経済・政治・国際

2022年5月23日 (月)

積極財政が日本国民を救う(No.467)

現状では消費者物価は上がるが賃金は上がらない。実質賃金の下落で国民は貧乏になる。
図のように実質賃金は30年近く下がり続けている。

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科学的に経済予測をする方法がある。それはマクロ計量経済モデルでありローレンス・クライン(ノーベル経済学賞受賞者)などが始めた。その一つの例が日経新聞社のNEEDS日本経済モデルである。1974年から予測を開始し予測を行い日経新聞に発表している。日経は日本最大の経済データを保有しており、それを駆使している。以下で示す計算結果に関する説明は次のサイトで詳しく述べられている。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-a5b8c7.html
以下のグラフは、①~③の経済対策の押し上げ効果または押し下げ効果のみを示したものである。

ここでは次の4種類の場合を計算する。
①現金給付
年間80万円(3ヶ月ごとに20万円)を国民全員に給付する。
②消費税減税
消費税率を0%に下げる。
③公共投資の増額
公共投資を年間20兆円増額する。
④現状維持
我々の計算を2人のノーベル経済学者Paul A. SamuelsonとLawrence R. Kleinが高く評価して下さった。

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2022年5月18日 (水)

PB黒字化目標の欺瞞

 

 

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2022年5月 9日 (月)

日本の国際貢献と日本の発展について(No.466)

ウクライナは「感謝動画」を公開したが、その中で支援31カ国に日本の名前は無かった。折角、3億ドルの支援を行ったのにそれは考慮されなかった。ウクライナが最も欲しがっていたのは武器であり、日本は武器を送らなかったのが印象に残らなかったのだろう。その後新しい動画が流され、そこには日本の名前があり日本語で「ありがとうございました」と述べてあった。湾岸戦争の際、イラクから解放されたクウェート政府が米国の主要な新聞に感謝広告を掲載したが、「クウェート解放のために努力してくれた国々」の中に日本の名前がなかった。日本は総額1兆5500億円もの資金を多国籍軍に提供していた。

日本には平和憲法があり、軍需産業は育てず、武器の輸出もしない。かつて日本社会党は非武装・中立を唱えていた。しかしそんなことしたら、ロシアが日本を簡単に占領してしまう。占領された国はどれだけ悲惨な状態になるか、ウクライナにおけるロシア軍の虐殺行為を見れば明らかだろう。やはり日本も諸外国並に軍需産業を育て、平和維持軍に兵を送るようにしないと、逆に日本が襲われたとき、防衛を他国の軍隊に任せているだけではダメなのではないか。

ロシアに対する経済制裁でも、日本の対応は十分なのだろうか。英紙ファイナンシャル・
タイムズは「日本が原発を再稼働できたら、天然ガスの輸入を減らすことができ欧州はロシアのガスに依存しないで済むかもしれない」と指摘した。日本はこのような際に臨機応変に原発再稼働ができて、天然ガスの輸入を減らすことができればよいのだが、そのような方針転換が非常に難しい。一度決めたら変えるのが非常に難しいのが日本の特徴であり、かつて奇跡の経済復興として世界中から賞賛されていた日本の経済成長だが、一旦没落を始めるとそれが止められない日本。このままではいけないという自覚はあるのだろうか。

脱炭素と脱原発を目指すのであれば巨額投資をするしかない。経産省は4月22日、2050年の脱炭素に向けた官民の投資が30年時点で少なくとも年17兆円必要との見通しを示した。現状では5兆~6兆円なので3倍程度増やさなければ達成できない。一見巨額投資に見えるが、日経のNEEDS日本経済モデルを使って計算してみると、国が毎年20兆円公共投資を増額すれば1年後に名目GDPは約15兆円押し上げられるが消費者物価は0.2%押し上げられ金利は0.03%押し上げられるにすぎない。その他の経済データも素晴らしい。詳しくは以下のサイトを参照して下さい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-9e4554.html
この政策によりエネルギー自給率が高まり、脱炭素、脱原発へと進むことができるし日本経済が完全復活できるのである。

米国では21年11月に総額1兆ドル(約130兆円)超のインフラ投資法が成立した。風力発電の導入量は中国が日本の75倍、米国が日本の30倍である。このまま放置すると日本は脱炭素も脱原発もできず、世界最低の経済成長率が続き、貧困になるばかり。円安で輸入品の価格が上がり、海外旅行も高嶺の花となる。そしてロシアのウクライナ侵攻などで国際社会と歩調を合わせ経済制裁にも加わることもできない。こんな惨めな国を放置しておいてもよいのだろうか。

 

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2022年4月12日 (火)

ロシアのウクライナ侵攻とウクライナの反撃(No.464)

ロシアがウクライナを侵攻して1か月半が経過した。我々戦争を知らない世代にとって信じられないウクライナの光景を毎日見せられている。「戦争反対! No War! Нет войне!」という言葉を数限りなく見聞きしてきたがその訴えもむなしく破られた。もしロシアがこの戦争に勝利したら、ロシアの周辺の国々を次々と占領しその住民を大虐殺するだろうし、その一つが日本かもしれない。我々日本に暮らす人間として現在の平和な暮らしを壊されたくない。

今は我々はウクライナに勝って欲しいと願うしかない。プーチンは軍事大国ロシアが戦力をフルに投入すれば数日で首都キーウを落とすことができ、親ロシア政権を樹立することができるだろうと思っていた。しかし米国軍などから指導・支援を受けたウクライナの反撃は予想を遥かに超えるものだった。ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナを守るためにキーウに留まり戦うと宣言したのには、世界が驚いた。それがウクライナ兵の士気を高め、逆にロシア兵の士気を落とした。ロシア兵は「演習だと聞いていた」「ウクライナでは歓迎されると聞いていた」「食糧も弾薬も燃料も来ないから戦えない」「銃で自分の足を撃って、負傷兵として帰りたい」などと言った。

1か月半の間に失われたロシア軍の戦力は15%以上とか3分の1以上とかと言われていて、ロシア大統領報道官も「我々の部隊には甚大な損失が出ていて大きな悲劇だ」と述べている。西側から提供されたウクライナ軍のミサイルにやられまくったロシア軍の弱すぎる戦車の実態が明らかになり、ロシア戦車が劣悪だと知られるようになったのはロシアの軍需産業には痛手、大きな戦果を挙げた米国の軍需産業には良いPRの場になった。

当初、ロシアとの全面戦争に巻き込まれたくないと思っていた西側諸国も、この弱いロシア軍を見て、もっと本格的にウクライナを支援しようという動きが活発になってきた。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は4月8日、キーウを訪問し、ゼレンスキー氏と会談した。声明で「欧州はあなたたちの側にある」とウクライナへの連帯を表明。ウクライナのEU加盟に向けて審査手続きを加速させる考えを示した。これまでにEUで合意したウクライナへの武器調達費10億ユーロ(約1300億円)に、さらに5億ユーロを上積みすると表明した。ジョンソン英首相は4月9日、キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談。120台の装甲車や対艦ミサイルの新たな提供など軍事支援の強化を表明した。それ以外にも米国、チェコ、ドイツ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアなど、次々と武器の提供を行っている。武器だけでなく、各国から義勇兵が次々ウクライナに入っている。

ウクライナ軍の予想外の反撃でロシア兵の士気は下がる一方である。ロシア兵は自分のスマホで連絡しているので、GPSの位置情報を傍受され、ピンポイントの攻撃を受けている。
ウクライナはロシア兵士一人一人にSNSで「ちゃんと捕虜として待遇する。快適な環境を用意する」と送信。安心して投降するよう、呼びかけている。軍から離反するロシア兵は日に日に増加しているという。100人以上の兵士が「自由ロシア軍」を結成し、ウクライナ軍への編入を志願した。ロシア軍は全力投入したが、キーウから撃退された。ロシアは経済小国でありGDPは米国の14分の1,日本の3分の1、韓国並みにすぎない。軍事費も米国の13分の1だ。ロシアを恐れる必要は全く無い。自由で民主的な国々が結束してウクライナに侵入したロシア軍を追い出せば再び地球に平和が戻る。ロシアへの経済制裁で世界経済にダメージが生じるかもしれないが、協力してこの困難を克服すべきだ。

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2022年3月28日 (月)

プーチン勝利なら人類滅亡の危機(No. 463)

ロシアはウクライナ侵攻で、無差別に罪のない民間人を大量虐殺している。プーチンはテロリストと呼ぶべきであり、人類は最悪の人物に核のボタンを持たせてしまった。ここに到っては、このテロリストに戦争の勝利を与えてはならないということだ。もしプーチンが勝利なら次々と戦線を拡大し領土の拡大を続けるから、かつてのヒットラーの再現となる。幸いなことにプーチンは現代の戦争を理解しておらず、軍事小国ウクライナを相手に大苦戦している。そもそも何のために罪のない人々を殺すのかを説得力のある方法で説明していない。ロシア人全員がプーチンのような残忍な人間というわけではない。どこかの時点で反乱が起きると期待するばかりだ。

プーチンの考えは古い。例えば戦車で大規模に攻撃しようとしても、ドローンやジャベリンのような対戦車ミサイルで破壊されてしまう。簡単な武器で、その100倍のコストの戦車が破壊されてしまう。戦闘機、ヘリコプター、輸送機なども自動誘導のスティンガーミサイルで破壊される。すでに甚大な被害がでており、ロシア軍の将官20名のうち7名も戦死した。しかし敗色が濃くなると、残忍なプーチンは破れかぶれで化学兵器や核兵器すら使おうとすると恐れられている。

ロシアのペスコフ大統領報道官は3月22日、CNNテレビのインタビューで、ロシアによる核兵器使用は「わが国の存亡に関わる脅威にさらされれば、あり得る」と述べた。軍事小国ウクライナに侵攻して勝てないとわかったら、ロシアの存亡に関わる脅威だと言いたいのだろうか。勝てないと分かったら自らの不甲斐なさを理解し、退散すればよいだけであり、ロシア存亡に関わる脅威であるわけがない。ロシアが核攻撃をうけた場合、〈死の手〉というシステムで、自動的に全世界に向け核ミサイルが発射されるシステムになっているそうだ。これは単に脅し文句であり、こんな脅しでビクビクしていたら、プーチンは際限なく戦線を拡大する。その意味でこの戦争はウクライナで絶対に止めなければならない。

NATOは戦闘機やミサイルの提供を躊躇している。提供すればロシアと交戦することになり、第3次世界大戦に突入する恐れがあると考えている。しかしロシアのGDPは世界のGDPの数十分の1に過ぎない。ロシアは全世界を敵にして戦争を始める気があるだろうか。ロシア軍はウクライナさえ占領に失敗しており、多くの戦死者を出し相当弱体化していて、今後更にロシアが米国本土を攻撃できるわけがない。ロシアが核を使用するなら、NATOでロシア全土を一斉核攻撃すると宣言すべきだ。これは危険なチキンゲームだがプーチンが大統領である限り避けられない。しかしロシア本土に大規模な核による反撃があると知れば、核攻撃は躊躇するだろう。死にたくないと考える側近が止める可能性もある。核戦争になればロシアに勝ち目はない。

この戦争、ウクライナの一部を独立国家として認めることになるなら、プーチンは高らかに勝利を宣言するだろう。そしてこの残虐な戦争犯罪の拡大を止めることができなくなる。SNSなどを通じ、これは戦争犯罪なのだ、このままだと世界大戦になるし、極めて多くのロシア人が死ぬことになると教えるべきだ。プーチンは国営放送で偽りの情報を流し続けるだろう。西側はその情報戦に勝つ必要がある。武器の更なる提供、義勇軍の派遣に加え大規模な経済制裁を更に強化し貧乏な国ロシアを更に追い詰める必要がある。プーチンを追い詰めれば何をするか分からないと恐れるべきではない。

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2022年3月 1日 (火)

ロシア通貨危機が始まるか(No.462)

ロシアのウクライナ侵攻が始まった。短期間でウクライナは降伏するとロシアは思ったのだろうか。ウクライナの抵抗は予想以上に激しかった。その理由は様々ある。
① 両軍の兵士の士気の違いがあるのではないか。そもそもこの戦争には大義が無い。ロシア人にとって隣国のウクライナには親戚も知人も多い。日本人にとってみれば北海道を敵として攻撃せよと命令されたようなもの。できれば殺戮に参加したくないだろう。一方ウクライナ兵にとっては外敵から祖国を守るという明確な目的がある。世界中の国々が味方してくれている。ゼレンスキー大統領も首都キエフで徹底抗戦を呼びかけている。
② ウクライナに侵攻しているロシア軍は10万人程度だが、ウクライナの人口は4000万人だ。ウクライナ国防省はキエフ防衛のため市民に1万丁の機関銃を配布した。
米国製の対戦車ロケット弾もある。
米国は3億5000万ドル(約400億円)の軍事支援を行う。
ドイツは対戦車砲1000門、携帯式地対空ミサイル500基を提供
例えキエフが制圧されても、その後ゲリラ戦で勝てる。
③ ゼレンスキー大統領は26日、「協力者たち」がロシア軍との戦いを支援するために発送した武器がウクライナに向かっていることを明かにした。世界中から志願兵が殺到しており、日本からも70名が集まった。

もし、ロシアがウクライナ侵攻に成功し傀儡政権を樹立したら、それは恐怖でしかない。その成功に味を占め日本を含む近隣諸国を同じ手法で次々侵攻するだろう。だから絶対にこの侵攻を成功させるわけにはいかない。ロシアは大国に見えるが、GDPでは日本の3分の1しかなく、今回の侵攻はかつての日本軍の真珠湾攻撃のようなものだ。ロシアが欧米と日本の自由主義連合と戦うのであれば、長期的にはロシアは惨敗する。理想的には今回のウクライナ侵攻はウクライナ自身で阻止し、自由主義連合は間接的な方法でロシアを弱体化させ撤退に追い込み、最終的にウクライナをEUに加盟させるのがよい。

最強の経済制裁は「SWIFT」からの排除だ。EUとアメリカ、フランス、イギリスなど6カ国は連名で、ロシアの一部の銀行を国際的な金融決済システムSWIFTから排除するとの共同声明を発表、日本もそれに加わった。これによりロシアとの国際送金が困難となりロシアの輸出入にブレーキが掛かる。海外での借り入れや投資が困難になる。SWIFTは金融の核兵器と言われるほどの強力な制裁となる。2012年SWIFTから締め出されたイランはGDPが12年にマイナス7.4%、18年にマイナス6%になり18年は通貨リアルが6分の1に下落した。この制裁によりロシアの通貨ルーブルが信認を失い、ルーブルを保有する人々が一斉にルーブルを売り始めている。結果として急激なインフレを招き、それを止めるためロシア中銀は政策金利を9.5%から20%に引き上げた。大規模なルーブル売りが続くとやがて外貨が枯渇しデフォルトに陥る。そのときIMFはロシアに厳しい要求を突きつける。

戦争を維持するには巨額の費用が掛かり、経済小国のロシアに戦争維持は無理だからウクライナから撤退するしかない。制裁で最も大きな影響を受けるのはロシアだが、それ以外の国もそれなりのダメージを受け、日本も例外でない。コロナ禍で打撃を受けた経済が復活する前に「ロシア経済危機」の影響を受ける。かつてアジア通貨危機、リーマンショックなどで経済的な打撃を受けた国々は早期に克服し発展軌道に復帰させているが、日本だけはいつまでも復活できないでいる。今回の経済危機にも日本は対応に失敗するのではないか。しかし適切な財政出動で経済が蘇ることが示された。詳細は以下を参考にして頂きたい。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09SPYNPBP/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_KYHASPE8WZPYP4V52BX5

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2022年2月24日 (木)

もう一度、内閣府計量分析室に電話して聞いてみた(No.461)

A 計量分析室です。

Q 中長期試算ですが2021年度の歳出が142.6兆円、2022年度が107.6兆円と大幅に下がっています。ところが実質成長率は2.6%から3.2%に、名目は1.7%から3.6%と大幅に上がっています。

A はい。

Q マクロモデルで計算をするとそういうことはあり得ないと思います。

A こちらについては政府経済見通しの中で推計された数字を採用している。2022年度の国の一般会計については予算そのものを使っている。GDP成長率は政府経済見通しでそういう高い数字になっているということです。

Q 政府経済見通しは1月17日に発表されていて、実質成長率は2.6%から3.2%に、名目は1.7%から3.6%と大幅に上がっているのは、計量分析室の試算と同じです。

A はい。

Q ところが政府支出は2021年度の歳出が147.9兆円、2022年度が148.6兆円となっていて、分析室の試算とは全然違います。

A 政府経済見通しの政府支出は国民経済計算という統計の基に計算されていて、内閣府試算の107.6兆円という数字は予算書からつくっている国の会計ベースの数字になります。会計ベースと国民経済計算でどこが違うかというと、計上する時点が異なっている。会計ベースだとお金を払ったタイミングで計上されるが、国民経済計算では発生主義という方法をとっていて実際に支出されて効力が発生した段階で記録される。2021年度に予算を計算したものが、お金を払われたとしても2022年度に効果が発現するということなので、会計ベースで見たときに2021年度の140兆円の効果が2022年度に発現するということになり政府経済見通しで2022年に発現するということになります。

Q マクロモデルで計算すれば、歳出が減ればGDPも減ると思います。政府経済見通しで書いてある数字だとそうかもしれないが、試算のほうではあり得ないでしょう。GDP成長率で政府経済見通しのものを丸写しするのなら政府支出も丸写しすべきではなかったのか。

A 政府最終支出も整合的になっていて、107兆円というのはあくまで予算・決算の数字、会計ベースでのもので、国民経済計算では発生主義という考えで、会計ベースよりも遅く発現する。予算で実際令和3年度で計上されたとしても、地方とかで実際執行するタイミングがずれる。そういうことが考慮された場合令和3年度に積んだものが令和4年度に政府支出が上がるということになります。今回私たちの出した国の一般会計歳出というのは予算の数字なので実際令和4年度に支出されるという数字になっているのですが、国民経済計算のベース上は令和3年度の予算が令和4年度にのってくる。それが国民経済計算の数字になるので整合的になっています。

Q 予算ベースだと令和3年度も歳出は107兆円前後だったと思うのですが。

A 補正予算がなかったらということですね。令和3年度の補正予算は今回12月に成立した。12月に成立した場合かなり遅くなるので、令和4年度に歳出されることもあります。

そうなった場合会計に記録されるのは分析室の試算で計上されるのは令和3年度だけですが、国民経済計算では令和4年度に載ってくる。このように計上するタイミングが変わって来る。

Q 政府経済見通しからGDPや成長率を丸写しするのなら、政府支出も丸写ししなければまずいのではないですか。

A 国の一般会計歳出というのは会計上の歳出であって、我々のPBを計算する上で、成長率を計算する上でSNA上に概念を変換して行っているので政府経済見通しと一緒ですし令和4年度以降も同じ事をやっているということですね。

Q 会計上も140兆円にしなければいけないのではないか。

A 予算の数字は会計ベースでその年内に計上されている数字なので107兆円という数字を載せている。

Q 歳出が22年度で107兆円でそれ以降はずっと100兆円台ですよね。歳出が激減してもGDPが伸び続けているというのがモデルとして理解できない。

A 147兆円が107兆円に下がった動きがGDPに影響しないのはおかしいということですか。

Q はい、歳出が35兆円下がり、その後も下がったままです。それならGDPも下がったままになるはずなのに、試算では上がりっぱなしなのはおかしいということです。

A 会計上の支出と国民経済計算上の政府支出は別物と考えて頂いて、実際に147兆円から107兆円になるような崖の動きは国民経済計算上の成長率の計算であれば令和4年から令和5年にかけての動きに現れていると言ってもいい。中長期試算の実質成長率の数字をご覧頂くと22年度は3.6%ですが、23年度は2.1%に下がっているところがある。これはつまり22年度に政府支出が積まれていた分が剥落してこういった動きになる。会計上の財政の崖と国民経済計算上の財政の崖がずれていることがここで確認できるかなと思います。

Q 政府経済見通しからGDPや成長率を丸写しするのはまずいのではないですか。考え方が全然違うのだから。

A でも変動率の計算は統計の考え方で行うのでそれは整合的だと思います。

Q だったら政府支出も丸写ししたほうがよかったのではないか。

A 計数表がちょっと分かりにくくなった。ここでは会計上の数字を載せているので、会計上の数字とGDP計算上の数字が違うということをご理解頂ければと思います。

Q これはモデルにそっていないなと思います。

A モデル上も一般会計上の数字を国民経済計算の数字に変換した上で成長率をつくっているのでここでモデルでやったとしても整合的になるという理解です。結局御指摘の2022年度ですがGDP計算上は1年ずれて起こっているということです。

Q 正直にモデルを走らせた場合歳出がこれだけ減ったらGDPに影響しないのはおかしい。今言われたような調整を行っているという注釈があればそんなものかと思いますがそんな注釈はないでしょ。モデル計算としては説明不足でしょう。モデルの乗数も出しておられます。それに従えば、これだけ歳出が減ればGDPは相当減りますよ。

A 公表されている情報が足りないかもしれないですね。

Q 歳出が23,24,25年度など100兆円レベルですね。

A はい。

Q それなのにGDPは落ちない。ここはモデルを使っているわけでしょう。

A 歳出自然体といった仮定を置いています。

Q そういう仮定だったらもっとGDPは低くなるのではないですか。

A 我々のGDP計算は潜在成長率とのギャップのところで動くようにしています。たしかにおっしゃられる通りですね。

Q 全要素生産性をぐんと上げてGDPを押し上げているように見えますがそんなに上がるわけ無いとほとんどの人が思っているのではないですか。基礎的財政収支の黒字化を早めて政府のきげんを取ろうと、忖度しようとしていることが見えている。見え見えです。忖度のない日本経済の姿を発表しないと岸田さんも理解できないです。今の政策で基礎的財政収支は黒字化し、しかも成長すると誤解してしまう。つまり歳出は削減してもよいと錯覚してしまう。成長はするし基礎的財政収支は黒字になる。今の政策で完璧だ。もっと緊縮しても十分だと政府が錯覚してしまう。このモデルの裏まで調べる時間は岸田さんは無いでしょう。側近が理解してくれればよいのですが、それも無理でしょう。その繰り返しが現在に到っています。20年以上、日本のGDPは増えていないでしょう。

A はい。

Q 日本は3%成長するのだと、ずっと昔から言っている。

A そうですね。

Q もし20年前から3%成長を続けていたら今頃は1000兆円を超えていますよ。

A はい。

Q 内閣府の方で、今の政策では大変なことになる。これから一人当たりのGDPで韓国など近隣諸国に追い越されて日本は貧乏な国になっていっている。そんなはずじゃなかったと歴代の総理は思っているのではないか。彼らは内閣府の試算を見て、現在の政策でよいのだと誤解して政策を続行した結果が今の日本だと思います。これからまたこんな調子でゼロ成長がずっと続いていたら惨めなことになる。かつて日本は一人当たりのGDPで世界最高レベルでした。1990年頃、内閣府でいつも発表していたのは、一人当たりのGDPは世界最高だと言っていました。新聞に日本が世界一と出ていました。そのうちルクセンブルグのほうが上だったと過去に遡って修正がありました。内閣府の古い資料を見れば日本が世界一だと書いてあり、私もその資料は持っています。その頃に比べ日本経済は衰退し、今や1人当たり名目GDPはトップクラスの国々の3分の1にまで落ちました。その理由は内閣府で間違った試算を出していること、狂った羅針盤とも呼ばれていますが、これが政府に誤った道を選ばせたわけです。今のままではとんでもないことになります。そろそろ内閣府も反省し、今の政策では3%成長は無理だし、2%のインフレ目標も無理です。どうすべきかを国が真剣に考えるべき時が来た。単純に歳出を増やすと3%成長するのかを正直に発表すべきです。どのくらい歳出を増やすのかは、すでに発表されている乗数を使えばすぐ計算できます。

A はい、そうですね。

Q 歳出を増やす場合と増やさない場合を比較して、その結果を岸田首相に見せれば分かってもらえます。

A 潜在成長率が高い場合と低い場合を比較するのでなくて歳出を増やす場合と増やさない場合を比較するのですね。

Q そうです。是非、考え直して下さい。

A はい。実際反映できるかどうか分からないですが、ご意見を承らして頂きました。

Q 計量分析室の中で問題意識を持って頂きたいと思います。

A そういった声があるということは受け止めた上で作成するようにしたいと思います。

Q 是非頑張って下さい。

A はい、ご忠告有り難うございます。今後もよろしくお願いします。

 

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2022年2月23日 (水)

令和4年度の政府経済見通しに関し内閣府に電話して聞きました(No.459)

Q 令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度という文書を去年の12月23日に出しておられますが、この中で令和4年度の国民総生産ですが名目成長率が3.6%、実質で3.2%となっていますが、これはどうやって求めたのですか。
A 簡単に申し上げますと消費であったり企業の設備であったり需要項目という内訳があります。今の状況とか来年度どうするかとか、項目ごとに足し上げて国民総生産という数字がでてきます。
Q 令和4年度の予算がどうなるのかということで本予算に加え補正予算を出すのか出さないかで大きく変わってくると思います。それがどうなるかがここに書かれていないのですが、どう仮定されたのかをお聞きしたい。
A 今、決まっていることだけに基づいて計算してあって、令和4年度の補正予算については織り込んでいない。令和4年度の本予算は提出されている。
Q ということは令和4年度の補正予算はゼロということですか。
A はい、そうです。
Q 令和3年度の歳出は補正を合わせて142.6兆円であって、補正予算を入れないと、令和4年度は107.6兆円になる。つまり35兆円減少するということになる。
A はい、そうです。
Q これだけ巨額の歳出削減を行うと、普通にモデルに入れると必ずマイナス成長になる。
A そうですね。ただ補正予算として今回コロナ対策として、かなりの部分資金繰り支援というのが占めていまして、例えば無利子に近い形で融資をする、その利子を手当しますということ。
Q 真水もあるのでしょう?全国民に10万円を配ったのもあるし、その他色々対策をやっていますよね。それが無かったらかなり経済が落ち込んでいたでしょう。雇用調整助成金ですか。売上げが下がったら補填するとか、休業手当とか、色々出していますね。それがあったからこそ令和3年度はGDPが544兆円となった。それがないと相当のマイナス成長になると思う。
A はい。おっしゃるとおりその効果については全くはげ落ちる。まず前提として来年度全く見込んでないと言いましたが、これまでの補正予算の執行ができるということではなく、例えば給付金とか来年度にかけて支給する形になりますのでそれは来年度に繰り越すという前提を置いている。全く来年度ゼロかというと今年度の補正が一部残る形になっています。その上で政府支出であっても介護士とかは高齢化に伴って伸びていきますのでそこらへんも相殺しあって、政府支出はほぼ横ばいになっていきますね。
Q ということは2022年度の政府支出は2021年度の142.6兆円に相当する額として計算したということですか。
A まあそういうことですね。補正とかで無くなる部分もあるのですが、もともと一部繰り越すものもありますし、医療介護とか増えていく分もありますし、そう考えると横ばいになると考えられる。
Q 横ばいになるというのは、ごもっともだと思いますね。でもその数値はここには書いてないですよね。「経済財政の基本的態度」という文書には書いてない。
A そこには書いておりませんで、その後本予算を国会に提出し、それを踏まえた政府支出の見通しを新しく追加した更新版というものを1月17日に公表しておりまして政府支出がどの位になるかというのも書いております。5ページ目にあります。
Q なるほど。これを使って名目3.6%、実質3.2%を計算したということですか。それでしたら、1月14日に中長期の経済財政の試算を出していますね。そこでは2021年度と2022年度の実質と名目は同じ値が使われている。
A はい。
Q ところが歳出のところが2022年度は107.6兆円となっていて、こちらが使われている。その場合は3.6%、3.2%という成長率はでないでしょう。
A そこはなかなか申し上げづらいところで政府支出というのがいわゆる政府の財政支出だけではなくていろんなものが合わさってきますので、こちらが出している150兆円弱の大部分が国の支出でない部分です。中長期試算というのは国や地方セクターなど政府が出す支出の面ですし、試算にある歳出と政府見通しの政府支出とは異なっています。お互いに連携してやっておりますのでその中で数字が違うというものは全くなくて両方共同じものを同じ前提にしてやっています。
Q だったら2021年度が142.6兆円、22年度が107.6兆円とガタンと減った。それなら成長率がマイナスになるかと思ったら名目プラス3.6%の成長。内閣府計量分析室に聞いたら、これは我々の担当ではないから「見通し」のほうに聞いてくれと言われました。そうであればどこかに書いておくべきではないですか。これはモデル計算なのだと主張したいのなら、歳出が大きく下がれば成長率はマイナスになるはず。
A モデルの計算ではありません。モデルの計算は計量分析室が行っているもの。我々が出している政府経済見通しは当年度や翌年度の見通しなのでモデルではなく独自の方法でやっている。言っておられることは分かりますが国の支出の100兆円を超える部分の大部分が国債の利払いの部分で、そのあたりはGDPには現れません。政府支出というものがGDPの中にあるのですが、国の支出とはほぼほぼリンクしてないものでして、歳出が減ったからといっても政府支出が減るということは全くありません。ですから我々モデル上でやっているというのでなく、より実態に近い国の支出以外のもので政府支出というものを成形しております。
Q 利払いに関しては国債費の一部になっていて、償還費と利払いを加えたものが国債費ですね。国債費は21年度が24.7兆円、22年度が24.3兆円でほとんど変わっておらず、これは関係無いですね。
A それはGDPに載らない部分としてありまして、我々の政府支出の150兆円弱、国の利払いは80兆円くらいですかね、他の部分が80兆円政府支出としてあります。そこの部分が公的企業だったり地方の政府だったりするのですが、そのへんが横ばいだったり伸びていたり、トータルで考えて横ばいになる。補正の部分が無くなったと言って全体として落ち込むということにはならない。
Q 経済財政に関する試算というのは1年ごとに出していますね。この数字が出る度に大きく変わりますね。2022年度の歳出が107.6兆円となっていますが、これは半年あるいは1年後に出される試算でもこの数字は変わりませんか、それとも大きく変わるのですか。
A それは補正予算が新しく決まると大きくなりますし、補正予算が決まらない状態ですと変わらないと思います。
Q 歳出は大きく変わるが、成長率はそのままですか。
A それは補正予算の内容によります。経済がコロナの影響でかなり下ぶれています。それを押しとどめる補正予算ですのでトータルとしてはあまり変わらない。どちらかというとGDPを押し上げるような多い補正予算だと成長率も上がってくる。
Q 毎年の見通しがかなり上振れしているのではないかという印象を受けます。後で見れば上がっていない。日本のGDPは20年間以上ほとんど変わっていない。
A はい。
Q 他の国は随分成長しています、韓国などすごい成長率です。日本は成長していない。
A はい。
Q 政府経済見通しは、いつも「来年は随分成長しますよ」と毎年言っていますね。それがことごとく当たっていない。上振れしていた。
A はい。
Q こういうことは止めた方がよいのではないかと言いたい。来年度は何%成長というのはできるだけ誤差の範囲で予測が当たるように見通しを出したらどうですかと思うのですが。
A はい。我々予測しづらい部分がありまして米中の動向であったりブレグジットであったり日本だけではない部分もありますし例えば消費だったり企業の設備投資だったり、我々が考える以上の変動を伴う部分もあります。来年度の見通しというのは、本当に期待しているようなものに基づいてつくっているものでして、私個人の考えでは余り良くないかなと思うのですが、確かに実績は下ぶれているという話はありまして、いろんな手法を試しながら改良しているところです。必ずしも全部が下ぶれているわけではないです。そういった中で色々試行錯誤しながらやっている。すぐに何か見直せるかと言えば、どうかなと思いますね。
Q 上振れしたとか下振れしたとか、予測の誤差はあります。天気予報だって明日の気温は何℃と予測し、結果として高すぎたとか低すぎたとかはあります。高すぎる確率と低すぎる確率が同じくらいなら真面目に予測していると言えます。ところが政府経済見通しは必ず大幅に上振れしている。大本営発表みたいなものじゃあなくてできるだけ正確に予測すべきです。高すぎる確率と低すぎる確率が同じくらいでないと国の発表としては不適切だと私は思います。
A そうですね。そういう議論があることは承知していますが、経済予測は天気予報と比べかなり難しくて、例えば同様に予測を出しているIMFやOECDなどと成長率を見比べますと我々の予測はそれ程高くないのですね。IMFやOECDの方が我々より高く成長するとみている。日本の民間エコノミストと比べても、我々が高すぎるといったことは全くありません。
Q 日本の成長率は最低レベルですよね。
A そう、最低レベルです。我々が予測している3.2%とか3.6%とかが他の予測より高いというわけでは無い。日本の成長率は低いです。
Q 例えば2023年度だと例えば日経センターが出しているESPフォーキャストというのがあって、実質成長率は1.45%で、内閣府試算では2.1%です。
A 23年度は我々見通しでは示してない。
Q 試算の方ですね。政府見通しでは関係無いと言われればどうしようもないです。これは計量分析室で予測したのでしょうが、発射台がここだし、政府の方で3%成長を言えと言われているからそれ以外の選択は無いと計量分析室は言っておられる。露骨に圧力を受けている。政府に雇われている身分なのでそれ以下にはできない。成長は必ず3%なのだと言っておられるのですね。
A はい。
Q 本当に真面目にモデルを使って予測をしようとしているのか、そうじゃないのではないかと。
A はい。
Q 本当の事は何も言えないということだと「狂った羅針盤」と言われているような試算になる。結局政府が見誤るようになる。現在の政策で成長するのだと誤解してしまう。しかし本当に3%成長をしようと思うなら全く別のことを考えなければならない。内閣府計量分析室では全要素生産性を一気に上げればGDPは上がるよと言います。しかし全要素生産性が上がる理由を言わない。しかし次の年の発表では全要素生産性は上がっていませんでしたけど、これから上がるのですと言う。毎年同じ発表を行っています。これって欺瞞的だと思うのです。
A これは計量分析室に聞いて頂くしかない。我々は来年度の経済予測ということで、民間の予測と同じように今年度と来年度の予測をしています。その先の経済予測については財政支出の予測をつくる上であくまでモデル上の試算ですので強いとか弱いとかは余り議論にならないのではないか。そのモデルに基づくとその数字が出てくるわけです。
Q というかモデルは実質2%、名目3%、インフレ率が2%になることが大前提なのです。その前提で鉛筆なめなめでモデルをいじくるわけですが、それって余り意味が無いという気がしますが。例えば全要素生産性はどうなるんだろう、どの位影響するのか等を本格的に研究すればよい。日本には学者は沢山います。政府からの圧力なしで予測すればこんな試算にはならないでしょう。3%成長を20年続けたら1000兆円は超していたでしょう。でも全く成長しませんね。600兆円を目標と言っていましたが、全然600兆円に達しない。つまり内閣府計量分析室の試算は明かに間違いだと言えます。
A 今年度と来年度については我々が予測するのですが、再来年度以降は計量分析室のもので、我々のモデルも色々情報の制限がありますので知らないのです。
Q 我々何度も計量分析室に電話してこの計算はおかしいと追求すると必ずそれは政府見通しに責任があるのでそちらに聞いてくれという。責任のなすりあいですね。
A 今年度と来年度の話だとおっしゃって頂ければと思うのですが再来年度以降は計量分析室の担当です。もし政府見通しと言われるようでしたら私から言いますので言って頂きたいのですが。
Q ただね、これは連帯責任ですよ。一緒にやったほうがよいのではないですか。
A いや、当然一緒にはやっているんですよね。あくまで予算や各種方針の前提でつくるので今年度と来年度の見通しをつくっていまして、それを計量分析室でも今年度と来年度の見通しをつくります。ただ、それ以降では不確定要素が多いのでモデルでやっているところなのです。必ずしも連携していないわけではない。我々は再来年度以降全く状況が分からない。予算も全く決まってないところなので計量分析室のモデルでやって頂く。そういう流れにしていますので、連携してないのでなく、それぞれの役割を分担してやっている。
Q 日本のGDPの推移を見ると諸外国に比べ全然成長していない。日本だけいつまで経ってもGDPが上がらない。円表示で見てもそうだが、ドル表示でみたらもっとひどい。だからひどい状態だと思っています。平成元年ころは1人当たり名目GDPが世界トップレベルだった。当時時価総額ランキングで10位以内に7社が日本企業だった。今はトップ10に入っている日本企業はありません。台湾や韓国のトップ企業に日本企業ははるかに劣る。こんなに貧乏になったのは結局政府の政策が悪かった。この政策ではダメだと政府に対して言う人が必要です。内閣府の試算で現在の政策ではこんなに没落しますよと忠告しなければならなかった。それをせずに今の政策でどんどん経済が成長すると言い続けてきた。その試算を見た政府は、これでいいんだと確信し緊縮財政を続けた。基礎的財政収支黒字化を目指しているだけで経済は発展するのだと錯覚を起こしてしまった。それが歳出が伸びなかった理由であり、歳出が伸びなければGDPが伸びるわけがない。計量分析室では乗数を出しています。乗数がマイナスなら歳出を増やせばGDPは減りますが乗数は必ずプラスです。だからGDPを増やしたければ歳出を増やせばよいという単純な論理なのですがそれを厳しく制限していますね。目標は基礎的財政収支黒字化ですからできるだけ歳出を減らそうとしている。ということはできるだけGDPを増やさないという政府目標になっています。ここで目標を変えた方がよいのではないかと思っています。
A 財政支出をどうするかとか基礎的財政収支をどうするかというのは我々は全く決めていなくて役割を分担の中で計量分析室が決めていますので、政府経済見通しに再来年以降の名目成長率3%をどう扱うかについて我々意見として賜ることもできないのです。
Q それは責任転換というものですよ。
A そうではなくて計量分析室が決めておりまして、それぞれ役割の中でやっていることです。我々の役割は本年度と来年度の成長率を決めているだけで、是非ご理解頂きたい。
Q 基礎的財政収支黒字化を言い出したのは竹中・小泉両氏だと思います。内閣府試算に書いてあった事は2011年度には基礎的財政収支が黒字化すると書いてあった。
A すいません。私は業務がありますので。
Q 聞きたくないということですね。質問を受け付けないということですね。
A 宜しくお願いします。

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2022年1月26日 (水)

2022年1月14日に発表された「中長期の経済財政に関する試算」に関し内閣府計量分析室に電話して質問しました(No.458)

Q 成長実現ケースですが、全要素生産性は1982年から1987年までの5年間で0.9%上昇した。これと同じだけ全要素生産性がこれから上昇すると仮定して計算していますね。
A はい。
Q この時期は公定歩合を大きく下げ銀行も貸し出しを大きく増やしたりして特別な時期でしたね。
A そうでしたね、はい。
Q こういう状況が再び訪れようとしていると思っているのですか。
A おっしゃるとおり、当時とは状況が違うということがあるかも知れないのですが、我々としましては、成長実現ケースというのは、骨太の方針2021年度の中で実質2%、名目3%という成長を目指すという事を基に、それが実現した場合には全要素生産性がそのように上がっていくというのが成長実現ケースというものです。もちろん、ご意見は色々あると思うのですが、今の経済財政運営のスタンスが実現すればこういうように全要素生産性はこうなると仮定を置いているということです。
Q 最近発表された全要素生産性は0.3%~0.4%でずっと低迷していますね。
A はい。
Q それにも拘わらず何年間もの間全要素生産性が急上昇すると仮定をして計算をしていて、それが全部嘘だったわけです。これはやり過ぎだったのではないか。あり得ない仮定ではないか。バブルが今すぐに来るだろうという主張は全く適切ではないのではないか。
A おっしゃるとおりです。こういった試算の時によく言われます。
Q この試算を見て岸田内閣が現状の政策でこんなに成長すると思われてしまうと困りますね。全要素生産性はそんなに上がったり下がったりするものではなく、余程大胆な政策変更をしない限り変わらない。
A そうですね。
Q 政府の方から圧力が掛かっているかも知れませんが。
A いいえ、そんなことはありません。
Q 私は困ったものだと思っています。
  2021年度には歳出が142.6兆円という大きな額になっていますが、2022年度は107.6兆円に下がっています。つまり35兆円も歳出が下がっています。
A はい。
Q それだけ歳出が減少すると名目GDPも相当減少するはずです。それなのに試算では2021年度は544.9兆円、2022年度には564.6兆円と逆に20兆円も増えています。マクロモデルで計算してこんな結果はあり得ないと思います。
A この部分の試算は「政府経済見通し」で示されている成長率になっていて、詳しくはそちらで聞いていただいたほうがよいのですが、そこで出された経済見通しを採用させてもらっております。
―――――――――――――
著者コメント
政府経済見通しは令和4年1月17日に閣議決定の後、発表されている。
https://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2021/r040117mitoshi.pdf
これは「天の声」であり、どんな馬鹿げた数字が並んでいても計量分析室で変更することは許されない。
――――――――――――――
Q どうしてこういう政府見通しになったのだろうと思いますね。計量分析室では自分たちは関係無いよというのですね。でもね、これってやり過ぎでしょう。閣議決定をされたからこれに従わざるを得なくなったということですか。
A 一応見通しの中では今回組まれた2021年度の補正予算を着実に実行することによって民需主導で自律的な成長ができるという考え方の基に22年度の成長率がつくられているというところがあります。
Q でもオミクロンもありますし、民需に期待すると言っても外国からの人も入って来られない(インバウンド)状況でどうやってこのGDPを稼ぎ出すのだろうと心配しています。
A おっしゃるとおりで、「見通し」の中でもオミクロンがでたばかりだったので、それを考慮しなかったと思います。その点に関しましてはリスクとして書いてあったと思います。
Q 毎年、「見通し」でかなり見誤っているという気がしますね。実は見通しでなく目標なのかもしれません。見通しと言いますがモデル計算ではないわけですよね。
A 確かにモデルではなかったのかもしれませんが、モデルみたいなものがあったような気がします。これは担当の方に聞いて頂ければよいのですが、確かに甘いと言われればそうかもしれません。
Q 歳出を大きく減少させればGDPは減りますよね。
A 前年度と比べたらということですね。
Q そういうモデルになっていると思うのです。その逆になっていたら信用できない。歳出を削減すればGDPが上昇するというモデルを誰が信じますか。
A 確かにそうですね。
Q 税収が随分増えるのですね。2020年度は45.2兆円しかないのに2021年度は76.0兆円に増えています。確定値ではないですよね。
A はい、確定値ではありませんが2022年度予算のとき見積もった。上振れが起きています。
Q 税収が増えた。2022年度だと、補正予算がないとすれば税収はかなり減るかと思ったのですがそんなに減らないしその後もかなりの高水準を保っている。1年前に発表された税収予測に比べても増えている。コロナで傷ついた経済なのに税収はそんなに増えるものなのか。これは基礎的財政収支の黒字化を早めるための工作でしょうか。
A そういう意図的なものは無いのですが、今回上振れたというのは2021年度の補正予算が出たことによって税収が上振れした。まず税収の発射台が上がっています。税収は我々のモデルでは経済成長に従って上昇するということで結果的には上ぶれているということになっています。
Q 全要素生産性がかなり効いているのですか。
A 回り回って、そういうことにもなりますね。
Q だから全要素生産性でさば読んでいるのではないかと考えると、これはやり過ぎということではないですか。名目GDPは実際は増えてないのに、随分増えると予測しています。実際はGDPは30年近く、ほとんど上がっていない。ドル表示で見ると下がっているくらいだと思います。
A ああ、ドル表示だと。
Q 円安になったらドル表示だと下がってしまう。それなのに、試算ではGDPが勢いよく上昇している。確かに3%成長すれば上がります。それは政府が夢見た成長なのでしょうが夢は実現してないから現実を見る必要もあるのではないでしょうか。
A はい。
Q 2022年度は3.6%成長というようにどんどん上がっていくことになっています。ほんとにそうかなと思います。
A そうですね。
Q じゃあ、どうすれば上がるのか。岸田首相は給料が上がれば良いとお考えです。給料を上げると固定費が増加し収支が悪化しますから設備投資ができなくなる。そうすると外国のお金持ちの企業に比べ設備投資が見劣りし、競争に負けるのではないかと思います。
A そうですね。岸田首相は成長と分配の好循環とおっしゃっておりまして成長すればよいのですね。でも分配を大きくすると設備投資ができなくなる。
Q そうでなくとも、時価総額で劣るわけです。平成元年の頃は時価総額ランキングでトップ10の中に7社も入っていました。今は1社も入っていなくてトップのトヨタですら40位くらいです。日本企業は随分貧乏になってしまった。私の考えでは全要素生産性を上げてGDPを上げるというのは夢物語で、あの頃のように金融緩和で大変なバブルを発生させた1987年までの5年間のような経済にできるわけがありません。金利はあの時のように下げられません。銀行貸出を大きく増やすことも、今は企業も個人もあのときのようにはできません。カネを借りて投機すれば大儲けができる環境にない。設備投資が進まないと韓国、台湾、中国にどんどん抜かれていってしまう。一人当たりのGDPも韓国や台湾に抜かれてしまう。だから内閣府計量分析室に私は非常に期待をしています。政府に教えてやって欲しい。3%成長をしようと思えば全要素生産性を大きく増やすのは無理で、やはり歳出を増やさなくてはならない。
A なるほど。
Q 歳出を増やせばハイパーインフレになるとか国債が暴落するとかと言う人もいますが、内閣府のモデルで計算してみればそんなことにはならないと分かるはずです。コロナ禍で歳出を随分増やしましたが円の信認が失われることも、ハイパーインフレになることも、国債が暴落することもありませんでした。物価上昇率はまだ低すぎるくらいです。
A はい。
Q だから歳出をもっと増やしてよいのだと思います。全要素生産性を変えずに歳出を増やした場合と増やさない場合を比較して欲しい。公開が難しければ、せめて岸田内閣の方々にだけでも結果を教えて欲しいのです。どの位歳出を増やせば3%成長ができるのかを示して頂きたい。「政府経済見通し」とは関係無く、発射台としては現状の経済データをそのまま使って計算して欲しい。インフレ率がどうなるかを正直に伝えて欲しいと思います。その結果に基づいて歳出拡大をすべきかすべきでないかを政府に検討させて欲しい。
A なるほど。全要素生産性を変える場合ではなく、歳出を増やす場合と増やさない場合ですね。
Q 全要素生産性を増やすのは大変です。1982年から1987年の5年間の経済を再現するということ、これはプラザ合意の後、日本は内需拡大を求められたわけです。金利を大幅に下げ、銀行は無茶苦茶な貸出をしました。株や土地に投資すれば、大変な収入になるのだと言い、とんでもない額の貸出をし株や地価が急騰しました。結果としてその後バブル崩壊で、不良債権が発生し、日本経済は一気に没落してしまいました。バブル発生時の経済状況にするなら、全要素生産性は上がるかもしれませんが、バブルを発生させるのは極めて危険です。しかし単に歳出を上げるだけなら、行き過ぎたと思えば歳出を下げればよいだけです。
A なるほど。
Q そうすればよいと思うのですがダメですか。
A 我々は経済財政運営はできませんので。
Q 歳出を変えるだけでコンピュータを走らすのは簡単でしょう。公開しなくても、結果を岸田さんとか高市さんとかに教えるだけでもいいですよ。
A はい。ご意見を承りましたということで。我々の試算とは別に乗数分析をやっておりまして、その表をご覧になって頂きたいと思います。
Q その乗数表を見れば歳出を増やせばGDPは増えるということになっていますよ。2021年度から2022年度で、歳出は大幅に下がったのにGDPは大幅に上がるというのは乗数分析の結果に反していると思いますよ。
A そういうことですね。
Q だから「政府経済見通し」がネックになっていているわけで、もうこの見通しを発射台にすることを止めて、現状をスタートポイントにして計算したほうがいいですよ。全要素生産性を変えるのは問題がありすぎます。全要素生産性は一般の人には縁遠い存在なので1982年からの5年間という、日本経済が異常な状況にあったむしろ極めて危険な試みを行っていた時の全要素生産性を採用するのは大きな問題だと思います。
A はい。ご意見は承りました。本当にご意見を反映できるかどうか分かりませんが、承りました。また何かありましたらお知らせ下さい。
Q はい、宜しくお願いします。

参考資料:
内閣府のモデルの乗数は

https://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2021/r040117mitoshi.pdf


にあります。これによると、政府支出をGDPの1%相当を増やすと、GDPは1.16%上昇するとなっています。2021年度に比べ2022年度は35兆円政府支出が減っているので、GDPの6.4%相当減少しています。ということは2022年度のGDPは7.45%減少しなくてはなりません。これは40.6兆円GDPが減少しなければならない事になります。
しかし試算では19.7兆円増加することになっています。そんな支離滅裂な数字が閣議決定されたわけです。実際は岸田内閣はマイナス成長を容認しないでしょうから、そんなに政府支出を減らすことはせず、結果としては基礎的財政収支の赤字は拡大することになるでしょう。

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2022年1月21日 (金)

内閣府計量分析室は経済試算を偽装している(No.457)

内閣府は毎年2回、経済予測を発表してきた。
発表された試算でGDP成長率は下図のように毎年力強く成長すると予測しているが実績は成長は極めて遅い。内閣府計量分析室の職員は政府に雇われている身であり、政府が名目3%成長すると言っている限りこのようなグラフにするしかないのだ。ということはどこか国民の気付かないところで偽装するしかない。

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このような現実離れした成長率をでっち上げるために使われたのが全要素生産性である。各試算のために使われた全要素生産性が「成長実現ケース」でどう変化させたかと以下に示す。

2017年1月 全要素生産性(TFP)上昇率が足元の水準(2015 年度:0.8%)で 2016 年度まで推移した後、2020 年代初頭にかけて 2.2%程度まで上昇する
2017年7月 2019年1月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する
2018年1月 足元の水準(0.7%程度)から1.5%程度まで上昇する
2018年7月 足元の水準(0.6%程度)から1.5%程度まで上昇する
2019年1月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する
2019年7月 足元の水準(0.4%程度)から1.2%程度まで上昇する
2020年1月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する
2020年7月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する
2021年1月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する
2021年7月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する 
2022年1月 足元の水準(0.4%程度)から1.3%程度まで上昇する 
つまり全要素生産性が急激に上昇すると仮定して毎回計算している。全要素生産性の急上昇に何か根拠があっての仮定かというとそうではない。そもそも全要素生産性はどのように推移してきたかを示す。
                         出所:内閣府1_20220121120901

内閣府は全要素生産性を1982年度から1987年度までの全要素生産性の急上昇が今の日本で起きると仮定して毎年試算を行っている。この期間はバブル期だ。日銀は公定歩合を大きく引き下げた。公定歩合は1986年に5.0%だったのが1987年2月には2.5%に下げられた。金融機関は投機のための資金を積極的に提供した。1986年にはNTT株が売り出され、2か月で売り出し価格の3倍に達し、投機ブームが起きた。地価も株価も激しく上昇していた。この試算では当時の経済が今日以後再現すると仮定している。実際は全要素生産性は0.3%~0.4%に留まっているのに、これが今日からはバブル期並に上昇すると仮定している。しかも毎年同じ仮定が使われている。全要素生産性の仮定など誰も気にしないだろうと考えたのだろうか。これは予想ではなく偽装というべきだ。

2_20220121120901

 

この偽装は内閣府計量分析室に責任があるのではなく、日本経済の実態を正しく説明することを許していない政府の責任である。このような偽装を続ける限り、日本経済の没落、日本の貧困化は終わらない。

経済を成長させたいなら、唯一の方法は政府支出の増加であることは以下のグラフからも明かであり政府支出の増加で経済はどうなるかを内閣府は計算して発表すべきだ。

3_20220121120901

出典:朴勝俊先生
Twitter https://twitter.com/psj95708651/status/1325562650978181122

府支出の増加で経済はどうなるかを示すシミュレーションは以下の文献を参照。

『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』扶桑社 (2021/1/21) ASIN : B08T97FCHZ 井上智洋、小野盛司
『ベーシックインカムで日本経済が蘇る シミュレーションで明かになった驚愕の事実』小野盛司、荒井順、増山麗奈、山下元(宮帯出版 2022)

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