国の借金

2011年1月28日 (金)

日本国債格下げは、景気を悪化させたのが原因(No.40)

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、日本の長期国債の格付けをAAからAA―に引き下げたと発表した。これに対し菅首相は「そういうことにうといので・・・」とコメントを控えた。これは、日本の信用が関わっていることであり、この意味が良く分からないということであれば、菅氏は首相の資質に欠くと言わざるをえない。

以下に日本国債の格付けの推移を示している。国債の発行残高は増え続けている。もし、国債残高が増えれば格付けが下がるという単純な仕組みであれば、一本調子で格付けは下がり続けただろうが、実際は下がったり上がったりしているから、そうではないことが分かる。

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国債発行額を増やし、積極財政を行っていた小渕内閣時代には国債の格付けは最高のAAAで、国債発行額を減らそうと緊縮財政に走った小泉内閣は景気を悪化させ、株価も発足当時13968円だったが、2003年には7000円台にまで大暴落させてしまった。その結果、小泉内閣では格付けが3ランクも落ちてしまった。結果として国債発行額を減らすことにも失敗した。

その後230兆円も発行残高が増えた2007年4月に国債は再び格上げされた。つまり、国債を多く発行すると、国債の信用が失われるというのは嘘で、経済状態が良ければ、国債の信用が高まり、経済状態が悪くなれば国債の信用が落ちるという、単純な仕組みであることがわかる。小泉内閣で、3ランクの格下げで止まったのは、その後30年に一度といわれる世界的な大好況で外需が伸び景気悪化を止めることができたからであるが、この期間に日本の1人当たりのGDPの国際ランクが大きく下がったことを見ても、日本は世界の好景気から取り残されていたことが分かる。

今回、再び国債が格下げになったのは、民主党政権が経済政策の失敗により、日本の経済状態を悪化させたことによる。ここで増税により、更にデフレを悪化させれば、もちろん、格付けはさらに下がる。

下図は、みずほ総合研究所の中島厚志氏が作成したマネーの伸びの国際比較だ。各国がどれだけお金を刷って経済拡大に努力しているかを示している。右に行くほどリーマンショック前にたくさんお金を刷っていたことを示し、上に行くほどリーマンショック後にたくさんお金を刷ったことを示す。この図からも日本は、経済拡大のための努力が足りないことが分かる。世界中でデフレであるのは日本だけであるということは、日本が最もお金を刷らなければならない時期であるのに、それをやっていない。

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中国は人民銀行がお金を刷りまくっていて、今やバランスシートは300兆円で日銀の2~3倍。しかも銀行もお金を刷りまくり前年より銀行貸し出しは100兆円も増えている。そして、S&Pは中国の国債の格付けを1ランク上げて日本の同等のAA-にした。お金を刷れば経済が強くなり、国債の格付けも上がる。日本も中国に学ぶべきだ。

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2011年1月 6日 (木)

日本がIMFの管理下に?? ネバダレポートに騙される馬鹿な日本人(No.32)

ネバダレポートは、「IMFに近い筋の専門家?」がまとめたとされるレポートで、もし日本がIMF管理下に入った場合、IMFが実行する財政再建プログラムだそうだ。経済の知識のある者なら一笑に付すだろうが、何とこれが2002年の国会予算委員会で真面目に議論されたそうだから驚く。

「公務員の人員の総数を30%カット、給料も30%カット ボーナスも全てカット、公務員の退職金は100%カット 、年金は一律30%カット、国債の利払いは5~10年間停止、消費税は15%引き上げて20%へ 」などと全く馬鹿馬鹿しい内容だ。冗談でしょうと笑えばよいところだが、それを国会で真面目くさって馬鹿な質問をしているのが五十嵐文彦、馬鹿な答弁をしているのが塩川正十郎と竹中平蔵だ。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001815420020214010.htm?OpenDocument#p_top

日本がIMFの管理下に入るなどということは、全くあり得ないことだが、この3名は、IMFを全く理解していないようだ。国が借金をして、その返済ができなくなったらIMFに頼めば何とかしてくれる。だから日本も将来的にはIMFに頼らなければならないとでも思っているのだろう。しかし、それは全く違う。IMFは外国からお金を借りているとき外貨が足りなくなって困っている国を助ける。お金に困っている国に対して金を貸してやるのではない。具体的には、IMFは外貨不足で困っている国の自国通貨をドル、ユーロ、円などの国際通貨と交換してやるということだ。危機が去れば、その国は自国通貨を国際通貨で買い戻さねばならない。

ここですでに日本がIMFによる支援の対象外だと分かるだろう。日本円は国際通貨であり、日本がIMFに交換してもらうとしたら、自国通貨である円を国際通貨である円と交換するだけだから、何の意味も無い。要するに、国際通貨を持つ国は、国際市場で他国の通貨との自由な交換が可能なのだから、何もIMFに交換を依頼する必要は無く、中央銀行間でも自由に交換ができる。

アルゼンチンやギリシャのような国が破綻(又は破綻の危機に直面)するのは、自国通貨をドルや円などの国際通貨に交換してもらえず、自国の通貨を発行しても外国から借りた借金返済ができない場合だ。その場合IMFにお願いして自国で発行した通貨を国際通貨に交換してもらい破綻を免れることができる。ただし、他国に助けてもらう条件として、二度と同じ過ちを起こさないようにと、つまりまた同じように他国から借金をしないようにと、IMFから指導を受ける。日本のように自国通貨の発行をいやがる国はIMFでも助けようがないのだ。もちろん、日本は自国の通貨を発行すれば、つまり日銀が国の借金を市場から買い取れば、IMFの力を借りなくても国の借金の問題は一挙解決する。「神は自ら助くる者を助く」であって、結局IMFの助けはいらないのだ。

IMFからすれば他国に巨額の債権を持つ日本は模範生であり、経常赤字を続けている国と同じ指導をするのはおかしい。経常収支の赤字国も黒字国も緊縮財政をせよという主張は、世界大恐慌を引き起こせということであり暴論である。倒産しかけている会社を更生させるための法律が会社更生法であり、税金を使って会社を助ける。この場合黒字化のために人員整理や賃金カット等厳しい融資条件がつくのは当然であり、IMF管理下に置かれた国も同様な扱いだ。一方で、外貨や海外純資産で世界一であり、経常黒字が続いている日本は、会社で言えば巨額の利益を出す超優良企業だ。会社更生法の適用を受ける必要はないのだ。

笑い話として読んで欲しいのだが、日本の国の借金である908兆円をIMFから金を借りて返そうとしたとする。IMFは円を貸してくれるわけではない。円と国際通貨のどれかと交換してくれるだけだが、それは巨額の外貨を持つ日本にとって何の意味もない。全く馬鹿げた話しだが、IMFが世界中の国の外貨準備のドルを奪い取ってきて日本に持ってきたとしよう。世界の外貨準備の合計は670兆円程度、そのうち6割がドルだから400兆円、ここから日本の外貨準備を引くと300兆円余りしかない。日本の借金の908兆円を完済するには余りにも少ない。しかも、日本には外貨準備が約100兆円と海外純資産260兆円を持っている世界一金持ちの国だ。その金持ちの国を、外貨不足で困っている国まで含め、全世界が有り金をすべて出して日本を援助するほど理不尽なことはない。IMFでなく、日銀がいくらでも援助してくれるのだから。言ってみれば大富豪のビルゲイツが、銀行に預けている自分の金を使いたくないと言っているから、みんなでお金を出し合って助けましょうと言っているようなものだ。

もちろん、IMFの融資残高も日本の国の借金である908兆円に比べ桁違いに少ない。2003年末 1064億ドル、
2007年度末 155億ドル、
2008年11月~2009年5月の間に行った融資 1500億ドル(約12兆円)
といった程度である。日本の国の借金である908兆円には遠く及ばない。

逆に日本は2009年2月13日、IMFの融資財源を暫定的に補完(最大で1000億アメリカドル)すると表明した。IMFへの出資比率が世界第2位の日本はIMFの管理下に入るというよりIMFが日本の管理下に入ると言ったほうが、現実に近いのではないか。

よく言われるのが、日本が通貨発行を行うと円の信認が落ち、日本から資金が引き揚げられ、円が暴落し経済がマヒするということだ。アメリカや中国など諸外国も通貨発行は行っているが経済はマヒしていない。他の国からドル建てで多額の金を借りていて返済に困っているとき、国が通貨を発行すれば混乱が起きることがある。例えば日本が他の国からドル建てで300兆円(3兆ドル)の借金をしているとしよう。通貨発行により円が暴落して円の価値が10分の1になったとすると、もちろん外国は3兆ドルを返してくれという。しかし円の暴落で300兆円でなく10倍の3000兆円も返さねばならなくなり、とても返せないし利払いも大変ということで返済不能(デフォルト)となる。これが問題なのだ。

しかし、現在の日本は逆なのであり逆のことが起きる。他の国に金を貸している。ドル建てで300兆円(3兆ドル)貸している場合は、円の価値が10分の1になれば、貸している額は10倍になるから3000兆円も貸しがあることになる。利子収入だけでも大変な額になる。輸出企業は笑いが止まらないだろうし、諸外国は国内産業が日本からの輸入拡大で大打撃を受けるから真っ青になるだろう。そもそも日本国内の資金が海外に逃避するということは、円売りドル買いが発生するということ、これがまさに、円安誘導であり、通貨安競争を各国がしている現在、喉から手が出るほど日本政府が望んでいることである。それが自然発生的に起きるなら、日本にとっては、これほど嬉しいことはない。資金が海外に逃避した後、資金不足になるかと言えば、その穴は通貨発行で埋めれば良いだけだ。日本を元気にする最良の方法だ。

実際、通貨発行で景気が良くなれば、経済が拡大を始めるから、日本が有望な投資先となる。経済が停滞しているからこそ、日本が投資先として有望でなく、資金はもっと有望な海外に逃げていき、円キャリートレードが盛んだったので円安になった。リーマンショック以降は海外も景気がわるくなったので、その資金が戻ってきて円高になった。日本がきちんと経済を立て直せば、世界中から資金は流れ込む。

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2010年12月25日 (土)

借金頼みの予算編成?・・・、この借金も刷ったお金、財源は無尽蔵(No.29)

一般会計92.4兆円の来年度予算が閣議決定した。2年連続で借金が税収を上回るとマスコミが騒いでいる。是非一度、マスコミ関係者はこのブログを読んで、借金の意味を理解していただきたいものだ。借金は誰から借りているのか考えてもらいたい。もちろん、大部分は日本国民からだ。銀行等の金融機関を経由して国民から借りていると言ったほうが正確だ。

財務省によると、9月末の国の借金は908兆円になる。つまり国民一人当たり約750万円ものお金を国民が貸しているということになる。5人世帯だと3750万円も貸しているのだ。日本の家庭はそんなに金持ちなのだろうかと思うが、そんな実感はない。財務省のホームページから国債の保有者の割合を調べてみた。

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銀行など、金融機関が多く、海外の購入者は5%にすぎない。44兆円の新規国債が発行され、それを売ったお金を政府が財政支出に使ったらどうなるだろう。お金は医療・介護・公共投資・防衛・教育等様々な経路をたどり、結局は国民に渡る。国民が自宅の金庫に全部しまっておくことはあり得ない。銀行や郵貯に預けたり、生命保険の保険金として使ったり、年金の掛け金に使ったり、国債を買ったりする。銀行・郵便局・生命保険会社・社会保険庁等は有力な投資先が他に見つからないので、そのお金を次の年、国債などに投資する。

これはぐるぐる回っているだけで、持続可能であり、将来破綻するようなものではない。もし、銀行等にお金が無くなったら、日銀がお金を刷って流すことになっているので、決して資金が枯渇することはない。しかし、お金が一回りするごとに国は数十兆円の借金を増やしてしまう。このお金は金融機関が稼いだお金ではない。国民から預かったお金だ。預かったお金を再び貸し出すということは、お金を刷った(作り出した)ことになることだ。

例えば自分の車を貸したら、もう自分は車を持っていないから、もう一度貸すことは出来ない。しかし、国債を使い国が金融機関からお金を借り、それを使うとお金は金融機関に戻る。もう一度そのお金を国に貸すということは、実質的にお金を刷って貸していることと同じだ。刷って貸している限り、お金は無尽蔵に増やせる、つまりいくらでも国は借金を増やせることになる。もともと日銀が刷ったお金だが、金融機関がそれを国や国民に対して何重にも貸し出すことでお金が増え経済が発展する仕組みになっている。経済発展で銀行貸出は際限なく増えるものであり、増やさなければならないものである。

現在の日本には2つ問題があって、第一は、お金がいつまで経っても国の経済を発展させるためには使われないことと、第二は、もし国に対して金融機関がもうこれ以上金を貸せないと言ったときどうするかということだ。我々は日経の経済モデルを使い、この問題をどのようにすれば、この問題は解決できるかを示した。No.7を見ていただきたい。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

結論を言えば、数十兆円の景気対策を5年程度続けることだ。環境エネルギーや様々な分野の研究開発、社会基盤整備等、日本の将来への投資になるような景気対策がよい。そうすれば、需要が拡大し、企業に利益が出るようになり、設備投資をすればもっと儲かると感じるようになる。そうなれば、国債ばかり買っていた金融機関も設備投資のために融資を行うようになるし、景気が回復してくれば税収も増え、やがて国債に頼る必要も無くなってくる。まず景気回復のための一押しを政府が行うことが重要なのであり、あとは民間主導で経済が伸びていく。

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2010年12月15日 (水)

国の借金も、もともと日銀や銀行が刷ったお金・・・原資は無尽蔵(No.25)

国の借金が908兆円だと、国民は脅されている。国民一人あたりにすると750万円だと言う。しかし、それの何が問題なのだろう。借金の額が多いか少ないかを判断したいなら、借入限度額を問題にしなくては意味がない。この借金はどこから来るのか考えると良い。結論から言うと、もともとは日銀が刷ったお金であり、銀行等の金融機関でそれが更に増刷された結果、国は908兆円を調達できたということだ。無尽蔵に刷れるお金なのだから借入限度額は無限大だ。

お金を刷れる(つくれる)のは日銀だが、それは日銀が国債を買ったりお金を貸し付けたりすることによって行われる。2010年12月現在、その総額(日銀の資産)は129兆円である。どうやってこの資産を獲得したかと言えば、お金を発行して買ったということだ。だから、国の借金の908兆円には遠く及ばない。しかし、日銀で発行されたお金が銀行に行くと、それが国や民間への貸出に回される。借りたお金を現金で金庫に寝かしておく人(あるいは国)は少なく、大部分は銀行に預金としておいておき、そこから口座振り込みが行われる。つまり大部分のお金は銀行に留まり、そのお金は何重にも貸し出される。

今年、国は44兆円の新規国債を発行する。これを買った金融機関が現金で支払いをしたとすると、1万円札にして数百kmの高さにもなり、取り扱いが大変だからほとんどすべての支払いは銀行振り込みだ。つまり銀行から銀行にお金が移動するだけ。金融機関にとって見れば44兆円の国債を手に入れたのだから44兆円の資産が増えたことになる。国はその44兆円を、医療・福祉・防衛・教育・公共投資・公務員の給与等に使う。ほとんどすべて銀行振り込みで支払われるから、44兆円のお金は再び銀行に戻るだけだ。事実上これは銀行で刷ったお金ということになる。銀行にお金が足りなくなればいつでも日銀が補充することになっているから銀行からお金が消えることはない。

これを毎年繰り返すとやがて借りられなくなるかというと、それはあり得ない。銀行にも日銀にも貸出に上限が無い(つまりいくら刷っても良い)からだ。例えば我々が主張するように、通常の予算に追加して50兆円の景気対策を行ったとしよう。減税でもよいが福祉・医療・介護・環境エネルギー・公共投資・教育等、使うところはいくらでもある。この50兆円のお金は、様々な経路をたどり、大部分が国民の預金口座に収まる。50兆円の国債の消化が金融機関で間に合わなければ、日銀が市場から国債を50兆円だけ買って援護射撃をすればよいだけだ。50兆円の資金が国の口座に移り、それがまた金融機関の口座に戻るだけである。単に循環しているだけで、何回繰り返しても問題が起きるわけではない。しかし一人あたり40万円以上のお金が様々な経路で国民に渡るわけだからインパクトは大きい。

もちろん、国の借金がギリシャのように外国からの借入金の場合は、返却を求められて、それに応じられなくなれば破綻するが、日本の場合は外国に貸している立場なので状況は全く異なる。外国相手の場合、ドルを日銀が刷るわけにはいかないからだ。

家計金融資産が現在1400兆円であり、国が借金できるのはここまでだという意見がある。それは経済成長にストップを掛けたままにしていた場合だ。以下のサイトで我々は日経の経済モデルを使い、50兆円の景気対策を5年間続けると日本経済は一気に拡大することを確認した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

日経平均は3万円を越し、雇用者報酬は20%以上上昇する。

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このように経済が拡大に転じると、家計金融資産も当然増加し始める。次の図において分かるように過去においても経済が拡大しているときは、家計金融資産は急速に増加していた。なぜ増えるのかと言えば、日銀や銀行がお金を刷っているからだ。当然のことながら、刷る前はそんなにお金は無かった。大規模景気対策で経済が再び発展し始めると、日銀や銀行がお金を刷り始めるから急速に家計金融資産は増え始めるし、政府が借り入れに困ることは永遠に無い。

                       出所:日銀

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もう一つ、注意しておきたいのは、政府が十分な景気対策を怠り、デフレ経済にしたために、税収が異常に減ってしまっているという現状を理解すべきだということ。例えばEUでは法人税率を下げたら(青線)、名目GDPに対する法人税収の割合(茶色)が増えてきた。

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次の図のように、先程述べた日経の経済モデルによる試算でも同様な結果が出ている。税率を思い切って下げると、最初の3年間は税収が減るが4年目からは景気が回復し、税収は増え始めることが分かる。税収が増えた結果数年後には赤字国債を出さずに済む。

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以上、国の借金と言っても、もともと刷ったお金であり、いくらでも刷れるからいくら増やしても問題ないと結論される。「借金」という言葉は、印象が悪いので、英国で検討している改革案のように、どうせ刷ったお金なのだから政府に貸与するのでなく賞与でよい。返済義務のない資金を日銀から供給すれば、国民は国の借金に悩まされることは無くなり、国の経済は安定し、国民も安心して生活することができるのは明らかである。英国の改革案は次のサイトを参照して頂きたい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-a945.html

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2010年11月30日 (火)

NHKは反社会的集団(No.21)

 本日(11月30日)の0:15から放映されたNHKスペシャル(再)「借金862兆円への軌跡」を見ると、NHKは反社会的集団と断定せざるを得ない。国民から視聴料を徴収する資格など全くない。番組では国の借金=赤字国債を悪と決めつけた。それではNHKに聞くが、この悪者を追い払い赤字国債を発行せず、大規模な歳出削減と大増税をやればデフレ経済の日本はどうなると思っているのか。国の借金を減らそうとして行ったフーバー大統領の緊縮政策は世界大恐慌を招いた。あの政策と全く同じで大惨事を日本に招くことは間違いない。数万人の人を自殺に追い込むだろう。そのような大虐殺をNHKは推奨しようと言うのか。

 政府収支の赤字は民間収支の黒字だ。政府を赤字にすることにより、お金が国民に流れ、デフレで貧乏になりつつある日本の被害を少しでも少なくしようとしている。廣宮氏の先週の日本経済復活の会の講演から引用すると、「国の借金」は世界全体では2000年の21.4兆円から2009年には43.1兆ドルに増えている。「国の借金」を増やすことにより、世界に流通するお金を増やし、経済を拡大しているのだから、それで良いではないか。NHKはこれを無理に減らして、世界経済を破壊しようということか。このような危険な考えを押しつけようとすることは犯罪行為に等しい。すでに述べたように、日本の国の借金は、諸外国に比べそれほど増えていない。問題なのは借金の増加率ではなく、GDPが伸びないということなのだ。詳しくは
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bef5.html
を見て頂きたい。

 政府収支を黒字にするということは、税収を増やし歳出を減らすということ、つまり政府がお金を国民から奪い取るということ。これが経済を悪化させることがよくある。例えば、1990年~1992年は財政黒字だったが、それがバブル崩壊を招き、日本経済を破壊した。メキシコでも財政黒字だった1994年に通貨危機が起きた。アメリカでも財政黒字だった2000年にITバブル崩壊が起きた。アイスランドも2004年~2007年に財政黒字が続いた後2008年に実質国家破綻となった。財政を黒字にするということは景気にブレーキをかけるということだから、失速の危険が伴う。国民が金に困っているときは、国は財政を赤字にして国民を助けるのが当然なことだ。国の借金は、諸外国がやっているようにお金を刷って補給すればよいのだから。

 もちろん、外国との取引で赤字、つまり経常収支の赤字が続くと外貨が無くなり貿易がやりにくくなる。そのとき、外国から借金をしていると、支払いができなくなり(デフォルト)破綻する。しかし、日本は経常収支は黒字が続いており、しかも対外純資産は260兆円もあるからそのような心配は全くない。

 日本における国の借金の問題は、全く気にしなくても良い問題だ。ノーベル賞を受賞した経済学者であるクライン教授が私にくれた手紙に、国債は日本銀行に買わせると良いと書いてあった。国の借金は日銀が買えば一件落着する問題であり、NHKスペシャルは、そこで日銀が払った代金を、国の経済発展にどのように使っていくかを特集すべきなのだ。景気が良くなり、デフレから脱却し、インフレ率や金利が高まったときどうすればよいかについてはすでに述べた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-5741.html

 国の借金がたまったのは、わざわざ借金がたまるような方法を取ったからにすぎない。例えば為替介入にしても、短期国債を発行して資金を調達してドルを買う方法を取っているから借金として残る。中国方式を採用して日銀がお金を刷ってそのお金でドルを買うなら借金にならない。ドルを買うために日銀が支払ったお金が国民に渡り、それが経済を拡大する。日本が過去の間違いを反省し、中国方式に切り替えたら、日本経済は急成長し国の借金は激減するのは間違いない。イギリス財務省が検討中の計画案を採用しても、国の借金の問題は一挙に解決する。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-a945.html

 国が経済規模を拡大するには、新しく作り出された成長通貨を供給して流通するお金を増やさなければならない。新しいお金を市中に流し込めるのは政府だけだ。デフレで経済規模が縮小しているときは尚更それが必要となる。デフレ脱却のためには国債をもっと多く発行して国民に渡さなければならない事をNHKは理解すべきだ。

 NHKは公共放送なのだから、日本経済を崩壊させるためでなく、経済活性化のための報道をすべきである。

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2010年11月29日 (月)

景気を良くしたら金利が上がり、国は利払い増加で財政破綻するか??(No.20)

 これは先週の日本経済復活の会の定例会でも話題になったことだ。我々は大規模景気対策で景気を良くする提案を行っているが、景気が良くなれば当然資金需要が出てきて金利が上がってくる。それは日本経済にとって大変良いことだ。しかし金利が上昇すれば国が払う金利は膨大になるのだが、それに対してどう対応すればよいのかも示しておくべきだという意見がある。多くの政治家、官僚、エコノミスト等は、金利の急上昇つまり国債暴落を恐れて大規模景気対策を躊躇している。つまり景気は良くならない方がよいと考えている!!

 「国家破綻」の空想をしたい人は勝手にやればよい。馬鹿な連中が集まって経済運営をすればそうなるだろう。しかしながら、技術的に金利上昇に伴う混乱を避ける方法はいくらでもある。例えば長期金利がいきなり5%にまで跳ね上がったとすると、単純計算では、銀行だけで13兆円程度の含み損がでる。生損保、郵貯、かんぽ、日銀、年金積立金にも大損害が出る。混乱が出ないようにする方法をここで示す。

 第一は、日銀が国債を買い支えることだ。つまり大規模な買いオペをやるということである。例えば米国では1942年より「国債価格支持政策(Pegging Operation)」を採用した。財務省短期債券の買いオペ金利を0.375%に固定、長期債も金利2.5%で買い支えた。この政策は1951年まで続けられた。中央銀行が買い支えれば金利はそれ以上にはならない。

 第二は、政府が固定金利で発行した国債を変動金利のものに変えてやることだ。これなら金利が上昇しても国債が暴落することはない。金利が上がれば、それに合わせて金利も上がってくるので、急いで売る必要がなくなるからだ。この提案(ボンドコンバージョンン)は、経団連が行っている。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/044/honbun.html

 第三は、国債を保有する金融機関には、同時に株も保有するように指導することだ。景気が良くなれば、必ず株は上がってくる。万一上がらなければ、日銀にETFとして間接的に株を買わせればよい。しかし、景気回復局面では必ず利益の少ない国債から株に乗り移る。だから株は急騰する。実際、株と国債の両方を持っていれば、株の値上がりによる利益のほうが、国債の下落による損失よりもはるかに大きい。

これが景気回復による経済の拡大というものである。下図のように、2007年と比べ、現在の株式時価総額は約300兆円減っている。

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景気がよくなったときは、この失われた300兆円を取り戻すだけでなく、それ以上の株価上昇が見込まれるのは当然だ。2007年でも事実上のゼロ金利だったのだから、金利が上昇するような景気回復の局面では、2007年の株価レベルよりずっと高い株価になるのは間違いない。そうなれば、上記で示した国債の下落による損失を補って余りある利益が出るのは間違いない。

 国がどうなるかと言えば、GDPが増えて国の借金のGDP比が下がって財政は安定する。また税収も増えるので新規国債の発行額も減ってくる。詳しくは以下を見ていただきたい。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

国債はいくらでも発行できるのだから、財政破綻はあり得ない。お金はいくらでも刷れるのだ。

 国債を日銀が買うと度が過ぎたインフレになるという心配をする人がいるが、これは中国流で対応すればよい。つまり預金準備率を上げるという方法である。これなら日銀から出された資金が日銀に戻ってくるのだからインフレは抑えられる。このように、増えすぎた国債残高に恐れをなしているばかりでなく、緊急事態への対応を事前に十分準備しておけば恐れることは何もない。

 景気が良くなって損をするのは、「国家破綻」という本を売って稼ぐ悪徳業者だけだ。

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2010年11月 3日 (水)

国の借金908兆円は税金では返せない(No.12)

事業仕分けでマスコミは盛り上がっている。財政が厳しいから、少しでも無駄を省くという。借金は次の世代へのツケになるのだそうだ。しかし、908兆円を将来世代が税金で返すとでも思っているのだろうか。それは絶対不可能なことであり、あり得ないことであり、返そうとすること自体極めて危険な試みなのだ。
毎年3兆円ずつ返していけば300年後には完済できるとでも思っているのか。今年の新規国債発行額は44兆円だ。3兆円増税しても借金は44-3=41だから41兆円借金は増えてしまう。3兆円返そうと思えば47兆円(44+3)の増税が必要だ。いやこれでも足りない。橋本内閣の消費税増税を思いだそう。当時は医療費負担増も合わせると9兆円の国民負担となったために、回復しつつあった景気は、一気にどん底へと突き落とされ、借金返済には何の役にも立たなかった。
このデフレの時代に、そうでなくても下降局面にある経済に、橋本内閣時代の数倍の規模の大増税をやれば、企業はバタバタ倒れ、大恐慌に陥り税収が激減して、国の借金返済どころではなくなるからだ。初年度より2年目、2年目より3年目と経済は急激に悪化し、大部分の人は職を失ってしまう。生産設備が失われ流通もストップし、多くの人は餓死してしGDPはゼロに近づく。そんな経済でどうやって908兆円もの借金が返せるというのか。もっと小規模の増税はどうかと言えば、それでは借金を返すどころか雪だるま式に増え続けるのだが、増税により景気は悪化するのだから踏んだり蹴ったりといったところだ。
ではどうすればよいか。正確な経済のシミュレーションの予測が必要だ。はやぶさがイトカワまで往復60億kmの飛行の後、予定着陸地点から僅か400mしか離れていない場所に着地した。これもきちんとしたシミュレーションがあったからだ。政府のやっている事業仕分け、1兆円程度の財源を見いだすのがやっと。しかもそれを削減すれば、間違いなく経済には悪影響を及ぼし、税収を減らす。
908兆円の借金があり、新たに44兆円の新規国債を発行する一方で、この僅かの歳出削減を行えば少しは財政健全化に役立つだろうと考えている人がいたとしたら、それは大馬鹿者というべきだ。言ってみれば北朝鮮のミサイルだ。どこに跳ぶか分からないが、ともかく飛ばしてみようというもの。本気で財政健全化をするつもりならきちんとした経済モデルでシミュレーションをやり、本当に財政を健全化できる政策を行わなければならない。すでに日経のモデルによる予測を示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
 結論から言えば、現在の日本のように国の借金のGDP比が高くなっている国では、歳出削減や増税は、借金のGDP比を逆に高める結果になるだけだ。逆に思い切って大規模な景気対策を行えば、GDPが拡大し財政は健全化する。
政府は10月26日に約5兆900億円の補正予算を閣議決定した。これは11年ぶりの国債発行を伴わない補正だという。国債発行を悪玉と決めつけて、国債発行を伴わないことを自慢したいのだろうが、不況で国債発行を躊躇すれば、景気回復は遅れるばかりで結果的に財政も悪化する。
財源は、財源には10年度税収の当初予測を上回った分の2兆2470億円などを活用するというが、これも馬鹿げている。税収が予想を上回れば、その分を景気対策に使い、下回れば予算を削減するというのだろうか。これほどの経済音痴に政権を任せてよいのか。景気が良くなって税収が増えれば景気対策を控え、景気が悪くなって税収が減れば景気対策を強化して景気を回復させるというのが正しい政策だ。民主党政権になって、景気が悪化し市場金利の低下したために、国の借金に対する利息が減り、国債の発行額を抑えられたなどという事は全く自慢にはならない。景気を悪くしたことを自慢できるわけがないだろう。米国の民主党は景気対策が足りず、景気回復が遅れ財政が悪化していることを理由に中間選挙で大敗した。日本の民主党は米国以上に景気対策に後ろ向きで、景気を悪化させている。民主党政権の外交での失敗以上に、経済政策の失敗は罪が重い。

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2010年11月 2日 (火)

終戦直後に復興金融公庫により大量発行された国債が日本を救った(No.11)

現在、政府が国債を大量発行して景気対策をしデフレ脱却を試みようとしないのは、終戦直後のインフレの再来を恐れているからだと言われている。しかしそれは誤解にすぎない。当時の経済を詳しく調べれば、インフレは国債の大量発行も原因の一つではあるが、むしろ物不足が原因で貨幣の流通速度の上昇したのがより大きな原因になったものだと分かる。国債の大量発行は、生産力を回復させ、物不足を解消させるための緊急措置であり、実際生産力が回復した1950年以降はインフレは起きていない。

終戦の翌年の1946年、日本のGDPは戦前のピーク1938年の2分の1まで下がり、鉄鋼の生産量に至っては戦前の7%という有様だった。外地からの復員や引き揚げによって国内人口が増加するなかで、食料物資の不足、住宅の不足が極めて深刻となり、需要が供給を大幅に上回り、それに加え終戦処理の財源を通貨発行で対応したために、激しいインフレとなった。

生産力を増強するには、電力の供給を増やさねばならず、そのためには石炭供給の増強が必須であった。石炭業では1944年まで年産5300万トンの水準だったが、中国人・朝鮮人を強制的に働かせて生産を維持していた。終戦後、強制労働が解除されると年産1000万トンを下回るまで激減し極端な石炭不足に陥った。そこで1947-1948年に基幹産業の発展を最優先する「傾斜生産方式」が実施された。

まず復興金融公庫(復金)が大量の国債(復興債)を発行し、それを日銀が引き受けることにより資金を獲得、それを石炭・電力・海運を中心に基幹産業に重点的に投入した。一般金融機関の資金供給力が低下する中、復興金融金庫による融資の割合は大きく、設備資金では1949年3月末現在の融資残高の74%は復興金庫融資で占められていた。お金を刷って復興資金にしたわけだが、これが生産回復に大きな役割を果たした変面、復金インフレと呼ばれたように、インフレを加速する結果となった。

この財政・金融政策をどのように評価すべきだろうか。もし、このような政策が行われなかったら、政府は財政難で生産力を回復させる強力な政策は出せなかっただろうし、石炭・電力・鉄鋼の生産不足が続いていただろうから、物不足つまり需要が供給を大幅に上回る状況が続きインフレは長期化しただろう。そして奇跡の経済復興はあり得なかっただろう。戦後の混乱期のような非常事態においては、通貨発行権を行使し政府に十分な資金を確保し、それによって基盤産業を緊急に育てるという政策は正しい。国民に対しては、激しいインフレに耐えてくれと、つまり暫くは痛みに耐えて日本経済を復興させようと協力を求めたわけだ。

もし、通貨発行をせず、歳出削減という緊縮財政政策を行っていたら、景気悪化でしかも物不足のインフレが続くスタグフレーションとなっただろうし、物不足がいつまでも続く絶望的な経済状態となっただろう。実際には生産力が回復してきた頃の1949年2月に来日したドッジは、「ドッジ・ライン」と呼ばれた一連の経済安定化策(超緊縮財政)を実施した。消費者物価は1948年には193%の上昇だったものが、1949年には62.7%にまで下落、1950年には-1.8%とデフレーションの様相を呈した。このことはインフレというものは、完全に制御可能である事を意味している。

その後、1950年6月25日に始まった朝鮮戦争のお陰で特需が生まれ、それをきっかけに日本経済の奇跡的な復興が始まっていく。このような奇跡を起こせたのも通貨発行権という、絶大な特権を最大限に利用した結果である。国民はたしかに激しいインフレに耐えなければならなかったし、配給によって与えられる最低限の物資に頼って生きていくしかなかった。しかし、みるみる復興していく日本経済に希望を持てただろうし、しかも大量の国債発行にも拘わらず、インフレにより国の借金のGDP比は全く増えなかったから、将来世代へのツケを心配する必要もなかった。希望の光が見えていたことを考えれば現在の日本人より余程幸せだったのではないか。

筆者の提案は、あの頃を見習って第二の奇跡の経済復興を目指すことである。日本経済が活力を取り戻し、将来へのツケを消し、奇跡の経済復興が再開するのであれば、インフレを我々は我慢すべきではないだろうか。小泉流に言えば、「痛みに耐えよ」である。どの位のインフレに耐えなければならないかと言えば、すでに日経のモデルによる予測を示した。

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 50兆円規模の景気対策を数年続けるのであれば、2~3%のインフレ率だ。そうではなくて、その10倍の500兆円の景気対策を数年続けるとかなり激しいインフレになるだろうし、将来世代へのツケは一瞬で消えてしまうが、そんな規模にしなければならない理由は全くない。2~3%のインフレ率は、どの国の国民でも我慢にして受け入れているのであり、我々も受け入れるべきだ。

 一部の識者は、この提案に対して「制御不能のハイパーインフレになったらどうするのか」と反論する。しかし、ドッジ・ラインの経験から我々は知っている。インフレを抑えるには、財政支出を削ればよいだけだ。もちろん増税、金利引き上げ、預金準備率引き上げ、売りオペ等、インフレを抑える手段はいくらでもある。しかも終戦直後が物不足だったのに対して今は物余りの時代だ。需要が供給を下回る状態を作り出すことは財政金融政策で簡単にできる。

 国の債務のGDP比を「将来世代へのツケ」と呼ぶなら、デフレを我慢しているとツケは増えていくが、インフレを我慢しているとツケはどんどん減っていく。どうせ我慢しなければならないのであれば、インフレを我慢したほうがよいではないか。高度成長期も我々は常にインフレを我慢してきた。その間、常に賃金の上昇率はインフレ率を上回り、暮らしはどんどん改善された。

約60年ぶりに通貨発行権を行使することは政治家にとって勇気がいるかもしれない。しかし、それによりデフレを脱却し、将来世代へのツケを減らし、豊かな経済を次の世代に残してやれるのなら我慢できるだろう。政治家に決断と実行を期待したい。

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2010年10月31日 (日)

戦後の混乱期を財政破綻も制御不可能なインフレも起こさず乗り切った歴史に学べ(No.10)

本屋に行くと、財政破綻とか預金封鎖とか、人を恐怖に陥れて本を売ろうとしている悪質な連中が書いた本が並んでいる。これは悪徳業者と言うしかない。戦後の混乱期と現代を重ね合わせて恐怖を起こさせる卑劣な手法に怒りを覚える。我々は、終戦直後の混乱期を当時の政治家がどのように乗り越えて、世界を驚かす奇跡の経済成長に導いたかをもっと勉強すべきだと思う。

現在、財政危機だと言われているが、終戦直後の財政は現在と比較にならないほどの危機に直面していた。国が10年物国債が1%を切る金利で売れる現代とは比較にならない。1945年の財政規模は約215億円だったが、戦時中に政府が民間(企業・個人)に支払いを約束した戦時補償(戦時保険支払いの政府保障、工場・設備・船舶などの戦時動員にともなう損失補償)だけで、総額565億円にのぼっていた。結局GHQに従ってこの補償は事実上打ち切るしかなかったし、それが企業の財務内容を悪化させ、緊急支援を行わざるを得なくなった。

戦費捻出のために発行された戦時国債の償還、軍需物資に対する支払い、復員兵の帰還費用の捻出等、政府には巨額の出費が迫られた。財政破綻だ、財源はあるのかなどとのんきなことを言っている時ではなかったのであり、お金を刷って支払うしかなかった。

図1

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 刷ったお金が出回り、需要が増えそれに耐えられる生産設備があったならインフレにならなかっただろうが、戦争で焼け野原になった日本に残された生産設備は僅かで鉱工業生産は戦前水準の27.8%しかなかった。農業でも、戦時動員による人手不足で作付面積が減少したところに冷害などの災害が加わり、1945年の米作は、587万トンという記録的な凶作となった。ちなみに1940~44年度の平均は911万トンだった。人々は生きるためにモノを求めて買いあさったために、終戦4ヶ月後の1945年12月には月間のインフレ率が66.4%となり、このまま1年間続いたら1年で物価は451倍になるところだった。日銀券発行額とは桁違いの物価上昇は、需要が供給をはるかに上回り通貨の流通速度が激増した結果である。

しかし、日本人はインフレが制御不能になるのを防ぐ知恵を持っていた。預金封鎖である。1946年2月、当時の幣原内閣は既存の日銀券の日銀券を失効させ、日銀券を強制的に預金させ、その預金を封鎖した。そして封鎖預金の引き出しは毎月一定額に制限した。世帯主300円、その他一人あたり100円とし、この額で生活しなさいというわけだ。これがインフレ抑制に劇的な効果をもたらした。

図2

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 もちろん、現代は預金封鎖など全く必要はない。モノ余りでデフレの時代に終戦直後のモノ不足の時代の真似をしなければならない理由は全くない。預金封鎖で恐怖を煽っている人を見つけたら金儲けしか考えない『悪党業者』だと思えばよい。預金封鎖は過度な需要を抑えるのが目的であり、デフレの時代は逆にどうやって需要を伸ばすかを考えなければならないのだ。

このようにして刷ったお金で見事に日本経済を奇跡の復興へと導いた。インフレは制御が可能であり、生産力が回復した後は財政を健全化し(ドッジ・ライン)インフレも抑えることができた。歴史から学ぶべき教訓は、必要なときには必要なだけお金を刷って、経済を立て直しなさいということだ。それが、我々の次の世代のために我々がやらなければならぬことだろう。インフレを恐れることはない。終戦直後よりはるかに経済状況はよいし、当時でも経済を奇跡の復興にまで持って行けたのだから、今やれないわけがない。お金を刷って、第二の奇跡の経済復興を目指そうではないか。

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2010年10月25日 (月)

国の借金はそれほど増えていない (No.4)

 国の借金が増えたことを日本中が嘆き、それが日本人の自信を失わせている。日本は外国に金を貸している立場なのだからおかしな話しだ。しかし、実際は次のグラフで分かるように、借金はそれほど増えてはいない。

図1               出所:OECD Economic Outlook 87, 2010

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 このグラフから分かることは、日本が飛び抜けて借金を増やしているわけではなく、増加率から言うと諸外国と比べて、平均的な伸び率だ。では、よく見せられる借金のGDP比のグラフと比べてみよう。

図2            出所:OECD Economic Outlook 87, 2010

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借金のGDP比で見ると日本だけが激増している。図1と図2のグラフだが、通常国の借金と言うとき、99%の人は両方のグラフを混同して話している。全く別物なのに、違いを理解していないと言ったほうがよいかもしれない。ここに日本の悲劇があった。両者がしっかり区別できていたら、つまり分数の意味が日本人にちゃんと理解されていたら、日本経済はここまで落ち込まなかったと思われるからだ。

図1は借金、図2は借金のGDPに対する比率(以下『比率』という)だが、

借金

―― = 比率

 GDP

という関係である。日本以外の国は、比率はほぼ一定ということは、借金はほぼGDPに比例しているということであり、借金が増えることを問題にしていない。借金が増えても次世代に負担になるとは考えていないし、考える必要もない。「日本人よ、しっかりせよ!借金はそんなに増えてないぞ!!」と言いたい。

日本も借金の増加率は諸外国並なので、増えても問題はないはずだが、なぜこのように騒ぐのだろう。この式を

借金=比率×GDP

という形に変形してみよう。借金の伸びは諸外国並なのだが、実はGDPの伸びが諸外国並でない。諸外国よりはるかに伸びが低い。図3は2000年~2010年の名目成長率の伸びである。日本だけがマイナスになっている。際だって低い事が分かる。

図3            出所:OECD Economic Outlook 87, 2010

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 図4でも名目GDPの推移の国際比較を行った。ここでも日本だけが際だって低いことが分かる。これらの図で分かるように、比率が日本だけが群を抜いて増加率が高くなっているのは借金の増加というよりも、むしろGDPの伸びの低さが原因であると言うことができる。しかし大多数の日本人は分数が理解できないために、借金が増えすぎたと誤解している。比率は分子だけで決まるのでなく、分母も重要であることに誰も気付かない。どうも日本人は分数は分子だけ注目して、分母には目もくれない習性があるようだ。それならば、図2の分子と分母を逆にして、GDP/借金をグラフにしてみよう。それが図5である。

図4

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図5

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 これを見れば明らかだろう。借金に対するGDPの割合が下がっている。それが際だっているのがこの図だ。これをみれば、日本はGDPを伸ばす努力が必要だと明らかになる。

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