の対GDPは減るという試算を内閣府が出している。
http://www.esri.go.jp/jp/prj/current_research/short_macro/index.html
つまり実質的に国の借金は減るのだ。それでも心配であればマクロモデルの専門家を集めてこの内閣府の試算が信頼できるのか徹底的に議論し最終結論を出すべきだ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年3月12日 (月)

マスコミは、国民の生活・安全に関する報道を重視すべきだ(No.291)

3月10日のテレビ朝日の番組で「今週のニュース!気になる人物トップ10」でトップになったのはレスリングの栄強化本部長であった。なんと栄氏関連ニュースは、金正恩・トランプのトップ会談のニュース以上に注目しているというのである。テレビ局は公共の電波を使う限り、日本国民の生活・安全に関するニュースに注目する義務があるのではないか。北朝鮮の挑発は、アメリカと北朝鮮の武力衝突の可能性も指摘されており、最悪の場合日本が核攻撃を受ける可能性さえ否定できないのである。内閣府の調査だと戦争に巻き込まれる危険があると回答している人は85.5%に達し過去最高だ。拉致問題もあり、金正恩・トランプのトップ会談のニュースは間違いなく栄氏のニュースより日本国民にとって気になるニュースなのではないか。栄氏の問題は、当事者間でよく話し合って解決すべき問題であって、日本国民全体で注目すべき問題ではない。

トップ10の第3位は森友学園問題だ。筆者は正直全く興味がない。国有地を払い下げ、その価格が市場価格より8億円低かったとのこと。籠池前理事長は大阪府の補助金をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕され、森友学園は民事再生手続き中である。財務省でミスがあったのなら責任者を処分なり裁判にかけるなりすればよい。安倍総理に刑事責任が問われる事件なら話は別だが、関与は全く無かったということだ。この問題も日本国民の生活にも安全にも無縁のものだが、うんざりするほど長時間マスコミも国会もこの問題を取り上げている。一方ではバブル崩壊で日本国民は株と土地の下落で千数百兆円を失った。国が通貨発行権を行使すれば失ったものを取り返すことは可能で、そのことを議論したほうがよほど国民のためになる。昭恵夫人と籠池氏の暴走に周囲が振り回された形だが、こんなことで政権が危うくなり、悪くすると日本経済全体に暗い影を落とすことになるとしたら馬鹿げた話だ。

更に驚かされたのは、トップ10までにトランプ大統領の輸入制限措置のニュースが入っていないことだ。これは日本経済ばかりでなく、世界経済にとって深刻な影響を及ぼしかねない問題だが、その重要性を理解できていないとは情けない。日本が輸入制限から除外されるかどうかで日本経済には大きな違いが出るのだから注目しなければならないはずだ。

日本国民生活を改善したいという気持ちが少しでもあれば、日本の製造業の労働生産性が急激に落ちているという報道に注目したはずだ。日本生産性本部によると2000年には日本の製造業の生産性は世界一だったのだが、2015年には14位にまで落ち、トップのスイスの半分にまで下がっている。これを放置すれば、日本は製造業の国際的な競争力を完全に失い、貧しい国へと変わっていく。レスリングのパワハラ問題とか森友問題とかばかり放映するのでなく、窮乏化する日本を救う方法はないのかに焦点を当てて報道すべきではないか。日本の名目GDPは20年前をほとんど変わっていないが、もし3%成長が続いていたら今頃GDPは900兆円程度にはなっていた。政治家の間違えた政策により数百兆円もの損害が出た。森友の8億円の50万倍だ。

我々は前の世代から豊かな経済を引き継いだ。これを貧しい経済に変えて次の世代に引き渡すことに申し訳ないと感じないのだろうか。今からでも遅くない。挽回は可能だ。通貨発行権を行使し、これから経済を牽引してくれる分野に思い切った投資をすることだ。すでに日銀は刷ったお金で大量に国債を買い続けている。政府は国債を発行しこの刷ったお金を吸い上げ、次の世代のためにAIなど、日本経済を牽引してくれる分野に巨額の投資を行い、世界経済の牽引役になる努力をすべきだ。そうすれば、対米貿易黒字も減少し、トランプさんも日本に対する輸入制限措置を撤回してくれるに違いない。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年2月11日 (日)

ハイパーインフレ以上に怖い長期デフレ(No.290)

日本の借金が膨れあがり、やがてハイパーインフレになると言う人がいる。しかしハイパーインフレに共通するのは極端な物不足である。現在の日本は物余りの状態であり、物不足になりそうもない。需要が極端に伸びて、スーパーもデパートも百円ショップもコンビニも棚から物が消え、街の至る所で食料品を求める長い列ができるような状況になるわけがない。そもそもそんなに買いまくったら家が物で一杯になって寝る場所もなくなるだろう。しかも物不足になれば外国からどっと輸入品が入ってくるし、中国、米国などが総力を挙げても供給が追いつかないほど日本の需要が伸びるなど考えられない。
ハイパーインフレを恐れる余り、十分な景気対策ができず、デフレ脱却ができなくなっている。日本人はもっとハイパーインフレについて知る必要がある。ベネズエラやジンバブエなどのハイパーインフレは政府自ら自国産業を崩壊させ供給力欠如に陥り極端な物不足でありながら、輸入も困難な状況に陥らせたために生じている。ドイツのハイパーインフレについて詳しく説明してみよう。
第一次世界大戦に敗北したドイツは連合国と1919年ヴェルサイユ条約に調印した。ドイツの支払う賠償金が1320億金マルクと決定されたが、なんとこれはドイツの税収の十数年分に相当した。毎年の支払額も46億金マルク(歳入の約7割)という莫大なものだった。イギリスやフランスなどの連合国は戦争に勝ったものの戦争で莫大な被害を被っており、その費用をすべてドイツに支払わせるべきだと主張し、このような巨額の賠償金の請求となった。しかしながら、このような巨額の賠償金はドイツ経済を破壊し、ヒットラーの台頭を許したという意味で、連合国にとって害あって益なしという結果になってしまった。
そもそも、賠償金というものは多ければ多いほどよいというものではない。1320億マルクと言っても、例えば1億マルク紙幣を1320枚刷れば返済可能というものではなかった。賠償金も正貨(金貨)で払わなければならなかったからだ。そういう意味では、お金を刷っても意味はなかった。賠償金だけでなく現物納付の義務もあった。5000両の機関車、15万両の列車、5千台の貨物自動車、4万頭の牛、12万匹の羊などだが、一般社会の賠償請求とは話しが全然違う。これらをドイツが生産してフランスが輸入しようとすると、フランスの生産者には大打撃になってしまい、フランスの生産者が反対するなどして、物納による賠償も進まなかった。
賠償金にしても、もしこの規模の賠償金の支払いが実現するとしたら、ドイツ経済が大発展し、近隣諸国がドイツの工業製品を輸入して外貨を稼いだ場合だから、そうなれば近隣諸国の工業は破滅する。そのことを予知したケインズは、この賠償額に強く反対したが押し切られた。
当然のことながら、賠償金の支払いは滞るようになった。それに怒ったフランスとベルギーは軍を派遣し、ドイツでも有数の工業地帯であるルール地帯を占領してしまった。ただでさえ戦争で生産応力が落ちているドイツで、ルール工業地帯まで没収されたわけで、失業者は町にあふれ、物不足でインフレとなった。ここまでくるとフランス軍はやり放題で、帝国銀行が所有していた128億マルクの金を略奪し、ミュルハイム国立銀行支店に保管されていた未完成の紙幣をフランス軍が奪い、これを完成紙幣にして流通させた。
これに対してドイツ人は反発し、一切の協力を拒む『消極的抵抗』を行った。鉄道を破壊し、フランス軍の列車を脱線させ、船は運河で沈没させた。占領地域の労働者はストライキを行ったがドイツ政府は政府短期証券をライヒスバンクで割り引かせでストライキ中の労働者の補償も行った。

ライヒスバンク自体が賠償問題の解決の一貫と考えられていたから連合国により国際管理されていた。その審査機関である評議員会の14名のうち、半数の7名は外国人(英国、フランス、イタリア、ベルギー、米国、オランダ、スイスから各1名)が任命され、発券業務の監督機関としての発券委員も外国人評議員が任命された。そしてこのライヒスバンクが政府から独立し、お金を刷りまくってハイパーインフレになった。このような状況は、アメリカにおいて通貨強奪したロス・チャイルド等の国際銀行家の手口を連想させる。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/no22-c6e3.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/no-d68c.html
コーヒー一杯飲むのに、トランク一杯分の紙幣が必要だったとか、薪を買うのにリヤカー一杯の紙幣が必要だったが、それより紙幣を燃やした方が安くついたとか、笑い話のような話しが伝わっている。1923年1月には250マルクであったパンの値段が1923年12月には3990億円にまで値上がりした。
ライヒスバンクはドイツ政府が発行した国債を大量に買った。それだけでなく、私企業の手形の割引も行った。例えば、自分の会社で1億マルクの手形を勝手に作ってライヒスバンクに持って行けば、現金にしてもらえるのだ。こんなことをしていれば、ハイパーインフレになるのは当たり前だろう。金融業の得意なユダヤ人がここぞとばかり、混乱に乗じて荒稼ぎをしているのを見て、ヒットラーがユダヤ人に反感を持つようになったと言われている。当時はマルクをライヒスバンクから借りる事ができれば、インフレで借金はほとんど無価値になってしまうのである。国際銀行家がライヒスバンクから巨額のマルクを借り、そのマルクでドイツ国内で価値のあるものを買いまくったためにインフレが加速した可能性がある。1月に100倍以上のインフレになってくると紙幣が足りなくなって企業や地方自治体まで紙幣を刷りまくるようになり、紙幣が街にあふれるようになった。下の写真はある銀行の窓口である。企業の経理係は従業員の日当払いに必要な紙幣を受け取るため、大きな柳行李(ヤナギコウリ)を持って連日銀行へ押しかけた。

2901


このすさまじいドイツのインフレも、あっという間に収束してしまう。ドイツ・レンテン銀行が設立され、国内の土地を担保として1923年11月15日にレンテン・マルクを発行し、1レンテン・マルク=1兆マルクのデノミが実行された。インフレを収束させたのは、政府が財政健全化を発表したからである。レンテン・マルクの発行限度が320億マルク、政府信用限度が120億マルクとされた。またドイツ政府は通貨発行でファイナンスしていた財政政策を転換し、10月27日には政府雇用者数25%削減、臨時雇用者の解雇、65歳以上の強制退職を実施した。この政府の発表により国民が政府を信頼し、インフレは瞬時に止まった。これをレンテン・マルクの奇跡と呼んでいる。次の図は藤木裕(金融研究2000.6)から引用したものである。

2902

興味深いのは、インフレは政府のアナウンスで一気に収束したのだが、実際は政府はその後もしばらくお金を刷り続けているということがこの図から分かることだ。アナウンス効果が如何に絶大かということである。
確かに凄まじいインフレではあったが、生産活動へのダメージはそれほどでもない。下図は『現代ドイツ社会経済史』から引用したものである。
国民一人当たりの生産量

2903




このグラフより一人当たりの生産量は1923年のハイパーインフレ時と1932年の世界大恐慌の影響による落ち込みの2回生産の落ち込みがあったかこが分かる。ハイパーインフレによる落ち込みは小さく、しかもこれはルール地方の占領に対するドイツ人のストライキを含む抵抗によるものであり、1920年からの20年という長い目で見れば生産は順調に拡大していったことが分かる。デフレが続き失われた20年と言われる期間で生産が停滞した日本が受けたダメージはこれよりはるかに大きいことが分かる。
ハイパーインフレ時に名目賃金は激しく上昇したにも拘わらず実質賃金は大きな変化はなかったというのが以下の図から分かる。
       出所;『ドイツ資本主義』小原四郎著

2904



デフレ脱却ができない日本では実質賃金は下がり続けている。
次に失業者の推移を示した。

出所:現代ドイツ社会経済史

2905


失業率を3つの区間に分けて考えよう。1919年から1924年は敗戦の後インフレが進んでいた時期。紙幣の大量発行もあり『積極財政』と言える。敗戦で戦地から多数の兵士が引き揚げてきたが、時短労働も取り入れ失業者を低く抑えている。ただし1923年9月にそれを解除したこともあり一時的に失業者が増えた。1924年から1932年の間は緊縮財政で物価は安定したが、世界大恐慌の余波を受けたこともあり失業者は激増している。1933年にヒットラーが政権を執ると超積極財政が始まり、物価は安定させたまま失業者は激減、GDPは拡大していった。
現在の日本は積極財政を過度に恐れている。デフレはタンス預金が増加しお金が動かず経済が停滞する。消費増税は貧困世帯を苦しめ、お金は大企業の内部留保や海外投資に向かう。国の借金が増えることを恐れ、増税・歳出削減が進めば日本はどんどん貧乏になるばかりだ。

 

次にベネズエラのハイパーインフレについて簡単に説明する。

 

ベネズエラは原油確認埋蔵量は世界一であり世界全体の2割近い。チャベス前大統領による 『21世紀型社会主義』が失敗の始まりだった。石油収入を貧困層の医療や教育などに還元し、全国民を豊かにしようとした。物価を抑えるために、生産者に価格を無理に下げさせた。その結果経営が成り立たなくなり、 国内の製造業が衰退し、輸入品に頼る経済になった。マドゥーロ氏が政権を引き継いだ後、原油価格が半分以下に急落し外貨不足で食料品や生活必需品が買えなくなり、物不足がハイパーインフレを引き起こした。2015年の選挙では野党に敗北したが議会の権限を停止した。国民は国外へ逃亡している。

政府が大量の紙幣を刷っているので下図のようにハイパーインフレが進んでいる。

2906

  国営石油公社PDVSAは非効率な投資、納入業者への支払いの遅れ、米国の経済制裁、給与への不満などで従業員が離職し大きな打撃を受けていて生産が落ち込み、外貨が稼げない。独占的な輸入業者が不当な輸入品価格のつり上げを行っているために、輸入品の価格が異常に高くなっている。

最後にジンバブエのハイパーインフレを説明する。
もともとはローデシアという豊かな国で少数派の白人が政治の実権を握っていた。
ローデシア紛争の後、1980年ジンバブエ共和国が成立し黒人大統領が誕生し
「植民地時代に強奪された土地資産を黒人に委譲せよ」という法律が成立。大半の高い技術を持つ白人が国外へ逃亡し農業技術の低下と干ばつで、食糧危機に陥った。
また「外資系企業は保有株式の過半数を譲渡せよ」という法律が成立し、外国企業は国外へ逃亡し、これにより物不足になり物の値段が高騰した。
「物資は安く売らなくてはならない」という法律が成立し、企業は利益が出なくなって次々と倒産。失業者が激増した。失業者は物資の強奪を始め無法地帯になった。そしてインフレが進み、高額紙幣が量産された。

2907

結論としてはベネズエラもジンバブエも同じように政府が自国の産業を潰す政策を行っているために、供給不足になり物不足が深刻化しハイパーインフレに陥っている。日本の政治家がここまで愚かだとは思えないという理由で日本ではこのようなハイパーインフレになるわけがないと結論できる。しかしデフレ脱却を目指しながら増税・歳出削減という重大な間違いを犯しており、国の経済を衰退させている。一刻も早く目を覚まして欲しいと願う。

 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年2月 5日 (月)

国会は森友問題よりもっと国民生活に影響の大きい問題を議論せよ(No.289)

筆者は先週風邪で寝込んで、仕方なく国会論戦を見てた。相変わらず森友問題をやっていた。1日国会を開くのに3億円かかるという国会で本当にそれに相応しい議論がなされているのだろうか。評価額9億5600万円から地中のゴミ撤去費用など約8億円を差し引いた1億3400万円で学園に売却したのが森友問題とされている。しかし森友学園は開園に失敗し、現在民事再生手続き中であり契約に基づいて国は売却した土地を買い戻したとのこと。森友学園前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告は補助金詐取などの容疑で昨年7月末に逮捕されている。昭恵夫人が籠池泰典前理事長に激励の電話をしたとする音声データが衆議院予算委員会に提出されたとのこと。詐欺容疑の犯人の発言の真偽をいちいち予算委員会で検討すべきなのか。国会はその維持のために巨額の税金を使っているのだから、その審議から生じる結果でそれに見合うだけ国民に利益がもたらされるかも示すべきだ。8億円の値引き分が戻ってくるというわけではない。取引の実態を明らかにすれば安倍政権が倒れるという話でもない。国民生活にも国民の安全にも全く関係無い議論を巨額の税金を使って行っているとしか思えない。

スパコン助成金詐欺事件も問題になっている。詐欺はよくないのは当然なのだが、齋藤元章容疑者はスーパーコンピューター(スパコン)開発の先頭を走る起業家である。2003年には日本人として初めて、米国コンピューター業界栄誉賞「Computer World Honors」を医療部門で受賞したしPEZY社とグループ会社の活動を通じて、スーパーコンピューター開発において天才的な手腕を持つ人物として注目を集めていた。スーパーコンピューター開発がこれからの日本に計り知れないほどの利益をもたらすことを考えれば、彼の行った少額の詐欺だけに目を奪われるのでなく、むしろ彼に十分な研究資金を国が提供し、同時に資金が不正に使われないように厳重な監視態勢をも国が提供するという可能性は検討できないか。

やはり国会で最も議論して頂きたい事は、世界の中で際立って低い成長率の日本をどうしていくかということだ。失われた20年で、世界の中で日本だけが成長していないのは、デフレが原因だ。1997年度に533兆円であったGDPだが、2017年度は550兆円にしかなっていない。平均成長率はなんと0.2%で世界最低である。デフレ脱却など簡単だ。1997年から財政拡大で成長戦略を行って名目3%成長を続けたとしよう。2017年度には80%増の963兆円にも達し、平均所得も2倍近くなっていて、国の借金も200%をはるかに下回る水準となり、成長する日本に国民も将来不安を持つ人は少なかったはずだ。

名目3%成長など日本には無理だと主張する人がいるかもしれない。しかし、財政を拡大すれば必ずできる。様々な形で大量の資金を国民に流せば、必ず可処分所得が上がり、消費・需要が増えGDPが拡大する。それでも全くGDP拡大はあり得ないのではないかと心配する人がいれば、政府がお金を刷って税金をどんどん下げる場合を考えれば良い。それでも全く消費が増えなかったとしても、国民はしっかり老後の蓄えができて幸せになることは間違いない。GDPが十分増えなくても税金が全部タダであれば居心地は悪くない。国の借金が増えて将来世代へのツケが増えると心配する人がいるかもしれない。GDPが963兆円になったとき、国の借金が2000兆円を超えるというようなことはあり得ない。これはマクロ経済モデルで計算すればすぐ分かることだ。

減税・歳出拡大をするだけで、失われた20年から脱却できる。国会議員には、国をどうやって豊かにすることができるのかをしっかり議論して頂きたい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018年1月28日 (日)

内閣府計量分析室(オオカミ少年)が新しい試算を発表した(No.288)

2018年1月23日に内閣府より『中長期の経済財政に関する試算』が発表された。成長率予測が高すぎると経済財政諮問会議から批判され、全要素生産性を下げて成長率を下げたようである。どれだけ下げたかは図1で分かる。

図1

2881

黒の実線が今までの名目GDP の実績であり、点線が今回の予測である。ほんの僅かの下げだと分かる。名目GDPは2027年度には757.9兆円にまで増大する予測だ。この図で明らかなように、3%成長するのだと政府が言っているからそれに忖度する義務があり、それ以外の結果を内閣府計量分析室は出せない。その結果3%成長の試算を出すしかないのだ。名目GDPは2001年度518兆円だったのだから、その後ずっと3%成長を続けていたら2018年度には857兆円になっていたはずだ。世界の中ではこれでも低すぎるくらいの成長率だから、如何に日本経済が停滞しているかが分かる。

成長率を高めるには減税や歳出拡大をすればよいだけだ。そうすれば基礎的財政収支が悪化するから反対する人がいる。今回の試算で基礎的財政収支がどうなるかを示したのが図2だ。2026年まで赤字は続く。しかし赤字でも債務のGDP比(右目盛り)は下がり続けるというのが試算結果である。

図2

2882


ここから重要な結果が導かれる。債務のGDP比は基礎的財政収支が赤字であろうと黒字であろうと関係無く下がり続けるということだ。逆に債務残高は基礎的財政収支が赤字でも黒字でも増え続ける。どこの国でも同じだ。日本以外は債務残高の増大をそれほど気にしていない。なぜなら名目GDPも同時に増え、債務残高のGDP比はそれほど増えないからである。ということは基礎的財政収支など財政健全化には関係ない。債務のGDP比を下げることだけ考えれば良い。

図3は長期金利の推移と内閣府の予測との比較である。実績は黒い実線、今回の予測は黒い点線で示してある。それと共に2002年以降、各年の試算で予測された金利も示した。

図3

2883


笑ってしまうのは毎年金利が急騰すると予測し、実際はジリジリ下がり続け遂にゼロにまで下落したということだ。この試算が如何に馬鹿馬鹿しいものか、もしこんな失敗を気象庁がやったらどうなるだろう。天気予報で「明日から1週間程度は急激に気温が上がり続けるでしょう」と予報を出し同じ予報が17日間も連続で出されたとする。実際はこの17日間ジリジリ気温は下がり続けたら国民は何と言うだろう。どうしてこんな馬鹿な予報を出し続けるのかと問うと「総理大臣が気温が上がって欲しいと願っているからその願いに添うような予測しか出せないのです」と答える。各省庁はこの予測通りになると仮定して政策を策定し、マスコミもこの予測が正しいとして論評する。

これが気象庁の予報であれば、税金を使ってこんな予報など出さなくて良いと言われるに違いない。しかし経済予測の場合、国民もマスコミもこの試算が何か意味があるものと思い込んでしまい、緊縮財政が必要だと勘違いし20年もの間デフレから抜け出せなくなってしまい経済を衰退させてしまった。このままでは日本はどんどん貧乏になる一方だ。財政健全化と景気回復を同時に実現する方法を内閣府では示している。次のサイトの6頁を見て頂きたい。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/ef2rrrr-summary.pdf
公共投資を5兆円増やせば債務のGDP比は1.65%PTだけ減ると書いてある。これは公共投資だけに限らず、あらゆる政府支出について言える。内閣府にこのことを言うと、5年後には逆に債務のGDP比は増えると言う。図1を見て頂きたい。内閣府の5年後の予測は全く当たらない。信頼できるとすれば1年後だ。1年後にまた同じ検討をすればまた同じ結論に達し、それを5年間続ければよいだけだ。つまり減税・歳出拡大をすれば景気が回復するだけでなく財政も健全化する。

今からでも遅くない。減税・財政拡大をして消費を拡大し、デフレ脱却、経済活性化を実現し豊かな国の再建を始めようではないか。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年1月26日 (金)

内閣府試算の詳細を内閣府に説明してもらいました。(No.287)

2018年1月23日に内閣府より『中長期の経済財政に関する試算』が発表されました。これに関して更に詳しい内容を内閣府の方に説明して頂きました。

Q 来年の消費増税をした場合としない場合の比較の試算は出しているか。
A 出していない。法律で消費税は上げることが決まっているから。
Q 2014年の5%から8%への引き上げの際は出した。
A 当時は引き上げが決まっていたわけでは無かったから。
Q 今回の試算で実質成長率は
2017  1.9%
2018  1.8%
2019  1.4%
2020  1.5%
というように、消費増税を行った結果成長率は下がっている。消費増税による消費の落ち込みによるインパクトか。
A 17年度の補正予算が18年度にかけて執行される。その先補正予算が無くなるので公需の剥落という面がある。消費税の影響は大きくないとは思うが切り離すことは難しいので何%分と示すことは難しい。
Q 今後補正予算は無いということは決まっているのか。
A 無いこともあることも決まっていない。18年度は当初予算しかないので無いとして計算した。
Q 景気を落ち込ませないように補正を組もうという動きはありますね。
A 我々には分かりかねる。18年度の当初予算で続いていくという絵を置いている。
Q 半年前の試算の実質GDPは
2017  1.5%
2018  1.4%
2019  1.8%
2020  1.9%
こちらは消費増税をしたら実質成長率は上がってしまった。
A 17,18年度に関しては政府経済見通しを使っていて低く出ていたが、17年度の7-9期の数字が出てきて上方修正されたから今回の試算でもそれが反映された。我々は「見通し」からデータをもらっているだけ。19、20に関しては、潜在成長率が高すぎるという御指摘を頂いた関係で下げた。その関係で成長率が下がった。成長率は全体的に下がっている。
Q 今後潜在成長率はずっと下がると仮定したのか。
A 上がり方を少し弱めるということです。夏の試算だと2.4%まで上がっていくとしていたが、今回は2%に留まるとしている。
Q 潜在成長率を変えればそんなに大きく実質成長率が変わるのか。
A はい。大きく変わります。
Q 2.4から2.0に下げたのは未来永劫下がると言うことか。
A 試算期間ではそう仮定している。一定の前提を置いた場合どうなるかを示した。
Q 潜在成長率を下げる客観的な理由はあったのか。
A 潜在成長率を決めるものとして資本、労働、全要素生産性の3要素がある。全要素生産性は経済財政諮問会議の議論に使って頂くために出しているが、経済財政諮問会議から上がり方が急では無いかというご意見を去年頂いた。そこで今回見直した。
Q 全要素生産性を下げたということは、過去のデータがいつも上振れしているということ、なかなか3%成長にはいかない。過去20年間遡って考えて内閣府では3%いくんだということを想定して作っているが実際はとてもそこまで行っていない。20年間名目GDPはあまり変わっていない。そういうことを考えてもっと全要素生産性を抑えた方がよいということだったのか。今まで全要素生産性をサバ読んでた?
A 経済財政諮問会議の意見に従う。今経済がどうであり、これからどうなる、その場合これからの財政状態をどうするというためのものですので、諮問会議の議論を踏まえて見直していくと言うことは結構あるということです。
Q 過去のデータを組み入れてということはしないのか。
A もともと過去のデータを組み入れて、例えば物価ですとバブル前の生産性に戻りますというような置き方をしたんですが、それぞれ過去のデータを参照していたということですが、参照方法を少し変えたということです。
Q 戻りますといいながら根拠なしに戻りますと言ってますね。しかしずっと戻らなかったですよね。戻らないんだからもう戻らないよと言った方が、ほとんど成長しないと言ったほうが当たっていたんですけどね。本当はね。
A まあ、当たっている部分と当たっていない部分はあるんですけど。
Q 当たってないですよ。3%成長はなかなかしなかった。
A 名目3%成長は ・・・ 2015年は名目3%成長したけど
Q 15年は原油価格が下がったから。原油価格の下落でGDPが押し上げられてますよね。
A その通りです。
Q あれはたまたまであってあれを持ち出すのはちょっとまずいと思う。
A そうです。
Q あの調子で今後も原油価格は下がりますか。
A 下がらないですね。原油価格がゼロになっちゃいます。おっしゃる通りでございます。
Q ありえないんで、あれはたまたまラッキーなのであって、アベノミクスの成果とは言えない。
A そういう面はあるかもしれない。
Q そういう外的要因がないと仮定すれば3%成長しないと客観的には見える。
A それは将来への目指すべき姿、政策効果が出ればと言うことで、成長実現ケースと今回名前をちょっと変えてますけど、昔は経済再生ケースと言ってました。3%成長するというケースです。こちらはそれを目指して政策をやっていく、それが発現した場合というケースいうことでして、もう一つ成長しない、全く成長しないというわけではないのですが、足下程度続きますというベースラインケースもお示ししておりまして、隠し続けたということではない。
Q まあ、2つ出してますが、自分はこう思うというもの、例えば気象庁の予測はあたっている訳です。
A 気象庁も幅を持って見てますけど。
Q 気象庁はいちばんありそうなケースだけを示しているわけですね。
A まあ、そうですかね。
Q 最大限こうなりそうだという予測を出すのも必要なのではないか。こうなりたいなという願望も出してもよいけど、最大限正しい予測も出して欲しい。
A 予測という品質では必ずしもない。
Q そう見えます。
A ええ、見えちゃえば仕方ないですけど。
Q 政府も各省庁もこれをベースに政策を作っているでしょう。だから将来こうなるという予測が欲しいですね。昨日の読売新聞にももっと信頼できる予測はできないのかと社説にありました。こうなるという信頼できる予測があれば安心して消費ができる。20年間、3%成長したかといえば全然3%成長していない。零点何%という低い成長率であるのに、毎回3%成長だという勇ましいことを言ってきた。金利を見てもすぐ上がるんだと言いながらずっと上がらない。今回はだいぶ修正されている。予想が外れてる。
A 予想しているわけでは無い。
Q 予想しなければダメです。政府の願望はこうだと言ってもらったって、それは今まで願望が実現してませんから。実現しない願望を何度言ってもしょうがない。
A まあ、そうでしょうけど。
Q 願望じゃあなくて見込みも出して欲しい。
A なるほど。
Q 願望ケースと見込みケースを出して下さい。
A 願望ケースと見込みケースですか。なるほど。
Q そうすれば、政府はどうやれば願望に近づくか分かるから真剣に考えると思うんです。今のように出してしまうと何もしなくても願望が実現するのかと誤解してしまいます。
A 御指摘有り難うございます。
Q ところで基礎的財政収支は半年前から悪化しているように見えるのですがなぜですか。
A 新しい経済パッケージで消費税を19年に10%に引き上げるときに人造り革命例えば幼児教育の無償化とかの政策になります。そのための財源として消費税増収分の一部を充てましょうということが決まってます。今回それを織り込みまして19年度以降歳出が出て行くようなことになっていて歳出が増えている。あとは成長率が下がると税収が少し下がる。その分で下げている分というのはあります。この2点になると思います。
Q 2018年に限ると、1.4%から1.8%に成長率は上がっている。人造り革命も関係無い。
A 18年度に関しましては17年度の補正予算が編成されて、執行のタイミングで、公共工事などはすぐにはなかなかできない。3か月で物を作れと言われてもなかなかできない。翌年度に執行される。歳出はいつかということ、成長率は上がっていてもそれほど工事は進んでいない。その点PBは成長がよくなっても悪化するということが起きている。
潜在成長率が下がれば成長率も下がり税収も下がる。
Q 基礎的財政収支の黒字化目標は何回も延期されている。最初は小泉さんが2011年度に黒字化すると言っていたが実際は2011年度は大赤字だった。それを2020年度にまで延期した。それも達成できないことが明らかになったので2025年度に延期し、それも達成できないから今度は2027年度だというんですね。
A 目標自体は2011年度と2020年度になっている。今回消費税の使途変更もあり2020年度は難しいですね、だから次の目標を考えて下さいということになっているのが事実です。試算での黒字化と黒字化目標とは必ずしも一致しない。
Q ただ試算結果は2027年度でなければ黒字化しないということですね。
A 歳出は、例えば公共事業は物価で伸びますとか、医療費・介護費とかは物価と共に年寄りが増えると医療費が上がるといった効果を織り込んだざっくりした試算になっている。我々は歳出自然体と呼んでいる。歳出改革を今進めている。その効果は入っていない。
Q 歳出改革と言いますが、歳出を削減すればするほど財政は健全化するのかという点に疑問に思っている。歳出改革と称して歳出削減をするといつまで経ってもデフレから脱却できない。そうなると税収も増えないしGDPは伸びないから債務のGDP比も下がらない。デフレ脱却をしようと言っているのに歳出を削減するのは本末転倒ではないかという気がする。
A 歳出を減らすことによってGDPは下がる。歳出改革とは単に減らしましょうということではない。
Q 減らすこともやりますね。減らせば借金が減るのではないかと誤解している人がいる。GDP比で減るのかというとなかなかそうはいかない。以前は乗数としてそれを出していた。公共事業を減らせばGDPも減り、債務のGDP比は逆に増える。
A そういう乗数は出していなかったと思います。
Q 出しています。2010年に出しています。
A 確かに初年度は債務のGDP比は増えます。5年目を見ると減っている。GDPを減らしても民需がカバーして戻ってくる。
Q 内閣府の試算をみれば5年後の予測など今まで当たったことがない。まるでデタラメな結果だ。ということを考えれば1年づつ計算したほうがよい。1年間だけ考えれば間違いなく公共投資を増やした方が債務のGDP比は減る。1年後にまた乗数を計算し直してみるとやはり公共投資を増やした方が債務のGDP比は減ると分かる。
A それは同じ結果になると思いますよ。
Q 同じにはなりません。毎年新しく計算すれば公共投資を増やしたままにしておいたほうが債務のGDP比は減っているという結果になります。乗数というのは毎年そんなに大きく変わりません。内閣府の文書にも書いてあります。長期予報は当たらないと。気象庁でもそうです。
債務のGDP比は今後下がって行くというのが内閣府の予想ですね。
A はい。
Q 基礎的財政収支は赤字が続いていくが、債務のGDP比は下がって行くのだからもう基礎的財政収支は関係無いのではないか。今後基礎的財政収支は無視していいのではないか。
A そういう御指摘ですね。どうでしょう。債務残高は増えますね。
Q はい。でもGDPのほうがもっと増えます。
A 金利はどうでしょう。
Q 金利は抑えることになったのでしょう。
A はい。でもそれは2%のインフレ率になるまでです。
Q 金利は最大限抑える。そうすると基礎的財政収支は気にしなくて良い。イケイケドンドンで財政を拡大せよ。何かまずいですか。デフレ脱却が簡単に実現できます。
A 金利ゼロですか。金利は基本的には市場で決まっていく。
Q でも日銀はゼロ程度に金利を誘導すると黒田総裁は言っておられる。
A それもいつまでもというわけではない。
Q 当分の間です。実際今回の試算では0%程度に下げることにしたのですね。2009年度まで0%、2020年度に0.4%というようにがんばるのですね。
A がんばるというか物価が上がってこないのでがんばらざるを得ないということですね。
 インフレ率が2%になるまでは金利を抑えるようにしてますが、それ以降はモデルで金利を決めている。日銀が使っている金利決定ルールに従うというようにしている。
Q デフレ脱却がずっと達成されない。小泉さんのときからずっとデフレ脱却を言ってましたね。デフレ脱却が願望に終わって夢が実現しない。だからここで一気にやってしまう。それをやらず、増税や歳出削減をやる。ぐずぐずやってたらずっと続くわけでしょう。なかなか可処分所得が上がらない。だから消費が伸びず本格的な景気回復ができない。これをずっと続けている。そろそろこのへんで終止符を打ったらどうですか。
A 試算は政府の方針を続けたらこうなりますというもので、各論というか何をすればこうなりますということはお答えできないということになります。
Q どういう政策をすればよいかを教えるのがこの試算の役割だと思う。政府の今の政策を続けていたらいつまでたってもデフレ脱却はできない。ではどうすればよいのかというときに、こうしたほうがよい方向に向かいますよというのを示す必要があると思います。新しい乗数をだしたらどうですか。乗数を隠しているのは問題ですよ。狂った羅針盤と言われているので、それを修理して正しい羅針盤を出して欲しいです。
A はい。検討しています。
Q 消費増税の税収の一部を歳出に使うと言っているのでその分が拡大するのかなと思ったがそうなっていない。
A 2020年度の社会保障関係費に入っている。
Q 歳出は前回に比べ減らす傾向がある。
A 予算がこうだったからこうなったということ。
Q 潜在成長率を下げた分、全部が下がったということか。歳出も歳入も
A まあそうですね。歳出は下がったし歳入は下がった。PBは悪くなった。
  ご意見のほうは承りました。
Q 乗数は出して欲しい。もう随分だしていない。
A はい。検討はしています。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧