シミュレーション

2011年1月14日 (金)

デフレ下で消費税増税をさせてはいけない(No.35)

与謝野氏が経済財政担当大臣として入り、自民党党首の谷垣氏組んで、いよいよ消費税増税に向かってまっしぐらに進むつもりかもしれない。しかし、消費税はもちろん、いかなる増税も、デフレに陥っている日本経済には深刻な打撃になることを 、日本経済新聞社の経済モデルを使って説明しよう。このモデルに関してはすでに以下で説明した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

消費税を5年間、ある一定の税率に固定する場合を考えよう。図1で示したのが、消費税率を0%~11%の間で変化させた場合の実質GDPである。例えば0%と書いた線は、現在消費税5%であるものを0%にまでに下げて5年間(実際は2000~2004年で計算してある)続けた場合、11%と書いたグラフは、一番下のグラフであるが、これは消費税率を11%に固定したと仮定したときの実質GDPである。

図1 

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11%以上の税率で計算しなかったのは、NEEDS日本経済モデルが止まってしまい計算が不能だからである。消費税率変更した後、5年経過したときの雇用者報酬がどうなっているかを図2で示した。

図2

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この図で分かるように、消費税を上げれば給料は下がる。それにより社会保険料も下がり、年金も下がる。国民を貧乏にしては、少子高齢化に耐えられないし、900兆円の国の借金は返せない。

 図3では、各消費税率に対し物価指数がどのように変化するかを示した。消費税率を0%にしても、まだデフレは止まらない。このグラフより消費税率11%だと物価の下落率は年率約1.7%である。

図3

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図4で示したように、景気悪化は失業率の増大をもたらす。消費税10%を5年間続けると失業者は2.3%増加する。今の日本の中小企業で、売り上げの10%もの税を払える企業がどれだけあるだろう。全企業の4分の3は赤字決算で法人税を払っていない。デフレ下で、どこも儲かっていない。だから倒産は激増、恐らく経済的な理由で自殺する人は年間3000人~5000人は増えるだろう。こんなに多くの罪もない人を殺してもいいのかと政府に聞きたい。

図4

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消費税を上げると、税収が増えて国の借金が「返せる」のではないかと勘違いしている人はいないだろうか。残念ながら、図5で示したように、経済モデルで計算すると、消費税を上げることにより、GDPが下がり、更に景気悪化で消費税以外の税収が減るために、国の借金のGDP比はほとんど変わらないことが分かる。消費税を上げると、デフレは加速し、国は急速に貧乏になっていく。貧乏になった国民に900兆円もの借金返済をさせようとしても無理なのだ。どんなに消費税を上げても国の借金は決して返せないことが、マクロモデルの計算で分かる。消費税を社会福祉目的税にするなどという聞こえの良い言葉に騙されてはならない。増税で経済を縮小させ、増え続ける社会保障費を払えるわけがない。今やるべきことは、国の経済を立て直し、パイを大きくして社会保障費を確保することだ。

図5

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少子高齢化で年金財政が大変だと思っているかもしれない。日本の年金制度は異常だ。国が社会保険料を取るだけで、それを貯め込んで、国民に年金として十分払おうとしない。そのため、国はなんと数年分の年金を貯めてしまった。こんな馬鹿なことをやっている国はどこにもない。まず国民に返させるとよい。
デフレとは、経済発展のために必要に十分なお金が国民に与えられていない状態だから何らかの形でお金を国民に渡す必要がある。社会保険料の引き下げ、減税、歳出拡大など様々な形が考えられる。財政赤字を拡大させれば、国民の側では、黒字が拡大することになり、経済が諸外国並に発展が可能となる。通貨管理制度の下では、日銀は国債を買い取る形で通貨を発行でき(つまり国の借金を日銀が買い取ることができ)その買い取り額は無制限である。国の経済が発展すれば、円の信用も増してくる。緊縮財政を続けて、経済を没落させれば、円の信用も落ちてしまうのだ。

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2011年1月13日 (木)

計量経済学は「デフレ経済において増税は悪、減税は善」ということを証明(No.34)

与謝野氏が入閣し、これから民主党政権は大増税の道を歩もうというのだろうか。政府に、もっと経済を勉強して欲しいという願いを込めて2005年にグローバルモデリングセンター所長の大西昭氏と共に計算した結果を以下に示す。 結論は、デフレの時には減税をすべきであり、増税は決して行ってはならぬということである。

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 当時(2005年)、検討されていた増税政策と、逆に減税を行う政策を FUGI global modeling system を使い比較検討した。FUGI global modeling system(フジグローバルモデリングシステム)は国連機関で利用され、国際的に知られた先端的な世界経済予測システムである。世界を200の国・地域に分類し、各国・地域モデルが世界的規模で相互依存している超複雑系モデルである。詳細は ONISHI(2003&2005)を参照。

 日本経済は外需、特に米国と中国向けの輸出のお陰で景気が上向いたことはよく知られている。日本経済は地球的相互依存の世界経済の影響を大きく受けている。FUGIグローバルモデルは輸出入、資本移動、ODA、為替レート、株価、輸入関税などの波及過程を分析が可能である。また世界レベルでのエネルギー消費量の予測が可能となり、世界人口の増大や人間活動の規模拡大のもたらす地球環境への影響の予測にも使われている。

 ここでは、次の2つのシナリオを比較する。 
1.増税シナリオ(baseline) 
  1) 2005年度から定率減税を半減、2006年度から全廃 
  2) 2007年度から消費税率を10%に引き上げる 
 定率減税全廃で3.3兆円の増税となり、消費税を10%に引き上げると約10兆円の増税となるから2007年度からは合計約13.3兆円の増税になる。これが、ほぼ現在の政府が考えている経済政策であると思われる。

2.減税シナリオ 
  1) 2006-2013年に毎年個人所得税および法人税を5兆円、合計10兆円減税。2014年以降は、減税を行わない。 
  2) 公共投資は2006年レベルを持続。 
  3) 所得税の定率減税は恒久化。 
 両シナリオ共、公定歩合は内生変数となっており、過去の実績から判断し、景気の状態、物価、為替、アメリカの金利に応じて変化している。

 図1に、実質GDPの推移を両シナリオに対して示した。現在の効果が現れるには時間が掛かるものの、2020年度までの15年間で実質GDPの伸びは減税シナリオのほうが増税シナリオの約3倍であることが分かる。減税シナリオにおけるGDPの大きな伸びは、債務残高のGDP比を減少させるのに極めて有効である。

<図1>
 
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 図2a,bでは、2つのシナリオの場合の経済成長率を示した。比較のために、全世界と米国の成長率のグラフも加えてある。成長率が世界的に大きく変動をしているのは、景気変動サイクルがあるためである。図2aから分かることは増税シナリオでは、成長率は1~2%で低迷するということである。世界経済あるいは米国経済に比べても際立って低い成長率になることが分かる。それに対して図2bは減税シナリオでの実質成長率を示した。この場合、次第に成長は加速し、世界の標準レベルに追いつき、2010年頃には追い越すことができることが分かる。

<図2a>
 
342a

<図2b>
 
342b

 図3では、名目GDPを示した。名目GDP成長率は2011年以降は2%前後となる。

<図3>

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 一般に誤解されて信じられていることは、この財政が厳しいときに減税すると国の借金が増えて大変だろうということだ。しかし、実際計算してみると逆だと分かる。図4で新規国債発行額を示した。

<図4>
 
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 確かに、2012年までは減税シナリオのほうが、多く新規国債を発行しなければならなくなるのだが、その増加額は減税幅よりはずっと小さい。それは税収が大きく増加するためである。減税シナリオのほうが名目GDPが大きく伸びるために債務残高の名目GDPは増税シナリオより低く抑えられることになる。

 2014年からは「減税シナリオ」で減税をうち切ることもあり、減税シナリオのほうが、新規国債発行額が少なくてすむ。増税シナリオでは、2020年まで高水準の新規国債発行を続けなければならないのだが、減税シナリオでは2012年頃から新規国債発行額は激減を始め、2019年からは発行しなくてもよいということになる。

 同様な結果は、異なるシミュレーションプログラムを使って得られている。宍戸・小野(2003)はEconomate、宍戸(2004)はDEMIOS、小野(2003)は日経NEEDSをそれぞれ用いて、積極財政のほうが緊縮財政よりも債務のGDP比が少なくなり財政が健全化することを示した。

<図5>
   

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 図5には石油価格の推移を示した。減税シナリオと増税シナリオとで大きな違いはない。一時的な投機的な動きは別として、2020年まで、石油価格の暴騰はあり得ないことを、このモデルは予測している。

 図6、図7はそれぞれ対ドル円相場と対ドルユーロ相場で、これらは減税シナリオで計算したものである。これらも減税シナリオと増税シナリオで大きな違いは見られなかったので1つのグラフにした。

<図6>
 
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<図7>
 
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 次に日本経済と世界経済との関係を調べる。図6は両シナリオの元での世界経済の実質成長率である。予想通り、減税シナリオのほうが、増税シナリオよりも世界経済は成長率が高くなる。日本経済と世界経済とは相互に依存しているということであり、日本経済を発展させるということは、世界経済の発展に貢献することであり、それがまた日本経済の発展に貢献するという、いわゆるブーメラン効果を生み出すことになる。

<図8>
 
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 先進国は、ODA拠出をGNPの0.7%にするという努力目標が1970年の国連総会で採択され、その後国連環境開発会議やモンテレイ開発資金国際会議などの国際会議の場でも繰り返し言及されている。しかし、日本は財政難を理由にその半分にも満たない額しか拠出していない。景気を刺激し日本経済を発展させることができればODAを増やせるようになるし、日本経済の発展自体が世界経済の発展に寄与するのだということも忘れてはならない。つまり減税は日本の納税者だけのためでなく、世界経済全体の発展のためということができる。日本がODAを増やし途上国への援助を行うと、それが途上国の経済発展を助け、その結果として日本から途上国への輸出が増加することとなり、日本はODAの額以上の利益を得ることを忘れてはならない。また世界から貧困を無くすることができれば、テロの脅威からも解放されることになる。

 ここで試算した以上の大規模な財政出動に関しては、小野(2003)を参照して頂きたい。アメリカは約30兆円もの所得税減税で景気を刺激しており、日本も負けずに思い切った減税策を行うことも検討課題だろう。そのような強力な景気刺激策により、日本経済はここで示したものよりずっと早期に成長軌道に乗りゼロ金利解除も早期に行える可能性もでてくる。しかし、その際の国債の暴落、円の暴落があるのではないかという問題に議論がすり替えられ、減税か増税かの検討が本格的に行われていないのが現状である。そうであれば、ここに示すような国債の暴落、円の暴落の心配が全くない小規模な減税策と、政府が検討している増税策とを比較して欲しいという願いからこのレポートをまとめたわけである。

 スノー米財務長官は世界の貿易不均衡に関連して、日欧に対して、景気を刺激し内需を拡大するよう繰り返し要求している。また2005年2月のG7で谷垣財務大臣は自律的な内需拡大型の経済成長拡大を公約した。バブル崩壊後十数年が経過し、その間構造改革による内需拡大型の経済成長拡大を唱えられてきたが、構造改革だけでは経済が低迷し続けるということは、現在の経済成長率の低さを見れば明らかである。現在求められているのは、その場しのぎでない長期的展望に基づいた持続的な財政出動である。

 債務残高のGDP比ではなく、債務残高の絶対額が問題だという主張があるかもしれない。そうであれば、日本も米国も債務残高は700兆円程度でありアメリカも大規模な減税策を行っているのだから、日本も債務残高を気にせずに同様に減税を行ってよいことになる。

 結論をまとめると
1. 減税シナリオのほうが増税シナリオに比べ大幅にGDPの成長速度が増す
2. 減税シナリオのほうが国の債務残高のGDP比も低くなり財政の健全化の速度が速まる
3. 対ドル円レートに関しては減税シナリオでも増税シナリオでも大きな影響はない

 結果としてこのレポートで使用したデータは常に変動しており、それに従ってここで記載された結果のデータも日々変化するものである。それ故に、データの詳細にまで立ち入る議論は意味が無く、2005年現在の日本で減税と増税でどちらが正しい選択かを判断する材料としてこのレポートは使われるべきものと考える。


【文献】

Akira Onishi (2003) Integrated Global Models for Sustainable Development、Technology, Information and Systems Management Resources, Volume III, EOLLS Publisher, Oxford, UK . Knowledge for Sustainable Development: An Insight into the Encyclopedia of Life Support System, UNESCO; http://www.eolss.net.

Onishi A (2005) Futures of global interdependence (FUGI) global modeling system, Integrated global model for sustainable development, Journal of Policy Modeling, Vol. 27/1 published February 2005, pp101

宍戸駿太郎・小野盛司(2003) AJER 03-12
宍戸駿太郎(2004) 日本経済成長の「ベストシナリオ」を探る
エコノミスト2004年8月24日号
小野盛司(2003) 『これでいける日本経済復活論』ナビ出版

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2010年10月28日 (木)

内閣府の経済見通しはオオカミ少年 (No.6)

 政府は中長期の「経済見通しを発表しており、内閣府計量分析室が担当している。自民党時代は『改革と展望』とか『進路と戦略』とか呼ばれていて1月の中旬に、その2ヶ月五には乗数や方程式などの詳細な資料が発表されていた。民主党内閣になってからは6月の発表になった。その試算による経済見通しは驚くほど楽観的で、現政権の政策を褒め称える内容となっている。まるでかつての『大本営発表』か北朝鮮の国営放送のようである。

その具体例がデフレ脱却の見通しである。消費者による取引に関係した物価は消費者物価だが、輸入物価や企業間物価などGDPが係わる取引すべてに関係する物価はGDPデフレーターと呼ばれる。GDPデフレーターがプラスになるとデフレ脱却と考えている識者が多い。そのデフレ脱却の政府の見通しがおかしいのだ。次の図を見ていただきたい。

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 例えば左端の2002と書いてある右肩上がりの青いグラフは2002年に発表したGDPデフレーターの予測だ。1~2年でデフレ脱却を予測している。しかし、翌年の2003年になると実際はデフレが悪化しているから、「予測できなかった経済情勢の変化」のために予測を間違えたと、いいわけを言って下方修正し、再び右肩上がりの2003年と書かれた茶色い銭のグラフを発表した。実際のデフレーターは下の黒くて太い線のように現在に至るまでマイナスが続いている。内閣府はこのように毎年「デフレはすぐに脱却できる」という発表を、今年て9回連続して行っている。そしてデフレは現在なお脱却できていないわけだから、9回連続で嘘を言っていることになる。これではオオカミ少年と言われてもしかたがない。

 オオカミ少年は3回目で誰も信用しなくなった。日本の政治家もマスコミも日本人全体が9回連続で騙されてもまだ政府発表を疑わない。それどころか、このモデルを武器に増税・歳出削減を迫る。現実の日本経済はこのモデルで予測されるものよりはるかに厳しい。政府の政策がこのまま続くと、デフレが果てしなく続き、国はどんどん貧しくなり、企業の没落が続く。かつての豊かな日本を取り戻すには大規模財政出動を行ってデフレを脱却するしかない。日本人は内閣府のモデルに、いつまで騙され続け、いつ目を覚ますのだろうか。

 なお、内閣府の経済モデルの更なる重大な問題点に関しては以下を参照して下さい。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/no5-34a0.html

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内閣府の発表する試算は、信頼性に重大な疑問がある。(No.5)

  例えば、内閣府(2005b)で発表されたシミュレーションは極めてお粗末なものと言わざるを得ない。例えば住宅投資の方程式を見るとRCの値は僅か0.068014である。R2Cの値は1に近ければ近いほど信頼度が増すのであり、このようなシミュレーションで使うには0.8以上であるべきであるとされている。0.06という途方もなく信頼度の低い方程式を使ったシミュレーションを発表することは、内閣府の信用を著しく落とす。ちなみに経済企画庁(1995)では住宅投資の方程式のR2Cは0.926となっている。住宅投資以外の方程式も実にお粗末だ。各方程式のR2Cの値の分布図を図2で示した。0.1以下という無茶苦茶な方程式が3つもあり、それがしかも住宅投資や消費関数など極めて重要な方程式であるというのだから、このシミュレーションは重大な欠陥を持っている。

図1

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         比較のために図2で経済企画庁(1995)のシミュレーションで使われた方程式のR2Cの分布を図2で示す。大部分の方程式のR2Cは0.9以上であり、最低でも0.5以上だから、その差は歴然である。内閣府(2005b)のシミュレーションがこれだけお粗末な結果であったということは、その職員の怠慢さを示しているというわけではなく、根本の仮説が間違えていたということである。つまり、内閣府(2005b)のシミュレーションが失敗した原因は『1%需要が伸びると、生産部門の多くで供給が追いつかなくなる。』という仮説が間違えていたということにある。これは潜在GDPを低く見積もりすぎたということである。1%注文が多く入るようになったとき、生産が追いつかないという会社がどれだけ現在の日本にあるだろうか。ほぼ皆無だろう。このシミュレーションで使われた方程式のR2Cの値が極めて低かったことは、「日本21世紀ビジョン」で使われた低い潜在GDPの仮説が正しくないということを意味している。日本の経済状況を説明できるモデルではないということが確認されたわけである。

図2

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 その後、毎年出されている経済予測だが、使われている方程式のお粗末さには変化は内容だ。新政権になっても全く変わらない。「民主党よ、お前もか」とため息が出る。これを図3で示した。内閣に都合のよい試算を出そうと、方程式を歪めてしまう結果R2Cの値が大きく下がってしまう。政府のやるべきことは、大本営発表で経済見通しを歪めるのでなく、純粋にR2Cを最小にするような経済モデルを立て、そのモデルを使って、どの程度の財政規模にすれば最小不幸社会が実現するか、国の債務のGDP比が最小になるかを徹底的に分析し、国民に示すことだ。

図3  R2Cの分布            出所:内閣府

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内閣府(2005a) 経済財政モデル(第一次改訂版)資料集 平成17年4月内閣府計量分析室

内閣府(2005b) 日本経済中長期展望モデル(日本21世紀ビジョン版)資料集 平成17年4月内閣府計量分析室

堀雅博・青木大樹(2003)内閣府経済社会総合研究所ESRI Discussion Paper Series No.121

経済企画庁(1995) 第5次版EPA世界経済モデル-基本構造と乗数分析-

内閣府(2010) 経済財政の中期計画 平成22年6月22日

         http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/ef2rrrr-equ.pdf

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