経済・政治・国際

2018年9月21日 (金)

ベーシックインカムより優れたJOD(Job-on-Demand)(No.319)

最近ベーシックインカムの議論が頻繁に交わされるようになった。AI/ロボットが雇用を奪ったときの経済システムについて検討しなければならない時期が来たと感じているからであろう。しかし、ベーシックインカムには様々な問題がある。第1は巨額の財源が必要となることだ。例えば国民全員に毎月1万円を配るだけで、年間14.4兆円の財源が必要となる。これを増税で賄うとすれば、例えば消費税率を数%も上げる大増税となる。生活困窮者にとっては月1万円では生活できないし、富裕層にとっては、そんなカネはもらっても余り意味が無いと感じるだろう。例えば消費増税で賄った場合、貧困層からカネを巻き上げ、富裕層にばらまく形となり批判は免れない。もし生活するに十分なカネを全員に配ることができたとしても、国民が労働意欲を失うのではないか、あるいは暇をもてあますのではないか。働くことに生き甲斐を見出していた人たちを失望させるのではないかなど、様々な問題が発生してくる。

この代替案として筆者はJOD(Job-on-Demand)を提案している。これは以下の拙書で紹介した。
『労働はロボットに、人間は貴族に ロボット ウイズ アス』小野盛司(2005)
筆者が提案するのは、国民全員に同額のカネを配るのでなく、各人がどのような仕事に生きがいを感じるのかを調べ、それが実現できるように国が後押しをするということだ。もちろん「いっぱいカネを稼ぎたいから医者になりたい」という人も多い。国民全員を金持ちにするのは無理だ。なぜなら金持ちか金持ちでないかは相対的なものであるのだから。未来社会では供給力は格段に拡大していると考えられるから、それなりに誰もが今より金持ちになっており、価値観は現在よりかなり変わっていると思われる。生活に必要なものの大部分は誰でも入手可能になっているはずだから。

未来社会で人はどのような職業を選びたがるだろうか。例えば
作家、タレント、小説家、俳優、評論家、記者、料理人、デザイナー、科学者、研究者、発明家、歌手、カメラマン、芸術家、陶芸家、園芸家、棋士、落語家、野球やサッカーの選手
などがあるかもしれない。例えば歌手になりたいという人が多数いたとしよう。現在では歌手で生計を立てることが出来る人はほんの一握りしかいないが、JODでは国が強くサポートする。余程歌が上手くないと、リサイタルでも聴衆が来てくれないだろうが、それでもうまくアレンジして歌う場所を提供する。採算を度外視すれば結構できるだろう。下手でも公務員として雇ってやり生活に困らないほどの給料を出してやればよい。そしてヒット曲を連発する歌手には給料を高くするとか、スポンサー契約等様々な副収入を許す。公務員であっても副業禁止などの制限は一切かけないので、天井知らずの収入が許される。

筆者は半世紀近く前になるのだが西ドイツに暮らしていた。当時多くの日本人音楽家と西ドイツで出会った。日本と違い、西ドイツでは音楽家に対する国の支援があり生計を立てていけるのだと言っていた。オペラなど入場料も随分安かった。JODでは様々な分野で国が支援をしていけばよいのだ。国民の人生を充実したものにするにはそれがなにより大切だ。

医者になりたいという希望者が多いかもしれない。この時代医者が金持ちとは限らない。人間の医者よりAI/ロボットの方が正確な診断が可能になっている可能性があるからだ。医学の研究で膨大な論文が発表されており、人間は最新の研究論文まで含めて全部読んで理解するのは無理だ。しかも個人カルテが電子化されその人の病歴、検査結果、治療履歴、個々の薬の効き具合、アレルギー反応等膨大な情報が記録されており、それらをすべて考慮に入れて治療方針を決定するとなると、人間の医者よりAI/ロボットの方がずっと優れているということになっているだろう。そうであれば医者とて、それほどの高給が稼げる職業ではなくなっている可能性がある。今だと大病院では長時間待たされた後、診察で医師と話せるのはほんの短い時間で誤診も多い。未来の医療では、人工知能がまず自宅で詳しい説明を聞く。簡単な検査も自宅でできるようになる。そこで薬を処方して終わる場合もあれば、その診察を踏まえて病院で診察を受けることもある。医師は補助的な役割の事が多くなるからそれほど金持ちにならないのではないか。

JOBが優れているのは、最初は小規模にスタートし、次第に規模を拡大することが可能なことだ。ベーシックインカムの場合は少額の配布でも巨額の財源が必要となる。それは貧乏な人も裕福な人も全員にそして一律にお金を配ろうとするからである。JOBの場合は失業者が増えてきたらその人達がどんな職業に就きたいかを聞いて対応すればよく、はるかに少ない人数を相手にした対策なのではるかに少ない財源で大きな効果がある。そして段階的に適用範囲を拡大して行けば良い。                                                                                                                                                                                                                                                                                            

特にやりたい仕事はないような人、何をすればよいのか自分では分からない人は国で仕事を提案すればよい。未来社会ではAIの進歩が決定的に重要になるし、そのためにはビッグデータが欠かせない。そのための生活モニターになってもらい生活を快適にするためのあらゆる種類のアンケートに答えてもらえばよい。政府の政策に対する意見、各テレビ番組の感想、日常使っている器具、自宅の住み心地等あらゆる質問をネット経由で答えてもらう。このような人に対して公務員として給料を払う。これなら寝たきり老人でも仕事ができる。公務員として雇うのはどこまでかと言えば必要に応じてということでそれがJODの意味である。AI/ロボットがどこまで人の雇用を奪うのかに応じてその規模を決めれば良い。

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2018年9月19日 (水)

生物学を基に考える国民を幸福にする方法(No.318)

2015年12月に発表された野村総合研究所のレポートによれば15~20年以内に日本で働いている人の49%の仕事が人工知能(AI)やロボットで代替可能になるとのことである。これは英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らとの共同研究として行われた。今から約140年前には農業人口比率は約8割だった。

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国民の大部分が一生懸命農作業をしてやっと十分な食糧を確保できた。しかし今はその比率は3%台にまで落ち込んだ。農業の機械化、肥料農薬の改良、品種改良等があって農業という雇用が大部分失われたが、その間農民が揃って失業したわけではなく、第二次、第三次産業へと移っていった。同様な事がAI/ロボットに雇用を奪われていく段階にも起こる。このときどうすれば人を幸せにすることができる社会をつくれるかは生物学を基にすれば正しい結論が得られる。

そもそも自然界におけるすべての生物は、食う食われるの関係(食物連鎖)で鎖状につながっている。その生物にとっての食糧となる生物が増えるとその生物は増える。天敵が増えるとその生物は減る。人間は食糧となる生物を増やし、天敵を減らした。その結果人口が増加したのだが、人口増加の速度以上に食糧生産が伸びた。ほんの少しの時間働けば、食糧は十分確保可能になった。このような環境では、普通の生物であれば食べる事と子育て以外ほとんど何もしない。その例がサル山のサルである。一方、人間は食べる事以外に実に多くの事を行っているのだが、一体何のためにそのような事をしているのか誰も理解していない。その証拠に誰も人間が何のために生きているのか理解していない。

人間は何のために生きているのかというとその答えはある意味「子孫を残すため」である。子孫を残す能力が高い生物のみが生き残った。「種の保存のため」とか「自分の遺伝子を残すため」とか、よく似た表現でもほぼ正解である。生物学用語で多レベル淘汰(multilevel selection)に関係している。「人間は子孫を残すために生きている」というと言うと、これには関係しないように見える行動をどう説明するのかという質問が出てくる。

【例1】金持ちは庭付きの大きな家に住む。庭には池があり綺麗な水の中にコイが泳いでいる。
なぜ人はこんな所に住みたがるのだろうか。太古の昔、人は狩りをして食糧を確保していた。その頃このような池を見つけたら嬉しかったに違いない。綺麗な水は飲むことができるし、その中の魚は食べることができる。今となっては水は水道の水かミネラルウオーターで十分だ。魚はスーパーでいくらでも買える。しかし、人間の心は太古の昔から変わっていないから現代でもこのような池を見ると心が和む。

【例2】野球はなぜ面白いのだろうか。
バットでボールを打つのだが、太古の昔、人はこん棒で獲物を殴り殺して食糧にしていた。ボールを投げる行為だが、太古の昔には石を投げて獲物を殺したり、あるいは天敵を追い払ったりしていた。その名残があり、野球が楽しめる。

【例3】例えばミロのビーナスがなぜ美しいと感じるのか。
これは女性の裸体であるし、生殖に関係しているのは明かである。しかしミロのビーナスは石であり、これを見ても種の保存・子孫保存には直接的には無関係でありこれは何のための行動かと疑問に思うかもしれない。ここで次のような仮説を立てる。

【仮説】
人間を子孫保存に適した行動を取らせるための判定装置を持っている。これをディスクリミネーターと呼ぶ。ディスクリミネーターは種の保存・子孫保存にプラスになるならプラスになる。このとき快感、幸福が感じられ、行動は促進される。逆に種の保存・子孫保存にマイナスになるならマイナスになる。このとき不快、不幸が感じられ行動を制止方向にはたらく。

ミロのビーナスでディスクリミネーターがプラスになるのは、誤作動に相当する。ディスクリミネーターの作動状況は次のように分類される。
①正常作動: 種の保存・子孫保存にプラスかマイナスかを正しく判定
②異常作動: 種の保存・子孫保存にプラスかマイナスかを逆に判定
           例えば注射や歯の治療、麻薬
③空作動(からさどう)
 : 種の保存・子孫保存にはプラスにもマイナスにもならないがプラスと判定         
           例えば芸術、娯楽
ディスクリミネーターが異常作動を起こす原因は、太古の時代と変わっていないからである。太古の時代には注射も歯医者も無く、淘汰によりこれらに対応するようにディスクリミネーターが進化しなかったからである。

ディスクリミネーターの空作動が、AI/ロボットが雇用を奪った際に非常に重要な役割を果たす。先程述べた例でミロのビーナスを見たとき美しいと思うのは、人の生殖に関係しているからであると述べた。しかし実際は石を見ているだけなので、これはディスクリミネーターの空作動(誤作動)と言うことができる。子孫保存・種の保存が余裕で達成できるようになると、人は種の保存・子孫保存に無関係であっても人為的にディスクリミネーターをプラスにしようとし、マイナスにならないようにするようになる。これをディスクリミネーターの解放と呼ぶ。例としては奴隷解放、女性解放、人身売買の禁止、人種差別禁止、男女平等、性解放、セクハラ・パワハラの禁止などである。

善悪の通常の基準は子孫保存・種の保存・自己保存にとってプラスなら善でありマイナスなら悪となるのだが、子孫保存・種の保存・自己保存が余裕で達成できる世界ではディスクリミネーターをプラスにできるなら善、マイナスなら悪となる。つまり環境により善悪の基準が変わってくる。このことは多くの人は理解していない。例えば、食糧が極度に不足していたころ、働けなくなった老婆は村では邪魔だった。老婆にまで食糧を与えていたら、村が全滅してしまう。だったら老婆を山に捨てに行くことを善としようということになるわけだ。もちろん、食糧の豊富な現代ではそんなことをすれば殺人だから悪である。

今から約140年前に比べて農業人口比率は激減した。この間農民は失業したわけではなく第2次、第3次産業へと移っていった。今後AI/ロボットが次々と人の雇用を奪っていく。この時多くの人が転職を迫られるのであり、人類が経験したことがない世界に突入する。この時重要になってくるのは「人は何のために生きるのか」ということである。進化論からの結論は「人はすべての生物と同じく、子孫を残すため生きている」ということだ。ただし子孫を残すための財・サービスをAI/ロボットが完璧に提供できるようになれば、そのとき人間はディスクリミネーターをプラスにすること(生活を楽しむこと)そのものが仕事となる。

ここで出てくるのはベーシックインカムという考えで国民全員に等しい金額のお金を配るというもの。この場合は必ずしも国民すべてが好きなことができるとは限らない。時間だけをもてあまし、生きる目的を見失ってしまうかもしれない。筆者の提案は国が国民が希望する職場を積極的に提供することである。これをJOD(Job-on-Demand)と呼ぶことにしよう。つまり職にありつけない人たちに何になりたいのかを国が聞く。野球選手とか、歌手とか、バイオリニストとか、ダンサーとか、棋士とか、研究者とか、庭師とかプログラマーとか様々な要望が上がってくるだろう。それに応じて国がその人達を公務員として雇い、彼らの希望する職に就かせてやる。もちろん、歌手になっても実力によってはリサイタルに誰も来てくれないかもしれない。それでも生活できるだけの給料は与える。もしその歌手が大ヒットするならそれに比例して給料を上げればよい。

もちろん、これは雇用の大部分がAI/ロボットに奪われた後の時代の事であり、そうなる前にはもっと有効な人の使い方をしなければならない。今、米中貿易戦争が始まっている。中国は「中国製造2025」として自動運転車やAIなど、未来の産業をリードする企業を育成している。世界経済で最も利益を生み出す産業で覇権を握る目標だ。トランプはそれを阻止するために米中貿易戦争を仕掛けた。世界時価総額ランキングを見れば
1.アップル           1兆994億ドル  米国
2.アマゾン           9816億ドル  米国
3.マイクロソフト        8613億ドル  米国
4.アルファベット        8521億ドル  米国
5.バークシャー・ハサウェイ   5170億ドル  米国
6.フェイスブック        5073億ドル  米国   
7.アリババ           4501億ドル  中国
8.テンセント          4251億ドル  中国
16.サムスン電子         2828億ドル   韓国
26.台湾セミコンダクター     2261億ドル  台湾
43.トヨタ自動車         1805億ドル  日本
となっている。なぜ日本は将来最も利益を生み出す産業で企業を育成しないのか。このままでは日本は貧乏になる一方だ。政府も努力していると思っているのだろうが、予算のケタが違う。不作為は将来世代へのツケを残す事になる。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の時価総額の合計は約380兆円であり、日本のGDPに迫っている。どんなにカネを使っても良い。国を挙げて、GAFAに追いつけ追い越せという目標を掲げ日本にIT企業を育てるべきである。それが日本の次世代の人々を豊かにする。

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2018年9月10日 (月)

大規模停電(ブラックアウト)に対する備えは十分か(No.317)

9月6日に北海道を襲った地震で北海道全域が停電した。震源から近い苫東厚真火力発電所が損傷を受け、停止したのが発端となり、北海道内のすべての発電所が連鎖停止し、一時北海道全土で停電した。電力の需給のバランスがとれなくなると非常停止するように設計されている。マグニチュード6.7の地震で北海道全体がブラックアウトしてしまうとは驚きだ。

昨年、朝鮮労働党の機関紙・労働新聞のニュースは水爆で電磁パルス(EMP)攻撃ができるのだと威嚇した。2008年の議会公聴会で共和党下院議員(当時)のロスコー・バートレットはEMPによって送電網が破壊され、1年以内に米国の全人口の最大90パーセントが死亡すると述べた。強烈な電磁波に襲われると日常生活には確実に影響があるが被害の大きさはよく分からない。大規模な太陽フレアでも電磁波は襲ってくる。例えば1989年3月に発生した大規模な磁気嵐では、カナダで大規模な停電が起きた。北朝鮮の金正恩がアメリカをEMP攻撃すれば、確実に大規模な反撃を受け金正恩の命はないから北朝鮮によるEMP攻撃は非現実的だとは思うが、大規模磁気嵐はあるかもしれない。

大規模停電がどの位の期間で復旧できるのかが問題である。北海道の停電ではほぼ2日で大部分復旧したのだが、停電となれば電車も止まり水道も使えない。お店も閉まり冷蔵庫が使えず、生鮮食料品は全部腐る。企業も操業停止する。電子力発電所で冷却水を送れなくなったら悲惨な事故につながる。そう考えれば電気の供給は何があっても止めてはならないことが分かるし、最悪の場合に備え充分過ぎるほど準備しておくべきだろう。日本は電力の供給に余裕があるのかと言えば、もし停止中の原発まで「余力」に含めれば相当余力はある。

今回の北海道電力の件は、苫東厚真火力発電所1、2号機(計95万キロワット)のボイラーの配管が損傷したことであり、それ以外の発電所は緊急停止しただけで短時間で復旧可能だった。実は北海道には現在定期点検中として停止している泊原発(207万kW)があり、これを緊急稼働できれば停電など起こさずに乗り切れた。もちろん、安全かどうかをじっくり検証する必要があるのだろう。しかし停電によって救うことができた命が失われることも多い。

例えば2016年の熊本地震での直接の死者は50人だったが、震災関連死に認定された人はその4倍の200人だった。今回の北海道全土での停電では295万世帯が停電し、病院も停電で大きくその機能が制限された。376病院が停電し人工透析が必要な1万5000人に影響が出た。表には出てこないが、この停電が何らかの原因になって命が失われた方は相当数いるのではないか。

停電は人命に係わることを考えれば、緊急の場合は停止中の原発も他に方法が無ければ一時的に稼働してもよいのではないか。予備電源として北海道から九州まで直流で融通できるよう現状の2~3倍の容量の送電線があれば停電は大幅に防げた。東日本大震災の際も電力の融通が問題になった。九州電力も太陽光発電で発電し過ぎたため、太陽光発電を抑制するとのこと。もし全国で電力を大規模に融通できるならむしろ火力発電を抑制し、CO2の排出を少しでも減らすべきではないか。北海道は風も強くもっと風力発電も強化すべきだ。

今回の北海道のブラックアウトを契機に日本全土のブラックアウトに対する備えは本当に万全なのか検討して頂きたい。

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2018年9月 3日 (月)

総裁選では消費増税の是非を議論せよ(No. 317)

9月20日は自民党総裁選である。安倍さんと議論をして劣勢を挽回したい石破さんに対し、安倍さんは議論を敬遠しようとしている。圧倒的に優勢なのに議論をする必要はないということだ。「石破氏を叩いて渡れ」だそうだ。平成27年1月3日のTBS時事放談などで財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレなどと主張していた石破さんは全く経済が理解しておらず、こんな人が総理になったら日本経済は悲惨なことになる。

安倍さんのほうが、まだアベノミクスで景気回復をしようと努力しているだけまだましだ。石破さんはその対案を持っていない。筆者はアベノミクスを否定はしないが、金融緩和だけで景気を回復させようとして十分な成果が得られていないのは明かだ。やはり財政政策との合わせ技でなくてはうまくいかない。でも消費増税を来年の10月に行おうとしている。これは消費する人にペナルティーをかけて消費を落ち込ませようとする試みだ。今の日本経済でそれは最悪の結果をもたらすのは明かである。2014年の消費増税で大失敗したのになぜ再び失敗を繰り返そうとするのか。自民党内でも消費増税を来年確実に実行せよという声が強く、なかなか延期を言い出せないようだ。つまり安倍さんも消費増税の事は議論したくないらしい。

そろそろ来年の消費増税を実行するかどうかの最終決定をすべき次期になってきたのだが、マスコミもこのことを取り上げることはほとんど無い。ネットで探してみると見つかったのは野口悠紀夫の主張だ。消費増税を延期すると、それを埋め合わせるために国債の増発が必要になり、長期金利が上昇し財政が悪化するという相変わらずの間違えた論理を繰り返している。

笑い話にしかならないが1982年9月に鈴木善幸首相は財政非常事態宣言を出した。当時の国の借金は僅か82兆円で今の10分の1以下で完璧な健全財政だった。だのに財政は「サラ金地獄」に陥っていると新聞は騒いだ。これ以上借金を増やすと長期金利が上昇して大変なことになるというのだ。1995年11月の村山富市内閣時代にも、当時の武村正義大蔵大臣が「財政危機宣言」出している。多くの馬鹿なエコノミストの予測に反し、それ以降国の借金は増え続けたが、長期金利は下がり続け遂に0%あるいはマイナスにまでなった。日本のエコノミスト、政治家はどこまで無能なのだろうか。国の借金の増加を押されないトランプの超積極財政政策の成功を見倣うべきだ。

国の借金が増えれば金利が上がって大変なことになるというのは家計を国家財政と混同した結果だ。ローンが増えれば普通の銀行はそれ以上貸さなくなるからサラ金に頼らざるを得なくなり高い金利を払うことになる。でも国家財政は違う。通貨発行権があり、印刷機をグルグル回せばお金はいくらでも刷れる。実際日銀は刷ったお金で国債を大量に買っているから金利は上がりようが無い。日銀も金利は抑えることが可能と言っている。

江戸時代には改鋳により通貨増発で財源を確保し年貢と呼ばれる税収を増やさず歳出を拡大できている。それでハイパーインフレもなく経済は着実に拡大したわけだ。世界の中で際立って低い成長率の日本だが、今は増税ではなく国債増発(これは事実上の通貨増発)による経済成長を目指すべきだ。少なくともこれが総裁選で議論すべき最重要課題である。

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バブル崩壊しても、財政・金融両面からの刺激策で対応可能(No.316)

米国の中央銀行であるFRBは日本のデフレを研究していた。その結論はバブルが崩壊しても、ただちに財政・金融の両面から刺激策を打てば対応できたはずだというものだった。しかし日本の政府と一部のエコノミストは「バブル崩壊は事後的な対応では間に合わない。だからバブルは起こしてはいけない」という理由で財政・金融の両面から刺激策を打とうとしない。

日米のどちらが正しいかは、結果を見れば分かる。日本は1989年日経平均は38915円だったが、29年後の今でも22000円程度までしか回復していない。この間ダウ平均株価は約10倍になっている。日本の経済成長率は世界の中で際立って低い。世界の中でも歴史に残る長期の大停滞と言えるだろう。世界でトップ争いをしていた一人当たりの名目GDPも、20位以下に沈んだ。企業の時価総額ランキングで1989年には20位以内に14社も入っていたのに、2018年には1社も入っていない。

2008年、アメリカも住宅バブル崩壊でリーマンショックが起きた。ダウ平均株価は半分以下に下落したが4年後にはすでにリーマンショック前の株価を回復している。2018年にはその2倍程度にまで上昇しており好調な経済は健在である。名目GDPもリーマンショックの時より約4割増加している。財政・金融の両面から適切な刺激策を打つ方が、打たない方よりはるかに経済を活性化するのは明かだろう。「バブル崩壊は事後的な対応では間に合わない。だからバブルは起こしてはいけない」という論理は完全に破綻している。万一バブルになって、それが崩壊しても十分対応できるということだ。

30年近く前のバブル崩壊からまだ立ち直れない日本経済だが、アメリカのように財政と金融で刺激すれば今からでも景気回復は可能だ。しかし全く馬鹿げているが、今日本がやろうとしているのは増税と歳出削減だ。民間の経済予測の平均(ESP)によれば実質GDPは2018年度1.05%、2019年度0.81%、2020年度0.74%と、今後も低成長が続きデフレ脱却の見通しは立っていない。アメリカは今年の4~6月期は前年比年率で4.1%、7~9月期も4.3%と高成長が続く見込み。 

財政赤字拡大に対しては政府も国民も罪悪感があるようだ。国の借金がこんなに多いのだから今は我慢しようという考えだ。アメリカにはそのような考えは乏しく、経済発展が優先され打ち消されている。どちらが正しいかといえばアメリカの考えが正しい。経済が拡大するには経済の血液であるお金の量を増やしていかなければならない。一般の国民がお金を刷ったらそれは偽札だから罪になる。日本円を刷れるのは日本政府しかない。日本円を刷って国民に渡せば、財政赤字として計上される。しかし、これは次世代も次々世代も同じ事ができるのだから次世代や次々世代へのツケを増やしているのではなく、健全な経済の発展を促しているだけだ。ただしお金を刷るというのは比喩的な表現であり、実際は財政赤字を拡大し、日銀が国債を買い続け「財政ファイナンス」をすることが通貨発行権を行使することになるから「お金を刷る」ことに相当する。

今からでも遅くない。消費増税でなく、消費減税を行い、歳出を拡大し日本を豊かにしてから次世代に渡そうではないか。

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2018年8月20日 (月)

大きく順位を落とした日本の一人当たり名目GDPランキング(No.315)

日本はここまで貧乏になったことを次のグラフで示す。

               出所:IMF
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かつては日本の一人当たりの名目GDPは世界一だと内閣府は発表していた。内閣府の国民経済計算報告(昭和30年~平成10年)によれば一人当たりの名目GDPにおいて1993年と1994年、日本が世界一であった。その後ルクセンブルグがデータを修正し、世界一に躍り出たから日本は2位に下がった。とはいえ、1993年、1994年頃はスイスやルクセンブルグとトップ争いをしていた。

この図で分かるように順位を大きく下げたのは小泉純一郎内閣だ。デフレなのに「痛みに耐えろ」と言って緊縮財政を行った。デフレということは物余りということ、つまり需要不足。そんなときに緊縮財政を行ったから、消費(需要)は更に落ち込み、経済は縮小し、国は貧乏になった。小泉氏は自分は景気をよくしたんだと主張するだろう。しかし景気が良くなったように見えたのは、単に海外の好景気に引っ張られただけだ。この時がデフレ脱却のチャンスだったが、緊縮財政がそれを阻んだ。その後民主党政権時代若干順位を回復したように見えるが、これは円高の影響であり、株価低迷、景気後退に悩まされていた。国が豊かになったのではなかった。このグラフからアベノミクスでも順位は上がっていないことが分かる。

2017年になると一人当たりの名目GDPは
日本              38439ドル
スイス             80590ドル
ルクセンブルグ     105803ドル
となっている。かつてトップ争いをしていたスイスやルクセンブルグとは2~3倍の差をつけられてしまった。このままデフレ脱却もできず、先進国の中でも際立って低成長である日本経済なのに、増税・歳出抑制の政策を続ければ消費(需要)は低迷し、ますます国は貧乏になってしまう。それを避けるのであれば、減税・歳出拡大をしなければならない。今が決断の時だ。

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日経新聞が財政破綻の危機を煽っている(No.314)

8月14日と8月16日の日経新聞が財政破綻の危機を煽っている。14日の「時論」ではノーベル経済学賞の呼び声が高い米プリンストン大学の清滝信宏教授の記事だ。清滝氏は「日本、財政破綻へ備えを」と呼びかけていて、歳出カット、増税をせよと主張し、やがて自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるから外国人が大量に日本国債を買う時が来ると主張している。筆者はこの記事が掲載された日に清滝氏に反論のメールを送った。

筆者の反論メール:
財政が破綻するとは日本政府が国債を発行しても買い手が無くなるということを意味する。しかし対外純資産が2.99兆ドルあり断トツで世界トップですから日本国債は世界で最も安全な資産の一つと考えられている。財政を破綻させるくらいなら、最後の買い手である日銀が買うほうがはるかによい。実際日銀は国債を大量に買っており、買いすぎて国債が品薄になってきたし、金利が下がりすぎて金融機関の経営を圧迫している。買い手が多すぎて金利が下がりすぎており、財政破綻とはほど遠い状況である。

自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるから外国人が大量に日本国債を買う時が来るとのことだが、債務は自国通貨建てであり、通貨発行権を行使すればいくらでも債務の償還や借り換えは可能である。具体的には日銀が通貨を発行するということ。外国人が大量に日本国債を買おうとしても、すでに日銀が買いまくった後だから買えない。

これに対する清滝氏の返事:
小野さん、
記事を読んでくれてありがとう。
現時点で国債の消化が困難になるのは想像しにくいでしょうが、日本の貯蓄率は高齢化とともに今後数十年下落し続けます。このまま財政赤字を続けると、やがて日本国債は安全資産とは見なさされなくなり、円の下落、国債金利の上昇し、財政が更に悪化します。その時政府が日銀に国債の消化を強要すると、現在のトルコと同じように、円の下落、国債金利の上昇、財政の悪化に歯止めがかからなくなります。ですから今からその時のための準備をしとく必要があるというのが私の意見です。

筆者は更に反論を続けている。数十年先の財政破綻を心配すべきではない。数十年先には労働はAI/ロボットが人間の替わりに行っているはずで全く異なった経済システムになっているはずである。そもそも財政問題は国が通貨発行権を行使すれば簡単に片付く。しかしそうすればハイパーインフレになると心配する人がいる。しかし、ハイパーインフレは極度の物不足で餓死者が出て、国民は食糧を求め近隣諸国に難民として出て行く状態でないと怒らない。今の日本でそれが起きるとは考えられない。食糧は余るほどある。食べられるのに捨ててしまう食品ロスが年間632万トンにも上っている。最悪の場合でも有り余る外貨で、いくらでも食糧を輸入できる。円は国際通貨になっているので、支払いには全く問題無い。今の日本では財政破綻は起こり得ず、それより減税・財政拡大でデフレ脱却・経済活性化をして更に強い経済にし、日本国債の信用を高めていく必要がある。実際筆者は日経NEEDS日本経済モデルを使って、減税・財政拡大で経済発展と財政健全化が同時に実現することを示した。

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2018年7月30日 (月)

石破さん、財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかないのですか(No.312)

かつて石破氏はTBSの時事放談で「財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかないと強く認識している」と発言した。政府はデフレ脱却ができていないのに来年には消費増税を行ってデフレ脱却を更に困難にしようとしているのは、ハイパーインフレを恐れているからだ。ハイパーインフレは極端な物不足のときしか起こらない。

現在ハイパーインフレになっているのはベネズエラである。IMFによるとインフレ率は年内に100万%に達する可能性があるそう。日本は国の借金が大変だと言うが、国の借金のGDP比はハイパーインフレとは全く関係無い。実際ベネズエラの債務のGDP比は僅か35%であり、日本の236%より遥かに低い。ベネズエラのインフレの原因は深刻な物不足だ。スーパーの棚は空っぽで、長時間並んでも食糧も医薬品も手に入らない。いくら高くても良いから手に入れようとするからどんどん値段が上がる。国内にいては何も買えないから国民は大量に国外へと逃げる。

日本も石破氏の言うように財政規律を緩め積極財政をするとそうなるのか。スーパーもデパートもコンビニも百円ショップも棚は空っぽになり、日本国民は食糧を求め、難民として中国やロシアに逃げることになるだろうか。大災害などの理由で全国の生産設備が壊滅的な被害を受け供給が停滞すればそうなる可能性はあるかもしれないが、財政規律が緩んだ程度ではそのようなことは起こらない。財政規律が緩めば需要が増えむしろ生産活動は活性化するだろう。日本は外貨をたくさん持っているから輸入はいくらでもできる。中国や米国の工場が生産しきれなくなるほど日本の需要が増えるということはあり得ない。そんなことも分からない石破さんを次の総理にしてしまったら悲惨なことになる。

先日長谷川陽一という方からメールを頂いた。内閣府の知的財産戦略推進事務局から、今年2月に『「知財創造教育」の実施に向けた取組状況』という資料が出された。  https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/sangyou/dai3/siryou3-2.pdf
この2頁に20世紀は需要が供給を上回っていた時代だが、21世紀は需要が供給を下回っている時代なのだそう。これが政府の認識なのだろうが、それは違う。20世紀は毎年財政規模を拡大していたから需要が供給を上回り経済は発展していたが、21世紀は財政規模を拡大しなくなった結果需要が供給を下回るようになり、不況が続いているという表現が正しい。インフレ目標を定めたのだから、インフレ率がそれを下回れば財政を拡大し、上回れば財政拡大率を押さえるようにすればよいだけだ。今は需要を増やさなければならないときなのに、消費増税を行うなど正気の沙汰とは思えない。

これからはAI/ロボットが人間から職を奪っていく。職を奪われれば収入が絶たれ需要はますます減っていく。この状況をただ指をくわえて見ているだけの政治家などいらない。

政治家よ、頭を冷やせと言いたい。アメリカは好景気なのに大規模減税、大規模公共投資をやっているのに、誰もハイパーインフレになるぞなどと馬鹿なことは言ってはいない。超積極財政による好景気で米国国民は潤っている。日本は世界で際立って成長率が低いのであり、今積極財政に転じればその効果は絶大である。

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2018年7月24日 (火)

日本経済を活性化するエネルギー政策とは(No. 311)

2018年7月の日本は記録的な豪雨の後、凄まじい猛暑に見舞われた。温暖化が進む中、このような災害は規模を拡大しながら繰り返しやって来そうな気がする。それを少しでも食い止めるためにCO2削減は待ったなしだろう。かつては日本の太陽光パネルは世界を席巻していた。2006年まではシャープが世界シェアトップで京セラ、三洋電機、三菱電機などの日本メーカーが続いていた。しかし2017年には、上位は中国や韓国のメーカーで占められ、トップ10の中に日本メーカーはいない。日本のメーカーが投資を躊躇している間に、海外のメーカーにシェアを奪われたのである。シャープの液晶への投資の失敗の印象が強烈だったのだろう。

世界各国の政府は自国の企業を守ろうと必死なのだが、日本だけは自国産業を犠牲にしてでも財政健全化をしようとする。デフレ経済で財政健全化しようとしても企業は弱体化し国民は貧乏になるだけなのだが。中国は再生エネルギーを固定価格で買い取る制度で、大規模な太陽光発電設備を建設したお陰で、中国企業は太陽光パネルにおいて圧倒的な競争力を獲得した。ここにも日本経済衰退の縮図が見えてくる。

我が国のコスト等検証委員会は1kWhあたりの発電コストを2014年原子力は10.1円、太陽光は29.4円、風力は21.6円、天然ガスは13.7円としたのに対し、2030年になると原子力は10.3円、太陽光は12.5~16.4円、風力は13.6円~21.5円、天然ガスは13.4円としている。要するに発電コストは2030年になっても下がらず、相変わらず原子力が一番安いと言いたいようだ。

一方、海外に目を向けると国際再生可能エネルギー機関(IRENA)はすでに太陽光や風力が最も経済的になりつつあると述べている。太陽光発電や陸上風力発電では3セント(3.3円)という低価格で入札が成立する場合が出てきたとのことだ。電力コストは産業の基礎となるのであり、ここまで圧倒的な差を付けられれば日本経済にとって大きなハンディになるのではないか。海外では労働コストが安く、しかも風が強かったり、砂漠のように太陽光発電に適したりする場所がある。

例えば樺太や北方領土のように風力発電に適した場所で大規模風力発電所を建設し、電気を直流送電で日本に送れば良い。北海道から九州まで直流送電で結び融通し合えば、電力供給が安定してくる。東日本大震災の際には、なぜ東と西で電力の融通ができないのかと日本中が嘆いたものだ。直流送電ならこういった問題も一挙解決するし、海外から電気を安く輸入することも可能となる。

また地球上の一部で太陽光や風力で安く電気をつくることができるのであれば、そこで電気を水素に変えたり、水素をトルエン等の有機物に化合させて有機ハイドライドの形で輸送・貯蔵したりできれば安い水素を大量に日本に運ぶことが出来る。水素で燃料自動車を走らすこともできるし、電気が足りなくなった時に発電に使うこともできる。これらは技術的に日本が得意とする分野であり、思い切って投資し開発をすれば世界をリードすることができる。太陽光パネルや風力発電の技術など、日本は競争に負けてしまったけれど、どこか確実に勝ち続けることができる分野をしっかり押さえておく必要がある。その意味で日本の得意とする分野に大規模に投資し、世界を席巻し続けるべきだしCO2排出量削減という意味でも日本は世界の先頭に立つべきである。

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2018年7月 9日 (月)

内閣府計量分析室は今年の夏もオオカミ少年だった(No.309)

2018年7月6日に内閣府は経済指標を発表した。これは長年の年中行事になってしまったが、政府に忖度し一旦政府の意向に沿った過大な成長見通しを発表しておき、その後順次現実に沿った成長率へと下方修正するのである。今回の発表もやはり半年前に予測した成長率から大きく下方修正している。例えば2017年度の名目成長率は2.0%から1.7%へ、2018年度の名目成長率は2.5%から1.7%へと下方修正された。

このような忖度と下方修正はすでに十数年間繰り返されている。滑稽な話だが、内閣府はその年の成長率さえも正しく予測できない。これは気象庁が政府に忖度し「今日の天気」ですら、毎回間違えた予測をするようなものだ。以下に発表した年の名目GDP成長率の予測を示す。
        内閣府試算  実際の成長率
2007年度  2.0%   0.8%
2008年度  2.1%  -1.3%
2009年度  0.1%  -3.7%
2010年度  1.8%   1.1%
2011年度  1,0%  -1.9%
2012年度  2.0%   0.3%

すべてとてつもなく過大評価していることが分かる。2013年度以降は民間の機関の予測と比べてみよう。
        内閣府     ESP     実績
2013年度  2.6%   1.16%   1.8%
2014年度  3.3%   2.35%   1.5%
2015年度  2.7%   2.45%   2.8%
2016年度  3.1%   2.02%   1.0%
2017年度  2.5%   1.44%   1.7%

ESPとは日本経済フォーキャスター41人(民間機関)による予測の平均である。内閣府の予測の方が正確だったのは2015年度の1回だけ。つまり4勝1敗で民間の圧勝である。2015年度はアメリカのシェールオイル開発による原油価格の暴落でGDPが一時的に押し上げられたのだが、原油価格の暴落は誰も予測できなかった。通常ならOPECが生産調整し価格を維持するのだが、当時OPECは予想に反し米国のシェールオイル産業を潰そうとして減産しなかった。内閣府は政府に忖度しほぼ毎回過大な予測を出しでいるが、ESPはそのような忖度はなく、過大予測と過小予測が混じっている。この比較から明かである事は、内閣府の予測よりESPの予測の方がはるかに正確だということだ。そうであれば、内閣府に巨額の費用(税金)を払って、全くお粗末な予測を出す必要があるのかということだ。ESPの結果があれば十分だ。

これまではお粗末な内閣府の予測を基にして経済政策の立案がなされている。マスコミも経済評論家も日本経済の将来を語るときは必ず内閣府の予測をベースに論じた。しかし、内閣府の予測よりESPの予測のほうが、はるかに正確なのだから、今後はESPの予測をベースに考えるべきだ。政府の経済目標も、お粗末な内閣府試算をベースに立てられていたから、達成に失敗し無残な結果に終わっていた。ESPに切り替えればはるかに正確な予測が可能となり、政府目標の達成も可能となる。

政府(内閣府)は2019年度は消費増税があっても1.5%成長ができると主張している。またオオカミ少年がウソを言っているのである。これから実際起こることは、予想をはるかに超えた消費の落ち込みである。トランプが起こした貿易戦争の影響もあるし、オリンピック需要が終わることもある。失われた20年を止めデフレ脱却、インフレ目標達成、景気回復のためには来年の消費増税を撤回し、消費減税を実現し、十分な財政拡大をすることである。

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