経済・政治・国際

2017年8月14日 (月)

北朝鮮の核ミサイル脅威から世界を救う方法(No.260)

北朝鮮がグアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射を検討していると発表した。この発表が北朝鮮にどのようなメリットをもたらすのだろうか。この脅しでアメリカが軍事的圧力を弱めるとでも思っているのだろうか。北朝鮮にとってこの発表は害あって益なしだ。

オーストラリアのターンブル首相は8月11日、地元ラジオ局のインタビューに応じ、核・ミサイル開発を巡り緊張が高まる北朝鮮情勢について、「もし米国が北朝鮮に攻撃された場合、軍事同盟を発動して米国を支援する」と述べ、有事の際には米軍とともに行動する方針を明らかにした。アメリカの同盟国と言えばイギリスもある。例えばアメリカ・イギリス・オーストラリアの3国同盟で次のような発表をしたらどうなるか思考実験をしてみよう。

北朝鮮が核ミサイル開発を放棄しなければ、1週間以内に3国同盟は北朝鮮をミサイル攻撃する。

この発表前に在韓米軍は一時的に国外に撤退しておくとよい。これに対し、北朝鮮はどう対抗するだろうか。3国同盟を相手に宣戦布告するだろうか。この戦争に勝てるわけが無いのは誰の目にも明かだし、負けるに決まっている戦争を金正恩は始めるわけがない。ソウルを火の海にするぞと脅すかもしれないが、ソウルは3国同盟に入っていないし在韓米軍の撤退後だから関係無い。北朝鮮は大敗して悲惨な結果になるのは明かだ。もちろん金正恩は生き残れない。彼が正常な感覚の持ち主であれば、彼は開戦より降伏を選ぶだろう。開戦は彼にとっては事実上自爆攻撃だし、死を意味する。彼が死を覚悟しているのであれば、核ミサイル開発などするわけがない。核ミサイル開発はアメリカの攻撃から自分を守りたいから行っているのだから。彼を支える軍や指導部も全員が死を覚悟しているとは思えない。3国同盟相手に戦争をやるくらいなら、彼を殺して生き延びたいと考える人は多数いるはずだから、彼の無謀な命令に従わない可能性は高い。

彼の周辺の人々がすべて自爆攻撃を支持し、意味も無くソウルを核攻撃してくる可能性は極めて低いがゼロではない。その場合でもミサイルは撃墜できる。極めて可能性は低いが最悪の場合、百万人単位の犠牲者が出る可能性は否定できないが、もし現状を放置しておけば金正恩は自信を深め、更に核ミサイルの開発を進め更に大きな被害を世界にもたらす可能性が大きい。北朝鮮軍が核攻撃で脅しながら韓国や日本に侵入しても誰も抵抗できないのだろうか。つまり現状を放置すれば、北朝鮮の脅威は年々雪だるま式に拡大する。決断は早ければ早いほど被害は少なくて済む。

どうしても怖くて北朝鮮へのミサイル攻撃に踏み切れないというのであれば、次善の策は3国同盟で北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使って空からばらまいて経済的混乱を引き起こすことだ。これなら核で反撃することもないだろう。本物と全く区別の付かない北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使い北朝鮮全土にばらまくとよい。そうでなくても物不足の北朝鮮の物不足に拍車をかける。カネを受け取った民衆は買い溜めに走り、軍や指導部、支配階級達の経済的地位を下げる。すでにガソリンが欠乏しているそうで、ガソリンが無ければ戦車も動かないだろう。カネに加え、チラシもばらまく。核戦争になっても、通常兵器での戦争になっても、北朝鮮は3国同盟に勝てないので、悲惨な敗戦になることを、そして武器を捨てれば諸外国のような繁栄が待っていることを国民に知らせるとよい。そして3国同盟による断首作戦に協力した者には、巨額の報償金を与えると約束すれば良い。

いずれにせよ、決断の時は迫っている。

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デフレ脱却が実現すれば、生活がよくなるのはなぜか(No.259)

1960年代や1970年代の高度成長時代は、新しい機械を入れて生産性が上がれば、そのままGDPの上昇に繋がった。生産量が増え、売上げが増え、GDPが増加した。それには持続的な需要の増加があったからで、企業が利益が上がった分、賃上げを毎年行っていた。賃上げなしには十分な従業員の確保ができなかったし、将来の需要増加が見込めたので賃上げを行い続けることはリスクではなかった。

20年近くデフレから脱却できないでいる現代は事情が違う。新しい機械、ロボット、AIを導入して生産性を上げるだけではGDPは伸びない。消費・需要は増えない事を国民は知っている。だから経営者は生産量を増やし売上げを増やすというより、むしろ人を減らして利益を増やすことを考える。かつて過大な設備投資をし、失敗した経験が大規模な投資を躊躇させる。賃金を上げ、人を大幅に増やしても利益は伸びないことを知っている。日本経済は拡大しないことを知っているからだ。

つまり高度成長期には、人は経済は発展するしこれから我々の暮らしは豊かになると信じていたからその通りになった。デフレ期には人は日本経済は拡大しないしこれから我々の暮らしは悪くなると考えていたからその通りになった。つまり人が考えている通りになり失われた20年の間日本は貧乏になり続けた。もし何らかの方法で現代の人にこれから日本は発展するし、生活も楽になると思い込ませることができれば、それが実際に実現する。これは集団催眠である。そのような集団催眠を掛ける方法があるのかと言えばある。それが積極財政・財政拡大政策である。

現在の日本はデフレマインドが支配している。これを変えるのに、異次元金融緩和では十分ではなかった。減税や歳出拡大を国民がびっくりするほどの規模で行えば人の考えは変わる。減税は可処分所得を増やし消費を刺激し、歳出拡大は経済を活性化する。政府は財政規律など守る気はないと国民が思い始めるとインフレ率が上がり始める。減税や財政拡大の規模を調整すれば、目標とするインフレ率、GDP成長率の達成は可能だ。

こう言うと経済音痴の人から反論(脅迫じみた)が来る。「ハイパーインフレになるぞ」
「国債が暴落するぞ」「円が暴落するぞ」「財政が破綻するぞ」など、連中は脅しの文章を豊富に用意している。国は通貨発行権を持っており、いくら借金が多額でも財政破綻はしない。しかし通貨を発行するとハイパーインフレになると脅すがハイパーインフレを防ぐ手段はいくらでもある。「増税・金利引き上げ・預金準備率引き上げ・売りオペ・安い輸入品を入れる」などである。そもそもハイパーインフレは敗戦の極端な物不足が原因していることがほとんどであり、今の日本では起こり得ないことは政府も質問主意書の答弁書で認めた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-aa89.html

それでも心配性の人は国がこれ以上借金をしたらやがて返せなくなるのではないかと思っている。「返せなくなる」という意味は国が発行する国債を買う人がいなくなり政府が資金不足で破綻するのではないかという心配だ。しかし、銀行などが国が発行する国債を買えば、直ぐに日銀がその国債をもっと高い値段で買ってくれるのだから銀行にとってこんな利益が確実な取引は無い。国が値上がりが確実だと保証している国債が売れなくなるわけがない。

結論は、大規模な減税・財政拡大政策を直ちに始めるべきであり、それが日本を再び成長する国に変身させる。7月31日に出されたIMFの年次報告書は日本に対し「短期的な財政刺激策が経済成長と物価の押し上げにつながる」と述べている。

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安倍総理は何を間違えたか。(No.258)

安倍内閣の支持率が下がっている。稲田防衛大臣が辞任を表明したこともその一因のひとつになっている。安倍氏は女性の活躍する社会を目指し、稲田氏に期待したのだろうが、人選を誤ったということだろう。ただ、日報の公表問題だけに限れば、本当にこれがそれほどの大問題なのかは疑問だ。そもそも自衛隊のPKO派遣は世界平和に貢献するという目的であり、隊員の一人が日報に「戦闘」という言葉が間違って入れたとしても、国中で大騒ぎをするほどの問題ではない。国連が世界の警察官としてPKO部隊を派遣するということは世界平和に貢献するのは間違いない。戦闘地域に入れなかったらPKOの意味はない。憲法違反だというなら、自衛隊の存在自体が憲法違反なのであり、国際社会の一員としての義務を果たすのであれば、憲法を改正するしかない。日報に「戦闘」という言葉が入っていたというだけで、これだけの大騒ぎをするのは日本だけだろう。

総理が、あるいは大臣が不用意に言ったつまらない一言で日本中が大騒ぎをする。後で訂正してもそれが収まらない。こんなことばかりやっていて、重要な事を忘れてしまう。こんな国は世界中探しても日本しかない。アベノミクスを掲げて第二次安倍内閣が発足した頃はこんなことはなかった。アベノミクスに国民が期待していたからだ。その期待が薄れた今、マスコミは些細な政治家の失言で大騒ぎをするようになった。安倍総理はアベノミクスの精神に立ち戻り、財政と金融の2本建てでデフレ脱却を目指すべきではないか。

極めて小さな扱いだったが、読売新聞が参議委員議員99名が積極財政を首相に要請したと報じた。最近新聞を賑わしているニュースより100倍も、いや1000倍も国民の暮らしに影響があるニュースだ。この要請は「真アベノミクスを求める要望書」を提出することにより行われた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/no-53b4.html
同様な動きは衆議院でも起きている。
それは「日本の未来を考える勉強会」であり、呼びかけ人 安藤裕衆議院議員(自民党)である。2回生議員100名中28人が連名で提言書を提出した。その内容は
〇基礎的財政収支黒字化の目標を取り下げよ
〇公共事業や教育分野の歳出を思い切って増やせ
〇消費税は増税せず、むしろ5%への減税も検討せよ
である。

積極財政で財政を拡大すると国の借金が増えると心配する人がいるかもしれないが、しかし、日本経済のマクロモデルで調べた結論は積極財政により国の借金は実質的に減るということだ。例えば内閣府は平成20年1月17日に「進路と戦略」を発表した。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h20sisan.pdf
成長シナリオケースA  (14.3兆円)は積極財政政策に相当し、ケースB  (11.4兆円)は緊縮財政政策に相当する。ここで得られた結論は緊縮財政政策に比べ積極財政政策は、名目GDPが増大し、GDPデフレーターが上昇し(つまりデフレ脱却が可能)、失業率は減少し、国の借金のGDP比は減少するということだった。

つまり積極財政はすべての面で緊縮財政より優れており、国の借金も実質的に減少するというもの。国を豊かにし、国民を豊かにし、国の借金の重圧から解放されるのだから、一刻も早く実施すべきである。マスコミも国民生活にも国民の安全にも全く無関係な報道ばかりするのでなく、このような極めて重要な事実を国民に広く知らせる努力をして頂きたい。そして安倍総理は思いきって財政拡大を行い没落を続ける日本経済を救い、支持率を回復させるべきだ。

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2017年7月29日 (土)

真アベノミクスを求める要望書(No. 257)

西田昌司のブログより引用します。
http://ameblo.jp/j-shoujinishida/entry-12296338100.html
自民党参議院議員でつくる「故郷を支援する参議院議員の会」(会長・吉田博美)は7月27日に安倍首相に次のような要望書を提出した。同会は、同党参議院議員の約8割にあたら99人が所属している。

                 平成29年7月27日
        真アベノミクスを求める要望書
                    故郷を支援する参議院議員の会
アベノミックスは金融と財政と民間が協調して経済を再生させるプログラムであり、その方向性には問題はない。
 しかし、期待通りの成果が上がっていないのが現実である。その一番の原因はPBに縛られ事実上財政出動をしてこなかったことである。政府が積極的に財政出動をせずに民間に積極的投資を期待するのには無理があった。
 少子化対策や、地方喪失対策など国民の切実な要望に真剣に応えるのが政府の使命である。これを、財政規律を理由に拒否することはあってはならない。経世済民こそが政治家の使命なのである。
 今こそ、政府挙げて国民の切実な要望に耳を傾けるべきである。災害対策のための国土強靱化は勿論のこと、新幹線のネットワークの充実や高速道路網の整備をはじめとするインフラ整備の長期計画を立案し必要な予算措置をすべきである。
 少子化の弁員の一つが家計における教育費の増大化である。給付型の奨学金の充実を始め、国立大学の授業料を定額に戻すべきである。地方を支える優秀な人材を地方で育てることは、東京一極集中に歯止めをかけるためにも重要である。
 地方交付税を増額し、地方予算を政府が財源保証することも地方再生のためには重要である。その他、各省庁に経世済民のためにすべき10年計画を作成させ、必要なものから順次予算化させることが重要である。
 大切なことは、政府が経世済民のための長期計画を作成し、順次予算化することである。これにより財政出動額が長期的に増えるためGDP増加に直接効果がある。また、長期計画を国民に知らせることで、それに協調する民間投資が増える。経世済民のための長期計画を示すことで国民が将来不安を払拭する。それが、少子化に歯止めをかけ消費を増やし、結果的にデフレから脱却し、経済を成長させることになるのである。
 尚、そのための財源はデフレ期には国債でまかない、デフレ脱却後は、消費税のみならず法人税や所得税も含めた税制の抜本改革を速やかに行い、社会保険料も含めた国民負担率を西欧並みの50%程度に引き上げる必要がある。
 ビジネルサイドからの目線ではなく、国民サイドからの目線による経済政策、それが真アベノミクスである。直ちに、真アベノミクスに基づく経済対策を行うことを求める。

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2017年7月20日 (木)

今年も内閣府計量分析室はオオカミ少年だった(No.256)

7月18日に内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が発表された。よくもまあここまで数字をでっち上げられるものだと呆れてしまう。電話で担当者に話しを聞いても鉛筆ナメナメで作られたものだということが確認できた。

直ぐ気付くのは2016年度の名目成長率が前回の1.5%から1.1%に下方修正されたことだ。さすがオオカミ少年で、これから景気は良くなりますよと言っておいて、後から「そうなりませんでしたが、来年度は景気は良くなります」と言う。これを毎年繰り返している。ここで下方修正するなら次の2017年度も下方修正するのが筋だろうと問い詰めても、2017年度の数字は「見通し担当」が出した数字であり当方は一切関係ありませんと言って逃げる。巧妙な責任転嫁の方法であり、バラバラの部署で作った数字を無理矢理一つの表にして責任のなすり合いをしている。全くふざけているとしか言いようがない。

内閣府は名目成長率は3%だと決めつけて試算を行っている。2001年度は500兆円だったから、3%成長がずっと続いていたら2016年度は779兆円になっていたはずで、オオカミ少年は懲りもせず毎年下方修正した結果、2016年度の名目GDPは537兆円にしかなっていない。こんな子供だましはもう止めて欲しい。

それにしても過去20年間の名目成長率は平均でほぼ0%なのに、ここで予測されているのは名目3%を超える信じがたい数字がずらりと並ぶ。何が原因で日本経済は一気に高成長になるのかと聞くと、改革によって生産性が上がり成長すると答えた。でも小泉内閣の時も構造改革を盛んにやっていたが、名目成長率はほぼゼロだったではないかという問いに対して内閣府は答えられなかった。

今回の予測は半年前の予測に比べ緊縮型だ。歳出を数兆円削減する予測となっている。それなら成長率は下がるはずだがそうなっていない。緊縮財政でも名目成長率は下がらないモデルなのかと聞くとそうではないという。そこにはトリックがあった。苦肉の策として金利を下げたのだ。それによって国の利払い費が下がり国債費が減り歳出を削減することができた。

世界は今景気回復局面にあり、金利は上昇し始めている。しかし、日本は取り残されていてひたすら異次元の金融緩和で金利を下げ続けるということだ。例えば2019年度には名目GDPは3.6%成長、物価上昇率2.3%なのだが、長期金利は僅か0.7%だ。過去の金融政策を見ると、2007年2月に日銀は金融市場調節の操作目標の誘導水準を0.25%前後から0.5%前後に引き上げた。成長率もインフレ率もほぼゼロの時代に金利を上げた。そんなせっかちな日銀が名目GDPが3.6%成長、物価上昇率2.3%にまで景気が回復しても本当にそんな低金利でずっと我慢し続けるのだろうか。鉛筆ナメナメならなんとでも言えるのだが。

低金利でずっとやっていく事の危険性は色々ある。世界の景気は今上向いているが、そのうちまた不況がやってくる。そのときまでに日本がデフレ脱却に失敗していたら、世界景気の後退という逆風でまたデフレが深刻化する。

金利が下がると言うことは資金需要が減るということだ。つまり景気が悪化し投資意欲が減退し、融資を受けても設備投資をしようとする意欲が出ない。だったら成長率が落ちるはずだが、そうなっていない。何の根拠もなく、金利を無理矢理下げて国債費を減らし歳出が減ったように見せかける。内閣府はこんな悪巧みをする暇があったら、2010年を最後に発表しなくなった乗数を公表すべきだ。そうしないとどういうモデルを使っているのか隠蔽されたままだ。筆者は再三に渡り乗数を公表せよと要求しているが、内閣府は「準備中」だと言ってひたすら隠す。隠す理由は明かで、乗数を示すと歳出を拡大すればGDPが増えて国の借金のGDP比が減ることが暴露されるのだ。そうなれば歳出を拡大せよという声が高まり収拾が付かなくなると考えているのだろう。しかし歳出拡大でデフレ脱却、景気回復、インフレ目標達成、債務のGDP比の減少という国民が望む事がことごとく実現できるのに何が問題だというのだろう。内閣府はオオカミ少年をそろそろ止めて国民のための経済政策を考えたらどうか。

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2017年7月19日 (水)

ベーシックインカム vs ミニマムサプライ(No.255)

「労働はロボットに、人間は貴族に」という社会へ徐々に移行すべきだというのが筆者の提案である。
http://asread.info/archives/3856
経済システムを適切に構築すれば、財・サービスの提供はロボット(AI)に任せ、人間は貴族のような生活ができるという説である。もちろん、いきなりそのような社会が実現するわけがない。そのような理想社会に移行する中間段階ではどのような社会になるか一つの案を提示してみよう。ベーシックインカムに対しこの制度は最低限の供給を保証するという意味でミニマムサプライと名付けることにする。

第一段階では国は通貨発行権を駆使し、大企業の株を買いまくる。しかし、国が経営に口出すようならろくな事は無いからそれは厳禁である。国は株の配当など、大株主である故の巨額の収入を得るから大規模な減税もできるし、財政は極めて豊かになる。その豊富な財政資金を利用しロボットがつくった極めて低価格の食料品や日用品(品数は限定する)を買い取り、それを国営スーパーで無料で配布する。このスーパーにはいらなくなった古着とか古本とか古い家具とか何でももってきてもらい、無料で配る。リサイクルにもなるし、これを利用すると誰でも最低限の生活は事実上無収入でも維持できることとなる。マイホームも同様で最低レベルの住居であれば、国が買い取った空き家にタダで住めるようにする。これにより路上生活者はいなくなる。無料で受診できる国営の診療所も開く。もっと本格的な治療を受けたいなら有料の病院へ行く。

もう少し質の高い商品、美味しい食品等は通常の店で売っている。だからワンランク上の生活を望む人は、ワンランク上の仕事をしてより多くの収入を得るように努力する。もちろん国営スーパーを経営すればそれだけで一部の民間企業を圧迫することとなる。しかし多くの物を人手を省きながら消費者に届けることができるという意味で優れた制度である。一部の職はこれにより失われるのだが、失業者が出ないよう十分な財政的支援等様々な工夫をする。
①労働時間を短縮し、その分多くの職を生み出す。
②公務員を増やし、必要な職・多くの人があこがれる職を増やす。

ベーシックインカムでは貧乏人も金持ちも同額の収入を保証するために貧乏人にとっては額が少なすぎるし金持ちにとっては大した意味の無い追加収入となる。一方ミニマムサプライであれば、貧乏人にとっては贅沢さえ言わなければ生きていけるのだから、大きな安心感が得られる。何か大きなチャレンジをしてみたいという若者も、失敗しても最低限の生活は保証されるとなれば、チャレンジを恐れなくなる。小さな商店を細々経営していた人の一部等は廃業に追い込まれるかもしれないが、国が公務員を増やし、多くの人があこがれる職に就職できるようにするのであれば、それで救われる。

ベーシックインカムが莫大な財源を必要とするのに対し、ミニマムサプライは小規模の国営スーパーから始めて徐々に拡大することができ、最初はそれほど大きな財源は不要である。現代ではたくさんの無駄がある。まだ十分食べられるのに捨ててしまう食品、使えるのに傷物として処分する製品、引っ越しでいらなくなった物等も国が集めて国営スーパーで無料で配布する。リサイクルという意味もあるし、国民に対し最低限の生活を保証するという意味もある。ミニマムサプライとはそのようなシステムである。

ミニマムサプライは本当に支援が必要な人々を集中的に支援する制度であり、しかも徐々に国営スーパーを増やしていくことによりスムーズに「労働はロボットに、人間は貴族に」という理想の社会へ移行できる。 

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2017年6月26日 (月)

財政の豊かな東京都は積極財政であるべきだ(No.253)

先日都民ファーストの会から支持をしてくれとの電話があり、キッパリとお断りした。この党はとても都民ファーストとは思えない。選挙で勝つことだけを考えている都民無視の会だと思う。元々昨年の11月に卸売市場の豊洲移転が決まっていたのに、安心・安全が確保されていないという理由で、独断でそして密室で延期を決めてしまった。一方で豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議は科学的に安全であると結論した。それに対して、専門家でもない小池知事が専門家の結論を無視して「安心が確保できていない」と非科学的な判断をして移転を止めていたが6月23日の定例会見では「追加の安全対策をした後豊洲の安全宣言を出す意向」を示した。追加の安全対策が科学的には全く意味のないものであり、税金の無駄使いにすぎない。結局小池知事の判断ミスによって豊洲移転が約1年半遅れることになる。

6000億円をかけて整備された豊洲市場であり、これを100年使うとして1年半の間これを遊ばせていたということは、減価償却費だけで90億円になる。移転を予定して準備していた業者への補償なども100億円近くなるなど巨額の損失はすべて都民の税金で支払われる。更に、新国立競技場など都心と選手村やMPC(国際メディアセンター)などを結ぶ「五輪道路」として地下トンネルが予定されていたが、それも断念せざるを得なくなった。都民のみならず日本国民に与えた損失額は巨額である。何のための移転延期かといえば、あたかも豊洲移転が「悪者」によって決められたのだという印象を植え付け、その悪者を百条委員会でつるし上げることによって自分がいかにも改革者であるかのように演じるためであった。まさに都民ファーストの会をPRするためだけの移転延期であり、そのために都民も国民も巨額の税金を払わされることとなった。しかも築地を「食のテーマパーク」にするなどということを都民の目の届かない密室で決めた。そんなテーマパークはどうせ大赤字になるとマスコミは言う。少なくとも密室で決めることではない。

これは税金の無駄使い(その額は桝添前知事の無駄使いよりはるかに多い)を陰でしながら他方でオリンピック施設の建設に関し様々な無駄な口出しをし、いかにも予算削減に貢献しているような印象を与えるパーフォーマンスだった。東京は大企業の本社が多数あり財政は豊かだ。一方夕張等地方は赤字で苦しむ。これはEUでドイツのような経済の強い国は財政黒字、ギリシャのような経済の弱い国は財政赤字で苦しんでいることに似ている。つまり東京とドイツは財政黒字だが、夕張とギリシャは財政赤字に苦しむ。全体のバランスを考えれば財政黒字なら思い切った積極財政をすべきである。ハイパーインフレになる恐れは物余りの現代ではあり得ない。例えば東京は首都高速道路が古くなっていて新しくする必要がある。電柱の地下化も必要だ。もちろん地方自治体は通貨発行権を持っておらず、「景気対策」にも限界がありその限界内で景気浮揚のために貢献すべきだ。EUにおけるドイツも同様だろう。

しかし、景気対策は最終的には通貨発行権を持つ政府が行わなければならない。「53か月連続で景気が拡大している」とか「2014年度の消費増税の際でも景気後退には至らなかった」とか楽観的すぎる見方で2019年度の消費増税を認めさせようとする。失われた20年で、日本は世界でも際立って低い経済成長を続けてきて没落を続けている。世界における日本のGDPのシェアは1993年には17.9%であったものが2016年には5.5%まで下がっている。こんな悲惨な状況を受け入れてはいけない。一刻も早く国を挙げて(東京都も協力して)消費を拡大し、失われた20年を少しでも取り戻す努力をすべきである。

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2017年6月20日 (火)

第141回 日本経済復活の会定例会(No.252)

                                                                                    平成29年6月20日
                            日本経済復活の会 会長 小野盛司

講師 小野 盛司 日本経済復活の会会長 
会の活動報告、『日本経済復活への道 -刷ったお金は使いなさい-』
NHKのニュースによると政府は、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するとした財政健全
化目標を見直し、GDPに対する債務残高の割合に着目した、新たな目標を掲げる方向で検討に入っ
たとのことである。債務残高のGDP比を減らしたいのであれば景気対策を行ってGDPを増やせば
よいわけで、それによりデフレ脱却、景気回復が実現する。これこそ当会が十数年の間訴えてきたこ
とである。バーナンキ、シムズ、スティグリッツ、クルーグマンといった識者も同様な意見であり、
政府が財政拡大の決断をすることを期待したい。

   会長以外の登壇者は未定です。
   また日本経済等の事柄に関し、ディスカッションの時間もあります。    

○ 日時 平成29年6月24日(土)午後3:00時~午後6:30時
                 (開場2:45、講演開始3:00)
     この後、希望者は二次会(食事会)にご参加下さい。

○ 場所 東京都文京区春日1‐16‐21 文京シビックセンター 4階 区民会議室 会議室A
TEL 03-3812-7111

252

○ 会費 1000円(資料代を含みます。)当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)宛にお願いします。須田(090-2170-3971)、吉野(080-3312-3485)、メール(sono@tek.jp)でも結構です。ご協力お願いします。

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2017年6月19日 (月)

公共投資を増やせば債務残高の対GDP比が下がることを日経が認めた(No.251)

6月9日に閣議決定された骨太方針2017において「PB(基礎的財政収支)を20年度までに黒字化し、同時に債務残高のGDP比を安定的な引き下げを目指す」ことが目標の一つに決められた。債務残高のGDP比の引き下げを目標にするなら財政拡大しかないので、我々の長年の主張の一部は取り入れられたことになる。それに対する反対意見が6月17日の日経の大機小機に載せられた。その主張に反論する。

日経の主張:長期金利と経済成長率は同じ動きをするから債務のGDP比は下がるわけがない。
反論:現在日銀が国債の多くを保有していて、その保有額は増え続けている。日銀保有の国債の利払いは国庫に戻される。例えば日銀が全部国債を買ってしまえば利払いは全部国庫に回収される。また日銀は資金をいくらでも市場に供給可能であり、経済成長率以下に金利を抑えることは可能だからこの主張は完全に否定される。

日経の主張:公共投資をすれば債務のGDP比は下がる。債務残高がGDPの倍近くある下で、公共投資の追加分が分母のGDPに加わるからである。しかし、公共投資のGDP押し上げ効果は一時的で、分子の債務残高は確実に増加していく。これがバブル崩壊後のわが国財政を先進国最悪にした原因であったはずだ。
反論:公共投資をすれば債務のGDP比は減ることは我々の長年の主張であり、やっと日経が認めたということは大変喜ばしい。しかし、押し上げ効果は一時的だから、止めてしまえば債務のGDP比は再び増加し始めるというのは当然だ。止めずにどんどん増やし続ければGDPは増え続けるから債務のGDP比も減り続ける。これは日経の日本経済モデルを使って実証済みである。

つまり債務のGDP比が世界最悪になったのは、公共投資を削ってデフレ経済に陥り、GDPが減少したり、伸びなくなったりしたためである。何も公共投資に限ることはない。特に現在は人手不足なのだから、AIやロボットなどに巨額投資をして人手が無くても生産を伸ばせる工夫が必要である。現在世界を見渡して、元気な企業はどこか見れば良い。時価総額ランキングでベスト5は、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックである。こういったIT企業が国の経済を牽引しているのであり、日本もこういった企業に対抗できる企業を育てていかないと日本の未来は暗い。

残念ながら、日本政府と国会は森友・加計学園問題ばかり議論していて、与野党とも没落する日本経済を救おうとしていない。忖度とか怪文書とか追求しても日本経済の発展にはつながらない。国会の運営費は1日3億円と言われているから、大変な税金の無駄使いと言える。忖度などではなく、逆に首相にもっと強い権限を与え、鶴の一声で日本版シリコンバレーを特区でつくり思い切った規制緩和をしたらどうだろう。そこで企業誘致のため大規模な減税をし、AI人材養成のために特化した大学もつくり優秀な人材を世界中から集めたらどうか。世界中から優秀な人材を大量に引き抜き、自動運転のテストも公道でできるよう規制緩和をし、上記IT企業に勝てる企業を育てる。AI・人工知能に必要なビッグデータを人海戦術で集める。

ドローンによる配送、無人の農業機械の運用、無人レジなど小売り・物流のロボット化、ホテル・レストランのロボット化など、首相に強い権限を与え国主導で強力にAI化・ロボット化を進めるべきである。AIの分野では周回遅れと言われる日本だが、かつての「追いつき追い越せ」のキャッチで国を挙げてAI産業を支援するときだ。

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2017年6月12日 (月)

政治家は国を豊かにする方法を議論せよ。(No.250)

約5か月間の通常国会が終わろうとしている。6月9日には骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)が発表された。新聞各紙、それほど大きく取り扱ってはいないが、債務のGDP比を減らす事が財政の目標に加えられたことで、歳出拡大の布石になるおではないかとか、10%への消費増税に暗雲がたれ込み始めたのではないかとか、財政規律が緩むのではないかとか様々な見解が出されている。これまでの成長戦略は家計を潤さなかったという指摘もある。

残念ながら国会議員達はこういう「家計を潤させるための」議論にはほとんど興味を示さず、国民生活からはほど遠い森友学園問題とか、加計学園問題とかばかりに焦点があたっていた。ということは、与党はこの議題なら逃げ切れると考えなのだろう。野党は追求のための追求であり政権奪還のための追求にはとうてい思えない。この野党の追及が功を奏したとしても、民進党に再び政権を担って欲しいなどと思う人はいないだろう。一度民主党に政権を任したが悪い記憶しかない。マニフェストは何一つ実現しなかったし、沖縄を混乱に陥れ、原発事故対応では大失敗をし、マニフェストにはなかった消費増税法案を定め、消費増税は国民を苦しめデフレ脱却を困難にした。野党の政権奪還には、まずこれらの失敗の総括が欠かせない。

日本は二十数年前には一人当たりのGDPという意味で世界一豊かな国であった。経済政策の失敗で今は先進国の中では最も貧しい国になってしまった。しかも国の借金のGDP比は世界最悪だ。本当に日本経済を救いたいのであれば、何が悪かったのかを国会議員は真剣に議論しなければならないのだが、そういう議論は全く聞かれない。国の借金を減らすために緊縮財政政策を続けた小泉元首相だったが、国の借金もそのGDP比も増え続け、デフレ脱却にも失敗した。しかし国の債務のGDP比を減らすにはGDPを増やせば良いだけだという議論が最近チラホラ出てきた。全くその通りでGDPを増やすには積極財政政策を行えばよいだけだ。小泉氏の緊縮財政ではGDPが増えないし、逆に減ってしまうから債務のGDP比は増えてしまう。

積極財政政策では国の借金そのものが増加してしまうと心配する人がいる。つまり分母のGDPも分子の借金も増えてしまうから、どちらの増加率が大きいかという問題になる。財政規模を拡大するのがよいのか、縮小するのがよいのか、現在の規模が最良なのかという問題は、日本の運命を決める極めて重要な問題であり、国会議員は最優先して議論しなければならないはずである。このことについて我々は十数年間その議論の重要性を訴えてきたが、与党も野党もこの問題を議論するのを避けている。一方で、内閣府は計量モデルで中長期試算を発表しており、その試算に基づいて政府の様々な政策立案を行っている。その試算を行う基となる方程式や乗数は2010年まで毎年のように発表されていたし、内閣府計量分析室のホームページに公表されている。そこではっきり示されているのは、財政を拡大すれば、債務のGDP比は減少するということだ。だったら、財政を拡大することにより、国の借金は実質的に減るし、デフレから脱却できるし、景気は回復できるし、日本国民にとってこれほど素晴らしいことはない。

昨年度の国の税収は7年ぶりに減るそうだ。成長しない日本を離れ企業は海外に出て行くために国内産業は廃れていることにも原因がある。また預金が1000兆円を超えたそうだ。将来不安を抱く国民が手持ち資金を消費や投資に使わず、利子がほぼゼロの預金に積んでおこうとしており、「死に金」が増え続けている。これが増え続ければ、経済全体が衰えていく。経済を生き返えさせるには、財政を拡大し、緩やかなインフレを起こし、預金を活用しないと目減りしてしまう経済状態にすればよい。その時、死んだお金が再び動き出し、経済が活性化し、国の借金の問題も解決する。

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